冒険Bリーグ  vol. 15

Column

渋谷のセクシー大学生、盛實海翔。魅せるプレーを武器にBリーグを冒険中

渋谷のセクシー大学生、盛實海翔。魅せるプレーを武器にBリーグを冒険中

『冒険Bリーグ』第15回は、サンロッカーズ渋谷(以下、渋谷)の盛實海翔(もりざね・かいと)が主人公だ。彼は専修大学の現役学生(3年生)だが、特別指定選手としてB1を冒険中。「セクシー」の愛称で親しまれる逸材は、プロの舞台でも想像以上のパフォーマンスを見せている。売りは3ポイントシュートと魅せるプレーだ。

盛實の特別指定選手契約が発表されたのは、昨年12月25日。11月の『全日本大学バスケットボール選手権(インカレ)』では専修大の準優勝に貢献し、彼自身も3ポイント王とアシスト王にも輝いている。世代を代表する有望選手だ。

彼は現役大学生のまま、いきなりプロレベルの活躍を見せている。1月10日の天皇杯準々決勝では、5分弱の出場ながら栃木ブレックスを相手に見事な3ポイントシュートを沈めてみせた。リーグ戦でも徐々にプレータイムを増やし、気付くと欠かせない渋谷の戦力になっている。

3月8日のアルビレックス新潟BB戦は、2日前までユニバーシアード代表の合宿に参加していて、ぶっつけ本番に近い状態だった。それでも第2クォーターの途中でコートに入ると、3ポイントシュートを立て続けに成功。第2クォーター残り5分58秒に決めた3ポイントは、相手のファウルを受けながら決めるビッグショットで、直後のフリースローも成功したため「4点プレー」となった。最終的には17分44秒のプレータイムで13得点を挙げ、チームの連敗を止める立役者となった。

伊佐勉ヘッドコーチは盛實の起用をこう説明する。
「アウトサイドシュートが入っていたものですから、彼がコートにいるとスペースを空けられると思って、(予定より)もうちょっと使った感じです」

大学とプロは当然レベルが違う。プレーの強度があり、2メートルを超す大型選手が「上」からシュートコースを消しに来る対応もある。しかし盛實はここまでの13試合で、3ポイントシュートを42.9パーセントの高確率で決めている。

9日の試合も連勝に貢献した。第3クォーターの最後には、203センチのダバンテ・ガードナーの上から3ポイントのブザービーターを沈めている。彼は「記録」も見事だが、とにかく印象的なシチュエーションでよく決める。

【サンロッカーズ渋谷|オフィシャルTwitter】

盛實は186センチ・79キロで、左利きのシューティングガードだ。比江島慎(栃木ブレックス)や折茂武彦(レバンガ北海道)と同じスタイル、同じポジションだ。折茂は彼と同じ埼玉県上尾市出身で、逸材の父と折茂は同世代らしい。

盛實は単なるシューターでなくボールを運ぶ、操るプレーも長けている。巧みなステップ、重心移動でズレを作り、意外性のあるパスを出す――。それこそは彼の楽しさで、「セクシー」と称される理由でもある。

魅せるプレーへのこだわりを、彼はこう述べる。
「自分の中で楽しむことを第一にしている。大学でもそうですが、たくさん観に来てくださる方がいる中で、そういう人たちに楽しんでもらえるようなプレーを見せたい」

「セクシー」の名付け親は大学スポーツ動画メディア『CSPark』だ。昨年末の天皇杯ではそれを知るコメンタリー陣が‟モリザネセクシー“で盛り上がり、さらにBリーグのオフィシャルがその動画をSNSへ拡散して、その愛称は全国のバスケファンに浸透した。

強心臓のメンタルも彼の強みだ。緊張はあまりしないと口にするので「今までで一番緊張した試合は?」と意地悪な質問をぶつけてみたら、それまで滑らかだったのトークが止まった。そのまま「えー、いつだろうな……」と考え込んでしまった。どんなに思い出そうとしても「緊張した試合」を思い出せないらしい。

伊佐HCはそんな盛實を絶賛する。
「彼がボールを持つと何が起こるか分からない素晴らしい選手です。すぐにでも契約したい」

シュートに並ぶ盛實の強みであるパスは、まだミスも目立つ。しかしそれも伸びしろで、伊佐HCはこう分析する。

「大学では通っているだろう(危険な)パスを、簡単にしてしまっている。プロは研究されるし、そこでスティールされたり、触られてディフレクションされたりするところがある。でも自分のマークマン、相手のビッグマンとの駆け引きを覚えたらすごい選手になると思います」

一昨年は馬場雄大(アルバルク東京)が筑波大に在学したまま、4年秋からプロに合流した。岡田侑大(シーホース三河)は、拓殖大を2年で中退してプロ入りを選択している。周囲の関心はセクシー大学生のプロ入り時期だが、逸材はこう答えてくれた。

「必要としてくれるのはすごくうれしい。単位は今のところ大丈夫です」

取材・文 / 大島和人 写真提供 / B.LEAGUE

B.LEAGUE(Bリーグ)オフィシャルサイト
https://www.bleague.jp/

著者プロフィール:大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。大学在学中にテレビ局の海外スポーツのリサーチャーとして報道の現場に足を踏み入れ、アメリカの四大スポーツに接していた。損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年から「球技ライター」として取材活動を開始。バスケの取材は2014年からと新参だが、試合はもちろんリーグの運営、クラブ経営といったディープな取材から、ファン目線のライトなネタまで、幅広い取材活動を行っている。

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