TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』1年6か月の記憶  vol. 3

Interview

『新幹線変形ロボ シンカリオン』に、なぜ「Suicaのペンギン」を出したのか!? 大胆コラボの数々から見えてきた、アニメと“リアル”をつなぐ面白さ

『新幹線変形ロボ シンカリオン』に、なぜ「Suicaのペンギン」を出したのか!? 大胆コラボの数々から見えてきた、アニメと“リアル”をつなぐ面白さ

「キトラルザス決着編」で東京駅も進化(チェンジ)する!

アニメ本編の今後の展開についてもお伺いしていきたいと思います。2月9日に行われたイベントでは4月以降の新展開も発表されましたが、その前に第56話(2月2日放送)のラストで「これからのシンカリオン」として新シーンが少しずつ映されました。あそこに映しだされたシーンは、3月中には観られるんでしょうか。

針原 はい。初めにご説明した、キトラルザス決着編までですね。

第57話の放送では「東京駅が進化(チェンジ)する!?」という予告も加わりました。

伊藤 決戦の地として。

メカ・ロボット好きとしては、こういう展開はすごくうれしいです。

針原 そうですよね。シンカリオンはこれまでずっと「捕縛フィールド」という場所で戦ってきましたが、いつかは東京駅に全シンカリオンが集結して戦っている画が見たいよね……という思いがあったんです。東京駅にシンカリオンが集結するという展開は、TVアニメ化が決まる前の原案時代からの制作陣の夢でもありました。

『シンカリオン』って、続けば続くほど夢が広がっていきますよね。企業やキャラクターとのコラボも1回や2回じゃなく、どんどん実現していくアニメになりましたし。

針原 「次はどんなことやるの?」というプレッシャーも日に日に増えていっていますが(笑)。ちなみに、何のコラボを仕掛けていくかのきっかけを作ってくれるのは、シリーズ構成の下山さんが多い気がします。

伊藤 そうですね。下山さんが毎週のシナリオ会議に持ち込むプロットなり初稿なりに仕込まれていることが多い。それを僕らが読んで「おもしろいから、各所に確認してみましょう」となるんですよ。例えば、下山さんはCMがお好きな方なので、新幹線の古いCMネタだったりとか。

第49話の「クリスマス・イブ」は強烈でした(JR東海による1988年の名作CM「ホームタウン・エクスプレス クリスマス編」を再現する劇中シーンがあり、さらに山下達郎の楽曲「クリスマス・イブ」も使用されたことで話題となった。2018年12月15日放送)。あれも下山さん発のアイデアなんですね。

針原 はい。鉄道CMファンとしてのリスペクト、オマージュからですね。

伊藤 それに続いて第58話でも、「ファイト!エクスプレス」というCMの再現を仕掛けました(こちらも1989年のJR東海のCMにならって、佐野元春「SOMEDAY」を劇中に使用)。下山さんはもとより本当に鉄道がお好きで、JRのCMも好きな方で……とにかく随所にそういうネタを仕込んでくるんですよ(笑)。僕らがわからないネタもたまにあるぐらいです。

針原 「ファイト!エクスプレス」の話がシナリオで上がった際は「SOMEDAY」の使用予定はなかったのですが、こちらはプロデューサー陣のほうから、「やろう!」と(笑)。しかもサブタイトルも「ファイト!!エクスプレスと青春のE2系」に決まりましたし、これはやるしかない! となり、実現しました。

そういう仕掛けって、他の作品ではなかなかやれないことが多いと思うんですよ。でも『シンカリオン』では『初音ミク』や『エヴァ』でコラボレーションさせていただいた前例ができて、制作チームみんなに免疫ができている。「できるかどうか」よりも、「どうやったらできる?」っていうところから話が始まるようになったんですよ。

伊藤 それがこのチームのすごくいいところですよね。やる方法から常に探すっていうのは。

 “今まで普通だったことがちょっと特別になる”アニメになった

僕らも含め“コラボ”という言い方をよくしますけど、『シンカリオン』のそれはいい意味で少し違う気がするんです。作品のためにやりたいアイデア、見せたいものが先にあって、それを関係各社協力のもと実現する努力というか。

針原 この作品は、本当にちょっとした小ネタでもちゃんと許諾を取っていますからね。例えば第44話で、スイーツ好きのアキタが「ジャン=ポール・エヴァンのボンボンショコラは絶品だった」とつぶやくシーンがありますが、そういった実名を出させていただきたいときにも、一つ一つちゃんと各所に確認しているんですよ。

実名を出すということは、『シンカリオン』という作品でも結構キーになっていますよね。

伊藤 実在する新幹線が登場して、現代を描いている作品ですから、できるかぎり「リアルの延長にこのアニメがある」という見え方になるように、そういうことをていねいにやっているという側面はあります。

逆に、『シンカリオン』に出てくるものが現実に存在していると発見できたときの喜びもありますよね。例えば東京駅などでE5系新幹線を見つけると、「アニメに出てくるロボットが本当にそこにある!」と思えたり。

伊藤 そうなんですよね、“会いにいけるアイドル”みたいですよね。僕も、この前初めてドクターイエローを見つけた時は「ドクターイエローだ~!」って、大きな声が出ちゃいまして……(笑)。あとはE5とE6が連結しているところを見つけてもテンションが上がるようになりましたし。

針原 僕はすっかり鉄道番組とか、人類の進化を題材にした番組を観るようになりましたね。

鉄道と新幹線、『シンカリオン』効果ですごく日常に意識するようになりました。では最後になりますが、あらためておふたりの考えるSuicaのペンギンの魅力、『シンカリオン』の魅力を教えてください。

伊藤 Suicaのペンギンに関しては、視聴者のみなさんには僕らが想像していた以上にファンの方がいて、想像以上の反響でした。登場シーンは短めなので、正直「これしか出ないのかよ!」といった声があるのかなと不安もあったんですけど。フタを開けてみたら、「あんまりしゃべらせないでニッコリさせているのがいい」とか「モフモフ感がいい」とか、「わかってる!」というようなご意見をたくさんいただけて(笑)。そういうコメントをくださるファンのみなさんがいるくらい人気があるキャラクターということもわかったので、これを『シンカリオン』に出せてよかったです。JR東日本さんのご協力にも感謝しています。

針原 以前、下山さんが話していた印象的なエピソードがあって。おもちゃ屋さんを通りかかったときに、シンカリオンのコーナーにいた子どもが、「友だちみんながシンカリオン持ってるから、俺もシンカリオン買うんだ」と言っていたそうなんです。僕らからするとシンカリオンを買っていただけることはすごく嬉しいです。でも、シンカリオンで伝えたいことには、「みんなはシンカリオンを持っているけど、オレはぬいぐるみが好きだ」とか、そういうふうに自分の好きなことを好きと言えるようになってほしい……といった考え方があると。僕もまさにその通りだなと思っていたんです。メッセージの受け取り方は人それぞれだけども、ハヤトたちを通じて込められた、自分の「好き」を出せるような人になってほしいという思いは、『シンカリオン』の大きな魅力だと思います。

伊藤 あとは、これまで鉄道とか新幹線に興味のなかった人たちでも、東京駅や品川駅で実際に新幹線を見たときにテンションが上がってくれるというのはうれしいです。これまで何とも思っていなかった普通のことが、ちょっと特別になる感覚というか……それが視聴者の方に届けられているのが、『シンカリオン』の魅力の一つだなと思いますね。先日のイベントでも、キャストさんたちに『シンカリオン』をやっていてよかったことを聞いたんですが……今までなんとなく新幹線で名古屋に行っていたのが、「これにリュウジが乗っているんじゃないか」と思うようになった、というような話をしてくれていて。本当によかったなと思います。

そういう意味では、Suicaのペンギンが今回活躍したことによって、普段見かけるSuicaのペンギンの見え方がちょっと変わったらおもしろいですね。

伊藤 そうなってくれるとうれしいですね。子どもたちにとっても、ただのICカードのキャラクターの意味を超えて、「『シンカリオン』に出ていたあのペンギンだ!」と思ってくれたらいいなと。

TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』

毎週土曜あさ7時~7時30分
TBS系全国28局ネットで放送中

<ストーリー>
鉄道博物館、京都鉄道博物館、リニア・鉄道館の地下深くに存在する特務機関「新幹線超進化研究所」は、“漆黒の新幹線”が生み出す巨大怪物体から日本の平和と安全を守るため「新幹線変形ロボ シンカリオン」を開発した。
「シンカリオン」とは、実在する新幹線から変形する巨大ロボット! その「シンカリオン」と高い適合率を持つ速杉ハヤトら子どもたちが運転士となり、研究所員ら大人たちと力を合わせて強大な敵に立ち向かう!
果たして“漆黒の新幹線”の目的は・・・!? 子どもたちは日本の平和と安全を守れるのか・・・!?
チェンジ! シンカリオン!

<声の出演>
速杉ハヤト:佐倉綾音
男鹿アキタ:沼倉愛美
大門山ツラヌキ:村川梨衣
シャショット:うえだゆうじ
上田アズサ:竹達彩奈
速杉ホクト:杉田智和
三原フタバ:雨宮 天
出水シンペイ:緑川 光

<スタッフ>
監督:池添隆博
シリーズ構成:下山健人
キャラクターデザイン:あおのゆか
メカニックデザイン:服部恵大
音楽:渡辺俊幸
音響監督:三間雅文
アニメーション制作:OLM
アニメーション制作協力:SynergySP
CGアニメーション制作:SMDE
制作:小学館集英社プロダクション

©プロジェクト シンカリオン・JR-HECWK/超進化研究所・TBS
©Chiharu Sakazaki/JR東日本/DENTSU
©カラー

オフィシャルサイト

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