Interview

仲井戸麗市と土屋公平が語る、音楽知性を育んだ「麗蘭」25周年 Vol.1

仲井戸麗市と土屋公平が語る、音楽知性を育んだ「麗蘭」25周年 Vol.1

かつて“スーパー・グループ”と呼ばれたバンドが存在した。クリーム、ブラインド・フェイス、エイジアなどなど…。強力なキャリアを築いたバンドが終止符を打ったあとに組まれたスーパー・バンドは、どれも一様に短命だった。そして、その理由は明らかだった。在籍したバンドで大なり小なり炸裂させたエゴを、新しいバンドにも持ち込んでしまったからである。

取材・文 / 佐伯 明 撮影 / 三浦麻旅子


RCサクセションに在籍した仲井戸“CHABO”麗市が、THE STREET SLIDERSの土屋公平と共に音楽を創造し始めたのは、1991年のこと。

当時、半ば泣く子も黙るが如きキャリアを持っていた〜つまり私見では、麗蘭はスーパー・グループに匹敵するのに〜2人が持ち寄ったのは、エゴではなく……“音楽知性”だった。
愛すべき音楽に向けた技術と執着は、時をかけて、さらにその音楽知性を“育む”ことへと繋がった。その事実を知る時、12年ぶりの新レコーディング・アルバム『25』は、奇跡に類似するものと言っていい。

ちなみにCHABOさんを形容する文言としては“新宿ギター詩人”、土屋さんのそれは“比類なきリズムメイカー&サイケデリック・ヴォイス”というものがふさわしいと思う。
ここに、日本のミュージック界が誇る最高峰の音楽知性の持ち主、仲井戸“CHABO”麗市と土屋公平の圧倒的音楽話を前後編の2回にわたってお送りしよう。

「ここらでやっとかないと、もう出来ねえんじゃねえかな」って個人的には思った

麗蘭25周年記念インタビュー。よろしくお願いします。おふたりが音楽創作を始めて四半世紀が経ったわけですよね。その流れというのは、時として振り返ったりするんですか、CHABOさん。

仲井戸 ミュージシャン活動、20年30年ってよく言うけど、基本的に本人ってあんまり意識しないよねっていうのが通常の答えだよね。まあ俺もそうなんだけど、でもどう考えても25年っていう数字は、ミュージシャンとかっていう以前に(笑)、人間の人生としてもなかなかの年月だと思うし、1歳から25歳の25年と、俺で言えば麗蘭は40歳から25年っていうのは、それを公平と一緒に過ごしてきたなっていうのはなかなか、ふと思えば感慨深いっていうのが感想かなあ。そう思うね。

土屋 でもこういう機会がないと、思い出さないこともあるしね。取材を受けて「そういえば」って思い出すこともあるし。ふだんの中ではね、何周年だ何周年だって振り返ったり思い出したりすることもあまりない。

仲井戸 「25年前、佐伯くんに取材してもらったなあ、京都で」なんてことを思い出しながら(笑)。

京都・南禅寺でね。

仲井戸 あったろ? そういうこととかな、ははは。なかなかの年月かなと。

さらに新作は、スタジオ盤としては『SOSが鳴ってる』以来12年ぶりで。

仲井戸 ははは! 早いだろ(笑)。

土屋 わりと早い(笑)。

土屋 ピンク・フロイドかって(笑)。

そう。で、京都の磔磔でやったライブ盤とかはその都度出してきたのに、 何故スタジオアルバムがこのピンク・フロイド級に――

土屋 (ザ・ローリング)ストーンズじゃないんだからって言われたけどね(笑)。

12年のインターバルがあったのか、CHABOさんどうぞ。

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仲井戸 どうだろうなあ。きっとその12年の年月の、何かいろんな個人的な日常のこともあったろうし、とかね。もっと言うと、たとえば公平はいつでも横で「CHABOさん、ゴーできれば受けますよ」ぐらいなところにいてくれたんだけど、きっと自分がライブ盤でクリエイターとして何かはできてたところもあんだろうけど、やっぱスタジオに入ろうとする気力とか、そういうことも含めてだと思う。
あと、(忌野)清志郎のこともあったりとか、自分のプライベートの親父やおふくろのことがあったりとか、そういうことのいろんなリンクで――まあ気力って言うとロックっぽくないけど、でも実際はそういうことだったと思う。自分のソロも含めてね、スタジオに入ってたり、そういう気持ちになれなかったってことだと思うんだ。

土屋 スタジオ盤を録音しないと麗蘭じゃないっていうことはないからね。毎年やってるわけだし、その都度新曲やカバーもやれてるわけだし、そこでひとつ、毎年必ず会って「元気でやってた?」って言って演奏して、新曲もやって、っていう、麗蘭のある一部分はそこで毎年結実してたところっていうのはあると思うんだよね。で、一緒に会ってライブ盤をああだこうだって言いながら作って、っていう。

磔磔のライブ盤の積み重ねの中で一番いいところは、必ずCHABOさんが新曲を書いてくることですよね。

仲井戸 それはやっぱり守りたくて。バンドの緊張感にしてもね。公平に「こんなのはどうかな」っていつも持って行くようにはまずはしなきゃとは思って。自分もそうしたいしね。

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