SID 15th Anniversary Special マオ Self Liner Notes『歌詞を巡る旅』  vol. 10

Interview

シド 9th Album『NOMAD』~様々な変化を求めて仕上げた久々のオリジナルアルバム。休んだことの意味を探したかった~

シド 9th Album『NOMAD』~様々な変化を求めて仕上げた久々のオリジナルアルバム。休んだことの意味を探したかった~

Self Liner Notes特集「歌詞を巡る旅」。今回紹介するのは2017年9月、約3年6ヵ月ぶりにリリースしたオリジナルアルバム『NOMAD』。いまのシドの一番いい状態をすべて見せられるものを作ろうと思った作品です。1曲目が「NOMAD」で幕を開けて、最後は「普通の奇跡」で終わるというアルバムの流れは最初から決まっていました。制作するにあたって、本作ではエンジニアさんを変えてみたり……。レコーディングにおいてエンジニアさんの力ってかなり大きいんですけど、あえてそこを変えて。しかも、これまでお仕事したことがない人がいいなということで、初めての人と一緒にやったんですよね。なので、バンドとしては挑戦しまくったアルバムでもありました。4人で再び動き出したときに、同じことをやっても面白くないなと思ったんですよ。進化してても、全然違う方向にいっててもいいんですけど、とにかくシドとして「変わる」。それが一番必要でした。バンドを休んだことの意味を探したかったんですよね。変わることで、休んだ意味が一つ増えますから。シドはストック曲もめちゃくちゃあって、そのなかにいい曲もいっぱいあるんですね。だけど、変化を求めてるいまはそれを使う時期じゃないと思ったので、このアルバムは新曲で攻めました。だから、収録されてる曲はほぼ新曲です。『NOMAD』というアルバムのタイトルは、遊牧民という意味が元々あるらしいんですよね。“まだシドは旅の途中”。そういうイメージを出したくて。ここからまた、ファンのみんなと一緒になって旅立って、次の周年を目指していきましょうという気持ちで『NOMAD』にしました。収録曲が10曲になったのは、シドのアルバムとしてこれが初なんです。曲がない訳じゃなくて、このときはこの曲数がベストだったんです。どんどん削ぎ落としていく方向で。削ぎ落としたほうがカッコいいんですよ、シドは。そういう考えがありましたね。

構成・文 / 東條祥恵 撮影 / 今元秀明

第2章のシドがここから始まるような気持ちになれた。よし、これでやっと堂々とみんなの前に出ていける

01. NOMAD
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

アルバムの全国ツアーが決まって、かなり久しぶりにみんなに会いに行けるということを考えたときに溢れ出た想いや言葉を、そのまんま歌詞にしたものです。こうやって振り返ってみると、ここから15周年のアニバーサリーまで物語がつながってるような気もしますね。『OUTSIDER』で“頑張っていこう、いまから”と言っていたシドが一度止まったんだけれども、そこからまた進み始めたとき、自分は本当に穏やかな気持ちになれてて。一つのステップとして、やっとこういうところにたどり着けた、と感じたんですね。まだまだ物足りない部分はいっぱいあったんですけど、それでも前に比べたらかなりいいところにたどり着けていて。なんか、いい風が吹いてきてるような気がしたんです。この時期、いろんなことが急にパラパラパラパラって、すごいスッキリし始めたんですよね。自分のことだけではなくて、細かく話すと事務所の体制であるとかスタッフとか。シドチーム自体、いろんなものがどんどん自分の理想に近づいてきて。これはいけるんじゃないのって、第2章のシドがここから始まるような気持ちになれた。よし、これでやっと堂々とみんなの前に出ていける。そういう気持ちをひたすら歌っていますね。この歌詞のなかで“遠く 遠く 離れていても 想う それだけじゃ 僕らは もう 届かない”と綴っているところがあって。シドが止まってたときも、常にファンのみんなとのつながりはあって。みんなからはいつも想ってもらってて、もちろんこっちも想ってるんですけど。それだけでは嫌だね。だから会いに行くよ、と。そういう気持ちが歌詞になった部分です。『OUTSIDER』以降大変だった時期もあったけど、“色とりどりの 過去を抱いて 懐かしく 眺めてみる”とここではもう立ち直っている。ちょっと前だったら「あの時期はもう思い出したくもないや」と言っていた過去も「あー、そういうときもあったね。大変だったね。そんなこと振り返るより行こう、行こう。前に」っていう気持ちになれてるんですよね。そうして“限りのある 時間を 旅してる”と。ここで、俺はすでに気付いてるんです。時間がないことに。すべてのものはみんな終わりに向かっている。だからもっと急ごう、もっとちゃんとやろうっていう気持ちも表現していて。どれだけ会えるのか、その頻度までは分からないにしても、とにかくめちゃくちゃいっぱいみんなに会おうって。この曲の歌詞を書いていて思ってましたね。

02.  XYZ
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

いままでとは違うアプローチの歌詞を書きたいなと思った曲ですね。曲調がひと世代前のハードロックだなと感じたんですよ。こんな曲をやること自体、いまの音楽シーン全体を見渡して、逆に新しいな、と。だったら歌詞もひと世代前にしようと思って、そこをすっごく意識しました。“クラクラっときて”とか“お前ばかり 追ってんだ”とか“飲み干してくれ”とか“虜にさせてくれ”とか“いいだろ?”とか、全部ひと世代前の歌に出てきそうじゃないですか(笑)。俺のなかでは、いまの時代だとちょっとウケる感じ。そういうものを書きたかったんですよ。書いたことがなかったですからね、こういう歌詞は。逆に避けてましたもん(笑)。そこを、あえて書いたのがこの歌です。タイトルの「XYZ」というのは、ラムベースのカクテルの名前。もうこうなったら全部ひと昔前にしてやろうっていうことで、このタイトルにしました。俺、飲まないんですよ、カクテルは。だから、カクテルの名前を付けたいなと思ったときに自分で調べて。そのなかで、これがすごくよかったんですよね。味的にもすごいハマってる気がしたし、確かカクテル・グラスがショートなんですよ。それもすごくイメージ通りだったので「おー! めっちゃいいじゃん」と思って。XYZという名前もかっこいいし。それで、これに決めました。サビの“残りのおれ 全部 お前に捧げるよ”というのは、XYZってアルファベットの最後じゃないですか? そことも重ねてるんです。「いままでフラフラしてた俺を最後に受け止めてくれよ」っていう感じですかね。“お前はいつも 綺麗だから おれがいなきゃ ダメさ”ってどういうこと? ここの歌詞、ヤバいよね(笑)。でも、このアルバムのツアーでここを歌うときの俺とファンのスキンシップが一つのパフォーマンスとしてできあがっちゃったんで、そういうのも含めて、面白いなと思って楽しんでます。

03. 硝子の瞳
(作詞・マオ/作曲・ゆうや)

久々に『黒執事』(劇場版アニメーション『黒執事 Book of the Atlantic』)の主題歌だったので『黒執事』の設定を意識して書きました。シエルとセバスチャンについて、2人の最初の出会いからさかのぼって、そこに映画の世界観も取り入れながら書き進めていきましたね。シドとして再び動き出す最初のシングルがこれだったので、選曲会はめちゃめちゃシビアにやりました。単純にメロディがいいからこの曲という選び方ではなくて、久々にシドが動き出すときはどんな曲がいいのか、どんな曲が劇場版の『黒執事』にハマるのか。いまのシドがやるにはどの曲が一番いいんだろうということを何度も話し合っていくなかで、最終的に残ったのがゆうやのこの曲だったんです。『黒執事』はこれでShinji(「モノクロのキス」)、明希(「ENAMEL」)、ゆうや全員の曲が主題歌になったことになりますね。シドは本当に『黒執事』にお世話になってます。「硝子の瞳」は原作の枢やな先生がすっごく気に入ってくださって。確かこのときは、パーティーにも呼んでいただいたんですよね。パーティーではいろんな方にこの曲をほめていただいたので、それがとてもうれしかった。歌詞の“水面”とか“漕ぎ出そう”というところは、この映画のテーマが船上だったので、そこを意識して書いた部分です。“華奢な未来”というのは、主人公のシエルは子供なので、まだ未来像ができあがってないということを表現してます。それなのに、彼は本来なら大人が背負いそうなでっかい物事を子供ながら抱え込んじゃってるから“儚く 壊れそうで”と表して。でも、その姿は強くもあり“綺麗さ”と綴っています。そこの絶妙なバランスが、世の中の『黒執事』ファンの女の子をメロメロにしているんだなということを、改めて原作を最初から読み直したときに感じたんですね。そんなシエルの美しさ、魅力を表現するために(歌詞のなかの)2行も使っちゃいました(笑)。

“躾”という文字が、まずいいんですよ。エロカッコいい感じがしませんか? この漢字

04. スノウ
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

ちょっとズルい男と過ごした日々を女の子が振り返る曲です。ズルい男だったというのは、最後のほうに“真夜中の 眠った 背中 ぬくもりは 一度もなかった”っていう部分で、実はそうだったんだというのが決定的になるように構成しました。こういうオチは、最初から入れようと決めてから書いてますね。それまでも、こっち(女の子)は“このままが 続けばいいのに”と願っているのに、相手は“微笑んだ 君”っていうように、ただ微笑んでるだけなんですよ。「続けられないよ」と言うのでもなく、「そうだね。このまま続けていこうよ」と言うのでもなく、ただ微笑むっていうね。いったいどっちやねん! っていう態度が、ズルい男なんですよ。ど頭に“そっと 重ねた 朝の合図 優しくて 冬の太陽みたいな キス”という歌詞があって、真ん中には“ずっと 歩いた向こうに 二人の形が 見つかるかもね”というのがあって。ちょっとずつ2人の形が変わっていくように描いてますけど、このなかで優しくキスしてみたり、見つかるかもねと期待させたりしてるのは、結局男が別れを先延ばししようとしてるだけなんですよ。でも、“そんな言葉 信じてしまう 私だから 丁度よかった?”って、女の子は最終的にはそういうものが全部嘘だったんだなってことに気付くんです。それでも、最後は“私を 忘れないで”といって終わっていくから、この子はとっても健気なんですよね。だから、どうなっていくんでしょうね。この後、この子は。分かってはいるんですよ。“「似合ってる」 選んでくれた この靴は 脱いで そろそろ 歩き出さなきゃ”と決心して、自分の人生を歩まなきゃいけないってことも。「もうこの恋を続けるのはよくない」っていうことはちゃんと自分でも理解してるんです。分かっていながらも、終わっても「私を忘れることはしないでね」と女の子は思ってる。そういうところが健気で、いい歌詞だな~。

05. 躾
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

“躾”というテーマを先に決めて歌詞を書きました。愛ゆえに、相手をひたすら躾けようとしている歌ですね(微笑)。“躾”という文字が、まずいいんですよ。エロカッコいい感じがしませんか? この漢字。歌詞の内容に関しては、あまり詳しく説明できないので、そこは皆さんのご想像にお任せします(微笑)。こういう歌詞は、その場面は思いつくんだけど、普通の男の子だったらなんとなく思いつくような言葉をいかに使わないで完成させていくか。そこが俺の得意分野であり、書いてて楽しいところでもあります。この歌詞のなかで一番好きなフレーズは“君は 目を伏せて 睨むけど”という部分。これだけで状況が分かるところがすっごく気に入ってます。気持ちはこっちを睨んでるんですよ。でも、目を伏せちゃってるから睨めない。その、躾間近な感じがいいですね。あともうちょっとっていう(笑)、そのギリギリのところが表されていていいんですよ。“少しの 温度も 許さない”というところは、そのあとの“何もかも奪われ ゼロに返った そんな 君を離さないよ”というように、主人公はとにかく相手を一度まっさらにしたいんですよ。そのためには、こっちに対して言い返したりするのもなしだし、表情を浮かべたりするのもなし。そういう相手の変化を“温度”という言葉で表現したところです。そうやって一度相手をゼロに戻して、そこから自分色に染めていくという躾ですね。“ハイセンスな君を 作る為”ということは、自分のセンスだけで相手を固めたいんです。こういう欲望って、みんな少なからずあるんじゃないですかね。現実にできないからこそ。俺はそう思いますけどね。俺は昔からこういう偏った歌詞を書いてるので、ファンのなかでは、俺はこういうものが実際に好きだっていうことになってるんだと思います。たぶんですけどね(笑)。

06. バタフライエフェクト
(作詞・マオ/作曲・ゆうや)

シングルだけど、かなり偏ったタイプの楽曲で、そのときにシドとしてやりたかったものをやったという曲です。「俺たちいま、どういうものをやりたい?」って考えたとき、俺のなかには強いイメージがあったので3人に「こういう曲調のイメージで書ける?」っていうリクエストをして。そのなかで選ばれたのが、ゆうやの曲でした。3人には激しいんだけどアップテンポではなくてとか、ライブ映えするんだけど“oi! oi!”とかいうやつじゃなくてとか、どこか見入ってるんだけど体は動いてるとか、結構細かいところまでオーダーしました。いまのシド、大人になったシドだからできる激しいロック。まさにこの曲でそれができました。完成したときから、この曲は炎の演出、映像の演出もハマるだろうなと思ってましたね。歌詞は、怒りがテーマ。実は怒りをテーマに歌詞を書いたことはほとんどなかったんですよ。怒りをちゃかして、面白おかしく書いたようなものは何曲かあるんですけど、こうして怒りを真正面からとらえて書いた曲はなかった。喜怒哀楽のなかで、怒りのパワーって長くは続かないけど、その一瞬のパワーは一番大きいのかなって思うんですよ。いつまでもその怒りをパワーの源にするのはよくないと思うんですけど、一瞬のパワーにすることは、時には大事かなと。怒るときは怒らないと、変わらないことってありますからね。やたらめったら怒っていてはダメですけど、怒るときにちゃんと怒れるというのも大事なことだと思うんです。“イツカミテロ”と“イマニミテロ”は、カタカナなところが怖いですよね? ここは、俺がマジ怒ってるところです(笑)。でも、最近は怒りを出すことは随分減りました。昔はよく出してましたけど、この歌詞を書いたとき以来、怒ってないですね。そのときが一番怒りました。「バタフライエフェクト」というタイトルは、チョウチョの現象を思い出したんですよね。最初は小さなズレだったとしても、それが全体をひっくり返すようなものにもなる。そういうことも起こりうるんだよというメッセージを、このタイトルに込めてるんです。

07. 低温
(作詞・マオ/作曲・ゆうや)

とにかく曲のなかに歌詞の文字を入れるところがなくて「どうしよう?」と思った曲でしたね。そこが大きな挑戦でもありました。曲としては、歌詞がなくても全部ラララ~でもファ~でもいけるぐらいの曲なんですけど、そこにあえて歌詞を乗っけたいと思って。それで進めてみたら、すっごくこの歌詞がハマったんですよね。これも確か、俺が「いままで歌ったことがないような感じのこういう曲をやってみたいんだけど」というテーマを先にみんなに投げて。そのなかから選ばれたのがゆうやの曲だったんですよね。この歌詞は、ぼけ~っとした感じでデモを聴いていたら、優しい微笑みみたいなものとか、木漏れ日のなかで暑いんだけどそこだけは涼しくて、女の人が長い髪がフワッとなっていてとか。そういうものが映像のように出てきたんです。それで「これだ!」と思って、すぐに歌詞を書きました。映像が見えてたから、何回も書き直すことなく。この歌詞の肝は、“君の 低温 伝った 綺麗な 涙は どこへ流れていくの? 「サヨナラの向こうだよ」”というところ。これは俺の歌詞全般に言えることなんですけど、別れ際や別れたあと、男は引きずってて、女はあっさりしてるんですよ。この曲もそうなんです。男は“もう あの くちびる”って、いまだに思っている。それで、男が「ここからどこへ流れていくつもりなの?」って聞いたら、女は「もうここじゃないよ。サヨナラの向こうだよ」って言い放つんです。そんなこと言われても、男はまだ“もう あの くちびる”って思ってますからね。かっなりせつない男の歌なんですよ。男と女の体温に相当な開きがあって、女はすでに低温状態なのに、男はまだそうじゃない。そういう男女の物語ですね。

うわーってボロボロ泣いてましたから。初めてですね。歌詞を書きながら泣いたのは

08. KILL TIME
(作詞・マオ/作曲・Shinji)

これはね「低温」とは逆。ガンガンに言葉を入れていかないと、マジ足んねぇってなる曲でした。こういう曲調なので、歌詞はノリながら書かないと無理。冷静にここの1行はどうしようって考えていくよりも、チュルルッルッルッル~って歌いながら、ハマりがいい言葉を探してどんどん書いていって。最後に意味が分からなかったら、そこだけ直してっていうやり方でしたね。“口角”とかも“チャチャーンチャーン”で終わるのはカッコよくないから、その最後に“クッ”って入って欲しいので“口角”にしたり。ノリ重視で言葉を探していったんですよね。そういうノリで書いた部分があるからこそ、“濡れた 共謀者”とか、ちゃんとした表現も入れていって。全体を見たときに、歌詞としてちゃんと流れがあるものにしたかった。タイトルの「KILL TIME」は、言葉がカッコいいなと思ってキープしてあったものです。タイトル候補の言葉だけがぶわーって書いてあるものが俺のスマホの中にあるんですけど。信じられないぐらいあるんです! タイトル候補だけで。ここ4~5年ぐらい前からやり出したことなんですけど、カッコいい言葉を見つけたらすぐメモります。なんか意味ありげな言葉だなと思ったら検索して意味を調べて。「KILL TIME」もそうですね。意味を調べたら「暇つぶし」って書いてあって。「うわ! これめっちゃカッコいい!」と思ってメモっといたんです。で、そういう曲が現れたので、“KILL TIME”を使いました。歌詞用のストックでメモする人もいると思うんですけど、俺の場合はタイトルをメモっておいてはめるタイプです。“KILL TIME”はメモしてあったタイトル案の一つです。歌詞は、ちょっとエロいだけでも夜っぽいだけでもゴージャスなだけでも物足りない。曲調がおしゃれなんで、歌詞もおしゃれじゃないと嫌だなと思いながら書きました。どの言葉がおしゃれなのか? 活字で歌詞を見たときのおしゃれな言葉ではないんですよ。メロディに乗っけたときの響き。歌い上げたときに届いてくる言葉の響きがなんかおしゃれだなという意味なんです。内容的には「ここまできちゃったけどどうしよう。後悔はないよね」っていう感じで、このまま突っ走ろうとしている男女の歌になりましたね。

09.  螺旋のユメ
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

TVアニメ『将国のアルタイル』の世界観を意識しながらも、リスナーが勇気づけられるような歌にもしたいなと思ったので、なんとなくですけど、男の子がワクワクできるようなもの。そういうものを表現したいなと思って歌詞を書きました。試練を乗り越えて戦っていくところとかは、アニメのストーリー性を結構意識しています。“射貫けばいい”とか“革命の前夜を”という言葉は、アニメの世界観に触発されて思いついたものですね。「螺旋のユメ」というタイトルも、このアニメの世界観から出てきたものです。アニメの主人公が戦っていく姿が、真っ直ぐ上に突き抜けて駆け上がっていくというよりは、グルグルグルって旋回しながら上にいく。そういう力強さや派手さを感じたので、このタイトルをつけました。最初はユメを漢字の夢にしてたんですけど、カタカナにしたら「カッコいいな」と思ったんです。ユメのメが弓矢っぽく見えてきたので、これは歌詞の“射貫けばいい”にもつながるなと思ったのでカタカナにしましたね。「螺旋のユメ」は曲調自体がかなり変わっていて、ど頭の“守りたいものがある”をサビだと思わせておいて、聴いていくと全然違うサビが出てきて。そこからさらにまた“守りたい”が出てくるところが面白いんですよ。そこのサウンドも毎回同じじゃなく変わっていくんで、ホント変な曲なんですよね(笑)。普通にはいかないんです。この曲もそうですけど、なんかやらかしたいっていう変なアレンジが増えてきましたね(笑)。最近のシドは。

10. 普通の奇跡
(作詞・マオ/作曲・御恵明希)

冒頭から“最後に 歌を歌うよ”となっているので、このアルバムのツアーの最後に歌う曲を想定して書いてますね。「NOMAD」が1曲目、ライブのオープニングで、最後は「普通の奇跡」で締める。そこまでツアーを見据えてレコーディングをしました。ライブの最後に自分はなにを伝えたいのかなって考えたとき、いまこんないい感じでシドとして戻ってこられたことに対してのみんなへの感謝の気持ちだったんですね。長くやっていると、何事も普通になってくるじゃないですか? でも、俺は普通がダメだとは全く思ってなくて。そうやって、普通なことになってること自体が奇跡だと思うんですよ。普通になるまでって、絶対に時間の積み重ねが必要じゃないですか。それが、俺らにとってはバンドを10何年もやるということだったんですけど。その間に、シドがこうしてみんなに応援してもらってツアーに行ったり、ファンに向けて歌詞を書いたりというものが、俺たちの間では日常、普通のやりとりになってきた。だけど、それって本当は奇跡だと思うんですよね。時間が経つなかで、シドとみんなの関係は当たり前の日常の関係になりながらも、でもこんなことが成り立ってるのは奇跡だなって思う。その、どっちもを感じながら生きていきたいなという気持ちを込めて“普通の奇跡”という表現を使いました。“抱え込んで 真っ暗な 夜 助けてくれたのは 何も言わず 待ち続けてた いつもの笑顔”の部分は、待っててくれたファンのことを想いながら書いたところですね。ここの歌詞を書いてるときは、正直に話すとうわーってボロボロ泣いてましたから。初めてですね。歌詞を書きながら泣いたのは。本当はすっごく待ってて、早く活動して欲しいのに「ゆっくりでいいですよ」とか「大丈夫ですよ」っていう言葉を掛けるファンって、凄くないですか? 改めて素敵なファンを持ったなと思いました。だから、この曲は俺のなかでもかなり好きな歌なんですよ。

ヘア&メイク / 坂野井秀明
スタイリング / 奥村 渉

衣装協力 / NOID.
https://store.noid.jp/

次回 Mini Album『いちばん好きな場所』編は2019年4月上旬掲載予定です。


LIVE DVD / Blu-ray『SID TOUR 2017 「NOMAD」』

2018年7月25日リリース
【初回生産限定盤DVD(DVD+写真集)】
KSBL-6322-6323 ¥6,000+税
【通常盤DVD】
KSBL-6324 ¥5,000+税
【初回生産限定盤Blu-ray(Blu-ray+写真集)】
KSXL-268-269 ¥7,000+税
【通常盤Blu-ray】
KSXL-270 ¥6,000+税

Mini Album『いちばん好きな場所』

2018年8月22日リリース
【初回生産限定盤(CD+DVD)】
KSCL-3076-3077 ¥2,788+税
【通常盤(CD)】
KSCL-3078 ¥1,852+税

ライブ情報

ID-S限定ツアー 2019

4月19日(金) Zepp DiverCity TOKYO
4月26日(金) Zepp Fukuoka
5月2日(木・休) Zepp Nagoya
5月9日(木) Zepp Osaka Bayside

SID collaboration TOUR 2019

6月17日(月) Zepp Tokyo
<Guest Artist> みやかわくん
6月20日(木) Zepp Nagoya
<Guest Artist> GRANRODEO
6月27日(木) Zepp DiverCity TOKYO
<Guest Artist> BiSH
and more…

マオ from SID

マオ/福岡県出身。10月23日生まれ。2003年に結成されたロックバンド、シドのヴォーカリスト。

2008年10月「モノクロのキス」でメジャーデビュー。以降、「嘘」「S」「ANNIVERSARY」「螺旋のユメ」など、数多くの映画・アニメテーマ曲でヒットを放つ。2018年、バンド結成15周年を迎え、4月にはセレクションベストアルバム『SID Anime Best 2008-2017』をリリース。直後の5月から6月28日まで”SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018”と銘打った全国6都市14公演ツアーを開催。9月からはLIVE HOUSE TOUR”いちばん好きな場所”を全国31公演で展開。そして2019年、アジアツアーを経て、3月10日の横浜アリーナで15周年のグランドファイナルライブを無事に成功させた。

オフィシャルサイト
http://www.maofromsid.com
http://sid-web.info

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