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『ダライアス コズミックコレクション』奇跡の再現とオリジナルを堪能できる特装版の詳細

『ダライアス コズミックコレクション』奇跡の再現とオリジナルを堪能できる特装版の詳細

水棲生物をモチーフにした巨大なボスとの戦闘、社内サウンドチーム“ZUNTATA”に在籍していた小倉久佳氏(通称・OGR)による多彩なBGM、バリエーションに富んだステージ構成と演出で、いまなお多くのシューターたちに根強い人気を持つタイトーの『ダライアス』シリーズ。
2月28日にNintendo Switch用ソフトとして発売された『ダライアス コズミックコレクション』には、ハーフミラーを用いた多画面表示でインパクトを与えた初代『ダライアス』と『ダライアスII』(+海外版タイトルの『SAGAIA』)、シリーズのなかで最も多くのファンを持つ『ダライアス外伝』といったアーケード版4タイトルを収録した通常版が一般流通している。しかし、同時に発売された特装版には、『ダライアスII』の家庭用移植版、抽選プレゼントとして配布されたアレンジ移植版、そしてスーパーファミコンでリリースされたオリジナルタイトルも併せて収められている。前回の記事では通常版で遊べるアーケード版4タイトルの魅力を紹介したが、今回は特装版の内容をピックアップしてお届けしよう。

文 / クドータクヤ


家庭用機で『ダライアス』再現の無理難題を超えた

ハーフミラーを用いた多画面表示の初代『ダライアス』と『ダライアスII』は“ゲームセンターだからこそ体感できるもの”であり、専用筐体ゆえに家庭用移植は不可能かと思われていた。しかし、キャラクターサイズの縮小や一部ボスのカット、そして画面上下に黒帯を付け足すことで少しでも横長表示に見せるという機転とアイディアにより、なんとメガドライブに『ダライアスII』を移植するという実現不可能な無茶を可能にした。
いまでこそパッと見では差異に気づかず、基板上の動きと寸分違わぬ移植に恵まれているが、1990年代当時は”遊びやすさよりも見た目の再現を最優先“と“グラフィックを犠牲にしてでもプレイ感覚を再現”という二者択一が常に迫られていた。ところがこのメガドライブ版『ダライアスII』の目指した方向性として、見た目を忠実に再現しつつもアーケード版のプレイ感覚を引き継ぐという非常に欲張りな仕様でありながら、それが破綻せずに均一なバランスを獲得している。『ダライアス コズミックコレクション』特装版では、メガドライブ版をプレイしたあとにすぐさまアーケード版を選択してスタートできるので、「あれが違う、これが違う」と粗を探すのではなく、「こういうふうに再現したのか」という目線でぜひ見てほしい。

▲ボス戦の演出として、背景がユラユラとうねるラスタースクロールの表現もメガドライブ版ではしっかりと再現されている

▲ボスの差し替えや登場ゾーンが変更されているところも多いが、1画面というスケールでもボスとの距離感や攻撃パターンなどは共通。見事な職人技といえる

『ダライアス コズミックコレクション』特装版にはメガドライブの前世代ハードにあたる8ビット機、Sega Master Systemへの移植版『SAGAIA』も収録。メガドライブやスーパーファミコンといったゲームハードが主流となっていた日本では未発売となっているが、当時の欧州ではSega Master Systemが根強いシェアを持っていることから、欧州版限定で開発・販売されたソフトのひとつとして知られている。
驚くべきは、メガドライブ版『ダライアスII』が発売された2年後の1992年に、このSegaMaster System版が発売されているという点だ。制限のあるソフトカートリッジの容量と8ビット機の処理能力で『ダライアスII』を再現するというのはとんでもない無茶なのだが、キャラクター表示のダウンサイジングに加え、一部のゾーンやボスキャラクターを大胆にもオミット。ステージの地形や敵機の出現位置だけではなく、ボスの動きや攻撃パターンをも再現しており、プレイを始めると徐々にアーケード版と同じ手触りに近づいてくるという、まるで魔法のような移植になっている。動画で一部を確認してほしい。

スプライト欠けによる“チラつき”や、画面上に多数の敵機やオブジェクトが表示された際の処理落ちが著しい箇所がいくつかあるものの、Sega Master Systemが懸命にも『ダライアスII』を再現しようとしている必死さに、たまらなく感動してしまう。

▲自機・シルバーホークの移動速度がややピーキーに感じるが、指先が一度覚えてしまえば、自然と馴染むという絶妙な操作バランスになっている

▲ゾーン数は大幅にオミットされているが、ルート進行は一方通行ではなく、プレイヤーが選択できるというツボをしっかりと抑えているのが素晴らしい

▲背景をボス表示に特化することで巨大さを余すところなく再現。その効果で背景が黒くても地味に感じず、ボスとの戦闘を楽しめる

ブラウン管モニター3画面ぶんという迫力を与えた初代『ダライアス』を“ボス戦のオンパレード”というアレンジを施すことで再現したPCエンジン版『ダライアス・アルファ』も収録されている。ちなみに『ダライアス・アルファ』は、『ダライアスプラス』購入者向けの懸賞に当選した800名を中心に、ごく限られた数だけ配布されたという限定ソフト。現在の市場価格は10万円前後から、状態によってはそれ以上の値段が付けられている超プレミアタイトルだ。
余談だが、このソフトの原作となったPCエンジンスーパーROM²版『スーパーダライアス』とPCエンジン版『ダライアスプラス』は、画面に上下スクロールを加えることでキャラクターサイズを縮小させることなく自機・シルバーホークやボスをドンと表示し、ダイナミック感あふれる『ダライアス』の世界設定を家庭用機で再現した意欲的な作品だが、『ダライアス・アルファ』では家庭用ならではのオマケ要素として “ボス戦のオンパレードモード”を付加し、巨大ボスとの戦いを余すことなく堪能できるようになった。『ダライアス』シリーズの象徴とも呼ぶべきラスボスのグレートシング(マッコウクジラ)が登場しないのは惜しいところだが、アーケード版『ダライアス』でボツとなったビッグラジャーンヌ(トビエイ)やリトルストライプ(エンゼルフィッシュ)といった幻のボスたちと戦うことができるのは、ファンとして非常に嬉しい。

▲初代『ダライアス』の3面ボス・デュアルシェアーズ(アメリカザリガニ)も、全身が収まりきらないほどのボリュームでシルバーホークに襲いかかってくる!

▲細部までデザインが起こされているレッドクラブ(シオマネキ)、ファイアースター(ヒトデ)といったボスが待ち構えていることもプレイのモチベーションを刺激してくれる

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