Interview

『とある』から繋いだ歴史。あの『学園黙示録 H.O.T.D』を継ぐ新曲も…黒崎真音、渾身の2作連続リリースを語りつくす!

『とある』から繋いだ歴史。あの『学園黙示録 H.O.T.D』を継ぐ新曲も…黒崎真音、渾身の2作連続リリースを語りつくす!

3月6日にTVアニメ『とある魔術の禁書目録 Ⅲ』のOPテーマ「ROAR」、そして3月13日に『グリザイア:ファントムトリガーTHE ANIMATION』OPテーマ「幻想の輪舞」を2週連続でリリースする黒崎真音。

『とある魔術の禁書目録』では第2期のEDテーマ「Magic∞world」「メモリーズ・ラスト」、第3期前期OPテーマ「Gravitation」に続いて主題歌を担当。そして『グリザイア』シリーズでは、『グリザイアの果実』OPテーマ「楽園の翼」、『グリザイアの楽園』OPテーマ「刹那の果実」を担当と、どちらのシリーズにも深くかかわってきた彼女に、カップリング含めて非常に濃い作品に仕上がった2枚のシングルについて、たっぷり語ってもらった。

取材・文 / 塚越淳一

『とある』から繋いだ歴史がなかったら生まれなかった歌詞

TVアニメ『とある魔術の禁書目録Ⅲ』のOPテーマを引き続き担当することになりましたが、これまでとは雰囲気が違う楽曲ですね?

黒崎真音 第3期の後半でロシア編に突入すると雰囲気も変わるので、それに合ったOPテーマを、ということだったんです。これまでの『とある』のOP/EDを全部聴いてみても、こういう曲調はなかったんじゃないかな?と思います。

曲が届いたときも、そんな印象をもった?

黒崎 はい。「こう来たか!」という意外な感じもしましたし、Aメロのギターもメタルっぽい動きをしているので、ハジけたロックテイストの曲だなと思いました。サビはスピード感もあって、黒崎真音としては好きな、やりやすい曲調だったんです。なので歌詞を書くうえでも「黒崎真音として何ができるか」を模索することができる、いい曲を与えていただいたなと。

前作の「Gravitation」は、それまでシリーズのOPテーマを担当していた川田まみさんが作詞をしていて、継承という裏テーマがあったと聞いていますが、『とある』らしさは継承できましたか?

黒崎 曲を聴いたとき『とある』のキャラクターたちが戦っている姿が見えたんです。『とある』って、自分がボロボロになっても守りたい人のために戦うし、時には自分自身とも戦い、そこでもがき苦しんだりする。そんな彼らを見ていて、すごく戦いに正直だなと思ったんです。それがカッコ良くて強い部分だと思ったので、それが曲になればいいなというイメージで書き始めました。

でも、1コーラスまで書いたところで一瞬不安になり(笑)、まみさんに相談したんです。「『とある』っぽさ、出てますか?」って。そしたら「全然出てるよ!いいじゃん!」と言ってくださって……。そうやって、まみさんに背中を押していただいて、書いていったんですけど、とにかく一途な思いだったり、世界を変えていく力、前に向かう力が『とある』にはあるので、それを曲に込めました。

タイトルの「ROAR」というのも、戦っている感じが出てますね。

黒崎 「ROAR」には雄叫びという意味があるんですけど、それぞれでぶつかり合って、休息できることがないのがロシア編だと思うので、その怒りだったり、すべてを力にして前に進め!という強いメッセージを込めて、このタイトルにしました。

『とある』のキャラは、いつも叫んでいる印象もありますからね(笑)。

黒崎 声優さんたちの喉が心配になりますよね!毎週叫んでるんじゃないかというくらいの戦いを見せてくれてて、それに背中を押されて、強い風がビュッと吹くイメージをもらえたので、ジャケットでも追い風が吹いているような写真にしたんです。この曲で風を感じてほしいなって。

“選んでここに来たからDon’t think.just feel”という歌詞も、グッと来ました。

黒崎 先程の風の話もそうですが、いろんな方向に風が向く瞬間があると思うんです。時には後ろ向きになることだってあるけど、そこに辿り着くまでに選ぶのも自分だし、選ばなかったことも自分なんですよね。それに責任を持つではないけど、誇りを持つということを諦めないでほしいなと思ったんです。その気持ちから“進もう 心のままに”に繋げているんです。

ここは『とある』という作品を越えたメッセージにもなりますよね。

黒崎 自分自身が去年1年で感じたこととリンクするところはあります。ここまでやりたかったけど、そこまで行けなかったなって自己評価が低くなることがあるんです。でも、いいこともたくさんあったよなと。そうやって思考を変えるだけで前向きになれることってあるんですよね。

例えば悔しい思いをしたとしても、「ムカつく!!」って言葉に変えて進んでいけるんじゃないかと思うんです。ふてくされて落ち込むよりは、それをガソリンにしてエンジン全開でいくこともできるんじゃないの?みたいな(笑)。何でも力にしていけると思ったので、それは『とある』の彼らにもリンクするところはあるんだろうなって。

たしかに。上条当麻とかは、不幸だとか言ってても、前にしか向かわないですからね。

黒崎 当麻がどこかで諦めたら物語が終わってしまうし、諦めないからいろんな人と出会ったり、ロシアに行ったり、いろんなことが起こる。そういうことは教えられている気がしますよね。

曲調もありますが、「Gravitation」は抑揚を抑えめで歌っていたと思いますが、今回はわりと出力全開な印象がありました。

黒崎 今回は自由に歌わせてもらいました。自分の好きな曲調とばっちりリンクしていたこともあり、自分らしくやっちゃっていいんだろうなと思ったので。でもこの曲は結構忙しくて、疾走感があるから迷っていると置いてかれてしまうんですよ。なので、自分の中にある“ROAR”を燃やし続けていないと、あっという間にリズムが狂うので、そういう意味では集中力が必要な曲でした。

ライブで歌ったら、絶対にカッコいい曲ですよね。

黒崎 シャウトから始まりますしね。デモで聴いたときから、ここが勝負だと思ったので、何度もチャレンジさせてもらって、汗だくになりながら録ってましたね。まだライブで歌ったことがないからわからないけど、絶対に盛り上がる曲になると思うので、燃えたぎらせながら歌える日を楽しみにしています(笑)。

作曲の中沢伴行さんからは、何か言われたりするのですか?

黒崎 Aメロの刻みがカッチリしているので、音のはめ方について話したりしました。クリックに合わせつつ、激しさを保ちながら、はっきり発音するみたいな感じで、意外と難しいところはありました。でも中沢さん的に、「Gravitation」は川田さんのイメージを引き継いでいた曲だとしたら、この曲は『とある』と黒崎真音の曲、というのを意識して作ってくださったのかなと思ったんです。なのでディレクションもそんなになくて。

それは聴いててもすごく感じました。歌詞の物語性以外に、先程の継承というところでの物語性もあるんですよね。それがエモかったんです(笑)。

黒崎 プレッシャーはありましたけどね。まみさんの後というのはドキドキしますし、ずっとまみさんの背中を追い続けているような感じなので、『とある』ファンの方が認めてくださるのか?みたいな。まみさんは『とある』の一部みたいに感じているから、そういう意味でも、受け取ったものを落とし込みたいと思いました。

でも、「Gravitation」の歌詞をまみさんからいただいたとき、「『とある』以外に、黒崎真音に対しても送りたいメッセージを込めたんだよ」と言ってくれたことがすごくうれしくて、その瞬間に「Gravitation」が自分の曲になった感じがしたんです。それから何度も歌詞を読んでいくと、ウジウジ悩んでいる私を、まみさんは迷わずに行け!と背中を叩いてくれているように感じたので、“一途に迷え Go my way!”はそれに対するアンサーというか。まみさんからもらった言葉への、私なりの叫びというか。まさに『とある』から繋いだ歴史がなかったら生まれなかった歌詞だと思うので、すごくいろんな意味での叫びが詰まった曲になったと思います。

アニメのOP映像もすごくカッコ良かったですよね!

黒崎 もうカッコ良すぎて、鳥肌が立ちました!うれしい気持ちでいっぱいで、この仕事ができて良かったと純粋に思いました。サビのところで戦っているシーンがあるんですけど、まさに歌詞を書いているときにこういうシーンをイメージしていたので、アニメーションの力ってすごい!と思いました。「私の『ROAR』、『とある』にバッチリ合ってる!」って(笑)。映像とのリンクがすごいと言ってくれているコメントなどを見て、「よっしゃ!」ってなってました。

そしてカップリングの「To My Dear…」ですが、これは失恋ソングではあるけど、聴き終わったあとにすっきりするというか。前へ向ける感じがすごく良かったです。

黒崎 今回の4曲の中では、唯一タイアップがない曲だったので、好きにやっていいよと言ってもらったんです。で、私、ゲームやアニメや舞台とか、作品を見ることが本当に大好きで、自分以外の人生を歩めるのが面白いと思うんですけど、結構作品に入り込んじゃうこともあるんです。それで最近、すごくいい作品との出会いがあって、そこでもらった気持ちを歌詞にしました。別れなんだけど、温かい気持ちで恋を締めくくろうみたいな。「ROAR」もそうだけど、何でも力にしていけるという意味も込めて、悲しいだけではなく、良かったなという気持ちで次に進むみたいなイメージで書いた曲です。

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