Interview

松下優也が誘う音楽世界=“BLACK NEVERLAND”。ソロデビュー10周年を迎えた彼が目指す、この先

松下優也が誘う音楽世界=“BLACK NEVERLAND”。ソロデビュー10周年を迎えた彼が目指す、この先

見定められているような気がして、怖いなって思うときもある

この2曲と、続く「OOAK(One Of A Kind)」はラッパーのSHUNさんとタッグを組んでいます。2ndアルバム『2U』に収録された「Secret Love」以来のタッグですね。

SHUNは一番の親友なんですよ。僕が小6、SHUNが小4の頃からずっと知っていて、上京したタイミングもほとんど一緒だった。僕らが通っていたボーカル&ダンススクールには、ほかにもたくさんの男の子がいたんですけど、みんな、微妙に方向性が違うんですよ。ダンスに特化してるやつ、歌だけのやつとか。大きく見ると、音楽、ダンス、ファッションの趣味は一緒に見えるんですけど、方向性はみんな違っていて。その中で、SHUNと俺は一緒だった。よく、「SHUNと喋り方が似てるよね」って言われることがあるんですけど、性格はまったく違ってて。だから、一緒にいれるんだと思うんですけど。ずっと一緒にやりたいって話してたんですけど、お互いがやりたいって言うだけでなかなか実現できなかったので、ようやくできた感じですね。

「OOAK」では“ボケ!”が伏せ字になっていますよね。

そこは開き直りみたいなところなんですけど。これまでの経験のなかで、お客さん全員が敵に見える瞬間があって。舞台やミュージカルのときとかはことに、見定められているような気がして、怖いなって思うときもあるんですよ。それより、自分の特異点を超えるほうが怖いんだぜというところに持っていきたかったし、逆に、そもそも“お前らはちゃんと俺のことを見れているのか”、“お手並みを拝見するのはこっちのほうじゃ、ボケ!”って言ってしまった。普段そんなこと、言葉じゃ言えないから音楽でやりました(笑)。

関西弁も使っていますよね。

それもあえてですね。人の音楽を聴いていて、急に関西弁が入ってくるとドキッとすることがあるんですよ。関西弁のニュアンスとか、イントネーションのパワーってあるなって思ったので。

ありますね。「King Ü-Wingy」の“マジゾッコンやろ?”とかドキッとしましたから。

あはは(笑)。パンチありますよね。関西を代表しているわけじゃないんですけど、兵庫で生まれ育ったのに、それをそのまま出さないのももったいないなと思って。そこに対してのリアリティーも詰め込みたかったし、ラップのフロウとしても関西弁のほうがいい場合もあるので、あえて入れていたりしますね。

「In Darkness」では“危うさすらも見世物やろ”というフレーズもあります。

僕らって、このご時世どんどん消費されていってしまうじゃないですか。360度いろんなところから見られていて、いろんな捉え方をされる。なるべく完璧にやろうとするけど、そうなったときに、自分のありたい姿だけを保てないというか。完璧を求めるあまり隠していた部分もあったけど、隠さなくていいんだって思い始めたし、俺もひとりの人間だし、それを見ている人も同じ人間なんだから、弱さや脆さ、恐怖心さえも誤魔化さずに、見て見ぬ振りをせず、受け入れたうえで見世物にすれば、それすらもエンターテインメントになるんじゃないかって思ったんです。

あること、ないこと言われたり、自分が思っていることとは違う捉え方をされることもありますし。

ワイドショーなんてそうですよね。でも、そこも受け入れて、それすらも見世物にする。そのみんなに見えていない部分を“In Darkness”って例えていて。本当の部分は誰も知らない。みんな適当なことばかり言うし、本質を捉えている人なんていないかもしれないけど、それはそれで、その人が見えているものという意味では、その人にとって、それはひとつの真実でもあるっていうことですね。

松下優也という表現者、アーティストでありたい

アルバムのラストトラック「Moonlight」では、鏡に向かって自問自答していますよね。

今回のトラックリストを考えたときに、「Moonlight」は一番最後にしようって決めていたんです。「Prologue〜BLACK NEVERLAND」で始まって、「Moonlight」で終わる、最初にそう決めたうえで曲順を考えました。具体的な理由はないんですけど、感覚的に「Moonlight」を一番最後にしたいって思ってたんです。

感覚的だから説明できない?

はい。感覚的な部分が大きいですね。「Moonlight」の歌詞ができたのも、2年くらい前で。自分のことを歌っているところもあるんだけど、本当に頑張って疲れている人たちがどういうものを求めているんだろうなって考えていたときに、自分がちょっと疲れてきて「こういう曲があったらいいな」と思って書いた曲だったんです。本当に頑張ってる人って、人前で弱音を吐いたりしないと思うので、そんな人たちをそっと見ている存在として“ムーンライト”を例えました。本人=ヒーローはあんまりはっきりとは見られたくないと思うから、近くにそっと寄り添うっていう意味で“鮮明過ぎず曖昧に”って表現していて。これは自分自身にも例えているし、そういう存在でありたいなとも思うので。まっすぐな応援ソングって、自分は描きづらいんですよね。絶対的に陰の部分やネガティブな要素、より人間味のあるところを描かないと、次には進めないと思うから。

“ヒーロー”=聴き手で、歌い手である“僕”はヒーローを見守っている存在なんですね。

そうですね。今回のアルバムは、制作期間を設けて作ったのではなく、いろんな仕事をしながら、この2年弱くらいで作ってきた曲を詰め込んだ感じなので、その時々の心境を書いているから、曲調も書いていることもバラバラなんですね。曲によってはストーリーを伝えているものもあるし、自分が本当になりたいものってなんなんだ?って問いかけているものもあって。

“俺は俺”とも通じる部分なんですけど、その“なりたい自分”が明確でないと言えないことですよね。

デビュー当時のインタビューでは、「自分というジャンルを作りたい」って言っていましたけど、もっと具体的に言うのであれば、自分というジャンルがどうこうじゃなくて、ラップをする、バラードを歌う、ダンスをする、芝居をする、すべて自分がやっている、“松下優也という表現者でありたい”というか。いろんなことをやる表現者、アーテイストでありたいなって思いますね。

自分が音楽で表現するいろんな表現の総称が“BLACK NEVERLAND”

本作では、セルフプロデュースも担当しました。改めて、King Ü-Wingyが案内人を務める『BLACK NEVERLAND』はどんな世界だと言えばいいですか?

ひとつのこういう世界っていう感じではないんです。“BLACK NEVERLAND”はある種、夢の世界。夢って、怖い夢もあれば、楽しい夢もあるし、いろんな夢があるじゃないですか。だから、自分が音楽で表現するいろんな世界、いろんな表現、いろんな景色の総称が“BLACK NEVERLAND”だっていう感じです。自分自身、つねにワクワクする気持ちとか、好奇心や子供心みたいなものを忘れたくないと思っていますし、聴いてくれる人にとっても、僕の音楽で楽しんでもらってネバーランドに行く、僕の音楽が子供に帰れる場所になればいいなって思いますね。

完成して、ご自身ではどう感じました?

とりあえず、いったんの達成感はあります。今回は、音楽で表現するという部分だけではなく、自分の頭の中にあるものをすべて具現化、表現するというところで、ジャケット写真にもこだわって。クラシックのロールスロイスを借りて撮影したいって言い出したのも僕だし、衣裳やメイクも自分でオーダーしたり、歌詞もSHUNのパート以外は自分で書きましたし。しかもトラックダウンまで細かくこだわって、本当に自分が今、表現したいことをあらゆる角度から詰め込めた感じがするので、早く、モノとしてのCDが欲しいですね。出来上がったモノを見て、「はい。じゃあ、次やりましょう」っていう感じです(笑)。

出来たばかりでもう次を見ている?

モノを作る人とかは、みんなそうだと思いますよ。出来上がったときにはもう次に進んでいるものですから。でも、ファンの皆さんがどんな反応をするのかは楽しみですね。この作品をどう捉えてもらえるかなっていう興味がある。だから、早くみんなの感想が聞きたいです。

松下優也(まつした・ゆうや)

1990年5月24日生まれ、兵庫県出身。2008年11月にシングル「foolish foolish」でソロアーティストとしてデビュー。2009年公開映画『悲しいボーイフレンド』で俳優デビュー。2015年には自身が中心となり、ダンス&ボーカルグループ“X4”を結成。2018年には1月にソロライヴツアー〈LIVE TOUR 2018 ~Like 4 Like~〉を開催、12月にX4のミニアルバム『CROSSROAD』をリリース、2019年2月よりソロライヴツアー〈LIVE TOUR 2019〜10th Anniversary〜〉を敢行。俳優としても活躍を続け、連続テレビ小説『べっぴんさん』、『アシガール』、ミュージカル『黒執事』、新感線☆RS『メタルマクベス』disc1をはじめ、数々の舞台 / ミュージカル、テレビドラマ、映画に出演。4月12日スタートTBS系連続ドラマ『インハンド』(毎週金曜午後10:00〜OA)への出演も決定しているほか、6月からは舞台『黒白珠』への出演も控えている。

松下優也オフィシャルサイト
X4オフィシャルサイト
Twitter(@U_staff)

電子書籍ストア「Reader Store」の月刊ミュージックマガジン『Reader Store Music』Vo.06の表紙&特集は松下優也が登場!

「Reader Store」の月刊ミュージックマガジン『Reader Store Music』第6号。今回は約6年ぶりのフルアルバム『BLACK NEVERLAND』をリリースした松下優也をフィーチャー。作品に込められた強い想いとこだわりを語ります。また本誌だけのスペシャルQ&Aも網羅! さらに本人のスペシャルコメントも音声で聴けます!! 2019年4月上旬配信予定です。お楽しみに。
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