Interview

『えいがのおそ松さん』では、入野自由のとびきりかわいい“ゆるキャラ”のようなトド松が観られる!?

『えいがのおそ松さん』では、入野自由のとびきりかわいい“ゆるキャラ”のようなトド松が観られる!?

赤塚不二夫の名作ギャグ漫画『おそ松くん』を原作とし、2度にわたって制作・放送されたTVアニメ『おそ松さん』。二十歳を過ぎても“ニート”で“童貞”の松野家6兄弟が織りなす、予測不能なギャグコメディとして、2016年度の流行語大賞にノミネートされるなど、社会現象を巻き起こした。

そんな『おそ松さん』が、完全新作となる劇場版『えいがのおそ松さん』を制作するということで、ファンはもちろん、6つ子のキャストたちさえも「あの『おそ松さん』が映画に!? 大丈夫?」と不安な思いを抱いたようだ。「『おそ松さん』には珍しい、“いい話”になっていた」と笑う末弟“トド松”役の声優・入野自由に、作品の見どころや、改めて感じるトド松の魅力について語ってもらった。

取材・文 / とみたまい 撮影 / 祭貴義道

最初からフルスロットルのアフレコが続くと、変なテンションになる(笑)

「『おそ松さん』初の映画化!」と聞いた際には、どのように思いましたか?

入野自由 TVシリーズの第二期が終わって、「これで『おそ松さん』が終わることはないだろうなあ」とは思っていました。「まさか映画化とは!」と、本当に驚きましたね。「映画でなにやるんだろう?」というのが、一番最初の感想でした。

ほかの6つ子キャストのみなさんとも、映画化についてお話しされましたか?

入野 そうですね。「映画化だって……なにするんだろうね?」と、みんなも驚いていました。TVシリーズでは予測不能な展開だったので、「どんな話になるかわからないけど、本当にやっていいのかな? 面白いのかな?」といったことを話していました。

最初に台本を読んだときの印象はいかがでしたか?

入野 “なんでもあり”の『おそ松さん』だからこそ、脚本を作るうえで「どういうテーマにしていくのか」ってすごく難しかったと思うんですが、今までの『おそ松さん』らしさや小ネタをうまく活かしながら、全体を通して1本の映画として、“いい感じ”になっていると思いました。

“いい感じ”のところを、ネタバレにならない程度に教えていただけますか?

入野 予告に「“笑い”はもちろん、まさかの“青春”や“感動”も詰め込んで」ってありましたけど、間違いなくその通りだと思います(笑)。それに、『おそ松さん』に期待していることって人それぞれ違うとは思いますし、「“感動”だなんて、どうせウソなんでしょ?」みたいなところもあるかもしれませんが、それすらきっと裏切っていけるような物語になっていると思います。

TVシリーズの収録時と今回の劇場版の収録時で、「アフレコ現場の雰囲気が違う」と感じたことなどありますか?

入野 映画を1本録るというのは、やっぱりすごい時間がかかるんですよね。しかも今回、僕たちは18歳時の6つ子と大人の6つ子の2つを演じているので、単純に考えて、時間的に2倍かかるんです。そういう意味での疲弊はあって、「松原(秀)さん、とんだ脚本を書いてくれたな」と、みんなで言いながらやっていました(笑)。

収録自体は時間がかかっていますし、物理的に大きな声を出さなきゃいけなかったり、狂気する場面もあるので大変だったのですが、みんなで楽しみながらやっていたので、感覚的な時間の進みはすごく早かったなという印象はあります。

疲弊しながらも、楽しみながらやっていた?

入野 そうですね。最初からフルスロットルなので、もう始まって一瞬で疲れちゃうんですよ(笑)。それでも丸1日かけて録るというのを何回か続けていくと……朝は「疲れたね」と言いながらもなんとか乗り切るんですけど、夜には変なテンションになっちゃって。

なぜその話題になったのかもわからないんですが、“英語では普通の名前なんだけど、日本語にするとちょっと変になっちゃう世界の有名人や地名”を挙げて、みんなで笑うっていうことをやってました(笑)。深夜テンションで“箸が転がっても面白い”みたいな状況ですよね。あとはいつも通り、本編を録っていくこと自体が楽しかったので、みんなで笑いをこらえながらやっていました。

小学校低学年ぐらいのイメージで演じた、18歳時のトド松

18歳のトド松を演じるうえで意識した点はどこでしょう?

入野 複雑なキャラ設定ではなく、すごくシンプルに“かわいくて甘えん坊で泣き虫”ということだったので、18歳とは言いつつ、自分のなかでの年齢設定を小学校低学年ぐらいまで落として演じるということを意識しました。リアルよりも誇張したキャラクターづくりをテーマにしてやっていた感じはありますね。

たしかに、18歳どころではない年齢の低さのイメージがトド松にはありました。その点に関して、ディレクションはありましたか?

入野 すり合わせはしました。大人のトド松は感情の振れ幅がとても大きくて、そこがある意味人間味があって魅力なんだと思いますが、18歳のトド松は、どちらかというと“ゆるキャラ”みたいな、キャラクター感が強い印象なのかなと思います。

18歳のトド松について、共感できる部分はありましたか?

入野 ないです(即答)。全然ないです、ひとつも(笑)。でも、共感する・しないは関係なく演じることができるので、全然問題ありませんでした(笑)。18歳のトド松はキャラクター性を意識して演じたので、共感はなかったですが、とにかく“ゆるキャラ”として「かわいい~」っていうところを意識しました。

TVシリーズでは20代のトド松を演じてきて、今回の劇場版では18歳のトド松を演じてみて、改めてトド松という人物の魅力を認識した部分はありますか?

入野 20代のトド松の魅力は、生き抜くための心得をすごく知っているのに、それがうまく使えてなくて、もったいないなとは思いますが、うまく使えていないからこそ物語になるし、彼のキャラクターとしての面白さが浮き上がってくると思うんですね。そんなトド松をみんなが観て「あ~、あるある」って(笑)。共感できるところがトド松の人物としての魅力なのかなと思います

観ている人たちにとっては、彼らが本気で困っている姿が面白いと思うので、いいところをたくさん持っているトド松なのに、それが全然うまく使えていないっていうのがいいですよね。

カラ松役の中村悠一さんにお話を伺ったときに、「トド松は入野くんにしかできない。入野くんがやると、ただぶりっ子だけじゃない何かになっている」とおっしゃっていました。

入野 嬉しいです。

そういったトド松のお芝居する際、どこからその感覚が出てくるのでしょうか?

入野 「トド松なら、こう言うだろうな」と、本当にそれだけなんです。自分の思いとかは関係なくて……、“出たとこ勝負”っていうのもあるので、意識していることが少ないという事もあります。でも、中村さんがよく「入野くんにしかできない」って言ってくれるので、嬉しいです。

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