Interview

ASKAが「今が一番いい」と語る。35年ぶりの散文詩集発売&“- 40年のありったけ –”ツアー追加公演について

ASKAが「今が一番いい」と語る。35年ぶりの散文詩集発売&“- 40年のありったけ –”ツアー追加公演について

2月6日にスタートした、ASKA待望のバンドツアー〈ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA – 40年のありったけ -〉。さっそく観に行ったが、“40年のありったけ”の意味が、全編に響きわたる内容だった。お馴染みの名曲がツヤツヤと響く一方、新曲は昔からの友人であるかのように耳に馴染んでいた。そしてなにより、お客さんと良いバイブレーションを醸し出す、ステージングの巧みさが光っていた。このツアーは各地で評判を呼び、東京・大阪・名古屋での、追加公演も決定した。
さらに注目すべきは、前作『オンリー・ロンリー』から実に35年ぶりとなる、書き下ろしの散文詩集『ASKA書きおろし詩集』が発売されることだ(3月22日発売)。ファンの方はご存知だろうが、彼は折りに触れ、“歌詞”とは別の文字表現の場として、散文詩を好んできた。それが今回一冊にまとまったのだ。
話題豊富である。でもまずは、これまでの流れも踏まえつつ、久々のステージとなった、昨年の〈billboard classics ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018-THE PRIDE-〉のことから訊くことにした。

取材・文 / 小貫信昭

臆することなく歌う、蓄えてきたすべてをお見せする

まずは昨年の「billboard classics」ですが、冒頭にオーケストラで演奏された「On Your Mark」からして、もう、胸が一杯になりましたよ。

皆さんからもそう言っていただけました。僕としては“On Your Mark”=“さぁいくぞ”という、導入にふさわしいかなという思いでした。そして、歌としての1曲目。「熱風」も、“曲順の意図がよくわかった”と書いてくださっていたレポートが多くて……。

これから船を漕いでいく歌ですからね。

ただ、曲順に関しては、“狙い”というより、曲の色合いを考えつつ、感覚的に並べていったところが大きかったんです。コンサートには流れがあって、でも、ただまっすぐに流れていくだけじゃなく、途中、“気持ちのいい揺らぎ”というか、そういうものをあえて設けることも必要だと思っているので。これは僕のコンサートスタイルでもあって、今、進行中のバンドツアーにも共通することですね。最終的にどの曲に向かっていくライヴなのか? そこまでの流れを作りたいので。「billboard classics」はタイトルも“PRIDE”でしたし、そこに向かってのものになりましたが、今やっているツアーでも“どの曲に向かって”ということは、同じなんですよ。

バンドツアーのタイトル、“ありったけ”という言葉の意味は、どう捉えていたんですか?

ツアータイトルを付けたのは、まだ選曲もしていなかった段階なんですね。そのときは、自分で作った曲に関しては、CHAGE and ASKAもソロも憶することなく同じように歌うという意味の“ありったけ”でした。でもやはり、ふたりの曲には特別の愛情を持ち続けてくれている方々もいて、そのあたりはデリケートにならなければ……。そういうことにも敏感になりつつ、やれるだけのことをやろうと。そうした意味での“ありったけ”なんですよ。

単なる“ベスト選曲”ではない、と?

皆さんがご存知の曲を並べるだけでは、単なる“シングルベスト”ですから。そうはならないようにしつつ、でもこの40年間のステージングを通じて蓄えてきた術(すべ)のすべてをお見せする、というか……。そんな意識もありました。

これはネタバレにはならないと思うのですが、今回はコンサートの途中に、みんなが楽しみにしているコーナーがあるのだとか?

その土地その土地で、イベンターさんと相談して、名物や銘菓とタイアップしての“もぐもぐタイム”というコーナーがあるんですよ。

その言葉、去年の流行語と思いきや、ASKAさんのツアーでは健在だったんですね(笑)。

あはは(笑)。ただ、これは純粋に、あくまでタイアップですから、もしタイアップが付かなければ、このコーナーはナシということですね。しかも、誰でも知っているものではつまらないでしょう? 大阪で“たこ焼き”ではすぐにバレてしまう(笑)。

仙台で“萩の月”とか。

そうそう。でも、大阪でたこ焼きは当たり前すぎてつまらない……と言っておいて、実は“たこ焼き”!みたいなこともあるかもしれない(笑)。

これから観に行く人たちは、そのあたりもお楽しみに、ということで(笑)。さて、このツアーでは追加公演も決定していますが。

いざ始まると、もう初日からお客さんがすごく熱く迎えてくれまして。そのあと各地を回るうち、それがまるで“熱のバトン”のようにも感じられたんです。なので僕は「このバトンを、次の場所に持っていきます」とお客さんに告げながら、“次の場所へ”という感覚になっています。それが追加公演へも続いていくと思います。

日本武道館もありますね。

久しぶりですし、楽しみです。武道館のステージに立つと、四方からお客さんの声援に包まれて独特な気持ちになりますよね。そもそもアーティストで、“武道館が嫌いだ”って人はいないと思いますし、あの空間でしか味わえない感覚がある。ここまでツアーもいい感じで回れているので、追加公演も楽しみたいと思います。

毎日レコーディングをしていた期間に書き溜めた

そして、3月22日には、『ASKA書きおろし詩集』が出版されますが。

ここに収めた散文詩を書いていたのは、毎日レコーディングをしていた期間と重なるんですよ。僕の場合、曲作りはバリエーションが勝負だと思っています。でもそれも毎日毎日続けていたら、“似通ったものが出来始めたなぁ”と思えて、いったんレコーディングを止めたんです。もう少し時間を置いて、人と会ったり、音楽を聴いたりしながら、“違うものが書けそうだ”と思えたら再開しようと。実は、そのいったん止めていた時期に散文詩を書き始めたんです。期間でいうと2ヵ月くらいの間でしたけど、120〜130編くらい書いていたので、ものすごいスピードだったってことですよね。

一冊にまとめるにあたって、構成はどのように考えたのですか。

自分で綴ったものは、なかなか自分じゃ選べないから。しかも100編以上あったわけで。だから、ヒトに丸投げしました(笑)。(版元の方に)選んでもらったんです。ただ、こだわったことがひとつだけありまして、“詩人と呼ばれる方々のエリアに混ぜてもらえる本”にしたかったんですよ。“アーティスト本”という呼ばれ方になるものにはしたくなくて。なので表紙には、なんの飾りもしていません。

たしかにASKAさんの本ということなら、写真くらい載っていても普通でしょうけど、文字のみ!

ミュージシャンの活動とは切り離した“詩集”ですから。

散文詩には、これからも取り組んでいくんですか?

もし今回のものが詩の世界で少しでも認知されるのなら、次はちゃんと“タイトルのあるもの”を出してもいいのかな、とは思っています。今回付けた『ASKA書きおろし詩集』というのは、タイトルがあるようでないようなものです。

ところでASKAさんは、以前から谷川俊太郎さんへの想いを発言していますよね。「UNI-VERSE」の歌詞には谷川さんの有名な「朝のリレー」も出てきますし……。今回、発売を記念した企画で対談をされたとか? 

自分が“会ってみたい人リスト”にも入れていなかったくらい、まさかお会いできるとは思ってもいなかった人でした。今回は、詩人同士として会話をさせていただいたということではなくて、40年歌い続けてきたシンガーの僕が、もう少しで70年にもなろうとする間、言葉を綴ってこられた詩人の方と、純粋に“お話をさせていただく”という時間でした。僕、デビュー当時、歌詞がなかなかうまく書けなくて。歌詞の勉強をするときに本屋に入って触れたのが、散文の世界だったんですよね。そこで自分のフィーリングに合うものをかたっぱしから読み漁ったんだけど、その中で、とてもわかりやすくキレ味もあって、ウィットに富んでいたのが谷川俊太郎さんの作品だったんです。本当にお会いできるとは思っていませんでした。このタイミングでお話しできたことは、今後の僕にとっては、何かしらの意味を見せてくれるでしょう。

大上段から何かのテーマ、とかではなしに……。

谷川さんとは、死生観がまったく一緒でしたね。意識は肉体に宿り、やがて肉体には寿命がくるけど、意識はそこを離れ、元のところへ戻る。宇宙に漂っているエネルギー。それを“意識”と呼べばいい。そしてまた、やがて再び肉体に向かう。それを人は輪廻と呼ぶんでしょう。こうした死生観をお話させていただいているなかで、谷川さんと、まったく同じだったことは僕の喜びでした。ただ、谷川さんは詩の中に、こういうテーマをあまり書いてこられなかったんです。僕は歌の中でわりと書いてきましたので、そこは違っていましたね。

最後に再び音楽のことに戻ります。ここ最近のASKAさんのステージで、ひとつの“テーマ”ともなっているのは“今が一番いい”という作品の気がするのですか、そのあたり、ご本人はどうでしょうか?

この言葉自体は、30代の頃からよく言っていました。そして最近も、“あの頃に戻りたい”ではなくて、改めて“今が一番いい”と思っています。この先も、70代でそう言えたらいいと思っていますし、無事に80代を迎え、そのときに、もしこの言葉を使っているとするならば、“僕は変わらない”ということでしょうね。

ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA – 40年のありったけ –

2月6日(水)東京 オリンパスホール八王子
2月8日(金)神奈川 神奈川県民ホール
2月15日(金)埼玉 ソニックシティホール
2月19日(火)福岡 福岡サンパレス ホテル&ホール
2月21日(木)広島 広島文化学園HBGホール
2月22日(金)高松 サンポートホール高松
2月26日(火)愛知 名古屋国際会議場 センチュリーホール
3月1日(金)静岡 静岡市民文化会館
3月12日(火)大阪 グランキューブ大阪 メインホール
3月13日(水)兵庫 神戸国際会館 こくさいホール
3月20日(水)新潟 新潟県民会館
3月23日(土)栃木 宇都宮市文化会館
3月24日(日)宮城 仙台サンプラザホール
4月12日(金)東京 東京国際フォーラム ホールA

〈追加公演〉
4月23日(火)東京 日本武道館
4月25日(木)大阪 フェスティバルホール
4月30日(火)愛知 愛知県芸術劇場 大ホール

ASKA自身による自作詩の朗読ムービー

谷川俊太郎との対談ムービー

ASKA(アスカ)

1979年にCHAGE and ASKAとして「ひとり咲き」でデビュー。「SAY YES」「YAH YAH YAH」「めぐり逢い」など、数々のミリオンヒット曲を生む。並行して、音楽家として楽曲提供やソロ活動も行い、1991年発表の「はじまりはいつも雨」がミリオンセールスを記録。同年リリースのアルバム『SCENEⅡ』もベストセラーに。また、アジアのミュージシャンとしては初めて「MTV Unplugged」へも出演。2017年には自主レーベル「DADA label」よりアルバム『Too many people』『Black&White』をリリース。2018年7月には『Black&White』のMusic Video集、10月にはファンが選んだベストアルバム『We are the Fellows』と、ASKAが選んだベストアルバム『Made in ASKA』、11月には『SCENE -Remix ver.-』『SCENEⅡ -Remix ver.-』を発表。また、11〜12月に〈billboard classics ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018-THE PRIDE-〉へ出演。2019年2月からはバンドツアー〈ASKA CONCERT TOUR 2019 Made in ASKA -40年のありったけ-〉を開催中。

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