Interview

THE ORAL CIGARETTESが「ワガママで誤魔化さないで」で見せた、バンドの新たな可能性とは?

THE ORAL CIGARETTESが「ワガママで誤魔化さないで」で見せた、バンドの新たな可能性とは?

TVアニメ『revisions リヴィジョンズ』のオープニングテーマ「ワガママで誤魔化さないで」をリリースするTHE ORAL CIGARETTES。官能的な歌詞とメロディに加え、重厚なホーンを取り入れるなど、大胆かつ新たな挑戦を感じさせる楽曲に仕上がっている。昨年9月から全国ツアーを行い、アリーナツアーのファイナル、横浜アリーナ公演を控えた彼らに話を聞いた。

取材・文 / 岡本明

「主人公の心の中にフォーカスを当てて欲しい」と

今回の「ワガママで誤魔化さないで」は『revisions リヴィジョンズ』のオープニングテーマですけど、そこが楽曲制作のスタートだったんですか?

山中拓也 いえ、サウンド自体は軽くふわっと、もともとあったものなんですけど。『revisions リヴィジョンズ』の世界観とサウンド的に合っているなと思ったので、そこから歌詞を書き直して進めました。

どのあたりがアニメに合うなと思いました?

山中 サウンドの雰囲気もそうでしたし、アニメの世界観……『revisions リヴィジョンズ』も渋谷という街を舞台に話が進んでいくんですけど、もともと東京っていう街の孤独を「ワガママで誤魔化さないで」って歌っていたので、アニメの主人公の孤独っていうところともちょうど合ったので。

そういう接点を見つけてからは具体的に進めることができて?

山中 すごくスムーズにできました。あと、アニメの制作側から「こういう場面で流れる」とか「こういう空気感を作りたい」と、丁寧に物語の説明をいただいたので、途中からは『revisions リヴィジョンズ』と一緒に作っていった感じですね。

例えば、どういう話が出たんですか?

山中 「主人公の心の中にフォーカスを当てて欲しい」と言われて。渋谷という街にモンスターが現れる、でも、そのモンスターとの戦いがメインのアニメではなくて、その中で沸き起こる友情とか仲間内で主人公が感じる心境にフォーカスを当てていくものになるので、バトルがどうこうとかで曲を進めるんじゃなくて、孤独とか感情というものにフォーカスを当ててくださいと言われました。だから、書きやすかったし、書き直す際にはそこをポイントに詰めていきました。

そのほうが書きやすいですか?

山中 人間の感情を書いてきた歌詞がオーラルには多いし、自分自身と戦って楽曲を書くということが多かったから。自分が主人公の心境だったらこうだろうなとか、主人公のこういう心境は共感できるとか、自分にも当てはまる部分はいっぱいあったので、書きやすかったですね。

ただ、アニメの設定のような極限状況で、仲間との連帯とか孤独を描くのは難しいですよね。日常にはないことですから。

山中 でも、意外とあったりするんですよ。仲間との間に起こる孤独もあるし。極限状態っていえば、曲を作っているときは、ほぼ極限状態だったりもするので(笑)。そういうときに自分が思うこと、感じること、仲間に対しての感謝だとか、そういうところは似てますよね。

アニメのストーリーに沿って聴き方を変えられるよう、よりわかりやすく開けた音楽に

ほかにはどんな依頼がありました?

山中 サウンド的には「まったく問題ないです」って言われて。でも、プラスアルファで何に一番重きを置いたかというと、もっとポップなものにしたいというところが自分としてはすごく強くて。あまり開けていないサウンドになってしまうと、主人公が最終的に何を切り拓いていったのかを表現できない。何より、アニメのストーリーに沿って聴き方を変えられないと思ったんです。もともとのサウンドだと、最初は音に合っているけど、話が進んで主人公の気持ちが開いていくにつれて、曲の感じがだんだん合わなくなっていく気がして。そこで、もっとポップに、よりわかりやすく開けた音楽に挑戦してみようと。オーラルの曲はどちらかというと黒いイメージがあるので、そこにプラスアルファ、何か開ける要素を入れたかったんですよね。しかもそれに挑戦することによって新しいオーラルを切り拓ける可能性を感じたので、今回はそこをフォーカスしました。

かなり音が詰まっていますよね?

山中 今まで入れてないような音をいっぱい入れてます。むしろ、それで開けた感じですかね。いろんな音を詰め込むというよりも、そのいろんな音でどうやってサウンドに立体感を出すかというところで、音域までこだわりました。ハモリとかコーラスもですけど、そういったことで生まれる立体感がポップに繋がっていくことをレコーディング中に気づけたので。

メロディがすごくキャッチーですけど、そこに音の奥行きが加わり、広がりが生まれた?

山中 それもただ重ねればいいというものじゃないんです。平面上に歌、ギター、ホーンという感じで並べてもまったく立体的にはならないし、ポップにもならない。でも、ここに歌があって、その裏にホーンがあって、といった構造をしっかり考えて、耳に聴こえる音が立体感を帯びれば、ポップに聴こえてくるということですかね。

自分たちで新しい可能性、ジャンルレスな部分を切り拓いていかないと

今の話にもありましたけれど、ホーンが結構入っていて。これは最初からあったアイデアなんですか?

山中 入れたいなとは思っていました。少し悩んではいたんですけど、詰め込んでみました。

あきらかにあきら この曲はメロが強いし、言葉も強いと思っていて。よりみんなに聴こえやすいサウンドにしようと思ったし、しっかり自分たちがポップに振り切ったという実感もありますね。それでいて、バンドらしさは確実に残るものなんだって気づけた作品でもあります。バンドがひとつステージが上がった今、このタイミングでこういう取り組みができたのも良かったです。

実際のアニメの映像と一緒になってみての感想はいかがですか?

あきら すごく合ってると思ったし、アニメ制作側の愛を感じましたね。オープニングのサビ頭でキャラがみんなで歌ってくれるんです。歌詞に合わせてコンクリートの上を一緒に歩いてる姿に感動しました(笑)。

中西雅哉 この曲、拓也と一緒に作っているときに「イントロをドラムでいきたい」っていう話が出てきて。ホーンを入れたりといった新しい刺激というか、音に対しての探求心的な部分でアイデアも出てきましたし、作品として次のステップを見据えた可能性に挑戦しようとしていると思いました。最初は、ホーンもアクセントぐらいで入れるイメージかと思っていたので、わりとガッツリ出していきたいというのに驚きましたけど、そこで、今までのオーラルのサウンドの枠にとらわれたらアカンなと思ったし、自分たちで新しい可能性、ジャンルレスな部分を切り拓いていかないとって、考えさせられました。

実際、アニメの映像と一緒になった感想は?

中西 アニメ、結構好きなんですよね。今までもいろいろ観てきましたけど、たとえば戦闘シーンがかっこいいとか、そういうところを憧れの目線で観てたんです。でも、オープニングでこの曲を聴いてアニメを観ると、自然に主人公目線で、人とのやりとりとかまで無意識に気にしてて。だから、今まで観てきたバトルアニメとは見え方が違って。って、思い返すと、昔に観ていたアニメも作者はそういうところを描いていたんだろうと思うんですけどね(苦笑)、僕は今回それに気づいたので、『revisions リヴィジョンズ』を観ている人も気づかされるきっかけになるといいなと思います。

アニメにはオープニングテーマの意味がちゃんとあるというか。

中西 そうなんです、そこからもうアニメが始まっているんです。

鈴木重伸 この曲は、拓也も言った“立体感”というのが大きいです。以前のオーラルだと、ギターで色付けしてましたけど、それ以外の音を思いっきり表に出したのが、この曲ですね。ギター1本だけでカバーできる音域に限界があるというのはわかっていたので、これまでもそこは葛藤だったんですけど、頑張ればなんとかできるんじゃないかと思っていたんです。だけど、声、ドラムを含めて、その楽器にはその楽器の役割があるなと考え方が変わってきたタイミングでもあって。昔だったらすぐ、隙間をギターで埋めなきゃとか、そういうことばっかり考えてましたけど、それがポップさから遠ざかってしまう原因にもなっているのかなと思えたし、自分の中で考えをまとめられて、向き合えたかなと思います。

アニメのオープニングとして流れてみて、いかがですか?

鈴木 僕も普通に見入ってました。自分たちの楽曲だと、また見方が変わるというか。アニメ大好きなのでいろいろ観るんですけど、正直、オープニングは飛ばしがちだったので (笑)。でも、オープニングも大切なんだなって自分たちの曲で再認識しました。

一曲の中の“波”が何より大切だと思う

それありきで話が始まりますからね。ギターも緻密ですね? 特にこの曲でのこだわりというと?

鈴木 そこは性格ですかね、そんなのばかりやってきたので(笑)。サビは苦労しました。ロングトーンのフレーズを弾いて、コードの音に寄り添った形で作ったんですけど。それまではコードであろうが歌であろうが、かまわず自分の思うフレーズを入れていたんです。でも、せっかくおいしいコードを持ってきているから、それに寄り添ったほうが聴こえ方も変わるなって。やっぱり、そういうふうに思えるタイミングだったのかもしれません。

今まで以上にじっくり作れました?

鈴木 じっくりというより、僕は焦りが強かったですね。それまでの自分の引き出しに、コードについてそこまで深く考えることがなかったので。けど毎回、曲を出してくれるタイミングで新しいものに挑戦できる機会があるのはいいことですね。

ドラムで特にこだわった点というと?

中西 イントロが一番難しかったです。オールインで(楽器が全部入って)バン!と始まると、いろんな音との相性があって叩くときにイメージしやすいんですけど、今回はイントロがドラムだけで、寄り添うものがそこにはない。そのあとに出てくる要素をイメージしないといけないので、結構考えました。もっといっぱい叩いたほうがいいかなとも思ったんですけど、「このほうがいい」と拓也に言われて。何も言われなかったら不安で、音数を増やしたと思うんですよね。

逆算の発想ですね、あとから入る音をイメージしてドラムをシンプルにスタートさせるほうが効果的というか?

山中 もちろん、あとからたくさん音が入ってくるイメージだったので、最初からゴチャゴチャしているより、そちらのほうがいいと思いました。よりシンプルに始まったほうが、メロデイも入ってきやすいし。一曲の中の“波”が何より大切だと思うので、そこは最初からイメージできていました。

歌に関してのこだわりは?

山中 毎回、曲によって歌い方を変えているんですけど。この曲に関しては、歌にこだわったというより、いろんなところのコーラスとか、僕の歌の部分じゃないところ、“フーフー”って言っているところをどう重ねていけばいいのかと、そっちにこだわりました。Aメロは1番と2番で全然雰囲気が違うので、自分の頭の中にある景色とどうリンクさせようかというのは考えました。

そこも細かいですね。

山中 映像が頭の中で見えていたので、そんなに苦労はしませんでしたけど。

ベースのこだわりは、どういったところですか?

あきら ベースは雅哉と一緒で、拓也が言ったように全体の波にちゃんと寄り添うというところで、しいて言うなら、Aメロにギターがいなくて、いつもならシゲがギターで彩りを担当していた部分を、今回はベースでやるんだろうなと思ってフレーズを吟味しました。その中で、ボーカルと当たらないよう、邪魔しないようにフレーズを組み立てる難しさを改めて感じましたね。今まで、ベースって下(低音域)を支えていれば良かったから、フレーズを意識することってあまりなくて。けど、それがハマッたときの気持ち良さを感じました。

歌メロの間を縫うようなフレーズを作り出さないといけないし?

あきら かつリズムも大事だし、音色も考えて。そこはすごくこだわりました。

あそこはインパクトありますね。

あきら しかも、テレビサイズって1番が使われるじゃないですか。みんなが聴くんだって思うと緊張しました(笑)。

今回はいろんな点で新しいことづくめですね。制作過程から、メンバーみなさんの個々のプレイに至るまで。

山中 そうなんですけど、ポップなことをしていくと、新しくなるっていうのが変だなって。ポップにすることが新しい挑戦になることが面白いなって思いました。

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