Interview

夢を持って未来を拓く。17歳のシンガーソングライター琴音がEP『明日へ』でメジャーデビュー

夢を持って未来を拓く。17歳のシンガーソングライター琴音がEP『明日へ』でメジャーデビュー

テレビのオーディション番組でグランプリを獲得し、昨年7月にインディーズレーベルより1stミニアルバム『願い』を発表したシンガーソングライターの琴音が、3月6日に1st EP『明日へ』でメジャーデビューする。「誰かの励ましや癒しになるような曲を作っていきたい」とまっすぐな瞳で語ってくれた彼女は、1月に17歳になったばかりだ。

取材・文 / 松浦靖恵 撮影 / 増田慶

自分自身への励ましや周りの人たちへの感謝の気持ちを共有していただけたら

テレビのオーディション番組でグランプリを獲得したことや、昨年7月にミニアルバム『願い』を発表したことで、琴音さんを取り巻く環境やご自身の心境に何か変化はありましたか?

テレビに出てからは地元の方たちから声をかけられることが増えましたし、「CDを買いました」と言ってくださる方たちにお会いすることも増えたので、自分がこれまで会ったことのない方、知り合いではない方に自分の音楽が届いているんだな、自分がまだ行ったことのない街まで自分の歌が届いているんだなという実感を持つことができました。『願い』を出すまでは、手売りをしたり、お世話になっている楽器屋さんや知り合いの地元のお店に置いてもらっていたので、大きなCDショップに自分の作品が置いてあったり、ポスターが貼ってあるのを見ると、うわ~すごいなって(笑)。

琴音さんの音楽活動をずっと見守って、手助けしてくれたご両親からは、どんな言葉をかけてもらいましたか?

「良かったね」って言ってくれました。『願い』を出す前の音源は紙のケースに入れていたので、プラスチックのケースにCDが入っていることが両親もとても嬉しかったみたいで(笑)。しかも、CDショップに貼ってある私のポスターを、お母さんが「私も見てみたい!」と言ったので一緒にお店まで行ったんですけど……私とポスターを一緒に入れて写真を撮りたいって突然言い出して(苦笑)。それはさすがに照れくさくて。あと、お母さん伝いに親戚の方もCDを買ってくれたことを聞いて。みんながこんなに応援してくれることが、とても嬉しかったです。

学校のお友達からはどんな反応がありましたか?

身近にいる友達は、なんだか大変なことになっちゃってると驚いているみたいだったので、私はいつも目の前にいたし、今も目の前にいるし、「何も変わってないよ」って言いました。ほかのクラスの子もいつのまにかCDを買ってくれたり、買ったことを私に報告しに来てくれたりして、クラス以外の同級生との繋がりも増えました。

メジャーデビュー作品となる『明日へ』には、「ここにいること」「戯言~ひとりごと~」「夢物語」「しののめ」の4曲が収録されました。「しののめ」以外は琴音さんが作詞作曲を手がけていますが、この3曲はいつ頃に作った楽曲ですか?

「ここにいること」はこの中では最新の曲で、去年の7月7日のライヴで初披露した曲です。私は中1からライヴをやっているんですけど、ライヴハウスまで連れていってくれたり、ライヴでピアノ伴奏をしてくれたりと、仕事をしながらお母さんがいつもサポートしてくれていたんです。それが、その7月のライヴ以降はプロのピアニストさんやギタリストさんが入ってくれる形になって、新しい体制に切り替わっていくタイミングだったので、精神的な面でもいろいろサポートをしてくれたお母さんへの感謝の想いがきっかけとなって書きました。

『願い』に収録されている「大切なあなたへ」も、お母さんに向けて書いた曲ですよね?

はい。「大切なあなたへ」は私が一番最初に書いた曲だったんですけど、今お話ししたように昨年7月からライヴもプロのミュージシャンと一緒だったりスタッフさんが手伝ってくれることになったんですけど、それまでは私ができないことを母に手伝ってもらっていたので、ここからまた頑張ろうという気持ちを「ここにいること」に込めました。こういうことを歌いたいと思いついたのはライヴの数週間前だったんですけど、どうしても言いたいことが言葉にうまくできないところがあって。この曲が完成したのは、7月7日のライヴが始まる数分前だったんです。

えっ、本番の数分前に完成したんですか!?

最後の言葉まで書き切れたのは、本当に数分前でした(苦笑)。お母さんにはバレないようにセットリストには違う曲名を書いて、ミュージシャンの方や音響さんにも「内緒にしてください」とお願いして。本番ではこっそり用意していた譜面台をステージに出して歌いました。この曲を通して、聴いてくれる皆さんが自分自身への励ましや周りの人たちへの感謝の気持ちを共有していただけたらと思っています。いろんな世代の方に聴いていただけたら嬉しいです。

琴音さんは歌詞を書くうえで、あまり厳しい口調や痛い言葉は使わないようにしているとのことですが、「戯言~ひとりごと~」の歌詞には、「麻痺した自分に突き刺さってく」「誰かの言葉に騙されたふりして」のようなフレーズや皮肉っぽい表現を書いていますね。

自分は根本的に根暗なところがあるので、温かくて優しいことって素敵だなと思っていても、同時に暗いこともたくさん考えるんです。私の曲を聴いた人が元気になったり、励ましや癒しになるような曲を作りたいという想いはずっと変わっていませんが、中高生の頃って自我が強くなってくる思春期のせいか、頭の中でいろんなことをぐるぐる考えていると、なんともいえない複雑な気分になってしまうことも多いじゃないですか。自分はそのぐるぐると頭の中で回っている想いを誰かに直接吐き出すのではなくて、言葉にして書き殴っていて。それが「戯言~ひとりごと~」の歌詞のもとになっています。

たとえその人がこの世にいなくなったとしても、誰かの支えや礎になっていく

「土に帰って/時代を超えて刻まれ残ってく」という表現にドキッとしました。

まだ歳も浅い子が考えていることは、月日が経ってみると、何を考えていたのかも忘れてしまったり、戯言のようにべつにたいしたことではなかったんだなって思うときがくるかもしれないけど、こうして自分が言葉にしたことで、あのときの自分はちゃんとこの中にいるんですよ。気持ちの動きを表現しているものって、音楽にかぎらず、絵画でも映画でも、作り手の感情や考えていることが表に出てくるし、そういうものを次の世代の人たちが受け取って、次の時代へと受け継がれていくんだろうなって思うので。時代を越えて刻まれて残っていくものは、たとえその人がこの世にいなくなったとしても、誰かの支えや礎になっていくんだろうと思って、この歌詞になりました。

「夢物語」は「さあ夢を歌おう」というフレーズがとても印象的でした。

「夢物語」はこの中で一番古くて、作曲をし始めてから、2〜3曲目に作った曲です。かなり初期というのもあるんですけど、当時は作ってみたものの、自分の思いどおりに作りきれなかったこともあって、封印しているようなところがあったんです。一生懸命作った曲であることは間違いないんですけど、納得しきれていない曲だったので、ライヴでもいつのまにか歌わなくなっていた曲でした。

そのように感じていた曲が、なぜ浮上したんですか?

これまで自分が作ってきたデモの中に入っていた曲だったので、この曲の存在を知っているスタッフさんから、「夢物語」を入れたらって提案されたんです。自分の中では封印していた曲でしたけど、『願い』を作ったときに、自分がギターと歌だけで作った曲たちが、いろんな楽器が入ってすごく華やかな雰囲気に変わったり、アレンジの力で素敵な曲になったことを実感していたので、「夢物語」もアレンジの力でどんな雰囲気になるんだろう、どんなふうに変わっていくんだろうなって、自分の中で興味が膨らみました。

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