『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』特集  vol. 4

Interview

『PSYCHO-PASS サイコパス』劇場版3部作、いよいよ完結へ。主演・関 智一が明かす胸中、恩讐の彼方に狡噛が見るものとは?

『PSYCHO-PASS サイコパス』劇場版3部作、いよいよ完結へ。主演・関 智一が明かす胸中、恩讐の彼方に狡噛が見るものとは?

狡噛と槙島の関係性を振り返って……

そんな狡噛の姿は、私たちが生きる現代社会への警鐘を鳴らしているとも、捉えられる気がします。ただ、同僚を殺されて槙島への復讐心を募らせる狡噛の心情は、今の私たちには、なかなか経験できないことではあると思いますが……。

 僕は、槙島への復讐心というのは、単純に同僚を殺されたということだけではなく、世の中がそれを正当に裁けない状態で、槙島聖護が現状のシステムでは検知されない犯罪者であったことが大きいと思いました。しかも、槙島は犯罪係数が計測できない特異体質(免罪体質)だから、自分たちが持っている裁きの道具(=ドミネーター)では、撃つことはできない。狡噛の表にはっきり現れているものは“槙島への復讐”ですが、彼の行動原理には、世の中に対しての憤りが、けっこうな部分を占めているんじゃないかと思うんです。

怒りの矛先は、槙島本人だけではなかったと。

 悪いことをやってるヤツがいて、狡噛はそれを取り締まる側なのに、取り締まれない。身内も殺されているのに、現状を打破できない。他のみんなは、そこに甘んじて、例えばシビュラシステムに従わざるを得ないという中で、初めて過激な行動を起こして、上手くいった人なんですよね、きっと。

『PSYCHO-PASS サイコパス』という作品は、社会のシステムを未来のものに変えていますけど、結局は、今の我々に問いかけている部分と、見ようによっては普段の暮らしにも置き換えられるような部分がある。だから、ただのSF物語で終わらずに、誰にでも楽しめるものになっているんだと思いますね。

たしかに。普段の生活の中にも、狡噛の憤りと同じことはありますよね。本当は自分はこうありたい、こうしたいけどできないとか、正義感は持っていても、今の時代は正義を表に出そうとすると、かえって非難されてしまうとか。

 そういうことも描かれているのが面白いですよね。それこそ『必殺仕事人』じゃないですけど、昔から、我々の気持ちを代弁してくれる作品は人の心を掴む。悪いやつを裁けない状況で、裁いてくれる人に対する憧れがある。狡噛に対しても、僕らの代わりにやっつけてくれてありがとう、という気持ちがみんなにあるんじゃないですかね。

ただ……槙島も犯罪という手段を使ってはいましたけど、シビュラシステムへの憤りや、対するアプローチの仕方というところでは、立場は違えど狡噛と似ている部分をとても感じます。あの二人には、やはり近いものがあったんでしょうね。

『Case.1 罪と罰』から順に観ることで、その裏に隠された構造が見えてくる

そんな狡噛の物語の中でも、最も新しいエピソードとなるのが『Case.3 恩讐の彼方に__』です。本作では様々な国からの武装ゲリラが流入して、闇が暗躍する紛争地帯となっている南アジアの小国での物語が展開します。台本をご覧になり、どのようなことを感じられましたか?

 自分が今後どうしたらいいのかを悩みながら、海外の紛争地帯をさまよい歩いている狡噛の姿が、そのまま彼の心情そのものの表れだと感じました。そんな狡噛が、ようやく一歩を踏み出すことできるようになる物語だなと。日本を離れてからの彼は、ずっと手詰まりな状態だったと思うんです。だから世界をさまよっていたんだと思いますしね。

そして、武装ゲリラに親兄弟を殺され、復讐をしたいから人の殺し方を教えてくれ、という少女・テンジンと出会います。

 はい。少女の復讐心に関わることで、同じように槙島に復讐した自分を、もう一度見つめ直していくんですね、狡噛は。多分、テンジンが考えていることは、全部、狡噛が経験してきたこと。それを少女という純粋なもののフィルターを通してみて、あらためて自分がどうだったのかということを考えられたのだと思います。彼女は狡噛にとっての鏡のような、とても大きな存在じゃないですかね。

今回の『SS』3作では、『Case.1 罪と罰』にも幼い子どもが出てきて、宜野座が自分自身を見つめ直す場面が出てきました。狡噛も、テンジンには本心で接しているように思えました。

 やっぱり、犯罪を通して、正直に素直になれないほどの汚れがこびりついている彼らは、無邪気なものにしか、本心を打ち明けられないんだと思うんですよ。無垢な子供にじゃないと、自分をさらけ出せない。

そういう、年齢を重ねた大人こそが共感できる部分が多いのも、『PSYCHO-PASS サイコパス』の深みであり、魅力なのでしょうね。エンターテインメント性を持ちながら、人間ドラマに深く迫っている。大人の鑑賞に耐えうる理想的なアニメーションだと思います。

 たしかにそうかもしれないですね。エンターテインメントという話で言うと、『Case.3 恩讐の彼方に__』は、クライマックスの鉄道で戦うシーンに、ドラマをさらに盛り上げる場面を後から追加したそうです。これにはスタッフさんも苦労されたと聞いています(笑)。おかげさまでバトルシーンは相当派手なものになるので、そこもぜひ楽しみにして欲しいですね。狡噛もかなり戦っています。

見どころが多い作品になりましたね。

 『Case.1 罪と罰』『Case.2 First Guardian』も、とても面白い、いい作品ですしね。『SS』はどれも想像を上回るクオリティでしたよ。『Case.2 First Guardian』に続いて、『Case.3 恩讐の彼方に__』にも新しいキャラクターとして花城フレデリカ(CV:本田貴子)が出てきますが、彼女が過去の『PSYCHO-PASS サイコパス』のキーパーソンとして、大きく物語を繋いでいる。じつに巧みな構造だと思います。3作とも話はバラバラで独立しているんですけど、『Case.1 罪と罰』から順に観てもらえると、その裏に隠された大きな構造が、次第に強く伝わってくる。『SS』はそこがすごく面白いですね。『Case.3 恩讐の彼方に__』は、フレデリカがさらに活躍しますので、それも楽しみにしていただきたいです。

最後に、本作の公開を待ち望んでいる狡噛慎也ファンにメッセージをいただけますか?

 狡噛を応援してくれてありがとうございます。今日も元気に紛争地帯で、いろいろな活動を支援しながら、彼は頑張っています。まずは劇場で元気な狡噛に会ってやってください。これからも、狡噛慎也をよろしくお願いします。

フォトギャラリー

劇場用アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』
Case.3 恩讐の彼方に__

2019年3月8日(金)公開

【ストーリー】
2116年に起きた東南アジア連合・SEAUnでの事件後、狡噛慎也は放浪の旅を続けていた。南アジアの小国で、狡噛は武装ゲリラに襲われている難民を乗せたバスを救う。その中には、テンジンと名乗るひとりの少女がいた。かたき討ちのために戦い方を学びたいと狡噛に懇願するテンジン。出口のない世界の縁辺で、復讐を望む少女と復讐を終えた男が見届ける、この世界の様相とは…。

【キャスト】
狡噛慎也/関智一
テンジン・ワンチュク/諸星すみれ
花城フレデリカ/本田貴子
キンレイ・ドルジ/志村知幸
ギレルモ・ガルシア/磯部勉
ツェリン・グルン/高木渉
ジャン=マルセル・ベルモンド/鶴岡聡

【スタッフ】
SSストーリー原案・監督:塩谷直義
脚本:深見真
総作画監督:恩田尚之、阿部恒、中村悟
作画監督:中村深雪、古川良太、竹内知海、古川尚哉、市川美帆、黄瀬和哉、阿部恒、諸貫哲朗、新野量太、中村悟
演出:河野利幸、遠藤広隆
撮影監督:荒井栄児
3D:サブリメイション 
色彩設計:上野詠美子
美術監督:草森秀一
音響監督:岩浪美和
音楽:菅野祐悟
キャラクターデザイン:恩田尚之、浅野恭司、阿部恒
シリーズ原案:虚淵玄
キャラクター原案:天野明
アニメーション制作:Production I.G
配給:東宝映像事業部

©サイコパス製作委員会

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