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藤井フミヤがライブツアーをスタート。独占インタビュー!

藤井フミヤがライブツアーをスタート。独占インタビュー!

アルバム『大人ロック』を提げたツアー。フミヤが考える音楽的エンターテイメントとは?

取材・文 / 平山雄一

藤井フミヤの“ツアー2016 大人ロック”のライブを、川口総合文化センター”リリア メインホール”で観た。 9月10日、大阪のフェスティバル・ホールから始まったツアーは、川口で3本目。ライブに関しては超ベテランのフミヤだけに、ツアー序盤にどんな戦略をもって臨むのか、興味をそそられる。そこでライブ終了直後のインタビューを申し込んでみたところ、何と引き受けてくれるという。異例の独占インタビューを、ライブレポと合わせて楽しんで欲しい。 0032_medium

7月にリリースしたニューアルバム『大人ロック』は、クリエイター・フミヤの今の時代に対するメッセージが多く含まれていたので、その意味でも重要なライブになると想像して足を運んだ。果たして、川口のライブは、インスピレーションに富む内容となった。

バンド・メンバーはいつもの5人。ギターは石成正人と友森昭一、キーボードは松本圭司、ベースは有賀啓雄、ドラムは屋敷豪太だ。全員がきちんとしたスーツを着ている。同じくスーツを着たフミヤが、バンドを「ザ・ホテルマンズ!」と紹介すると、客席からは納得の笑いが起こる。設定は、屋敷がホテルのバーのバーテンダー、松本がコンシェルジュ、友森がポーター、石成がシェフ、バンマスの有賀が総支配人、そしてフミヤがフロントマンだ。

この5人がバックを務めると、大人のビートになる。たとえば『大人ロック』の中でもコンセプチャルな「この空の真下で」は、シリアスなメッセージがきちんと届く。さすがにホテルマンズだ!(笑)。が、フミヤはMCでこう言い始めた。

「今日のライブは、いろんなバンド編成で聴いてもらいます。まずは4ピースのバンドから」。キーボードの松本がいったんステージを去って、2ギターとベース&ドラムのバックでフミヤが歌う。オールディーズ風味の『大人ロック』ナンバーの「Cherie」がカッコいい。

さらにギターの石成が去って、ギター・トリオになる。3人をバックに歌った「嵐の海」は、奥田民生がフミヤに書き下ろした曲。シンプルなロックンロールだけに、ギター・トリオのバックがとても映える。フミヤはライブに“オ遊び”の要素を入れるのがとても上手だが、今回のツアーの“遊び”はこの“バックの変化”なのだ。それも、ただ音楽性を押し付けるのではなく、パフォーマンスにもそれを反映させる。たとえばこの「嵐の海」では、3人のメンバーの前でセクシーなアクションを交えて踊りまくる。ギター・トリオのボーカルとして、歌うだけでなく、どう見せるかを知っているフミヤだからこその見事なパフォーマンスとなった。

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「座ってください。ゆっくり休んでください」と言いながら、フミヤはわざと「ハァハァ」する(笑)。 「『大人ロック』を作って、取材で何回も“フミヤさんにとって、大人って何ですか?”って聞かれたけど、結局。わからず仕舞いでした。まあ、心の余裕ですかね」。

究極の編成は、フミヤたった一人での弾き語り。ここで歌ったのは、フミヤがリスペクトするアーティストのラブソングのカバーだった。もしかしたら日替わりで選曲が変わるのかもしれない。このパートは弾き語りらしく、フミヤが自由に歌っていいコーナーなのだろう。

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その他、ピアノとアコギだけのバックや、ギター・トリオとはまた違う楽しみのあるピアノ・トリオでのバックなど、その歌に最適な編成のバリエーションが繰り出される。アコースティック・ライブのテイストもあれば、ロック・コンサートの味わいもある。とても贅沢な、変化に富んだライブとなった。

もちろん5人全員が揃うパートでは、分厚い演奏がフミヤの歌を思い切り後押しする。小編成のパートがあるからこそ、フルバンドのサウンドがよけいに楽しめる。 『大人ロック』でいちばん笑った「どっちでもいいよ」は、やはり5人のサウンドがよく似合う。いわゆる“腐れ縁”ともいえる関係の男女の、投げやりだけど切ないナンバーが、見事に“大人のロック”として演奏されていた。
また『大人ロック』でいちばんポップな「GIRIGIRIナイト」は、オーディエンスがフミヤと同じ振り付けで踊って楽しんでいた。

このバリエーション豊かなライブは、本当にさまざまな世代に音楽の楽しみを届けることができるライブだと思う。ツアー序盤であっても、フミヤは丁寧な部分は丁寧に、遊ぶところは思う存分遊んで、オーディエンスと一緒に楽しんでいた。このツアーは今後、どんな風に進化していくのだろう。ますます期待がつのるライブだった。

そしてアンコールが終わって、わずか20分後、藤井フミヤはすっきりした表情でインタビュー・ルームに現われたのだった。

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<藤井フミヤ 独占インタビュー>

いまどきの“歌わないで踊るだけの人たち”を見ていて、ちょっと思うところがあって(笑)。

お疲れ様でした! 早速ですが、今回のライブは曲によってはギター・トリオなどの小編成で歌う場面があって、フミヤさんにかかる負担がすごく大きいなと感じました。そして、その“引き受けている感じ”がすごかった。

藤井 なんかね、自分にとっての音楽的なエンターテイメントを考えたいなと思って、こういう内容のライブにしたんだよね。いまどきの“歌わないで踊るだけの人たち”を見ていて、ちょっと思うところがあって(笑)。

(笑)そういう意味では、今回はちゃんと歌って踊るっていう。

藤井 そうね。

『大人ロック』の曲をやりながら、それを音楽的に見せたいと?

藤井 うん。『大人ロック』自体、「愛しいゴースト」とか、もともと3ピースでレコーディングした曲もあるし。だからライブでも3ピースでできる。逆に言えば、俺のライブのバンドは、3人になろうが2人になろうが演奏できるメンバーだから、今回のライブができてるっていうのもあるんだよ。

ライブの構成は、どんな風に考えていったんですか?

藤井 アルバム『大人ロック』の曲は、絶対にやらなきゃいけない。でも新譜だから、言ってみたらお客さんにとっては“知らない曲”じゃないですか。だから『大人ロック』の曲をコンスタントに入れて、その間には知った曲を入れていったんだよね。

たとえばギタートリオで『大人ロック』の曲を1曲やったら、昔の曲も同じ編成でやってみたり?

藤井 そうそう。それが音楽的エンターテイメントになってる。で、ライブの最初と最後だけバンド全員でやるっていう。うまい具合にハマっていると思う。

ハマってましたね。でも、だからフミヤさん自身が背負う部分が大きいライブだなと感じた。

藤井 そんなに休めないというかね(笑)。

で、やっぱり、しんどいの?(笑)

藤井 歌も踊りも音楽的な部分も、そんなにしんどくはないよ。でも、少ない編成だから、表に出ている音がどれくらいスカスカに聴こえてるんだろうなっていうのは気を遣ってるね。でもね、正直、3ピースで歌うのは、潔くてすごく気持ちいい。それが今回の狙いでもあるんだけど。

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ところで、今回のスーツの衣装のアイデアは、どこから出てきたんですか?

藤井 たまたまジェームス・ブラウンのドキュメント映画(『ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王 ジェームス・ブラウン』)を見に行ったのがいけなくて(笑)。映画の中のインタビューで、JB(ジェームス・ブラウン)が「なぜ俺たちはライブでスーツを着るのかわかるか? 着ると神聖な気持ちになるんだよ」って言うわけ。それを聞いて「ああ、そっか」って思った。いまどき、そういうのはありかなと思って。最近の人たちって、ライブで普通に私服っぽいものを持ってきて、バラバラで着てたりする。でも、なんか面白味がない。今回のツアーは“大人ロック”だから、スーツは大人っぽくていいんじゃないのって。最初は「馬子にも衣装」みたいになってるなと思ったんだけど(笑)。バンドにホテルマンズって名前をつけたら、妙にしっくりきたんだよね。

豪太さんはバーテンだし。

藤井 昭ちゃんはポーター(笑)。でも、彼は人気者のポーターっぽくていいんだよね。いつもは半ズボンなのに、今回は長ズボンをはいてる。長ズボンをはいたのって、いちばん最初のツアーのとき以来、2回目じゃないかな。

今日3本目が終わって、ツアーの立ち上がりの感触はどうですか?

藤井 まだ3本目なんだけど、少しずつつかんできた感じがする、自分のキャラを。

今回のライブで演じなきゃいけない、自分のキャラ?

藤井 そう。藤井フミヤではあるんだけど、今回の衣装に合ったキャラっていうか。あんまりキレイに着ちゃいけないんだなってのが今日わかった(笑)。やさぐれバンドボーイみたいな感じのほうがいいのかなと。

「GIRIGIRIナイト」は、ちゃんと振りが付いてる。

藤井 あれは春のファンクラブ・ライブでやったら、ファンがみんな急にやりだして。じゃあ、このツアーでもやるしかないなと思って。きっと見に来てくれる人たちは、ああいうのが楽しいんだろうね。

楽しかったです(笑)。

藤井 このツアーはあと29本あるから、もっともっと育てていきます。

どんな風に育つのか、また終盤戦にレポートをやりたいですね。

藤井 また来てください。

ありがとうございました。

ライブ情報

FUMIYA FUJII CONCERT TOUR 2016 大人ロック

9月24日(土) 福岡サンパレス
10月1日(土) 岩手・盛岡市民文化ホール
10月2日(日) 東京エレクトロンホール宮城
10月5日(水) 東京・Bunkamuraオーチャードホール
10月6日(木) 東京・Bunkamuraオーチャードホール
10月8日(土) なら100年会館 大ホール<追加公演>
10月15日(土) 兵庫・姫路市文化センター
10月16日(日) 香川・サンポートホール高松
10月22日(土) 神奈川県民ホール
10月23日(日) 神奈川県民ホール
10月26日(水) 東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
10月28日(金) 大阪・岸和田市立浪切ホール
10月31日(月) 東京・中野サンプラザ
11月3日(木) 広島・JMSアステールプラザ
11月4日(金) 愛知県芸術劇場
11月6日(日) 茨城・常陸大宮市文化センター ロゼホール
11月10日(木) 神奈川・厚木市文化会館
11月12日(土) ロームシアター京都 メインホール
11月13日(日) 神戸国際会館 こくさいホール
11月17日(木) 北海道・幕別町百年記念ホール
11月19日(土) 北海道・北斗市総合文化センターかなで~る
11月20日(日) 青森・弘前市民会館
11月23日(水) 三重県文化会館
11月26日(土) 千葉・市川市文化会館
11月27日(日) 千葉・市川市文化会館
12月2日(金) 大阪・フェスティバルホール
12月3日(土) 大阪・フェスティバルホール

プロフィール

藤井フミヤ

1962年7月11日、福岡県生まれ。’83年 チェッカーズとしてデビュー。’93年に「TRUE LOVE」をリリースし、以降ソロアーティストとして活動。2016年、4年振りとなるオリジナルアルバム「大人ロック」をリリース。9月より2年振りの全国ツアー「Fumiya Fujii CONCERT TOUR 2016 大人ロック」を開催中。また年末には福岡でのクリスマスライブ、日本武道館でのカウントダウンライブが決定している。
オフィシャルホームページ http://www.fumiyafujii.net