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常盤貴子が思わず本音「不倫の境界線ってどこなんだろう……?」

常盤貴子が思わず本音「不倫の境界線ってどこなんだろう……?」
名匠・東 陽一が井上荒野の同名小説を映画化した『だれかの木琴』。常盤貴子が徐々にストーカー化していくごく普通の主婦・親海小夜子役を、池松壮亮がその対象となる若い美容師・山田海斗役を演じた本作の初日舞台挨拶が9月10日に行われ、監督の東 陽一と主演の常盤貴子、池松壮亮が登壇した。

これを人はストーカーと呼ぶかもしれないけど、わりと真っ当なことなんじゃないか

『だれかの木琴』を鑑賞したばかりの観客に向けて常盤は、「今、モヤモヤの絶頂期かと思いますが(笑)、このモヤモヤをぜひ、楽しんでいただきたいです。今日出会った人、今日接した人、すれ違った人に対する見え方が違ってくる映画だと思います」と話し始め、ストーカーと化して追う立場の小夜子と、追われる立場の海斗ではありつつも、魂の共鳴を感じさせるような二人の関係性について「現代社会に潜んでいる孤独」と分析した。一方、小夜子を拒絶するわけでもない海斗を演じる池松は、その関係性を「台本を読んだときも演じてるときも、僕はあまりそうは思わなかった」とコメントしつつ、小夜子について「すごく遮断されやすい世の中ですから、これを人はストーカーと呼ぶかもしれないけど、わりと真っ当なことなんじゃないかなと思いました」と自身の考えを語った。

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小夜子を演じるうえで常盤は「異常に見せることはしたくなかった」と振り返り、「異常に見せるやり方はいくらでもあるし、わかりやすいストーカー像を演じることはできたけれど、人間の想像力ってとても豊かだと思うので、その想像力で観てくだされば、もっと怖いものができ上がっていくのではないか」「東監督の映画だからこそできる挑戦だった」とも述懐した。それに対し、東監督は「この二人の表現力はただごとじゃなかった。生き物としての生命力がみなぎっていて、それを伝えることが監督として一番大事でした。二人に任せることができました」と撮影現場を振り返った。

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また、実生活での“孤独”との向き合い方について聞かれると、常盤は「私は結構、孤独が好き。孤独な状況をむしろ楽しむタイプ。部屋の明かりを暗くしたり、『わー』って大泣きしてみたり。でも誰にも届かないのが面白いなって思います。ただ、それを楽しんじゃうっていうことは、孤独が足りてないのかもしれない(笑)」と告白。池松も「僕も一人は平気だし、一人大好きですけど、やっぱり誰かと会いたくなったり、寂しくなったりもするし、満たされてない気持ちになったりもする。孤独を埋めるツールばかりが広がっていて、これでいいのかなとは思います。僕はにぎやかな孤独を持っていたいですね」と独自の解釈を語った。

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ついで、1989年に発表された井上陽水の「最後のニュース」を本作の主題曲に起用したことについて東監督は「リリースから20年以上経っているけど、今聴いても、歌詞も音楽そのものも新鮮だから」と述べ、「常盤さんがこの主題曲について『この曲で歌われるいろんな場面のうちのひとつが、この映画で描かれたんだと思う』と、実に巧みに解説なさっていた」と披露すると、横で常盤は照れ笑いを浮かべていた。

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東監督作品への出演については「憧れの東監督の映画に出演して、こんな幸せな日がくるなんて、20代の私に教えてあげたい」と常盤は笑顔でコメント。さらに今年9本の出演作が公開された池松は「手ごたえを感じてないから9本をやれる(笑)」といたずらっぽく笑いながらも、「東さんの作品が大好きで。ひとつ夢が叶っちゃった」と喜びを語った。

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最後に常盤は「最近、なにかと不倫の話題があったと思うのですが、テレビとかで観るたびに不倫の境界線ってどこなんだろうって考えたりしています。人の頭の中にまで入り込むことはできないし、その中で何が起こっているのかは誰にもわからない。それってすごく怖いこと。そういうことを想像させてくれる映画だと思います。一度のみならず、二度、三度と、ご覧になっていただきたい」と本作をアピールした。

取材・文 / エンタメステーション編集部

『だれかの木琴』

2016年9月10日公開

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専業主婦の親海小夜子は、夫と中学生の娘と3人暮らし。念願の一軒家に引っ越したばかりの小夜子は近くで見つけた美容院で若い美容師の山田海斗に髪を切ってもらう。その日のうちに海斗から来店お礼のメールが届き、小夜子は「今後ともよろしくお願いします」と返信するものの、何かが心の中でざわめいていた。その後、返信に返信を重ね、海斗からのレスが途絶えるたびに店を訪れては海斗を指名する。ある日、店での会話をヒントに海斗のアパートまで探し当てた小夜子は、ドアノブにメモと苺のパックを吊るして帰る。そんな小夜子に海斗は危険なものを感じ取る。そして次の休みの日、再び小夜子は海斗の家に行き、今度は家の呼び鈴を押したのだった……。やがて家族や周囲を巻き込み、2人の関係が辿り着く思わぬ結末とは?

【監督・脚本・編集】東 陽一
【原作】井上荒野『だれかの木琴』(幻冬舎文庫)
【出演】常盤貴子 池松壮亮 佐津川愛美/勝村政信
山田真歩 岸井ゆきの 木村美言/小市慢太郎 細山田隆人 河井青葉 螢雪次朗
【主題曲】井上陽水「最後のニュース」
【企画・製作】山上徹二郎
【製作】『だれかの木琴』製作委員会
【制作プロダクション】シグロ、ホリプロ
【配給】キノフィルムズ

公式サイト:http://darekanomokkin.com/

© 2016 『だれかの木琴』製作委員会