Interview

麻生久美子&中村倫也、ネガティブ・ポジティブコンビがクラッシャーを果敢に演じる。根本宗子の新作舞台『クラッシャー女中』まもなく上演!

麻生久美子&中村倫也、ネガティブ・ポジティブコンビがクラッシャーを果敢に演じる。根本宗子の新作舞台『クラッシャー女中』まもなく上演!

根本宗子による書き下ろし新作『クラッシャー女中』が、3月22日(金)より本多劇場にて上演される。今、演劇界で一番ホットな劇作・演出家の根本による新作に期待が高まるが、キャスト陣も麻生久美子、中村倫也、趣里、佐藤真弓、根本宗子、田村健太郎、西田尚美と豪華な顔ぶれ。
その中で、とある金持ちの家に女中として忍び込み、サークルクラッシャーぶりを発揮するゆみ子を演じる麻生久美子と、その金持ちの息子で、底知れぬ欲望の持ち主の義則を演じる中村倫也にインタビュー。実は性格が正反対だというふたり。さあ、どんなクラッシャーに豹変しようとしているのか、とくとご覧あれ。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 冨田望


根本イズムやポップさや可愛らしさに溢れている脚本

脚本を読んだのですが、面白くて笑ってしまうところもあれば、少しダークな部分もあって、人間について深く考えさせられる内容でした。脚本を読んだ感想はいかがですか。

麻生久美子 とてもめまぐるしい展開を見せる脚本です。なにより根本さんの書く台詞が面白いです。

中村倫也 そうですね。すごいのは根本さんの切り口や着眼点を運んでいく言葉のセンス。人が醸し出す滑稽さが物語の構成にないまぜになっているので、第一印象は「なんだこれ!」という驚きに満ちていて。ただ、稽古に入って、やっと輪郭が見えてきましたね。根本イズムやポップさや可愛らしさに溢れかえっています。そんな要素で満ちているせいか、稽古場は実験室みたいになっていますよ(笑)。きっと、演劇に初めて触れる方も、お芝居をよくご存知の方も満足していただけると思います。

麻生久美子

根本さんの面白さはどこにありますか。

麻生 今作は、根本さんそのもののような気がするんです。筆に勢いがあって文字からそれが溢れ出ている。私はそれに飲まれてしまって(笑)。読み物としては最高に面白いけれど、私が演じるときに果たしてこれと同じパワーを表現できるのか……。

中村 僕が言うのもアレですが、麻生さん、たぶん自分が思っているよりできていますよ。

麻生 そんな優しい言葉……なんて良い人ですか!(笑)

中村 稽古をご一緒して、麻生さんが自己評価の低い方だと最近わかってきました(笑)。

麻生 たしかにそう思う。私、ネガティブなほうです(笑)。

中村 あはは。今回は、お芝居だけで見せたり伝える演目ではないので、表現する身としては大変だけれど、これが成立できたらワクワクするでしょうね。もちろん、まだ本番前で、75パーセントぐらい不安がありますが、それを超えればきっと楽しくなると思います。

麻生 中村さんはポジティブですね(笑)。

中村倫也

(笑)テーマやモチーフを何か感じたりしますか。

麻生 今作をあえて言うとすると、“愛”かな。

中村 もちろんそういった大きな枠を掴めないと台詞は入らないし、動きだってつくれないのでいっぱい考えるんですけど、今、稽古が始まってだんだんと、おぼろげながらテーマとか輪郭が見えてきた気がします。

麻生さんと目を合わせてお芝居ができることが嬉しい

麻生さんはゆみ子、中村さんは義則を演じます。それぞれどのように演じていきますか。

麻生 稽古場では自分の思ったように演じているのですが、このあと、根本さんがどのような味付けをしてくれるか期待しています。とはいえお芝居は、腑に落ちるところもあるけれど、どういう態度をとっていいのかわからないところもあって。まだ台詞に追われすぎて、役づくりには至っていないかも(苦笑)。

中村 僕はこんなに可愛らしい、ゆみ子という役を演じている麻生さんと目を合わせてお芝居ができることが嬉しいと思いながら演じています。

麻生 またー、そんなこと絶対に思ってないでしょ(笑)。

中村 そんなことないですよ(笑)。女性も胸がキュンとくる麻生さんが誕生しますから。僕の場合は、“中村倫也”を総動員させて演じたいですね。義則はいろいろなことがあって、一緒にいる他者によって見せる顔が変わるキャラクターです。共演者との役の関係性を描くことが大切なので、キャストの人数だけ演じ方を変えていきたいですね。

ここまでの稽古の手応えはいかがですか。

麻生 いっぱいいっぱいです。台詞が多すぎるシーンもあるから、今までにない経験なのでどうしようって(笑)。

中村 大丈夫ですよ、きっと。今作は美術もアイデア次第で面白くなると思っているので、キャスト・スタッフみんなで、一緒に完成度を高めていきたいですね。

素朴な疑問なのですが、稽古の間のスタンスやモチベーションは役者の方はどのように維持しているのですか。

中村 家に帰って脚本を読み返しているときに、「明日これやってみようかな」と浮かんだときは稽古が待ち遠しくなりますね。やはりモノづくりが好きですし、舞台はみんなのいろいろな反応で生まれますから、そんな環境はほかの現場ではなかなか味わえない贅沢なものなので、稽古場では日々それを味わっています。

麻生 「絶対に幕が開くから」と祈りながら、先輩の言葉にすがっている毎日で、「自分はできる」と言い聞かせて稽古に臨んでいます。

今作ではどのように役づくりをされていくのですか?

中村 まだ稽古は序盤で、手がかりが少ないのですが、僕はいつも貸すような感じで作っていますね。

麻生 役に体を貸すということ?

中村 そうです。役を演じているときは冷静に自分を俯瞰している僕がいます。そうすれば客席から見た画も想像しながら、適切な動きができると思うので。

麻生 私も中村さんに近いかも。

では、根本さんの演出はいかがですか。

麻生 根本さんは丁寧で気を遣ってくださって、優しい人柄だと思います。私が質問をするといろいろ教えてくださるので、疑問に思ったことは聞くようにしたいです。私はどちらかというと、お芝居に関しては演出家や監督に質問をしないほうなので、今作はこちらから積極的に聞いていきたいと思っています。

中村 根本さんにはしっかりと伝えたいイメージがあると思うんです。ただ、最初から僕らに伝えてしまうと、根本さんの言われたとおりにお芝居をするようになってしまうから、今は役者を泳がせて、役者自身がどんなアプローチをしていくのかを見ている状態だと思います。根本さんは脚本を書いて、愛を持ってディレクションをして、おまけに出演もされるからお忙しいだろうし、とにかく根本さんの生態が気になります(笑)。普段はおとなしくてシャイだけど、役者として板の上に立つと、別の人格になるので。

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