小田和正『あの日 あの時』特集  vol. 12

Interview

KAZUMASA ODA TOUR 2016 “君住む街へ” バンドメンバーインタビューPart.8(最終回):堀沢真己

KAZUMASA ODA TOUR 2016 “君住む街へ” バンドメンバーインタビューPart.8(最終回):堀沢真己

小田和正『あの日 あの時』特集Part.XⅡ

KAZUMASA ODA TOUR 2016 “君住む街へ”
バンドメンバーインタビューPart.8(最終回):堀沢真己

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取材・文 / 小貫信昭 撮影 / 菊地英二

4月30日に静岡エコパアリーナからスタートしたツアーも、残すところあと僅か。まもなく国立代々木競技場第一体育館での二日間が始まる。ほんの数日前、小田は69歳の誕生日を迎えた。そして我々は、その充実のステージに触れ、「69歳には思えない」と呟いたりする。でも“思えない”といいつつ、具体的に何(誰)を思い浮かべてそう呟くのかというと、甚だ曖昧である。それでもこの先も、“思えない”は更新されていくような予感がする。ただ、常々「ルーティン・ワークには陥らずに…」とも発言して来た小田なので、これまでとはまた違う形も含め、果たされていくのかもしれない。
さて、小田のツアーを支える8名のミュージシャンへのインタビューも、今回が最終回となった。チェロの堀沢真己の登場である。

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堀沢さんの過去のインタビューを拝見したら、バンド組んでベースを担当してたこともあったそうですね。

堀沢 やってましたよ。僕はクラシックをやってたわりに寄り道もしてましたからね。

寄り道と仰いましたけど、いま思えばそれも良い経験だった、みたいなことは?

堀沢 それは思います。色々なことやってきたから、クラシックしか知らない人達よりは、いいことも一杯ありますよね。単純に“コード”ということが分かるし、あとリズムということでも、ベース・ドラムのグルーヴの仕方、とかも…。

ちっちゃい頃からピアノやってきた人が、バンドを手伝うことになったのはいいけど、「コードって何?」、みたいな話、よく聞きますね(笑)。

堀沢 例えば[ディミニッシュ]と言った場合、もちろんクラシックの人も、音の並びを説明してもらえば分かることなのですが、普段そういうふうに“コード”としては意識してないわけで、その点、すぐ理解出来れば、仕事のディスカッションも早く済みますから。

小田さんのステージで演奏する時、心掛けていることはありますか?

堀沢 もともと我々の演奏している弦楽器というのは、よりボーカルに近いというか、出した音を萎ませずに継続させて、途中、音色も変えていけるので、様々な感情を表現出来るわけなんです。なので“悲しい”と“寂しい”と“侘しい”があったとしたら、その差をいかに体現できるか、ということは、演奏しながら心掛けていることですね。感情が内向きにいくか外向きにいくかも、音色で表せるようにしないといけない…。でも、特に小田さんの作品で言うなら、“切ない”、というのが難しい。小田さんには多い感情だと思うし、それはどういう音色を使えばお客さんに届くのか…。

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なるほど…。

堀沢 ただ“悲しい”だけじゃない“切ない”を、どう音色にするかの技術的な組み立てとかは、いろいろやっている積もりですが。

もし1曲挙げさせて頂き、「言葉にできない」だとしたら、どうでしょうか。

堀沢 これは僕の解釈ですが、あの曲は各パートで役割が違うと思うんです。ビオラやチェロは、まさにすべての感情が圧縮したかのような“言葉に出来ない”気持ちを表現しているんですが、ファースト・バイオリンだけは、別のところに居る気がしますね。まあ、“救いを求める”というと大袈裟かもしれないですけど、人間には、突き詰められていくと、どこかで光を求めたくなる、みたいなところがあって、そんな感情が、ずっとファースト・バイオリンには流れてる。しかもそれを、感情豊かに、というより、淡々と演奏していく。そこが我々とは違うところじゃないですかね。あとセカンド・バイオリンも、途中からそんな演奏になっていくのかもしれませんけど…。

いっけん相反するような感情が、4人のなかに内包されるわけですね。

堀澤 もしこれを、弦カルの4人がワーッと内向的に、まさに“言葉にできない”気持ちで演奏していったのなら、相当違うものになりますよ。ただただ、重たいものになると思うんです。

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重たいだけなら、何度も聴きたいとは思わないですからね。

堀沢 音楽に限らず、例えば映画にしたってそうだと思うんです。悲しいだけなら、なかなか物語に入っていけない。きっとどこかに、明るい部分も薄く入っているからこそ、だと思うんですよね。「言葉にできない」にも、そんなところがあるんじゃないでしょうかね。

最後にツアーの手応えを…。

堀沢 お客さんに凄く喜んでいただいてますし、私もメンバーのひとりであることを光栄に思ってます。ステージからも、その様子が間近に見えますし、会場には幅広い年代の方々がいらっしゃっていて、普段はそれほどコンサートには出掛けて行かないように見える方も含め、楽しんで頂けているのが本当に嬉しいです。

確かに、小田さんのファンは幅広いですよね。

堀沢 様々な想いがあって、会場まで来てくださるんでしょうけど、そもそも小田さんの曲って、歌詞に難しい言葉は使わないし、それほど言葉も多くないじゃないですか? でも、だからこそ、ひとつの言葉にみんなが想いを乗せられるし、色々な感じ取り方も出来るんだと思うんですよ。これが逆に、言葉が並びすぎてたりすると、かえって“シバリ”も出てくるし、歌詞に比喩的な表現を使いすぎると、聴いてるほうが想いを乗せづらかったりもしますからね。小田さんは誰でもわかるような言葉を選んでらっしゃるので、そういうところは僕も、“凄くいいなぁ”と思うんですよね。

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歌詞の話、もう少し聞きたくなってきたんですが(笑)。

堀沢 小田さんは、比喩的なものというより、みなさんの中にも“感覚としてある”ような言葉を選んでらっしゃるので、一緒にプレイしてても、僕自身の気持ちもそこに乗っかる、ということがよくあって、だからコンサートやってても、“お客さん”になっちゃうことがあるんですよ。お客さんの立場になっちゃう。なので……、“落ちる”ってわかります?

いえ、わかりません。

堀沢 たまに自分が弾くとこ忘れちゃって、小田さんと一緒に歌っちゃってる…、みたいなことにもなるんです。だから気をつけないといけない。それほど自然に入り込んじゃうんでしょうね。

あ、“落ちる”ってそういう意味なんですね(笑)。名は体を、ならぬ、作品は体を表わすとしたら、さてどうでしょう。「実際の小田和正がこういう人だからこそ、こんな作品が生まれるんだな…」、的なことでいうと…。

堀沢 ご本人は、わりと普段はラフな感じというか、“おまえなぁー”みたいに、体育会系なんですよ。そうは見えないかもしれないけど…。ただ、それでいてそんな言葉の端々にも、優しさをすごく感じる。だから歌詞の言葉の選び方にも、そういうところは出てるんだな、という気はしますね。“相手のことを思いやる”というスタイルを、どの曲からも感じますよね。これだけ長いことアーティストをやっていて、常にその気持ちを持ち続けているのは凄いことだなぁと思います。

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堀沢真己 Masami Horisawa (Cello)

桐朋学園大学を卒業後、クラシック奏者として独奏、室内楽等の演奏活動と共に、レコーディングミュージシャンとしての活動を開始し、数々のCD、大河ドラマ等の劇伴、映画、CM、多方面のアーティストのコンサートに参加と、幅広い活動をしている。

All Time Best Album
あの日 あの時

あの日 あの時

FHCL-3005 ~ FHCL-3007 ¥3,611+税
【初回仕様限定盤】
・デジパック仕様
・特製ギターピック封入(2種(「あの日あの時ver.」or「君住む街へver.」)から1種ランダム封入)
*本人直筆のタイトル「あの日あの時」or「君住む街へ」がピックに印刷されています。

日本人に長き渡り親しまれ、J-POPシーンのトップとしてそれぞれの時代を駆け抜け数々の記録を打ち立ててきた小田和正。1969年オフコースを結成し、翌70年プロとして音楽活動を開始、「さよなら」「言葉にできない」などのヒット曲を発表、今作にはオフコース時代のセルフカバー作品に手を加え多数収録。89年2月オフコースを解散後、ソロアーティスト活動を再開。1991年270万枚を超える大ヒット作となった「ラブ・ストーリーは突然に」明治安田生命CM曲でのヒット曲「たしかなこと」「今日もどこかで」やSUBARU ブランドCM タイアップソング「wonderful life」や、5月から全国東宝系にてロードショー公開される映画『64-ロクヨン-前編/後編』の主題歌「風は止んだ」も初CD化。まさに43年に渡る小田和正の創作活動の軌跡をたどった、珠玉の50曲を収録。

【DISC 1】

  1. 01. 僕の贈りもの
  2. 02. 眠れぬ夜
  3. 03. 秋の気配
  4. 04. 夏の終り
  5. 05. 愛を止めないで
  6. 06. さよなら
  7. 07. 生まれ来る子供たちのために
  8. 08. Yes-No
  9. 09. 時に愛は
  10. 10. 心はなれて
  11. 11. 言葉にできない
  12. 12. I LOVE YOU
  13. 13. YES-YES-YES
  14. 14. 緑の日々
  15. 15. たそがれ
  16. 16. 君住む街へ

【DISC 2】

  1. 01. 哀しみを、そのまゝ
  2. 02. between the word & the heart-言葉と心-
  3. 03. 恋は大騒ぎ
  4. 04. ラブ・ストーリーは突然に
  5. 05. Oh! Yeah!
  6. 06. そのままの 君が好き
  7. 07. いつか どこかで
  8. 08. 風と君を待つだけ
  9. 09. 風の坂道
  10. 10. それとも二人
  11. 11. my home town
  12. 12. 真夏の恋
  13. 13. 伝えたいことがあるんだ
  14. 14. 緑の街
  15. 15. woh woh
  16. 16. the flag
  17. 17. キラキラ

【DISC 3】

  1. 01. たしかなこと
  2. 02. 大好きな君に
  3. 03. 明日
  4. 04. 風のようにうたが流れていた
  5. 05. ダイジョウブ
  6. 06. こころ
  7. 07. 今日も どこかで
  8. 08. さよならは 言わない
  9. 09. グッバイ
  10. 10. やさしい雨
  11. 11. 東京の空
  12. 12. その日が来るまで
  13. 13. 愛になる
  14. 14. そんなことより 幸せになろう
  15. 15. やさしい夜
  16. 16. wonderful life
  17. 17. 風は止んだ

小田和正スペシャルサイト:http://www.kazumasaoda.com/

オフィシャルHP:https://www.fareastcafe.co.jp/

小田 和正 (おだ かずまさ)

1947年9月20日生 神奈川県横浜市出身

東北大学工学部、早稲田大学理工学部建築科修士課程卒業
1969年オフコース結成。翌70年プロとして音楽活動を開始、「愛を止めないで」「さよなら」「Yes-No」などのヒット曲を発表する。
82年には日本武道館連続10日間公演を実施、それまでの記録を塗り替えた。日本の音楽シーンに様々な記録を残しつつ、89年2月、東京ドーム公演を最後にオフコース解散。その後、プロデュース活動を経てソロとしてアーティスト活動を再開。91年に発表したシングル「ラブ・ストーリーは突然に」は270万枚を超える大ヒット作となった。また映画やテレビの特別番組など映像監督としても活躍し、これまでに「いつか どこかで」(92年)、「緑の街」(98年)の2本の映画監督作品を発表している。2001年からは毎年12月に「クリスマスの約束」と題した音楽特番を放映(TBS)、好評を博している。
2008年4月5日を皮切りにスタートした全国ツア―「今日もどこかで」は、ドーム4公演を含め、全国で53万人を動員する記録的なものとなった。そして、2011年4月20日6年ぶりのオリジナル・アルバム『どーも』発表。業界紙オリコンにてチャート1位を記録。5作連続、通算9作目のアルバム首位を獲得し、自身の持つアルバム最年長1位記録を更新した。同年5月7日長野BIG HATを皮切りに、5大ドーム8公演を含む全国31会場59公演総動員74万人、1年に及ぶ全国ツアーを実施した。
2013年4月24日に約2年5カ月ぶりのニューシングル「その日が来るまで / やさしい風が吹いたら」の両A面シングル発売。さくらの植樹活動を通じて震災を風化させないように取り組む「東北さくらライブプロジェクト」の活動を支援するコンサートは、今後も継続的に実施してゆく。同時期ベストアルバム「自己ベスト」が発売から足掛け11年で500週目のランクイン(=TOP300入り)を果たす史上初の快挙を成し遂げた。
7月2日9枚目のオリジナル・アルバム『小田日和』リリース。同年25会場50公演の37万人動員の全国ツアーを実施。
2016年ベスト・アルバム『あの日あの時』を発売。また、全国ツアー『明治安田生命Presents KAZUMASA ODA TOUR2016「君住む街へ」』を2016年4月30日(土)の静岡エコパアリーナからスタートさせた。

ツアースケジュール

【明治安田生命Presents 「KAZUMASA ODA TOUR2016 君住む街へ」】
4/30(土)・5/01(日)静岡エコパアリーナ
5/07(土)・5/08(日)四日市ドーム
5/14(土)・5/15(日)別府ビーコンプラザ
5/21(土)・5/22(日)函館アリーナ
5/28(土)・5/29(日)富山市総合体育館 第一アリーナ
6/07(火)・6/08(水)神戸・ワールド記念ホール
6/14(火)・6/15(水)さいたまスーパーアリーナ
6/21(火)・6/22(水)朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター
6/30(木)・7/01(金)東京体育館
7/06(水)・7/07(木)盛岡市アイスアリーナ
7/13(水)・7/14(木)北海道立総合体育センター 北海きたえーる
7/23(土)・7/24(日)さぬき市野外音楽広場テアトロン
7/30(土)・7/31(日)宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
8/05(金)・8/06(土)ビックパレットふくしま
8/11(木・祝)・8/12(金)出雲ドーム
8/17(水)・8/18(木)マリンメッセ福岡
8/24(水)・8/25(木)大阪市中央体育館
8/30(火)・8/31(水)名古屋・日本ガイシホール
9/6(火)・9/7(水)大阪城ホール
9/17(土)・9/18(日)広島グリーンアリーナ
9/27(火)・9/28(水)国立代々木競技場第一体育館
10/09(日)・10/10(月・祝)高知県立県民体育館
10/18(火)・10/19(水)横浜アリーナ
10/29(土)・10/30(日)宜野湾海浜公園屋外劇場
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