Interview

The Birthday ニュー・アルバムのバラエティに富んだ曲たちを一つにまとめたのは、どんな感覚だったのか?

The Birthday ニュー・アルバムのバラエティに富んだ曲たちを一つにまとめたのは、どんな感覚だったのか?

2月に出たシングル「OH BABY!」のポップな興奮も覚めやらぬ3月20日、1年10カ月ぶりとなるニュー・アルバム『VIVIAN KILLERS』がリリースされる。
エッジの効いたロックナンバーからカントリー・ミュージックまで、全12曲がジェットコースターのようにリスナーの耳を揺さぶる。The Birthdayの音楽にこれほどのバリエーションがあることを、誰が想像しただろうか。それでいて、どの曲もThe Birthdayのロック・スピリッツで貫かれている。それは、どんな音楽をやっても不変の魂を感じさせた先人達、ザ・クラッシュやキンクスをも感じさせて頼もしい。
バンド・ミュージックの新たな地平を切り開いた『VIVIAN KILLERS』について、チバユウスケとフジイケンジに話を聞いてみた。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 鈴木圭

(曲のバリエーションがあるのは、)いちばん時間があったからかな。ぽつんぽつんと上手い具合に期間を空けて録ってたっていうか。

先行シングルの「OH BABY!」を聴いて、『VIVIAN KILLERS』は明るいアルバムになるんだろうなと思って聴き始めたら、1曲目「LOVE IN THE SKY WITH DOROTHY」でチバくんが怒ってるみたいに歌ってるから予想外だった(笑)。

一同 (笑)

チバ そうですか?(笑)

もうちょっとポップな感じのアルバムになるのかなと思ってたら、いきなりガツンと来た。

チバ ああ、なるほどね。この曲はね、なんとなく俺の中で叩き台があって。そんで、曲作りの期間にバンドで「せーの」で合わせて、だいたい見えたというか。

『VIVIAN KILLERS』は全体的にリズムが面白い曲が多いんだけど、チバくんが持って行った“叩き台”は、シンプルなリフレインでずっと押し通していくっていう感じのものだったの? 

チバ うん、もう、シンプル。バンドで合わせてて、「このパターンで押し通そう」みたいな話になって。

ギター・ソロも、メロディを聴かせるというよりは、リズム中心のソロになってる。

フジイ ギター・ソロですか? そうですね。ちょっと“力技”というか。メロディがあんまり浮かばなかったので、リフっぽい感じで弾いた。結果、やりたい放題なソロになってしまった(笑)。Aメロのリフがあって、間があって、またリフがあって、間があって。その間の長さがAメロとソロは違ったんですよ。ちょっと短めになってて。そこがすごくトリッキーな感じに聴こえてたから、もうやりたい放題じゃないとできないような感じになっちゃって(笑)。

やりたい放題っていうことは、このギター・ソロはライブですごく変わるのかな?

フジイ そんなに変わんないと思いますけど。

チバ サイズとかを変えちゃったら、もうしっちゃかめっちゃかになる。慣れないと、どこで終わるのかわからなくなる(笑)。

この曲の歌詞は、日本語部分がとても少ないのは、リズムで押してったから?

チバ そうなんですよ、そうなっちゃった。

2曲目の「KISS ME MAGGIE」は、映画のバックで流れるような曲だなと感じた。たとえばジム・ジャームッシュの映画で使われている音楽のような。

チバ ほお!

トム・ウェイツが出てくる……。

フジイ ありましたね。

チバ 『ダウン・バイ・ロー』かな。

そう、『ダウン・バイ・ロー』だ。これはどんな構想で作っていったの?

チバ 構想……まあ、なんとなくの叩き台があって、メロディの順番だったりをいろいろ考えつつ、みんなで合わせてみて。あ、これ、俺、ギター弾いてないんですよ。

フジイ これはギター1本、俺のみです。

だとすると、ライブでチバくんのハンドマイクのシーンを想定して作ったの?

チバ うん。最初は一応、俺のギターで裏打ちのリズムを入れてみたんだけど、やっぱ要らねえなあと思って。入れちゃうと、フジケンのギターとぶつかるしね。

フジイ 曲作りの段階で要らないねって。俺もこの曲はハナからギター1本がいいなと思ったから、そのつもりで弾いた。

3曲目の「青空」はアルバムバージョンになってる。

チバ シングルとはマスタリングが若干違ってて、このアルバムに合う感じのマスタリングにした。

そして5曲目の「Dusty Boy Dusty Girl」は本当に意外だった。カントリー・ミュージックって、The Birthday史上初めて!

フジイ はははは!

チバ うん、初めてかもしれない。

しかもメロディがすごく和風で。

フジイ そうですね。

こういうのをやってみたかったの? 

チバ うん、まあ、やってみたかったんでしょうねえ。やったってことは(笑)。

「でしょうねえ」って(笑)。

チバ The Birthdayに合うかなあーと思って。

すごく面白かった。エンディングのフジケンくんのギターは、もろにカントリー・スタイルで、ライブで決まるといいね。

フジイ はははは! いやいや、決まりますよ(笑)。

こういうのってやったことがあったの?

フジイ ここまでカントリーなのはないですね。カントリーっていうか、ブルーグラス(注:カントリー・ミュージックの一種で、早いテンポのインストゥルメンタル)を意識した。曲を聴いたときに、ブルーグラスで使うバンジョーっていう楽器がずーっと鳴ってるイメージがあったんで、カントリーよりもちょっとブルーグラスっぽい感じのほうがカッコ良くなるんじゃないかなと思った。なので、そういうバンドの音を聴いたり、バンジョーのメカニズムを研究したり。

チバくんは元々、カントリーが好きだったの?

チバ うん、まあ古くは「走れコータロー」(注:日本のフォークグループ“ソルティー・シュガー”の1970年のヒット曲)みたいなのを聴いてたり。そんな感じかなあ。

僕はこの曲に、カントリー・シンガーのマール・ハガードっていう人の音楽を感じた。彼は死刑囚をテーマにした曲を歌ってたりするんだけど。

チバ ふうーん。白人の人?

そう、白人。「Dusty Boy Dusty Girl」も社会からはみ出した人のことを歌ってるでしょ。

チバ ああ……。

この曲の前の「POP CORN」はパンクっぽくて、5曲目までの並びがすごいなっていう。

チバ ははは!

フジイ そうですね。1曲目「LOVE IN THE SKY~」から5曲目の「Dusty~」まで聴いたときに、そのバラエティの豊かさは(笑)。

1曲ずつテイストが全部違うからね。チバくんはいつも「録りたくなったらスタジオに入って録る。トータルでこんなアルバムにしようとは考えてない」って言ってるけど、ここまで曲のバリエーションがあるのは、驚きです!!

チバ 今回はそうだなあ……いちばん時間があったからかな。前のアルバムをリリースしてから1年半ぐらい空いてて、その間に3回に分けてスタジオに入ってるので。ツアーがあったり、フェスがあったりで、ぽつんぽつんと上手い具合に期間を空けて録ってたっていうか。ある意味、余裕もあったし。まあ、最後のほうは余裕なかったけど(笑)。

この音楽の幅の広さを、フジケンくんはどう感じてたの?

フジイ 自然ですよ。無い引き出しを開けてったわけではないし、結果的にこういう感じになったなっていう。

聴いてるほうのショックな感じはわかるよね(笑)。

フジイ ははは! なんとなく、それはわかります(笑)。でもカントリーをやるにせよ、「OH BABY!」のカップリングの「SUMMER NIGHT」のスカをやるにせよ、付け焼き刃でやるよりはちゃんと研究したいなとは思ってましたね。

そういう意味では、1年半の余裕があって良かった?

フジイ うん、確かにこのアルバムで、The Birthdayの音楽の幅が広がった感じはしますね。 

かと思うと、「星降る夜に」っていうすごいバラードもある。

フジイ うんうんうん。

アルバムの曲同士で、似たものが全然ない。ただ、今までと違う新しいことをやろうということではないんだよね。

チバ 俺はそんなに新しいことをやろうっていう感覚はなかった。「Dusty Boy~」に関しては、予想としてはもっとパンカビリーというか、パンキッシュになるのかなと思ったんだけど、やってみたら全然そこには行かなかったなっていう。

それはフジケンくんがブルーグラスを研究したからだと思う。

チバ そうだね、それもデカい。

追っかけコーラスも、実にブルーグラスっぽいんだよ(笑)。

チバ あ、ホント? はぁー、そういうもんなんだ。

フジイ はははは。

カントリーって、基本、カウボーイや農民がうたう歌なので(笑)。

チバ ああ、はいはいはい。

チバくんはそういうのをまったく研究せずに書いたわけ?(笑)

チバ 研究まではしてないねえ。

7曲目の「DISKO」の歌は、ほぼ全部、叫んでる。この前、対バンした亜無亜危異みたい(笑)。

フジイ ははは!

ちなみにこの曲の歌詞は、『心臓を貫かれて』っていう有名なアメリカのノン・フィクションと関係があるの? 

チバ え? 知らない。

知らないで♪心臓を貫かれてからさ 俺はこのまんまなんだ♪って書いてるの?

チバ うん。

これも死刑囚が題材のノン・フィクションで、村上春樹が訳してる。

チバ 映画になってない? 

映画にはなってないと思う。

チバ ああ、そうなんですか。

だから「Dusty Boy~」と「DISKO」は、“アメリカの死刑囚シリーズ”っていう裏テーマであるのかなぁと思って(笑)。

一同 (笑)

チバ 何でしょう。どうして、そうなったのかなあ。

“The Birthdayと死刑囚”、“誕生日と死”みたいなのが裏テーマかなと思ってた。

チバ うーん……。

いやいや、こちらの深読み過ぎでした。読みが全部外れてしまった(苦笑)。

一同 (笑)

1年かけてアルバムを作っていて、レコーディングし終わった曲をストックしてると、やっぱり早く出したくなるんですよね。

いろんな曲を聴いた後で、最後に「OH BABY!」が出てくると、あの大きなメロディと言葉の譜割りに救われる思いがする。救われるって言うとちょっと失礼だけど(笑)、緊張感を持って聴いてくると、いい意味でフッと気が緩むっていう。

チバ あー、なるほど。

「OH BABY!」が1曲目に来るぐらい、明るくて爽やかなアルバムだと思ってたら、全然違うじゃん(笑)。

チバ ははは! 「OH BABY!」を作ってたときは、まだ曲順は決めてなくて。ただ、早いうちに出したい、聴かせたいなと思ってた。あとは「OH BABY!」のカップリングの「SUMMER NIGHT」っていうスカの曲も、早いうちに形にしたかったんだよね。

シングルでしか出せないかもしれないっていう?

チバ そう。だったらシングルを切ろうって。

「OH BABY!」をアルバムの最後に置いてみてどう?

チバ いやあ、バッチリだと思う。うん、良かった。

その一方で、「青空」のカップリングの「FLOWER」は、今回の『VIVIAN KILLERS』に入ってる。

チバ 「青空」は3曲入りのシングルなんだけど、「FLOWER」はやっぱりアルバムに入れたいっていう目論見があって。それはもうハナっからあった。

フジケンくんが歌ってるから?

フジイ ん? ああ、俺が歌ってる♪真っ赤なRADIO♪のこと?(笑)

チバ そうそうそう。そのあとツアーもあったんで、ライブの前に聴いてほしかったから。

そうか、それがあるのか! フジケンくんの歌が、アルバムに入って良かったね。

フジイ なははは!

一同 (笑)

フジイ いやいや、良かったですよ。1年かけてアルバムを作っていて、そこでレコーディングし終わった曲をストックしてると、やっぱり早く出したくなるんですよね。で、「OH BABY!」を我慢しきれず、出しちゃった(笑)。

ははは!

フジイ 早くライブでもやりたいし。

出してからやるほうがお客さんにとっても。

フジイ そうそう。

そういう意味では、さっきチバくんが言ったみたいに、アウトプットもしながら1年半かけてのアルバム作りは、いい感じで行ったのかな。

チバ うん。すごい良かったと思う。

(新作は)すごくドラマチックな感じがします。バラエティっていうよりは、曲の構成がよりドラマチックに仕上がってる。

そのときどきのレコーディングのことを思い出しながら、今回のアルバムを改めて聴いてみてどうですか?

チバ うん、もちろん、いいなあと思った。

結果的にいろんな音楽が入っていることについては?

チバ 俺ねえ、みんなが言うほどバラエティに富んでるっていうふうな感覚はあんまりないんだよな。「一貫性がある」って思っちゃうんで……同じメンバーがやってるっていうのもあると思うけど。

アルバム全体で喜怒哀楽がちゃんと出てるってことなのかもしれないね。「OH BABY!」で僕は、喜怒哀楽の“楽”のほうばっかりを見てしまったんだけど(笑)。

フジイ すごくドラマチックな感じがしますね。バラエティっていうよりは、曲の構成がよりドラマチックに仕上がってる。「OH BABY!」の最後はハチロク(8分の6拍子)になったり、ああいうアレンジの手法って、ミュージカルっぽくてすごい面白いなあと思って。メロディとか言葉がそういうふうな展開を欲してるから、バンドもそこを探りつつそういうアレンジになっていった感じが強くある。そこがいいと思います。

アルバム『VIVIAN KILLERS』のタイトルについては?

チバ “VIVIAN”っていう女の子なのか女の人がいて、「VIVIANが夢中になるようなキラーチューン」みたいな意味にしようと。

『VIVIAN KILLERS』の初回限定盤には、“TOUR 19 NIGHTS 2018 AUTUMN”@中野サンプラザが収録されているBlu-rayとDVDが付いてますが?

チバ フツーにサンプラのライブが入ってる(笑)。

フジイ いいライブだったよね。

チバ “ホール”っていう感じがすごく強い。

フジイ なかなかいい演奏ができてるなと思って(笑)。全曲聴いて、そこから何曲かに絞ってるんですけど、どれもこれもいいテイクですよ。

「ここを見てほしい!」っていうシーンは?

フジイ …………照明?(笑)

チバ うん。照明、すごいよね。サイケデリックっていうか、途中でなんか気持ち悪くなるんだよね(笑)。

気持ち悪くなる……(苦笑)。

チバ いい意味でね、クラクラするときがあって。ボーッとしてきちゃうっていうか。

フジイ 自分たちのステージを俺らは見れないから、映像でやっと確認できるっていう。

「こう見えてたのか!」って。

フジイ そうそう(笑)。

そして5月から始まるツアーは?

チバ んー、特段変わったことはしない。アルバムとシングルのカップリングでもう15曲あるんで、「あとは何やりゃいいんだ?」っていう。

ははは! リクエストを募れば?(笑)。

チバ まあねえ。もしかしたらアルバム以外の曲は、日替わりまでは行かないかもしれないけど、ツアーのワンクールごとに変えるかもしれない。

フジイ 「SUMMER NIGHT」とかも、すでにライブでメチャクチャ楽しいです。

ツアーも楽しみにしてます。ありがとうございました!

その他のThe Birthdayの作品はこちらへ。

ライブ情報

“VIVIAN KILLERS TOUR 2019”

5月11日(土)神奈川・横浜BAY HALL
5月15日(水)福岡・小倉FUSE
5月17日(金)熊本・熊本Django
5月21日(火)京都・京都磔磔
5月22日(水)兵庫・神戸チキンジョージ
5月25日(土)愛媛・松山W studio RED
5月27日(月)広島・福山Cable
5月29日(水)大阪 味園ユニバース
6月4日(火) 群馬・高崎club FLEEZ
6月6日(木) 埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
6月12日(水)福島・club SONIC iwaki
6月14日(金)山形・山形ミュージック昭和セッション
6月16日(日)岩手・宮古COUNTER ACTION
6月18日(火)青森・青森Quarter
6月20日(木)北海道・帯広MEGA STONE
6月22日(土)北海道・根室HYWATT HALL
6月28日(金)石川・金沢Eight Hall
6月29日(土)富山・富山MAIRO
7月5日(金) 静岡・浜松窓枠
7月7日(日)岐阜・岐阜CLUB-G
7月9日(火)滋賀・U☆STONE
7月10日(水)岡山・岡山CRAZYMAMA KINGDOM
7月12日(金)鳥取・米子laughs
7月14日(日)大分・大分T.O.P.S Bitts HALL
7月17日(水)鹿児島・奄美ROADHOUSE ASiVi
7月19日(金)沖縄・桜坂セントラル
8月30日(金)東京・恵比寿 リキッドルーム
9月4日(水)神奈川・川崎 クラブチッタ
9月7日(土)新潟・新潟 LOTS
9月14日(土)広島・広島 クラブクアトロ
9月16日(月・祝)香川・高松 festhalle
9月21日(土)宮城・仙台 PIT
9月23日(月・祝)北海道・Zepp Sapporo
9月29日(日)大阪・Zepp Osaka Bayside
10月3日(木)愛知・Zepp Nagoya
10月5日(土)福岡・Zepp Fukuoka
10月10日(木)東京・Zepp DiverCity Tokyo

The Birthday

Vocal & Guitar :チバユウスケ(7.10)
Guitar :フジイケンジ(3.08)
Bass :ヒライハルキ(6.20)
Drums :クハラカズユキ(4.03)

05年9月、チバユウスケ(Vo&G)が中心となって結成。2010年末から現在のメンバーに。結成10周年となる2015年には、ベスト・アルバム『GOLD TRASH』をリリースし、3度目の日本武道館公演を開催した。
2017年3月シングル「抱きしめたい」をリリース。5月にアルバム『NOMAD』をリリースして、27日からは全国ツアーがスタート。2018年1月31日には初のライブ・アルバム『LIVE AT XXXX』をリリースした。6月には約1年ぶりのシングル「THE ANSWER」をリリース、好評かつ好調の中、10月にもシングル「青空」のリリースし、“The Birthday TOUR 19 NIGHTS 2018 AUTUMN”実施。2019年2月13日に21枚目のシングル「OH BABY!」を、3月20日には1年10ヶ月ぶりとなる10枚目のアルバム『VIVIAN KILLERS』をリリースした。

オフィシャルサイト
www.rockin-blues.com/
http://thebirthday.jp

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