Interview

坂口有望 ミニアルバムはまさに彼女の“青春”を詰め込んだ一枚に。大切にしたいという“これまで”と“これから”を訊く。

坂口有望 ミニアルバムはまさに彼女の“青春”を詰め込んだ一枚に。大切にしたいという“これまで”と“これから”を訊く。

この春に高校を卒業した大阪出身の18歳のシンガーソングライター、坂口有望が“卒業記念盤”というべきミニアルバム『放課後ジャーニー』をリリースした。
3月1日に卒業式を迎え、翌日から全国弾き語りワンマン「さよならネイビーtour」が始まり、ツアーファイナルの翌日に東京の大学の入学式が控える彼女。中高一貫の女子校に通った“これまで”を振り返りながらも、上京後の“これから”への期待も膨らむ1枚を完成させた彼女に“いま、現在”の率直な心境を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 荻原大志

高校卒業記念盤っていう言葉が似合う1枚になってるなって思います

高校卒業おめでとうございます!

ありがとうございます。卒業したばかりなので、まだ現実味がなくて。学校が終わったっていう実感がないのが、正直な感情ですね。中学から6年間通っていたので、急にバイバイって言われたところで、そんなすぐに離れられるものじゃないんですけど、これからじわじわと寂しくなってくるんだろうなって思います。

卒業式はどうでしたか?

号泣しましたね。泣くつもりはなかったんですけど、卒業生代表の挨拶がすごくよくて泣いちゃました。進学校なので、3学期はほとんど授業がなくて。みんなと会えてない期間があったので、泣かないかなと思ったんですけど、みんなも泣いてました。

卒業式の後に謝恩会とかありました?

ありました。そこで、「いつか」を歌わせてもらって。みんな、泣いてたみたいなんですけど、その顔を見たらもらい泣きしちゃうので、みんなの顔を見ないようにして歌い終わっちゃって。今はちょっと後悔してます。みんなの顔を見ればよかったなって。

どうして「いつか」にしたんですか?

私の学校が運動部が活発やって。運動部の景色から刺激を受けて書いた曲なので、自分の通ってた高校の景色がいちばん浮かぶのは「いつか」やって。自分の想像する学校にいちばん近い曲ですね。

ライブのMCでは「高校サッカーの応援歌みたいな曲が作りたいという思いで作った」って言ってたので、勝手に男子サッカーを想像してました。

私の学校にもサッカー部があるんですよ。自分は高校3年間を音楽に費やしてきたけど、運動部でサッカーに費やす人のことを考えた時に、同世代っていうこともあって、何か応援できるような曲が作れたらいいなと思って作り始めて。サッカー部の友達からいろいろ話を聞いたり、練習しているところを遠目で見たりしながら書いたので、現実味がすごくあると思うし、歌っている時も、自分が書く時に見ていたサッカー部の練習している景色が見えるなって思いますね。

改めて、その「いつか」を収録した5曲入りのミニアルバムが完成した感想からお伺いできますか?

高校卒業記念盤っていう言葉が似合う1枚になってるなって思います。中学2年の時に音楽をはじめて。高校に上がる時に芸能活動がしやすい学校を選ぶこともできたんですけど、自分は友達の存在が大きかったし、みんなと同じ高校に通うっていう選択が間違ってなかったんやなって思える1枚ができたなと思っていて。高校3年間、あの学校に通ったからこそ描けた曲ばかりですね。

自分が音楽を始めたきっかけとか、なんで音楽をやっているのかっていうことを自分に問いかけながら書いた曲です

それぞれの楽曲にどんな思い出や思いを込めたのかをお伺いしたいなと思います。アルバムのオープニングを飾る「musician」は?

自分が学生でもあり、ミュージシャンでもあって。切り替えももちろんあったんですけど、生きてる上で両方自分なわけで。やからこそ、自分がミュージシャンである定義みたいなものを自分自身に問いかけることが多くて。自分がミュージシャンである限りは、絶対にこういうことを思っているよっていう芯の部分ですね。自分が音楽を始めたきっかけとか、なんで音楽をやっているのかっていうことを自分に問いかけながら書いた曲です。これからライブで歌っていく中で、何回も原点に戻れるような曲でありたいなって思って。

いまあった「自分が音楽を始めたきっかけ」や「音楽をやる意味」というのは?

音楽が自分を救ってくれたっていう経験があって。その現象を自分でも起こしたいっていう気持ちで音楽をやっているんですね。その音楽の可能性みたいなものをみんなと、ライブで一緒に分かち合いたいっていう気持ちもあって作ったので。私がミュージシャンである以上はこういう気持ちで歌ってるよっていう意思表示をするような曲になってます。

「音楽があなたを照らしますように。救いますように」と歌ってます。

そうですね。それが私が音楽を始めた理由で、これからもやっていく芯の部分であることは変わらないなって思います。これからはいろんな音楽に挑戦したいなと思ってて。高校生活がなくなって、これから自分がどんな音楽をやるのかもわかってない状態なんですけど、私の音楽性がいろいろと変わっていったり、表現の幅が広がって、違う雰囲気になったとしても、この気持ちだけはずっと自分原点にあるよっていうことを、自分が卒業するタイミングで、みんなに知っていて欲しかったっていう意味も込めてますね。

ミュージシャンとしての意思表示であると同時に応援歌にもなってます。

うんうん。自分が音楽の可能性を信じているからこそ、みんなにもそれを信じてほしいなっていう気持ちもあって。ライブでみんなと一緒に分かち合うことが大事な曲やなって思ってますね。

ライブで初披露した時からクラップが沸き起こってました。一方で、同じくワンマンライブでは披露していた「悪魔の(仮)」や「dawn beat(仮)」を入れてなかったのはどうしてですか?

今回、入ってる曲たちは、高校卒業をするときに出すっていうのが大切で、そこまでが作品の一部みたいなところがある5曲を詰め込んだんですね。「悪魔の(仮)」とかは、もっと温めてから出してもいいような曲だと思ってて。高校を卒業するタイミングっていうのが、作品の一部になるような曲だけ集めて出すっていう形にしましたね。

中2のときの自分にはちょっと大人すぎた曲なんじゃないかなと思って。だから、今、歌ってやっとしっくりきてる感じです

続く、ミドルバラード「青春」はまさに卒業ソングですよね。

中2の時に、中3の先輩を見送るお別れ会で披露するために作った曲ですね。卒業生を見送る曲を自分が卒業する時に出すっていうのをすごく感慨深いなと思って。自分で自分を送り出すような、自分を客観視するような気持ちでレコーディングでは歌いましたね。

中高一貫だから、先輩の卒業もそんなに寂しくないのではないですか?

たまたま仲良い先輩で、外の高校に出ちゃう人がいはって。その人に向けて書いたんです。卒業するときって、「おめでとう」って言われるけど、気持ち的には、「ありがとう!」ってハッピーな気持ちで卒業する人はあんまりいない気がして。もっと寂しさやったり、友達とお別れする切なさなみたいなのがあると思ったんですね。だから、卒業する人に贈る言葉はどういうのがいいんだろう?って思った時に、「あなたがこれから行く道をみんなで照らしてあげるよ」っていう曲があれば、安心しててお別れできるんじゃないかと思って。なので、卒業に対して、「おめでとう」っていう気持ちよりは、「これからもサポートしていくよ」っていうことを歌ってますね。

自分が見送られる側になった今、この曲を歌ってみてどう感じました?

私がこのミニアルバムを作ろうって思った時に、「青春」は入れないもんやと思ってたんですよ。自分がお見送りする曲やから、自分が卒業する時に歌うのはなんか違うかなって思ったんですけど、いざ、久しぶりにこの曲を聴いてみたら、中2の自分が、高3になった自分のことを予言しながら歌ってる気持ちになって。すごく大事にしなあかんなというか、自分が卒業するタイミングであえて出すのがふさわしい曲なんかなって思って入れましたね。

予言してるなって思ったのはどういう部分ですか?

今、振り返ると、中2のときに「青春」を作った自分は、“青春”がどんなものなのかなんて、何もわかってなかったやろって思うんですよ(笑)。でも、時を経て、今レコーディングして歌うと——6年間、酸いも甘いも嚼み分けて、青春というものを、自分としてはわかった上で歌うとしっくりくるというか。この曲の歌詞ってすごくシンプルやけど、すごく悟られてるような気がしたんですよね。中2のときの自分にはちょっと大人すぎた曲なんじゃないかなと思って。だから、今、歌ってやっとしっくりきてる感じです。

中高の6年間は“青春”だったなって思いますか?

そうですね。女子高って特殊な環境じゃないですか。女の子だけが団結して、体育祭でも本気でぶつかり合ってっていう瞬間は本当に貴重やったなって思うし。楽しかったなって思う分、青春やったんじゃないかなって思ってます。これからも青春みたいなものを感じれたらなって思いますけど、間違いなく中高6年間は掛け替えのない青春やったなって思います。

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