Interview

「やっぱり舞台が好き」と語る岡田将生が、シェイクスピア舞台『ハムレット』に念願の初挑戦

「やっぱり舞台が好き」と語る岡田将生が、シェイクスピア舞台『ハムレット』に念願の初挑戦

シェイクスピア作品は演劇人にとって高き山であることは知っている。だからこそ、その頂に登ろうとする挑戦者には、拍手を送りたくなる。そしてここにまたひとり、その頂に挑む若き俳優がいる──岡田将生だ。
5月にBunkamuraシアターコクーンにて上演される『ハムレット』は、新進気鋭の英国の演出家・サイモン・ゴドウィンを迎え、2019年ならではの趣向を凝らした復讐劇になるはずだ。
まさに今、この頂に挑むにふさわしい機の熟した俳優・岡田将生が語るシェイクスピアの魅力とは。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 冨田望

シェイクスピアの世界観はシェイクスピア作品だからこそ成立する

まずご自身の念願が叶い、ついにシェイクスピア作品にご出演されますね。率直なお気持ちを聞かせてください。

本当に楽しみです。シェイクスピア作品に出演したいという話は以前からしていたのですが、いざ現実になると恐怖感もあって(笑)。初舞台の『皆既食~Total Eclipse~』(14)の演出家・蜷川幸雄(故人)さんに、「シェイクスピアの舞台にいつか出て欲しい」とおっしゃっていただいてから、ずっと出演したいと思っていました。

シェイクスピアの魅力はどんなところにあると思いますか。

シェイクスピアの世界観はシェイクスピア作品だからこそ成立するところですね。シェイクスピアの作品はかなりの体力が必要ですし、精神面も強くないと演じることはできないと思います。相当な覚悟がいるとわかっていたから、20代はシェイクスピア作品に出演するためになんでも努力して経験をしながら、30歳になる前にその運命に恵まれました。先日も、松坂桃李さんが主演をされている『ヘンリー五世』を観劇して、改めて体力がいるお芝居だと思いました。なによりシェイクスピアのお話自体が面白いんです。『ハムレット』は復讐劇なので、お話もわかりやすく、僕と同じ世代の方にも観ていただきたいですし、若い方々にもシェイクスピア演劇に触れていただきたいです。生のお芝居の空間で時間を忘れて楽しんでもらえるように頑張りたいです。

主人公のハムレットの印象はいかがですか。

父親の復讐を果たそうとするといっても、普通に生きている日常ではできないことですよね。ただ、そういう気持ちは誰しもあって、原作を読むと自分の中に隠されている復讐心に気づくんです。だから、ハムレットには共感できるけれど、共感しすぎてはいけないと思ってもいて。ただ、お芝居に集中してしまえば、どうしても復讐心に身を寄せてしまう瞬間があるはずなので、ハムレットと真摯に向き合いながら、自分自身でコントロールしていく必要があると思います。復讐心に酔うところはしっかり酔うといったメリハリも大切だと思うので、演出のサイモンさんととことん話していきたいです。狂気に陥ってしまったハムレットはどうするのか、いろいろとお芝居の方法があると思います。たとえば、ハムレットは独白が多いので、観劇される方を飽きさせないように、彼の感情から生まれる言葉が的確にわかるようにしたいです。

演出のサイモン・ゴドウィンさんとワークショップをされたそうですね。

感情や体の使い方、人と人との会話のキャッチボールが楽しかったです。サイモンさんが「今の感情を食べ物で言ってください」とおっしゃったんですけど、僕はこれまでワークショップに参加したことがなく、緊張しすぎて「2時間ぐらい手がつけられていない500グラムのステーキです」と摩訶不思議な答えを(笑)。とにかく刺激になりましたし、サイモンさんの人柄もよくわかって貴重な経験になりました。サイモンさんは基本的に相手を褒めてくださるし、懐が深くて、信頼できる方です。『ハムレット』に関してもお話しして「君にハムレットは似合うはずだよ」とおっしゃっていただけて自信になりました。サイモンさんは僕が出演した『ニンゲン御破算』(18)をご覧になってくださり、面白かったと感想をいただけて感激しましたし、稽古に入るのが待ち遠しくなりました。

苦悩や葛藤で苦しんでいる人の姿や人間関係が魅力的に描かれている

戯曲を読まれた感想を聞かせてください。

苦悩を抱いたり、葛藤で苦しんでいる人の姿や人間関係が魅力的に描かれています。しかも父親を殺されたハムレットの復讐が物語になっているからこそ、思わず感情移入して彼の味方になれる。やはり、ハムレットが腹を括って、復讐への一本道を歩いていく姿がカッコいいです。だからこそ挑戦してみたい役ですし、演じてみるとまた違う自分を発見できると思います。

現在、どの国でもシェイクスピア作品は上演されますが、400年以上シェイクスピアが愛されている理由をお感じになりますか。

何百年も愛されているのは非日常的な時間を味わえるからだと思います。演じる側としても、シェイクスピアの世界にいることが楽しいですし、たとえば『ヘンリー五世』でも戦争で戦っている人たちの姿は悲しいけれど、今の時代ではなかなか体験できないことで、だからこそ味わえるお芝居の醍醐味があると思います。今作でも、シェイクスピア独特の難解な言葉がありますが、難しいからこそ、わかりやすく演じて、難しさに逃げないお芝居をしたいです。

岡田さんがおっしゃったように、本作ではハムレットの苦悩や葛藤が描かれていますが、役者として葛藤したり苦悩されたときはどのように乗り越えてこられましたか。

僕の場合は運がいいことに、悩んでいるタイミングで背中を押してくれる人が現れたり、そういう作品に巡り合ってきて。悩んでいても知らぬ間に解消されることがあるのでびっくりします。同世代の役者でいえば、松坂桃李さんは、苦しんでいるときにかぎってお会いすることが多くて、僕の悩みをいつも優しく包んでくれるので、桃李さんとの時間は大切ですし、ありがたいです。

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