Interview

声優自身も“ファン目線”で楽しんだ幸せなアニメ化。『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』石川界人×瀬戸麻沙美スペシャル対談

声優自身も“ファン目線”で楽しんだ幸せなアニメ化。『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』石川界人×瀬戸麻沙美スペシャル対談

独創的なストーリーと巧みな心理描写で、2018年10月~12月放送のTVシリーズが大好評を博したアニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(以下、『青ブタ』)。鴨志田一と溝口ケージによるエンタメノベルシリーズを原作とし、高校生の梓川咲太(あずさがわ さくた/CV:石川界人)と桜島麻衣(さくらじま まい/CV:瀬戸麻沙美)ら、思春期特有の感情が生む不思議な現象=思春期症候群を発症してしまったヒロインたちとの温かな交流を描くストーリーだ。

その続編となる『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』が、2019年6月15日(土)から劇場公開される。今回はこれに先がけて、『青ブタ』の舞台となった土地の一つ・江の島にてスペシャルインタビューを実施。梓川咲太役の石川界人&桜島麻衣役の瀬戸麻沙美が、これまでに演じたTVシリーズの話題を中心に作品の魅力を語ってくれた。

取材・文 / 阿部美香 撮影 / 樋口 涼


毎週のオンエアが楽しみで、すっかりファン目線になっていました(石川)

幅広い人気を博した『青ブタ』TVシリーズですが、お二人はアニメ『青ブタ』の魅力をどういったところに感じていますか?

瀬戸麻沙美 私が演じさせていただいた桜島麻衣さんもそうでしたが、劇中で思春期症候群の原因となっていたヒロインたちの悩みが、その年頃の女の子や男の子が実際にぶつかるかもしれない、現実的なものに思えました。そこに共感できるところかなと思います。

石川界人 そして、ドラマがしっかりしているところではないでしょうか。キャッチーさがありつつ、文学的な明確なテーマを持って展開していくのが、大きな魅力だと思います。

瀬戸 お話の舞台は藤沢ですが、実際にある場所が舞台になっていながらも、現実にありそうでないような現象が思春期症候群として描かれているのも面白いですよね。

石川 ハイクオリティーな作画も魅力的です。キャラクター、背景すべてにおいて、毎週毎週クオリティーの高い作画を貫き通すのは、大変なご苦労だったと思うんです。それだけ、スタッフの皆さんがこの作品に賭ける意気込みを、僕たちも強く感じとれました。

原作小説のアニメ化に際しては、やむを得ず切り取らなければならないエピソードなども出てきてしまうのですが……その切り方が上手なんです。切ったところをどう魅力的に演出していくかも、非常によく考えられている。原作ファン、アニメからの新規ファンともに、楽しんでいただける魅力が、そこからも生まれたのではないかと思います。

TVシリーズを通じて印象的だったことというと、何を思い出されますか?

瀬戸 やはりアフレコですね。全13話という短い期間ではあったんですが、毎週、台本をもらうのが楽しみでした。本当に物語が面白いですし、1話1話の分量も心地よくて。だから演じていて楽しかったのかなと。

石川 僕はオンエアを観るのも楽しかったです。アフレコの時よりも画がブラッシュアップされているので、「あそこはどういう画になったのかな」「どういう動きが追加されたのかな」と、面白く拝見しました。毎週のオンエアが楽しみで、すっかりファン目線になっていました。

TVシリーズを終えた今、ご自身が演じられたキャラクターについてはどのように思われますか?

瀬戸 麻衣さんは、大人びた部分ももちろんあるんですけど……咲太との出会いや、そこで起きる出来事によって、だんだん心を開いていきます。エピソードを重ねるうちに感情をより素直に出せるようになってからは、表情が本当に豊かに描かれ、さらに魅力的な子だと感じました。様々なシーンから、麻衣さんの素敵な部分を見つけて楽しんでいただけていたらいいなと、今こそ思いますね。

石川さんが演じられた咲太についてはいかがですか?

石川 普段はやる気がないように見えたり、怠けているように見えるキャラクターなんですけど、彼も物語が進むと、もっともっと違う面が見えてくるんです。人に寄り添いたいし、優しくあろうとする。非常に気持ちのいい気持ちの寄り添い方なので、咲太は僕自身も「いいな」と思える主人公です。いわゆる、“やれやれ系主人公”の雰囲気……けだるげに喋ったり、人と接する時にちょっと呆れた感じの口調になったりもするんですが、そこに嫌みを感じないのも、すごくいい。それは、アニメのシナリオと原作の力だと思います。

咲太が麻衣にタメ口を使い始めるタイミングは、自然すぎて気づかなかった(瀬戸)

ちなみに瀬戸さんは、女性として咲太を見たときに魅力を感じるところはどこですか?

瀬戸 私はもう、咲太の表面的な部分だけではない、出会った人たちと丁寧に接している姿を見ていて、魅力を知っているので……何より彼は、言葉より行動する人だなと。そこにすごく好感を持っています。

では石川さんから見た、麻衣の魅力は?

石川 “素直じゃなさすぎない程度に素直じゃない”というのは、とてもいいなと思います。だけど素直ですし。その塩梅が心地いい。思ったことを言うし、でも気遣いはあるし、でも見栄も張りたいし……というバランス感覚がすごくかわいいんです。普段はすごく大人っぽくて、高校生には見えない。大人との対応の仕方も小さい頃からよく分かっている。そういう麻衣ですが、自分が好きな人=咲太には、じつに高校3年生らしい顔を見せるんです。そんな子供っぽい部分が見えるというのも、本当に魅力的ですね。

いわゆるツンデレ的な女性なんでしょうか。

瀬戸 第1話のアフレコの時には、ディレクターさんに「ツンデレ」だと言われました。でも、そのディレクターさんとは多くの現場を経験させていただいているので、その単語ひとつに集約されていることを理解して汲み取らなければ、という気持ちでいましたね。一つの言葉にもいろいろな意味が含まれている。仮にそれが「かわいい」だとしても、私とディレクターさんが思う「かわいい」ではそれぞれニュアンスが違ったりしますし。そこはアフレコ現場でテストをして、すり合わせることができます。なので、ディレクターさんがおっしゃる「ツンデレ」はどういうものなんだろうと理解しようと努めました。その言葉だけで表される子ではないのですが、きっと、「ツンデレ」としての魅力も持っている麻衣さんなのだと思います。

石川さんは、咲太を演じる上で意識したことはなんでしたか?

石川 ディレクターさんには「抑えて、抑えて」と言われました。僕はもともと声に圧があるほうで、淡々と喋ってしまうと、怒っているように聞こえてしまいやすいんです。なので、それを抑えるという意味もそこにはあったのだと。でも、僕の声の特徴を隠そうとして、一生懸命柔らかくしてしまうと、咲太というキャラクターとしては違う。バランスを取って、という意味での「抑えて」だったのだと思います。

咲太と麻衣が心を惹かれ合っていく過程、関係性の変化も、『青ブタ』の見どころのひとつだと感じます。その関係の変化を、おふたりはどう感じていましたか?

瀬戸 私の中では、咲太と麻衣さんの関係性の変化はとても自然で違和感がなかったので、心地よく演じていけました。

石川 僕もそう感じます。こちらが特に感情の流れを意識せずとも、シナリオに沿っていくだけで誘導してもらえるというか。それも原作とシナリオの力だと思うんです。例えば、麻衣さんと付き合うようになってから、咲太はタメ口をちょくちょく使い始める。それが自然ですごく気持ちいいタイミングなので、おそらく視聴者の方も、意識してようやくわかるぐらいだったんじゃないかなと。そのあたりの配慮が、じつに素晴らしいと思いました。

瀬戸 私も、今まで気づかなかったです! 二人が付き合い出してからなんですね、タメ語が混じり始めたのは。

石川 すごいよね。

1 2 >