Interview

『えいがのおそ松さん』で中村悠一が改めて感じた、“隙だらけ”のカラ松の魅力とは?

『えいがのおそ松さん』で中村悠一が改めて感じた、“隙だらけ”のカラ松の魅力とは?

カラ松のON・OFFをしっかり見せていかないと、魅力が半減してしまう

お芝居するうえで、特に意識した点などはありますか?

中村 18歳のカラ松は役柄的にもセリフが多くなかったので全然大丈夫だったんですが、通常のカラ松はTVシリーズでも、先ほどお話したような“隙があるところ”というか、カッコつけてるONの部分と、つい素が出てしまうOFFの部分をしっかり作らないと、ひとりの人物としての魅力が薄くなってしまう気がしているんですね。

アニメのキャラクターではあるけれど、どこか実在しているような人間に見えないといけない。カッコつけているだけの状態だと、人として成立しなくなっちゃうので、「ここらへんのカラ松は、ちょっと素が出た表現のほうが面白いかな?」といったように、“台本に記載されていないところで、どれだけ素のカラ松を出すか”というのは試行錯誤しましたし、必要な作業だと思いました。

劇場版ということで、ON・OFFはより意識した感じでしょうか?

中村 そうですね。いつも以上に時間を割かないといけなかったかもしれません。TVシリーズだと本編が24分ぐらいですが、『えいがのおそ松さん』は108分あるので、よりON・OFFを作っていかないと……ONだけ、OFFだけだと、キャラクターの魅力が半減してしまいますから。

それに、人物として明るい面もあれば暗い面もあったりしますし、それぞれの兄弟に対するトーンだって違うと思うんですよね。人間同士のやり取りですから、女の子相手だとカッコつけると思うし。そういったところをより出していかないと、観ている人たちが楽しみきれない可能性があるというのは、劇場版を演じるうえでの課題だったとは思います。

物語の最後は受け手に委ねる、挑戦的な作品でもある

TVシリーズから劇場版にスケールアップしたことによる見どころを教えてください。

中村 作画面はスケールアップしていると思います。僕は最初、1本のストーリーではなく、パートに分かれてバラバラとした作りになっているのかな? と思っていたんですね。というのも、100分超えの1本のストーリーで『おそ松さん』がもつとは思っていなかったので。でも、シナリオを通して演じてみたら、意外にも1本のストーリーとして成り立っていました。……まあ、「これ、絶対いらねえよ」と思うシーンが一部あるんですが(笑)、そういったシーンがあることによって緩急がついて、面白く観ることができるんですよね。そういう意味でも、劇場版ならではの構成になっていると思います。

まだ完成版を観ていないので(※取材は1月中旬)、実際に完成版を観たときに、「自分が飽きずに観られるかどうか」というところですね。本当にね……必要以上にギャグが入っているので、「あれは何だったんだろう?」って思われるだろうなって(笑)。アフレコしながら、みんなで「このシーンっているの?」って言ってましたからね(笑)。制作陣は「やってみたかった」って言ってましたけどそんな作品です。「やってみたかった」作品です(笑)。

それでも、そういったところがスパイスになっているということも……。

中村 その可能性はあるので、油断できないですよね。計算上は「スパイスになっている」という想定で作られているはずなので、楽しみにしていただきたいなと思います。

作画や構成は劇場版に合わせてスケールアップしたとのことですが、ほかにもTVシリーズから変化したと感じる部分はありますか?

中村 ないですね。僕としては、そこがすごく良いなと思っていて……劇場版をやるからといって、監督や脚本家が変わったわけでもないし、TVシリーズと同じスタッフ、キャストで劇場版を作ることができたのは大きいかなと思います。例えば、「劇場版はキャラのイメージが少し違うなあ」とか「劇場尺にしたから、こういうお話になっちゃったのかなあ」とかっていうところがないですし、これまでの『おそ松さん』から繋がる作品にちゃんとなっていると思ったので、“変わらなかった”というのが今回の劇場版のいいところなんじゃないかなと思います。

では、ネタバレしない範囲内で、物語のオススメポイントを挙げるとしたら?

中村 何でもない話のようにみせて、しっかりとオチが用意されていますし、そのオチも受け取り手によって感じ方にバラつきが出そうなところはあるので、「面白いなあ」と思いました。「こういうお話でしたね」って明確な答えを提示せず、受け手に委ねているところも多くて。畳みかけるようなギャグで最後まで進んでいきますが、最後の最後に“観ている方に委ねて終わる”っていうのは、なかなか挑戦的だなあと思いました。

中村さん的に、物語の最後についてはどのように感じましたか?

中村 僕はちょっとモヤモヤしましたが、ほかの演者さんのなかには「いい終わり方だよ」って言う人もいましたね。アフレコに参加しているメンバーのなかでもそれだけ価値観の違いがあるので、観る方それぞれにエンディングの捉え方が異なるんじゃないかなあと思います。

『えいがのおそ松さん』を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをお願いします。

中村 みなさんが好きな『おそ松さん』ってそれぞれ違うと思いますし、みなさんが期待されている『おそ松さん』というのも色んなカタチがあると思うんです。でも、とにかく今回の『えいがのおそ松さん』は、『おそ松さん』というコンテンツを好きでいてくださる方には満足していただける、楽しんでいただけるものになっているんじゃないかと思います。

アフレコしながらも「いままでやってきたものの集大成だな」と感じる部分がすごくあったので、一度この作品をを総括として楽しんでいただいて、応援していただければ、また引き続き『おそ松さん』というコンテンツを作っていくことができるのかなと思っています。

僕らとしても、ライフワークとして続けていきたいと思えるぐらい、やっていて楽しいんですよね。でも、僕らが楽しいだけだとなかなか……三期やります、四期やりますって偉い人たちも言ってくれないので(笑)、みなさんにも「楽しい」と言っていただけるような作品づくりを今後もしていきたいと思います。

大勢のスタッフの方たちがフル回転で『えいがのおそ松さん』を作っていると思いますが、その結晶を観ていただけると嬉しいですね。きっと「ここまで『おそ松さん』を観てきてよかったな」と思えるような作りになっているんじゃないかと思いますので、よろしくお願いします。

最後に、もし今後別の年代のカラ松を演じるとしたら、何歳ぐらいのカラ松を演じたいですか? また、そのカラ松は、どんなふうになっていたらいいなと思いますか?

中村 30歳を超えたら普通になってるといいですね(笑)。僕もね、カッコつけて喋るのは疲れるので、もうちょっと普通に喋りたいんですよ(笑)。今回の映画でも、兄弟と普通に何気なく話しているところがあったりするんですが、そういうときのカラ松は自分のなかでも腑に落ちて、演じやすいんですね。頑張らなくていいというか。だから、そういったカラ松の自然なところをもっとたくさん表現したいですね。

ちなみに、サマー仮面というキャラクターもいますが、彼が自然かって言われると、やっぱりちょっと違うと思うので‥。僕もあれは不自然にやっていますから(笑)。

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2019.03.14

劇場版『えいがのおそ松さん』

3月15日(金)全国ロードショー

【STORY】
迷い込んだ不思議な世界で6つ子が出会ったのは、18歳の自分たち。ある日、高校の同窓会に訪れた、6つ子たち。ちゃんとした大人に成長し、社会人として活躍する同級生たちとの再会で、対照的な冴えない自分たちの現実に打ちのめされ、やけ酒をあおり、眠ってしまう。翌朝、目が覚めたおそ松たちは、部屋の異変に気付き、街に出る。目に映るのは、いつもと違うけど、どこか見覚えのある風景。ここは「過去の世界」ではないかと疑い始めた矢先、デカパンから「6人の中に、この時代に大きな後悔を残している人物がいる」と告げられる。真実を確かめるため、彼らが会いに行ったのは、18歳の自分たちだった……。

【STAFF】
原作:『おそ松くん』赤塚不二夫
監督:藤田陽一
脚本:松原 秀
キャラクターデザイン:浅野直之
アニメーション制作:studioぴえろ
配給:松竹

【CAST】
おそ松:櫻井孝宏
カラ松:中村悠一
チョロ松:神谷浩史
一松:福山 潤
十四松:小野大輔
トド松:入野自由
トト子:遠藤 綾
イヤミ:鈴村健一
チビ太:國立 幸
デカパン:上田燿司
ダヨーン:飛田展男
ハタ坊:斎藤桃子 ほか

©赤塚不二夫/えいがのおそ松さん製作委員会 2019

『えいがのおそ松さん』オフィシャルサイト
https://osomatsusan.com/eiga/

原作コミック『おそ松くん』

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