Interview

ウォルピスカーターがアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』EDテーマを。「1%」の完成度の高さ、そして彼の等身大な言葉

ウォルピスカーターがアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』EDテーマを。「1%」の完成度の高さ、そして彼の等身大な言葉

“高音系男子”に憧れる“高音出したい系男子”として、ハイトーンボイスと卓越した歌唱力で話題を集める歌い手・ウォルピスカーターが、1stシングル「1%」を完成。冬の夜空を想起させる美しいトラックと切ないハイトーンボイス、独創的なサウンドやアレンジが魅力の表題曲は、アニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』のエンディングテーマとしてオンエア中。これまで3枚のアルバムをリリースし、2017年に初のワンマンライヴを開催。そしてアニメのEDテーマに抜擢、と順調に活動の場を広げて“次世代のシーンを牽引するボーカリスト”として注目を集める彼だが、“高音出したい系男子”ゆえの悩みや葛藤も多々あるよう。現在の心中、本音や弱音もポロポロ飛び出す、人間的な魅力が溢れたインタビューになりました。

取材・文 / フジジュン

「なるべくオリジナルキーで歌うけど、-1までは大目にみてね」

昨年12月にリリースした、3rdアルバム『これからもウォルピス社の提供でお送りします。』以来となる、シングル「1%」の完成ですが。前回のアルバムの反響はいかがでした?

2ndアルバムから期間が空いてしまって。2ndのタイトルが『ウォルピス社の提供でお送りしました。』だったこともあって「終わり?」みたいな憶測もあるなか、3rdアルバムは皆さんに待ち望んでいただいた作品になったので。「まだ終わらないよ!」とビシッと決めることができたと思いますし、嬉しい反響はたくさんいただきました。

2ndからの空いてしまった期間って、本人的にはどんな期間だったんですか?

2ndを出してから、“今後、どう活動していこうか?”というところで悩みまして。僕、世界レベルで歌がうまいわけじゃないので、歌一本でやっていくということをあまり考えていなくて。ただ、ここからマルチにやっていきたいというところで、事務所の人と相談しながらいろいろと準備をしたり、今後に繋がる布石を打っていた期間でしたね。

ライヴってところも、いろいろと悩んだみたいですね?

はい。やっぱり作品をリリースすると、ライヴを求められるんですが……僕、もともとライヴはやる気がなくて。ライヴを度外視した作品作りを続けてきたので、ライヴではそのままを再現できないんです(笑)。これまで騙し騙しやってきてはいますが、まだ答えは見つかってなくて。キーを変えないことがポリシーなので、絶対、キーは落としたくないと思いながら、「じゃあ、-1だけ」とか「-2まではバレないんじゃないか?」と試してみたり(苦笑)。

わははは。そんなこと言っちゃっていいんですか!?

全然いいです(笑)。だから、「なるべくオリジナルキーで歌うけど、-1までは大目にみてね」くらいの感じでやってます。

僕とはるまきさんの想いがマッチした曲になりました

レコーディングのときは自分が納得するまで、何度も歌入れを繰り返すんですよね?

もう、ずっと歌ってます。ただ僕、喉が強いほうじゃなくて、5分歌ったら声が出なくなることもあるので。スタジオでのレコーディングはすべて断って、自宅のレコーディングブースで録ってます。たくさん大人が集まってスタジオを借りて、5分で終わりってわけにはいかないですからね(笑)。だから、歌のお仕事もたくさんいただくんですけど、条件として「家で録らせてください!」と言うことにしてます。

最新シングル「1%」は納得できるところまでやり切れました?

すごく良いものが録れました! 普段から曲のオーダーに関してはかなりざっくりお伝えする感じで、僕がこだわるのは曲の高さ、メロディのキーだけなんです。けど、「僕が使える音域はここから、ここまでです」って伝えると、皆さんその音域をキッチリ使い切ってくれることが多くて(笑)。今回も3曲それぞれ、上から下までキッチリ使っていただいて。レコーディングは大変でしたけど、結果、納得できるものが録れました。作品としてというところでは、今は「なんとか完成したな」という安堵感だけなので。これから発売になって、聴いてくれた人からの反応があって、じわじわと実感が湧いてくると思います。

「1%」はアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』のエンディングテーマですが。作詞作曲を務める、はるまきごはんさんにオーダーするとき、EDテーマっぽさも意識してもらったんですか?

そうですね。「エンディング感を出せるボカロPさんは誰だろう?」と考えたとき、はるまきごはんさんだと思って、すぐにオファーしたんです。これまでEDテーマっぽい曲は歌ってこなかったので、具体的に伝えようと思うとどう言葉にしてよいかわからなくて、オーダーするときも「エンディング感、欲しいッスね」としか伝えられなくて(笑)。直接会ってお話したら、はるまきさんが「こういうのはエンディング感なの?」「それは違いますね」みたいな感じで、僕からうまくイメージを引き出して、制作してくれました。

曲が出来上がっての感想はいかがでした?

聴いたときは「はるまきさんらしい、エンディング感のある曲になったな」と思ったんですけど、歌ってみたら、自分の声とすごく相性が良いことを実感して。「ちゃんと僕の声に合わせて作ってくれたんだ」と思って後々聞いたら、やっぱり僕の声をイメージして作ってくれたらしくて。僕とはるまきさんの想いがマッチした曲になりました。

メインボーカルがどちらかわからなくなるというのはこだわった部分

最初に聴いたとき、サビ部分が男女のデュエットのように重なったり、不思議な曲だなと思ったんですが。曲が進むにつれて、冬の夜空が明確に見えてくるようでした。

良い曲ですよね。トラックだけ聴くと、その不思議な感じがより伝わってくるんです。かなり独特な音の使い方をしてて、それがより情景を醸し出してくれて、僕の歌ナシでも全然聴けちゃうんですけど(笑)、そこに僕の歌が乗ることによって、この世界観がより明確に伝わるといいなと思いました。

歌入れにはどんなイメージ、どんな気持ちで臨みました?

最初に歌詞を読んで浮かんだイメージが、歌っている最中にどんどんまとまってきたので、結果、1番をもう一度歌い直すみたいなことを繰り返してレコーディングを進めました。それで、まとまったものを一度、はるまきさんにも聴いてもらって、はるまきさんからアドバイスをもらいながら擦り合わせて、ふたりの作品として作り上げました。サビ前に高い声が入ってデュエットみたいになって、メインボーカルがどちらかわからなくなるというのはふたりでこだわった部分です。最初は下のボーカルをメインに立てて、上は添える雰囲気を出そうと思って録音したんですけど、はるまきさんが「メインがどっちかわからないほうが雰囲気が出るんじゃない?」ってアドバイスをくれて録り直したら、高い声が入ってくることで耳障りの良さも出せたし、広がりも出せたと思います。でも、これでまたライヴでできない曲が増えちゃったんですよ! これはキーを下げるとかの問題じゃなくて、両方を歌わなきゃいけないですから(笑)。どっちかを歌っちゃうと、そっちがメインメロディとして確定してしまいますからね。

そうか、メインがどっちかわからないことにも意味があるわけですからね。ふたつの声を同時に出すみたいな、大道芸人もいますけどね?

そんなことできたら僕、それでメシ食えますよ!(笑)

わはは。自身の歌がアニメのエンディングで流れているのは観ました?

はい、観ました。ただ、エンディングで流れているのを観ても、なんか……現実味がなかったです(笑)。劇中でドラマチックに流れたりすれば、実感も湧くと思うんですけど。あと、オープニングがmono palette.さんで、曲もカッコいいし、クレジットもアルファベットでカッコいいんですよ! エンディングも一枚画が立体的に動いていくのが曲に合っててすごくカッコいいんですけど、クレジットに“ウォルピスカーター”って出たときに「ダサい!」と思って、恥ずかしかったです(笑)。「アルファベット表記にすれば良かった!」って後悔しました。

あははは。もともと、ウォルピスカーターを名乗ったときは、こんなに長く使う名前になると思ってなかったし、まさかアニメで使われるとは思ってなかったでしょうからね。

そうですね、付けたときは完全にノリですからね(笑)。高校の友達に付けてもらった気がするんですけど。もっとカッコいい名前にしとけば良かったです。

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