Tリーグ丸かじり  vol. 12

Column

水谷&張本の2大エースがやった! 木下マイスター東京が劇的優勝!

水谷&張本の2大エースがやった! 木下マイスター東京が劇的優勝!

2月23日に東京・立川で行われた試合で、木下マイスター東京(以下、KM東京)が男子のレギュラーシーズン優勝を決めた。相手は3月のプレーオフ ファイナルで対戦することが決まっている岡山リベッツ(以下、岡山RV)だ。いわばこの対戦は、レギュラーシーズンの決勝戦であると同時に、プレーオフ ファイナルの前哨戦ともいえる試合だった。

試合は序盤から両チームが1マッチずつ交互に取って2-2という大激戦となり、勝敗を決するビクトリーマッチになだれ込んだ。ビクトリーマッチとは、出場選手をその場で決め、延長戦の1ゲームだけで勝敗を決めるTリーグならではのレギュレーションだ。KM東京が送り出したのは先月、全日本選手権で前人未到の10回目の優勝を果たした日本卓球界の至宝、水谷隼。対する岡山RVが送り出したのは世界ランキング18位の上り坂の22歳、林鐘勲(イム・ジョンフン/韓国)。ともにこの日のシングルスで勝ち星を挙げた絶好調の選手だ。

出足、林が気合十分の好プレーを連発し、2-7とリードを奪った。わずか11点で勝負が決まるビクトリーマッチでは、1点がとてつもなく重い。観客の脳裏に、そして恐らくは林の脳裏にも岡山RVの優勝がチラついたはずだ。

次に水谷が1点返して3-7となったところで、岡山RVがタイムアウトを取った。2-7から1点返されただけでタイムアウトとは、用心が過ぎるようにも思えるが、相手はこれまで幾多の大逆転劇を演じてきた水谷なのだ。用心するに越したことはない。結果的にここが試合のターニングポイントとなった。水谷はここから5本連取して8-7と逆転。さらにシーソーゲームが続き、最後は水谷が15-13で劇的な勝利を飾った。壮絶な優勝決定戦だった。

ビクトリーマッチで大逆転勝利を演じたKM東京の水谷隼。これがエースの仕事だ!

思えばKM東京の優勝までの道のりも劇的だった。日本男子の主要トップ選手をそろえ、開幕から9勝1敗と独走状態だったKM東京の優勝はほぼ決まりであり、他の3チームによる2位争いが注目点であった。ところが勝負は何が起こるかわからない。インフルエンザによる張本智和、大島祐哉の欠場という不運も重なり、KM東京はそこからまさかの5連敗。逆に岡山RVは2月中旬から連勝し、2月21日の沖縄・宜野湾での琉球アスティーダ戦で5連勝を決め、ついにKM東京を抜いて首位に躍り出る。

両チームとも1月末に新たな戦力として、KM東京は侯英超(ホウ・エイチョウ/カナダ)、岡山RVは林昀儒(リン・ユンジュ/台湾)を補充するという、完全に本気モードでのデッド・ヒートの末だ。そして迎えたのがこの2月23日の試合だったのだ。いったい誰がこんな展開を予想できただろうか。

張本智和は第4マッチに登場し、KM東京に勢いをもたらすストレート勝ち!

日本初の本格的なプロ卓球リーグ、終わってみれば様々な要素でリーグが盛り上がるようにうまく噛み合った幸運なシーズンだったと言える。残すは3月17日のプレーオフ ファイナルだ。勝負の鍵は、ダブルスの個人勝率トップ2の上田仁と森薗政崇を擁する岡山RVがきっちりとダブルスを取れるかどうか、片やKM東京はツインエースである水谷隼と張本智和が実力を発揮できるかどうかだ。特に水谷は最近目の不調を訴え、2月24日の最終戦で卓球界初のサングラス姿でプレーをするというノーマルではない状態。両国国技館というある意味サングラスがもっとも似つかわしくない伝統的な会場でこれが吉と出るかどうか。勝負の行方は最後まで分からない。

取材・文 / 伊藤条太 写真提供 / T.LEAGUE

T.LEAGUE(Tリーグ)オフィシャルサイト
https://tleague.jp/

著者プロフィール:伊藤条太

卓球コラムニスト。1964年岩手県生まれ。中学1年から卓球を始める。東北大学工学部を経てソニー株式会社にて商品設計に従事。日本一と自負する卓球本収集がきっかけで在職中の2004年から『月刊卓球王国』でコラムの執筆を開始。世界選手権での現地WEBレポート、全日本選手権ダイジェストDVD『ザ・ファイナル』シリーズの監督も務める。NHK『視点・論点』『ごごナマ』、日本テレビ『シューイチ』、TBSラジオ『日曜天国』などメディア出演多数。著書『ようこそ卓球地獄へ』『卓球天国の扉』など。2018年よりフリーとなり、近所の中学生の卓球指導をしながら執筆活動に励む。仙台市在住。

vol.11
vol.12
vol.13