『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』特集  vol. 4

Interview

『PSYCHO-PASS サイコパス』劇場版3部作、いよいよ完結へ。主演・関 智一が明かす胸中、恩讐の彼方に狡噛が見るものとは?

『PSYCHO-PASS サイコパス』劇場版3部作、いよいよ完結へ。主演・関 智一が明かす胸中、恩讐の彼方に狡噛が見るものとは?

大人気アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズの知られざるエピソードにスポットを当てた、スピンオフ劇場版3部作『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』(以下『SS』)が絶好調だ。1月には『Case.1 罪と罰』、2月には『Case.2 First Guardian』が、そして3月8日(金)には、元公安局捜査一係の狡噛慎也(こうがみ しんや/CV:関 智一)のその後を描く、『Case.3 恩讐の彼方に__』がいよいよ公開となる。

『Case.3 恩讐の彼方に__』の舞台は、2116年に起きた東南アジア連合・SEAUn(シーアン)での事件後。放浪の旅を続けていた狡噛は、武装ゲリラに襲われた難民たちを救う。その中にいた少女・テンジンは敵討ちのために、戦い方を学びたいと狡噛に懇願する。復讐を誓う少女と、復讐を終えて故郷を捨てた狡噛。二人の想いが交わる紛争にまみれた南アジアの小国で、彼らが目撃したものは――?

『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズにおいても屈指の人気キャラクターである狡噛慎也。その活躍を描く『Case.3 恩讐の彼方に__』への想いと作品の魅力を、TVシリーズ一期から狡噛を演じ続けてきた声優・関 智一に聞いた。

取材・文 / 阿部美香 撮影 / 増永彩子


大河ドラマのように長く楽しんでもらえる作品になった

久々の始動となった新プロジェクト『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』を、関さんはどのように受け止めていましたか?

関 智一 正式な発表は去年の春でしたけど、新プロジェクトを展開するぞ、という目論見はけっこう以前から耳にしていたので、僕自身としては「いつになるのかな?」を心待ちにしていた状態が続いていたんです。それが劇場版で第3弾までやりますということを知り、あらためて嬉しさが湧いてきたという感じでしたね。

しかも『Case.3 恩讐の彼方に__』は、狡噛慎也が主人公の物語ということでファンの熱量もさらにアップしました。やはり『PSYCHO-PASS サイコパス』といえば、狡噛の活躍は欠かせないというファンの声はとても大きい。『Case.3 恩讐の彼方に__』への期待も、非常に高まっていますね。

 そう思ってくださるのは、嬉しいですね。じつにありがたいです。最近の出演作の中でも、狡噛は僕にとって貴重な2枚目役なんです。その意味でも、狡噛の存在は僕の役幅をキープするための大事な命綱。その彼が、多くの皆さんに支持されていることがありがたいですし、役者としても助かります(笑)。

しかも、『PSYCHO-PASS サイコパス』は社会や人間を掘り下げていく作品。短いTVシリーズでは、その深みが伝えにくいと思うんですね。なので、こうして長期間、シリーズを続けて大河ドラマのように楽しんでいただけるのも、『PSYCHO-PASS サイコパス』を愛してくださる方の層が厚く、ビジネスとしてもきちんと成立しているからこそ。とても恵まれたシリーズに関われて、幸せですね。

そんな狡噛を演じる上で、関さんが意識していることは何でしょうか?

 特にこうしよう、ああしようと事前に考えたりはしないですね。劇中では、普段経験しないような突拍子もないことが次々に起こるので、そこに新鮮に反応していこうと。もともと僕は、役柄を最初から作り込んでいくタイプではないので、狡噛に対してもニュートラルな気持ちで臨んでいましたね。

もちろん、台本の彼のセリフやキャラクター同士の掛け合いから生まれるものはありますが、強いて意識することがあるとすれば、作品の舞台になっている場所の雰囲気でしょうか。僕は狡噛のように、海外の紛争地帯に行ったことはないんですけど(笑)。

キャラクターが生きている場所の空気感が、お芝居に影響すると。

 そうですね。キャラクターが暮らす場所と似たような気候を想像したり、似たような雰囲気の土地を思い浮かべたり。そういうものを感じた方が、気持ちは入りやすいです。その人になりきるためのスイッチとしては、そういうほうが自分にはしっくりきます。資料や文字を見ているだけでは、ピンとこないんですよ。登場人物たちも、意識的に何かを思おう、思おうとして、思っているわけじゃないですから。キャラクターについての説明は情報としては有効ですが、やはり芝居はその時その時に起こったことへの反応だと思うので。

情報に振り回されず自分で決めることへの責任、大切さを狡噛が教えてくれる

では狡噛慎也という人物を、関さんはどう感じていますか?

 面白いキャラクターですよね。ただのニヒリストでワイルドな人というわけじゃなく、もともとは優等生な青年が、陰惨な事件に向き合う環境の中で、変わっていった。なので、僕のイメージはインテリヤクザですね。事件を冷静に分析して、シビュラシステムの盲点や、そこからはみ出た犯罪者への対処法を自分なりに考えた結果、アバンギャルドなことをやってしまう。そのバランスが面白い。頭はいいのに、突拍子もないことをやってしまう。その結果、大罪人として国から追われ、逃げざるを得なくなってしまいましたからね。

TVシリーズ一期ではそんな狡噛の変化が、槙島聖護(まきしましょうご)というエキセントリックで凶悪なテロリストとの対決と、槙島への復讐を通じて描かれていました。そこで思うのが、狡噛の魅力はクールで冷静に物事を判断しながら生きている人なのに、最後の最後は気持ちで動いてしまうところにもあるなと。

 そうなんですよね。さらに、上手に今の時代にも対応している人だなと。周りの若い人たちに対しても、情報に振り回されず、自分で決めることへの責任と大切さを、狡噛が伝えていると思うんですよ。シビュラシステムを代表として、何でも決めてもらえる世の中で、自分が手を汚して判断することへの重要性とリスクを教えてくれている気がします。

だからこそ、刑事課一係の仲間達にも愛されているんでしょうね。

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