Review

彼のハートを鷲掴み(物理)な『シンゾウアプリ』で体感する6つの恋

彼のハートを鷲掴み(物理)な『シンゾウアプリ』で体感する6つの恋

125Inc.が贈る『シンゾウアプリ』は、音声のみで綴られる女性向けアドベンチャーゲーム。声優の木村良平さん演じる6人のキャラクターとコミュニケーションを図るのだが、画面にはキャライラストの代わりに“心臓”が映し出されている。これはなんと、彼の心臓なのだ。ある日、彼の心臓は呪いによって体から切り離され、プレイヤーがダウンロードしたスマホアプリのなかへと移ってしまったという。つまり、プレイヤーは顔も知らない男性の心臓を握っている状態。その扱いかたによっては、ストーリーや彼自身に変化が訪れることも……? 今回は、6人のルートをそれぞれプレイしたレビューをお届け。重要なネタバレは控えているが、心配される方はまず体験プレイをおすすめする。アプリは無料でダウンロードでき、序盤の5分間を体験可能。おもにチュートリアル部分となるが、本編と同じ内容をプレイできる。続きのストーリーは有料で、6人ぶんのルートがすべて解禁される買い切りタイプ。お気に入りのボイスを登録してすぐに聴けるブックマーク機能も別途有料で全解放、さらに起動時のボイスも追加される。

文 / 小泉お梅


ハートキャッチは突然に

「おい、聞こえないのか?」というピリッとした第一声。顔は見えないけれど、声の主は俺様な性格らしいこと、何やら苛立っていることが伝わってきました。
彼からは、さらに衝撃なひと言が飛び出します。「お前の手のなかにあるそれは俺の心臓そのものだ」と。スマホの画面を見れば、レントゲン写真で見るような心臓が脈を打ち、バイブレーションがトクンと微振動をくり返しています。対する彼のほうでは血は通っているのに、胸に手を当てても鼓動が感じられなくなったのだとか。

▲いやな生々しさこそありませんが、手のなかに心臓が収まっている感があります。画面上の心電図の波形と聴こえてくる心音、そして振動が重なっていてリアル。なお、画面をタップし続けていればセリフのテキストも表示されます

彼いわく、心臓がこちらのスマホへ移った状況は、都市伝説として囁かれていた呪いのアプリの話に酷似しているそう。昔行われていた罪人の心臓を晒した刑罰を、アプリとして現代に復活させたものらしいのですが……。不気味な話になんだかゾワゾワしてきました。誰が、何のためにといった細かいことは謎ですが、「状況を理解できたか?」という彼からの問いには、一応「イエス」と答えておきました。本作では彼の決めたルールに従い、指の動きで意思の疎通をします。イエスなら縦に心臓をなぞる、ノーなら横というように。方向さえ正しければ画面内のどこをなぞってもOKなので、手の小さな女性でも片手でプレイしやすいのがいいですね。

▲ときどき、彼からの質問が発生します。イエスかノーの返答次第で彼の反応や、その後の展開が変化。ちなみに選択肢画面に現れる楕円はイエス・ノーのなぞる方向のガイドですが、このとおりになぞらなくても大丈夫

あまりにも衝撃的な内容なので、彼を取り巻く状況をこちらにまとめました。

<本作の世界設定>

・彼は呪いのアプリによって心臓を切り抜かれた
・彼の心臓はプレイヤーのアプリに移っている
・心臓が切り抜かれても生きており血も巡っているが、その仕組みは不明
・アプリを通じて彼の声は聴こえるが、プレイヤーの声は彼に届かない
・心臓に触れていることで、プレイヤーの感情の起伏が彼に伝わる
・呪いのアプリは昔の刑罰“心ノ臓ノ晒シ刑”を現代に再現したものらしい

こちらから呼びかけられないもどかしさがありますが、彼は心臓を通じて主人公の気持ちを読み取ってくれる場面もあります。これも呪いのアプリの機能なのでしょうか……? ちなみに、彼が呪われた理由を知りたいと思っていたところ、「呪った人物に心当たりはないが、何でもできてしまうため妬まれたのでは」と、答えてくれました。どこまでいっても俺様な彼ですが、次第にこちらのことを気にかけてくれる素振りも見せ始めました。ついには彼から「心臓を撫でてほしい」というリクエストが! 意外とデレるの早いなあと、こちらも思わずニヤニヤしてしまいます。

▲やはりハートにダイレクトにアプローチしているのが効いているのでしょうか? 画面をタップすることで心臓を撫でますが、このとき連打してしまうと痛がるようです。タップの強弱よりも回数に気をつけましょう

ただ、ここで気を許していたのは自分も同じだったことに気づいてしまいました。少しまえからリアルで心地よい眠気を感じていたんです。ちょうど寝ころびながらプレイしていたので、寝落ちするところでした(電車内じゃなくてよかった……)。鼓動のリズムは人を安心させると言われますが、まさにその効果を身を持って実感しました。彼の口調や心拍も比較的穏やかだったり、スマホがほんのり熱くなってちょうど人肌のような温度になっていたのも後押ししていたのかも。

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