LIVE SHUTTLE  vol. 63

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「YAH YAH YAH」をファンと大合唱!Chageがやりたかった音楽で完走したツアーファイナル

「YAH YAH YAH」をファンと大合唱!Chageがやりたかった音楽で完走したツアーファイナル

Chage Live Tour2016 〜もうひとつのLOVE SONG〜@豊洲PIT 2016.9.16

 場内に大音量で「YMCA」が流れるや、観客は誰に指示されることなく“♪ワァ~イエム シエェ~”と振りも交えて大盛りあがり。そして注目の1曲目は「&C」。アイロニカルというか、ヒネリの効いたUKロック的な肌合いの楽曲だ。敢てこれを持ってきて、ガラリと雰囲気を変えてみせるのは“心地良い裏切り”。それもChageの真骨頂だろう。曲の後半の西川進と芳賀義彦によるギター・バトルは、まさにまさに鳥肌モノだった。続く「Hurray!Hurray!」は、途中、三三七拍子的アクセントがあるかと思いきや、突如ワルツのリズムが挿入されたりと、ドラムスのタナカジュンも叩き甲斐がある楽曲だったろう。「アイシテル」は、ラテンの華やかさにブギーのリズムを合体したようで、こちらもアレンジに工夫が。さらに新作『Another Love Song』から「迷い猫のシャッフル」。冒頭、曲のテーマに合わせて“ニャア~”とChageが叫ぶ。大人だけど童心がたまに顔を出すのも彼の魅力だ。重心の低い、腰のあたりに効くバンドの演奏は、まさに通好みと言えるだろう。

以前はスタンディングのライヴもやったが、ファン・クラブからの意見もあって「今回は椅子をご用意しました」と、そんなMCで皆を座らせ、曲名はあえて言わずに演奏した懐かしの一曲は「Reason」であった。フィリー・ソウル的な滑らかさが素敵。今回、夏のツアーだったからあえて涼感を、という理由の選曲だったのが「春の雪」。哀愁たっぷりのコクのあるメロディ。そして芳賀のリゾネーター・ギター(スライド奏法)が鳴るなかで、次に紹介したのはニュー・アルバムからの「空飛ぶ電車とPancake」。ここではウクレレを手に歌い、まさに等身大ソングというか、会場を優しく“日常感”が包み込むのでした。コーラス担当というより、Chageと“ダブル・ボーカル”の立場と言える石橋優子が歌い出したのが、あのマルチマックスの名曲「SOME DAY」である。ヴィブラートで誤魔化すような歌い方では成立しないこの作品。石橋とChageが“針の穴に糸を通す”ピッチ感で見事に歌いきるさまには、もうゾクゾクした。

座ってたお客さんもChageに促されここから立ち上がり、後半戦の盛り上がりタイムへ。この日の模様はライヴ音源収録していることも告げられる。だから「黄色い声援を!」と客席にお願いするChage。実は映像ではなくライヴ音源というアイデア、最近リマスターされたビートルズのライヴ・アルバム『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル 』に触発されたことでもあったそうだ。

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そして80年代初期のサウンドに影響された「もうひとつのLOVE SONG」が披露されるや、天井の大きなミラーボールが回り出す。観客がハンドクラップで参加して、そのまま“♪チャ~ラッチャ~ラッ”のリフが有名な「君の瞳に恋してる」を演奏しながらのメンバー紹介へ。かつてのディスコを思い起こさせる通称“ジュリ扇子”と呼ばれた扇子をChageがフリフリしつつ、みんなを乗せまくる。本人も実に楽しそうに腰をクネクネ。まさにここ豊洲PITが、ディスコ会場と化したのだ。そのまま小島剛広のベースを冒頭フィーチャーした「GO!GO!GO!」へ。メンバーがステージ前方に並んで右っ、左っ、と、演奏に合わせ型をキメるとヤンヤの喝采が。これ、60年代のグループ・サウンズが得意だったステージ・アクション。そのまま「ふたりの愛ランド」へ突入する。キーボードの力石理恵による、コケティッシュなソロも聴けた。いよいよ終盤になると「ロマンシングヤード」、「NとLの野球帽」と、CHAGE&ASKAの楽曲が続く。特に後者では、背後にスモークが噴き出す演出がなされ、“工場の街”が舞台のこの歌を、よりリアルに客席へ届けていた。

アンコールも凄かった。というか、ここで演奏された2曲は、ファン・クラブ会員の人達から寄せられたリクエスト上位2曲であった。まず演奏されたのが、「YAH YAH YAH」。ただし歌う前、Chageは「ハモリのパートしか僕には出来ないけど…」と念を押した。だから主メロ部分は「ぜひみなさんで歌って欲しい」。そしてイントロとともにまばゆいライトがステージから客席へ降りてくる、そう、“あの雰囲気”に…。見事、観客達の大合唱とともに(Chageの表現を借りれば)この曲を“成立させて”みせたのだった。でも前述したが、この日のステージはライヴ音源として残す予定ということなので、実にメモリアルなものにもなることだろう。最後はもちろん「WINDY ROAD」。お客さんが持参した無数の紙飛行機が、(客席後方からの長めだと)イナゴの大群のような生命力でChageのいるステージへと飛んで行った。

アンコールの最後には、新しく購入したというアコースティック・ギターの弾き語りで、未だ音源化されてない新曲を披露してくれた。これはChage版「マイ・ウェイ」とも言える内容に思えた。ちなみに「マイ・ウェイ」という曲を、来し方行く末で言うなら“来し方”に重きを置いて解釈するヒトもいるけど、明らかにこの新曲は“行く末”にこそ幸あれ、な、歌として僕には響いた。なお、築地移転問題が連日報道されているなかでのPIT公演であり、彼はMCの中で、「いま、いちばん話題の豊洲へようこそ!」と、そんな時事ネタも披露していたが、喋りが面白いChageというのはさほど発揮せず、音楽で、いま、まさに彼がやりたかった音楽で、堂々最後まで完走してみせたのが今回のツアーだった。しかしこのヒト、最初から最後まで、声がべらぼうに強靭に出てた。近いうち、またステージで会いたいものである。

取材・文/小貫信昭

Chage Live Tour2016 〜もうひとつのLOVE SONG〜@豊洲PIT 2016.9.16 セットリスト

01 &C
02 Hurray! Hurray!
03 アイシテル
04 迷い猫のシャッフル ★
05 Reason ☆
06 春の雪
07 空飛ぶ電車とパンケーキ ★
08 夏の終わり ★ ☆
09 SOMEDAY
10 もうひとつのLOVE SONG ★
11 GO! GO! GO!
12 ふたりの愛ランド
13 ロマンシングヤード ☆
14 NとLの野球帽 ★ ☆
[ENCORE]
15 YAH YAH YAH ☆
16 WINDY ROAD
17 遠景
★アルバム「Another Love Song」収録曲 ☆C&A曲

プロフィール

Chage


1979年チャゲ&飛鳥としてデビュー。現在はソロとして活動中。2016年は「Another Love Song」を8月10日リリース、8月24日から行われた「Chage Live Tour2016 〜もうひとつのLOVE SONG〜」を大盛況のうち終了。今後はクリスマスディナーショーが予定されている。
公式サイト:http://chage.jp/

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