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『ダライアス コズミックコレクション』で振り返るシリーズの功績

『ダライアス コズミックコレクション』で振り返るシリーズの功績

ハーフミラーを利用した専用筐体による多画面表示、重低音に合わせて振動するボディソニック、水棲生物をモチーフにした巨大なボスとの死闘……。1986年、タイトーから発表された横スクロールシューティングゲーム『ダライアス』の特徴は、一度遊んだことがあるプレイヤーならば、誰しもが口を揃えて上記の3点を挙げるだろう。
それから2年後には『ダライアスII』が誕生。1990年代に入ってからは1画面になったものの、『ダライアス外伝』と『Gダライアス』が生み出されたほか、家庭用機のオリジナルタイトルもいくつか作られるなど、『ダライアス』シリーズは30年以上にわたってゲーマーたちに愛されている。
そんな『ダライアス』シリーズの代表的タイトルをまとめたNintendo Switch用ソフト『ダライアス コズミックコレクション』が2月28日に発売された。本作はアーケード版の『ダライアス』、『ダライアスII』、『ダライアス外伝』、そして『ダライアスII』の海外版である『サーガイア』を収録した“通常版”に加え、家庭用機への移植とオリジナルタイトルを含めた“特装版”の2種類が用意されている。そのなかから今回は”通常版“に収められているアーケード版の4タイトルをピックアップし、アーケード版『ダライアス』シリーズがプレイヤーに与えた衝撃とファンに支えられている魅力を紹介しよう。

文 / クドータクヤ


3画面筐体というインパクトを与えた『ダライアス』

自機・シルバーホークを操作し、宇宙洞窟や海底基地といったステージが用意されている全26ゾーン(A~Z)のなかから7ゾーンを進行し、クリアを目指すというルールになっている。分岐されているルートをプレイヤー自身で選択できるシステムは、初代『ダライアス』をあまり遊んだことがない、または今作で初めて遊ぶという若年のプレイヤーにとっては「他にどんなステージがあるんだろう?」と、探究心や好奇心を掻き立てられるはずだ

▲特定の敵機を倒すと、自機・シルバーホークのパワーアップアイテムを獲得できる。赤(ミサイル・対空ショット)、緑(ボム・対地ミサイル)、青(アーム・シールド)のアイテムをそれぞれ8個取得すると威力や耐久力がグレードアップするので、取り逃がしは避けたい

▲ゾーンのボスを倒すと、上下に分岐したルートが登場。この地形には当たり判定があるため、うっかり突っ込んでミスしてしまうのは誰もが一度は経験する

冒頭でも記したが、初代『ダライアス』の魅力といえばやはり多画面表示である。専用筐体に搭載された3つのブラウン管モニターのうち、ひとつをハーフミラーで反射させることで切れ目のない横長の画面構成を実現。洞窟や海底といった雄大で自然あふれるステージバリエーションを展開し、シーラカンスやマッコウクジラといった生物をモチーフにした巨大ボスとの戦闘には手に汗を握らされる。しかし、経年劣化や整備不良によってモニター位置がズレてしまい切れ目が生じるケースも多かったが、この『ダライアス コズミックコレクション』では“モニターの境目”をあえて表示できるオプションが付いており、旧来のファンにとっては懐かしさをより一層誘う仕上がりになっている。
ボス登場時の警告音、そして撃破後の爆発音とともにシートの振動がシンクロするという体感型の演出は、ゲームへの没頭感をより高めてくれる。残念ながらjoy-conの振動機能は省かれているが、一度でも専用筐体で遊んだことのあるプレイヤーであれば、足腰を通じてあの振動を思い起こせるだろう。

▲マッコウクジラを模したラスボスのGREAT THINGは『ダライアス』シリーズの象徴といえる存在で、『ダライアスII』を除いたほとんどのタイトルに登場し、最後の壁としてプレイヤーを待ち構えている……

『ダライアス コズミックコレクション』には、稼働当初のいわゆる“OLDバージョン”に加え、ゲームバランスを調整した“NEWバージョン”と“EXTRAバージョン”が収録されている。OLDバージョンは、自機・シルバーホークの攻撃グレードによってボスの耐久値が上昇してしまうので、カジュアルに遊ぶなら“NEWバージョン”、やり込みたいというゲーマーには“EXTRAバージョン”をぜひおすすめしたい。世代によって「懐かしい」と「こんなゲームだったのか!」が見事に二分する初代『ダライアス』。シリーズの礎となったタイトルが持つ約30年の重みを体験してほしい。

戦艦大和にアジの開き!?『ダライアスII』の変化球的アプローチ

多画面表示とボディソニックによる専用筐体はそのままに、太陽を皮切りに地球を経て木星軌道までの太陽系を舞台とし、前作よりもステージ演出に力を入れた『ダライアスII』。一部のステージ道中にはトーチカが設置され、破壊するとキノコ雲をモクモクと上げて画面内の敵を一掃するという豪快なシステムも追加された。

もっともユニークなポイントは、ボスのデザインだ。基本的にはミノカサゴ、ウツボ、タコといった水棲生物を主軸にしつつ、戦艦大和を住処にするヤドカリ、マザーホークと題された巨大なシルバーホーク、さらには胎児やアジの開きなど、生物だけにとどまらないバリエーションが用意されており、初代『ダライアス』のイメージを踏襲しながらも、単なる続編というスケールには収まらないほどのアイディアが詰め込まれている。
惜しむらくは、一度でもミスをするとせっかくパワーアップしたショットが初期状態に逆戻りするというゲームバランスが、ややシビアすぎる印象だ。また、前作とは違い、特定の敵機編隊を全撃破することでパワーアップアイテムが出現するという方式に変更されたことで、敵機全体の攻撃が激しくなる中盤以降になると戦略のリカバリーがしづらく、残機でゴリ押しできるほど容易くはないため、ミス=リスタートという構図に陥りやすい……。
ただ、『ダライアス コズミックコレクション』では難易度を変えて遊ぶことができるので、まずはNORMALに比べてパワーアップアイテムが多く登場するEASYでカジュアルに楽しむことをおすすめしたい。もっとも本来意図していた難易度はEASYだったという開発者のコメントもあることから、この機会に『ダライアスII』のポテンシャルに改めて触れてみるのもいいだろう。

▲『ダライアスII』はオリジナルの2画面版と、『ダライアス』筐体を再利用するための3画面版が存在しているが、本作には2画面版が収録されている

▲Zゾーンのボス“マザーホーク”と、Vゾーンのボス“バイオストロング”。ラスボスには生命の神秘を感じさせられる

▲最終ステージのXゾーンをノーミスでクリアすると、”来年はダライアスIII“の文字が。だが、続編となる『ダライアス外伝』の登場まで約5年の月日を要することに……

『ダライアス コズミックコレクション』には、『ダライアスII』の海外版である『サーガイア』のバージョン1・2も併せて収録されている。タイトルが違うだけではなく、1ゾーンの長さやステージ背景、道中の敵配置、そしてボスの攻撃パターンの一部を激しくしており、その手触りはまったくの別物に仕上がっている。トリッキーに飛来する敵機の数々や、ボスの攻略パターンの差異にぜひ驚いてみてほしい。ちなみにバージョン2は市場に出回ったかどうかも確認されていない超レアタイトルであることから、今回こうして遊べるのはファンとしても非常に嬉しいポイントだ。

▲全身をパカっと開き、ミサイルを撃ってくるボスの”キラーヒジア“。逆から読むと、”アジの開き“になる。ユーモアのあるボスデザインにも目を引かれる

▲パッと見は『ダライアスII』に似ているが、手応えのありすぎる調整に思わず熱が入ってしまう『サーガイア』のバージョン2

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