LIVE SHUTTLE  vol. 65

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Perfume 6台のドローンと光る衣装。新たな夢も語った圧巻の北米ツアーNY公演

Perfume 6台のドローンと光る衣装。新たな夢も語った圧巻の北米ツアーNY公演

Perfume 6th Tour 2016 「COSMIC EXPLORER」

取材・文 / 藤井美保

今年5〜7月にかけて、最新アルバム『COSMIC EXPLORER』を引っさげた7ヶ所15公演のアリーナ・ツアーを敢行したPerfume。3人の凛々しいパフォーマンスによって表現されたのは、タイトルのごとくまさに今「宇宙探査」に向かうといった躍動感だった。その国内のツアーで、スペースシップのごとくグングンと前に進む推進力を得たPerfumeは、8月には日本を飛び出し北米に到達。初上陸となるシカゴ、サンフランシスコを含む4都市5公演の北米ツアーを、見事に成功させた。

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北米ツアーと正面切って銘打たれたのは、実は今回が初だ。2012年〜2014年にかけて、3回に渡って『WORLD TOUR』を行ってきたが、それはPerfumeの魅力をわかりやすくちりばめたある意味自己紹介的なツアーだった。その着実な歩みによって、YouTubeから彼女たちを知ったボーダレスな意識を持つ海外のファンは、映像よりずっとインパクトのある生身のパフォーマンスでさらに魅了されることとなった。その地固めがあったからこそ、今回は、いわゆる海外むけの特別メニューではなく、最新アルバム『COSMIC EXPLORER』を引っさげて行なった日本公演の内容を持ち込む、本当の意味でのツアーが北米で可能となったのだ。日本のファンも世界のファンも、Perfumeは同じように愛してる。そんなPerfumeからのボーダレスな思いの証としての北米ツアーだったと言っていいだろう。

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最終地となったNYのHAMMERSTEIN BALL ROOMは、彼女たちが映画『WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT-』のなかで、いつかやってみたい夢の場所として語っていたマディソン・スクエア・ガーデンのすぐそば(34thストリートの8thアベニューと9thアベニューの間に位置する)。2年前に初めてここでやったときは1回公演だったが、今回は2デイズ。挑戦は確実に大きくなり、「夢」をどんどん引き寄せているかのようにも見える。

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そんな3人を少しでも近くで感じようと、会場の周り1ブロックをぐるりと囲むように、NYっ子のみならず、遥か遠くの州からやってきたファンも列をなしていた。先頭集団は、前日の午後からずっと並んでいるという。公演日となった9月3、4日には、最新アートが集まるチェルシーのギャラリーで、実際に着た衣装やハイヒール、ポスターなどを展示する「Perfume: A Gallery Experience Supported by Rhizomatiks」も同時開催された。列のなかには、朝早くからそちらの会場でも並び、間近で見る「光る衣装」に目を輝かせていた熱心なファンの姿もあった。若い世代だけでなく、ご夫妻と思しきシニア世代も意外と多い。ファンの年齢層が広いという点も日本と同じなんだな、と、なんだかうれしくなった。

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開演は午後8時。その15分ほど前に入ると、スタンディングと3層のバルコニー席で構成された会場は、2000人の熱気でもういっぱいになっていた。「無線を使った特別な演出があるので、Wi-Fiオフにご協力ください」といったアナウンスがあっただけで、「ウォーッ!」という声が上がり、待ちきれない気持ちが大きな手拍子となっていく。

ふいにものすごい爆音で警告音が鳴り、赤いレーザーが不穏な動きで会場を照らし出した。ビジョンには、太古の時代を思わせるサウンドストームのかかった映像。どうやらレトロな宇宙船の船内のよう。メンバーはそれぞれ持ち場につき、これから出る旅の準備に余念がない。音とともにイマジネーションがどんどん膨らんでいく。さあ、次の場所を目指して出発だ。映像と気持ちがリンクしたところでワープするように始まったのは、「Cosmic Explorer」。気づけばステージの高い位置に、3人がすっくと立っていた。光に満ちたドラマチックな展開に胸が高鳴った。

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北米ツアーでは、観客の目を1ヶ所に集中させるステージ形態がとられていた。光る衣装をまとった3人が自らの足で階段を降りてくる動きで、宇宙に進むイメージを表現。

「私たちは前に進む」という意思がダイレクトに伝わる気がした。そこにいつのまにかWi-Fiで操られた6台の光るドローンが加わる。まるで生き物のように編隊を組み、3人を守るように飛行する様が愛らしい。「Let’s Sing!」とあ〜ちゃんが声を上げると、観客も一緒になってエンディングの印象的なメロディを口ずさんだ。オープニングから驚くべき一体感だ。

「Pick Me Up」や「Cling Cling」など、「スーパー・シンクロナイズト・コリオグラフィー」と呼ばれて世界で評価されているそのダンスに、「キャーッ!」という声を上げて熱狂しているのは、男性よりむしろ女性のほうが多い。海外の同性からも憧れの眼差しを向けられるPerfume。やはり特別な存在だなとあらためて思う。

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英語のMCも随分と多くなった。コメントは3人3様。台本にあるような英語ではなく、日本語を話すときと同じように、ちゃんと彼女たちの体温が伝わる話し言葉なのがいい。この日はまず、会場で目立っているPerfumeのコスプレイヤーたちを、3人は楽しそうにイジっていった。「かしゆかとあ〜ちゃんのコスプレはいるのに、のっちのが見当たらないね」という場面では、のっちがちょっとせつなげな表情で「Where is Notch? No Notch?」と言い、会場を笑いの渦に巻き込んだ。

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これまでの海外ツアーでハプニング的に定番化した「通訳さんの会場調達」は、今では海外ファンにとって見逃せないコーナーだ。この日も大勢の自薦「通訳さん」候補が手を挙げた。選ばれたのは、「私を選んでください」と書いたプラカードを持ったアラバマ州から来た女性。「めっちゃ緊張する」と震える手でマイクを握り、3人のトークを必死に訳す彼女は、時折言葉につまって泣きそうになりなっていたが、最後は観客みんなから健闘を讃えられて、幸せそうだった。バイリンガルなファンを介すことで、Perfumeと観客の距離はグンと近くなる。「通訳さんの会場調達」は、Perfume流文化交流術とも言える「発明」だ。

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さらに、もうひとつ「発明」と言えるのが、日本でもお馴染みの「グループ分け」。この日は、前日食べに行ったというステーキハウスにちなみ、会場の左右を「Steak」と「House」に分けた。かなりバカバカしいけど心底盛り上がれるこのコール&レスポンスのシステムは、海外のファンにも大ウケ。本当に特別なことは何もせず、日本と同じありのままの姿で理解されているPerfumeは、つまりコミュニケーションの天才なのだ。ステージの外で、3人はこんな風に話していた。

「グループ分けは、みんなすごく笑ってくれます。この子たち、いったい何でひとつになろうとしてるんだ!? って思うんでしょうね(笑)」(あ〜ちゃん)
「日本と変わらないですね。わかろうとしてくれるのがうれしいです」(のっち)
「アメリカのファンの人たちの愛を感じました」(かしゆか)

中盤、数々のヒット曲を詰め込んだメドレーで会場を沸かせたあとは、北米ツアー用に英語バージョンにした「Baby Face」をキュートな歌声で観客にプレゼント。かと思えば、「STORY」では、リオ・オリンピック閉会式の東京パートを手がけたMIKIKOとライゾマティクスとともに作り上げたプロジェクションマッピングで、クールに観客を魅了。「FLASH」では、武道を取り入れたダンスで、強くてカッコいい女性像をアピールした。

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クライマックスは、アメリカでの人気のきっかけとなった『カーズ2』の挿入歌「ポリリズム」。感覚が麻痺するようなあのリフレイン後の開放感あふれる間奏で、思わず「ヘイ! ヘイ!」と声を上げる観客。それを、最高の笑顔で眺める3人。5年前、この曲で虜になったファンから、「アメリカでもライブやってください」と片言の日本語で言われたことに胸を打たれ、Perfumeは世界を目指した。求めた側、応えた側、その両者の思いが、しっかりとここで抱きしめ合うのを見たような、そんな感動的なシーンだった。

アンコール「STAR TRAIN」で、「Our dream is to go to Madison Square Garden」と、大きな夢をハッキリと語ったあ〜ちゃんは、「We hope that our dream will also be your dream. Can you make it come true with us?」と、その夢をともに見てほしいと願った。口に出して、言霊にして、夢を叶えていく。それはPerfumeのおまじないのようなもの。武道館も東京ドームも海外ツアーも、そうやって彼女たちは現実のものにしてきた。

「キビしいこともたくさんあったし、ハプニングも絶え間なく起こった。それでも、ともに戦い、挑んでくれるたくさんの人たちがいました。チームPerfumeの宝物がまた増えた気がします」と、3人は互いにうなずき合いながら北米ツアーを振り返った。その眼差しの先には、「夢」という果てしない宇宙が広がっている。目指す場所は、そう簡単に辿りつけるものではないかもしれない。でも、Perfumeは、ひたむきに進むことを選んだ。その姿勢こそが、まさしく『COSMIC EXPLORER』。そんなベタな結論を言うことに、なんの躊躇もない。


COSMIC EXPLORER
Perfume

ライブ情報

Perfume 6th Tour 2016「COSMIC EXPLORER」Dome Edition
10月22日 (土) 京セラドーム大阪(大阪)
10月23日 (日) 京セラドーム大阪(大阪)
11月3日 (木・祝) ナゴヤドーム(愛知)
11月4日 (金) ナゴヤドーム(愛知)
11月12 日(土) 福岡 ヤフオク!ドーム(福岡)

Perfume

あ~ちゃん(西脇綾香)、かしゆか(樫野有香)、のっち(大本彩乃)からなる3人組テクノポップユニット。2000年に広島で結成。 2007年にシングル「ポリリズム」がブレイク、独自な楽曲、歌詞、ダンス、MC等で多方面から評価を得る。2013年10月2日にはアルバム「LEVEL3」を発売、アルバム5作連続オリコンウィークリーチャート1位を獲得。2013年12月には東京、大阪にて自身初の2大ドームライブを行い大成功を納める。 2014年8月には7都市14公演をまわるアリーナツアー『Perfume 5th Tour 2014「ぐるんぐるん」』を開催し、約13万人を動員。同年11月にはワンマンツアーとして巡る地としては初となる、アメリカを含めた「Perfume WORLD TOUR 3rd」を開催。多くの海外ファンを熱狂させる。 2015年9月21日に、結成15周年、メジャーデビュー10周年を迎え、同年、10月には、2014年に行った「Perfume WORLD TOUR 3rd」の模様を撮影したドキュメンタリー映画「WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」を公開。 2016年4月6日には、前作「LEVEL3」から約2年半ぶりとなるオリジナルアルバム「COSMIC EXPLORER」をリリース。 現在、『Perfume 6th Tour 2016 「COSMIC EXPLORER」』の真っ最中。

オフィシャルサイト http://www.perfume-web.jp

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