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小澤 廉&小波津亜廉&菊池修司らが進む“希望”という名の航路。舞台「劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪『Pirates of the Frontier』」上演中!

小澤 廉&小波津亜廉&菊池修司らが進む“希望”という名の航路。舞台「劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪『Pirates of the Frontier』」上演中!

舞台「劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪『Pirates of the Frontier』」が、3月15日(金)から品川プリンス ステラボールにて上演中だ。本作は、女性向けコンテンツ「うたの☆プリンスさまっ♪」が“映画”をテーマに展開した「シアターシャイニング」シリーズの舞台化第2弾にあたる。
今回のモチーフは“海賊”。若き船長イッキが、相棒のマルローや仲間とともにまだ見ぬ父親を探し求めて大海原へ冒険に出るというストーリー。脚本・演出は伊勢直弘。イッキを小澤 廉、マルローを小波津亜廉、白い悪魔を菊池修司が務める。
初日前に行われた公開ゲネプロと囲み取材の模様をレポートする。

取材・文・撮影 / 竹下力

小澤 廉の笑顔はキラキラ輝いて、お芝居にグルーヴがあって、ウキウキさせられる

とてつもない意欲に満ちた感動的な傑作だ。無垢なる存在は、どんなことがあってもケガレることなく無垢なまま成長し続けられるのかという問いかけが終演まで続く。人間の存在証明をぶつけてくるような圧巻の2時間15分。いっさいのシニシズム、悲観主義さえ許さない、強固でブレない意志がある。“ありとあらゆるものは善である”というポジティブな思想が通奏低音に流れているからだと思う。それを舞台に貫徹させたのは脚本・演出の伊勢直弘の手腕に寄るところが大きいけれど、彼のもとに集まった役者やアンサンブル、そしてスタッフが誰も観たことがないような作品を完成させようとしたのだ。

舞台はいつとも知れない時代の、町に海賊たちが闊歩している世界。そんな大海原を渡る一隻の船がある。船長は、イッキ(小澤 廉)という名前の少年だ。彼はコックであり用心棒のマルロー(小波津亜廉)とともに旅を続けながら、生き別れの父で伝説の海賊“赤い天使”を探していた。あるときイッキたちは、冷酷無比と噂される“白い悪魔”(菊池修司)という海賊が、“赤い天使”の過去を知っているとの情報を得る。彼らに接触を試みるも、互いがしのぎを削る海賊同士、一触即発の空気が流れる。しかし、イッキと白い悪魔、彼らの探している人物、それが“赤い天使”だということがわかり、共闘を誓い、ともに旅に出るのだが……。

父親を求めること、つまり本作は“父親の不在”がテーマになっていると思う。それは、何千年、何百年も昔から、文学、映画、音楽などの中心をなすものだ。同時に、“父親の不在”は、“父親への拒否”を暗に明示している。エディプスを例に出さなくても、父親との対立によって浮き上がる母親を求める行為と、そこから生じる葛藤が主軸になる。いわば無垢なる子供がそんな通過儀礼を通して大人になる青春ストーリーとも言えるだろう。

そんな青春ストーリーをベースにしつつ、今作では、“父親”は拒否する対象としてではなく、心の底から希求する形になっている。現実の世界では言わずもがな、特に男の子は、父親という存在が、良きにつけ悪しきにつけ、ある種の価値基準になってしまうからこそ、拒否したくなるのだ。しかし、イッキが父親に求めているのは、自分を抱きしめて“愛して欲しい”という純粋な願いだ。純度100パーセントの無垢な主人公が、父親を追い求め、己の実存をかけて危険な旅に出て“大人”になろうとする。これまでの定型的な作品を逆転させた、とても良く練られたストーリーではないだろうか。

イッキ役の小澤 廉は、無垢そのものとして屹立し、無垢なまま成長するという難しい役を熱演していた。もちろん、ストーリーが進めば、悩むことも、自信をなくすこともあるけれど、そんなことはお構いなしのポジティブなヴァイブに満ちていた。険しい顔も見せるけれど、小澤 廉の笑顔はキラキラ輝いて、殺陣も達者だし、お芝居にグルーヴがあって、ウキウキさせられる。そこから、どんなことも自分の信念にしたがって行動すること、自分に自信を持つことの大切さをメッセージとして受け取ることができた。

マルローは様々な海賊船を渡り歩いていたが、イッキと出会うことで、彼の抱えていた闇のようなものが浄化され、昇華する。そして彼はイッキを守ろう、彼のために生きよう、それが己の居場所だと決意する。小波津亜廉は、そんなマルローのぶっきらぼうなのに、どこか憎めないキャラクターを演じ切った。彼は、この作品のもうひとつのテーマと言っていい、“自分のいるべき居場所”を探し求める象徴になっていたと思う。

白い悪魔は、“赤い天使”の不在を受け入れ、どこか“大人”になってしまったのに、イッキと出会うことで、純真な心を取り戻す。菊池修司は、隙なく演じていて素晴らしかったし、一度は失ってしまった尊敬する人を再び探すために果敢に立ち上がる際の佇まいもかっこよかった。

脚本・演出の伊勢直弘は、彼にしか表現できない“イノセントワールド”を描いていたと思う。そして、彼の素晴らしさは、そんな世界でも、大きな波で揺れることもあるし、荒れた天候で揺さぶられることがあることも知っていることだろう。人は生きていれば、どこかで絶望に打ちひしがれることもある。けれど、それを乗り越えた先に、生きることへの無常の喜びがあることもわかっている。そんな想いを伝えたいというエネルギーに満ち溢れたリアルで迫力のある演出となっていた。

この作品は、ものすごくディープなことを考えさせられるのと同時に、楽しくてワクワクさせられる娯楽作品にもなっている。海から見える水平線の彼方に“希望”が提示され、そこに辿り着くまでに、永遠に航海をし続けるからこそ、生きることは楽しくてしかたがないと教えてくれる。本編後の“劇団シャイニング”恒例のレビューコーナーが終わり、壮大な拍手で役者たちが迎えられたとき、なんともいえない感動が胸に押し寄せていた。

遊園地のアトラクションに乗っているような作品

このゲネプロの前には囲み取材が行われ、小澤 廉、小波津亜廉、菊池修司が登壇した。

まず、自身の役どころについて聞かれ、イッキ役の小澤 廉は「まっすぐで素直で、何色にも染まっていないけれど、何色にも染まってしまう危うさがあるので、思わず正しい道に誘おうと手助けしたくなる優しい人物です」と語り、マルロー役の小波津亜廉は「荒々しくて心が強そうに見えますが、弱さもあって、イッキと出会うことで成長していきます」と述べ、白い悪魔 役の菊池修司は「ふたりとは違う船に乗っている海賊で、信念が強くて、それを言葉だけではなく、身体でも表現しています」とコメント。

また、稽古場でのエピソードを尋ねられ、小波津は「僕と小澤くんは同い年ですが、しゅうちゃん(菊池修司の愛称)は年下。でも、引っ込み思案にならずに、前向きに稽古をしていました」と語り、菊池が「だからゲネプロまで迎えることができたんです」と胸を張ると、小澤が「さっきまで“台詞は大丈夫かな”って不安になっていたくせに」とツッコミ、笑いを誘っていた。

最後に意気込みを聞かれ、小澤は「海賊と海の世界を感じることができる作品です。お客様に日々のストレスを忘れてもらえる舞台にするために全身全霊で頑張りたいです」と語り、小波津は「衣裳・セット、すべてのディティールが細かいです。僕たち全員でお客様と信頼関係を築いて、今作の世界観に引き込みます。一緒に旅に出ましょう」と意気込み、菊池が「遊園地のアトラクションに乗っているような作品です。お客様の人生が変わるほど、熱量を込めて17公演を頑張っていきます」と囲み取材を締め括った。

東京公演は、3月24日(日)まで品川プリンス ステラボールにて上演。京都公演は、4月5日(金)〜7日(日)まで京都劇場で上演される。また、本公演のDVDとBlu-rayの発売が決定し、それに合わせて小澤 廉、小波津亜廉、菊池修司が登壇する発売記念イベントの開催も決まった。詳細はホームページをチェックしよう。

舞台「劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪『Pirates of the Frontier』」

東京公演:2019年3月15日(金)〜3月24日(日)品川プリンス ステラボール
京都公演:2019年4月5日(金)〜4月7日(日)京都劇場

原案:「うたの☆プリンスさまっ♪ シアターシャイニング『Pirates of the Frontier』
脚本・演出:伊勢直弘
音楽:Elements Garden
主催:劇団シャイニング

出演:
イッキ 役:小澤 廉
マルロー 役:小波津亜廉
白い悪魔 役:菊池修司

キャプテン・レッド 役:荒木健太朗
ミートマーケット・ジョー 役:河原田巧也
スミス 役:菊田大輔
放浪の海賊 役:郷本直也

アンサンブル
掛川僚太、佐藤義夫、白崎誠也、新開理雄、竹井弘樹、徳留達也、原田将司、宮迫 誠

オフィシャルサイト
オフィシャルTwitter(@gekidan_shining)

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