Interview

大橋ちっぽけ、「弾き語りのイメージを脱したい」と自身の新たな可能性を広げた1stアルバム『ポピュラーの在り処』

大橋ちっぽけ、「弾き語りのイメージを脱したい」と自身の新たな可能性を広げた1stアルバム『ポピュラーの在り処』

だんだんアコースティックではないサウンドが自分の中でメインになりつつある

そして、同年6月にはインディーズからミニアルバム『僕と青』をリリースしました。

16歳から19歳の頃に書いた曲で構成されていて。自分の中では、その時点までのベスト盤だと思っているんです。それまではずっと家で録音して、一枚一枚手焼きして、表紙もプリントしてっていうお手製のCDだったので、出来上がったときは感動しました。経験したことのないことばかりを経験したので、特に去年は感動する瞬間ばかりでしたね。CDショップに行って、自分の作品を展開してもらえてるのを見ると、嬉しくなりましたし。

“10代の青い感性を閉じ込めた”というミニアルバムを経て、20代になって1枚目であり、メジャーデビュー作となる次はどう考えてました?

あんまり次の作品をどうしようとかは考えてなくて。でも、いろんなジャンルの音楽を聴くようになっているので、前作以上に、次はもっといろんなジャンルに挑戦したいとか、歌いたいと思ったものを素直に作ってみようかなっていう意識はありました。

リード曲「テイクイットイージー」を聴いてびっくりしたんですよね。前作のリード曲「君と春」とは曲の雰囲気も歌詞の世界観も全然違っていて。

僕のリスナーの人も驚いた人が多かったですね。前作は憂いの部分が強かったんですけど、今作ではポップさや明るさ、気楽さや単純な部分とか、新しい自分を見せられたなって思います。

アコギの弾き語りというイメージだったのでびっくりしました。

そのイメージを抜けたいなと思っていたので。そういうアーティストを否定するとか、嫌だというわけではないんですけど、最近はTHE 1975とか、海外のインディーズバンドとか、PETNAGONとかのK-POPも聴くようになって、洋楽の影響を受けていくなかで、だんだんアコースティックではないサウンドが自分の中でメインになりつつあるんです。前作は、アコースティックギターの曲として作ったものをバンドアレンジにしたり、打ち込みにしたりしたんですけど、今作は最初からバンドだったり、打ち込みっぽいサウンドを想定したうえでアコギで曲を作っていました。

完全に発想が逆転してる。

そうですね。「テイクイットイージー」も最初からバンドでやる曲だって思って作ってました。

歌詞もどことなく洋楽っぽいですよね。特にサビの「もう昨日じゃない!」なんて英語に聴こえますし。

海外のインディーズバンドに興味を持ち始めたときに作ったので、メロの韻を踏んでる雰囲気とか、曲のテンポ感の影響は強いかなと思います。「もう昨日じゃない!」も最初は英語のつもりで作ってましたから。メロディ先行で作って、あとからテーマに沿って歌詞を書いていった感じで、最初は洋楽っぽく、英語っぽくっていう意識がありましたね。

先ほど、前作は“憂い”とありましたけど、この曲は「気楽にいこうぜ!」と呼びかけてて。もちろん、その裏には周りの声を振り切って、自分だけを信じようっていう葛藤もあるんですけど。

「こんなこと言ってもいいのかな?」っていう部分も素直に書いちゃった曲ですね。結局、経験が足りないと思う一方で、自分のセンスだけあればいいでしょっていうのを誰かに言って欲しいっていう気持ちもあって。こういうことを言われたら嬉しいだろうなっていう思いで書いた歌詞でもあるし、「何をそんなに気にしてんだ」って言ってるように、自分の不安への歌みたいな部分もある。でも、これを素直に言えたことが自分の中では大きな意味があって。メジャーデビューっていう大きな節目ではあるんですけど、未熟なままきちゃったがゆえに吹っ切れた部分が表れてこういう歌詞を書けたかなって思います。

サウンドと歌詞も意外だったんですけど、さらにMVは韓国で撮影をしていて、大橋さんはアコギを持たずにダンスしてます。

イメージを大きく変えたいっていうところで、「海外で撮ってみよう」とか「自分でダンスしてみよう」とか、前向きにいろいろやってみました(笑)。最初に出された案は全然違う内容だったんですよ。ドラマ仕立てで、僕がほとんど出ないっていう話で進んでたんですけど、それがだんだん、「いっそのこと、大橋くん、前面に出て踊っちゃおうよ」っていうふうに変わっていって。僕は新しいことにはなんでも挑戦したいと思っていたので、「じゃあ、踊ります」って感じでした。

今、いろんなことをやりたいっていう好奇心が強いのかな?

もちろん、やりたくないこともあるんですけど、自分が思い描いているアーティスト像に近づけるようにって思ったときに、それに繋がるんじゃないかと思うようなことは全部、挑戦したいと思いますね。弾き語りのイメージを脱したいっていう意識のもとでああいうMVになったので良かったなって思います。

自分をもっと愛したいし、みんなが惚れ惚れするような存在になれたら

その「思い描いているアーティスト像」を最後に聞いてもいいですか。

サウンドとしては、今は打ち込みやバンドが好きなので、そういうのをどんどんやっていきたいなって思います。将来的には……デカいステージや大きいフェスとか、ものすごいお客さんがいる前で、ハンドマイクで暴れ倒すくらい、自分の世界に酔いまくっているアーティストが好きなんですよ。ナルシズムがカッコよく見えるアーティストっていうんですかね。最終的にどういうところに辿り着くかは全然わからないですけど、今は自分がやりたいものとか、やりたいこと……これは受け入れられないかも?っていう考えはとりあえずなしにして、やりたいことをどんどんやっていって。自分をもっと愛したいし、それにみんなが惚れ惚れするような存在になれたらいいかなって思いますね。

ギャップがすごいですよね。こうして話しているときはシャイで優しくて奥手に見えるし、名前も謙遜しているけど、ライヴでは自分の世界に酔いしれながら様々な愛の歌を熱唱できるっていう。

そうなんですよね。ライヴは普段の自分とはまったく違いますね(笑)。MCでは素に戻っちゃうんですけど、歌うときはがっつりスイッチが入るので。僕は、人に聴いてもらうっていうのももちろんあるんですけど、自分で自分の歌を噛み締めるよう歌ってるところもあって。それが、より広いステージで、僕自身もよりオープンになれたらいいなって思っています。

大橋ちっぽけ

1998年生まれ、愛媛県松山市出身のシンガーソングライター。ネットの動画サイトに歌唱投稿を始め、2018年6月にはミニアルバム『僕と青』をリリース。2019年1月に配信「ルビー」、本作にてメジャーデビュー。

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