Interview

崎山つばさが思う、舞台初主演の心構えとは? 舞台「幕末太陽傳 外伝」で喜劇に立ち向かう彼の飽くなきチャレンジ精神

崎山つばさが思う、舞台初主演の心構えとは? 舞台「幕末太陽傳 外伝」で喜劇に立ち向かう彼の飽くなきチャレンジ精神

夭折の天才映画監督・川島雄三の生誕百周年を記念した舞台「幕末太陽傳 外伝」が4月18日(木)から伝統ある東京・三越劇場にて上演される。
原作はフランキー堺や石原裕次郎らが出演し、1957年に公開された映画。幕末の品川遊郭を軸にストーリーが展開していく喜劇である。本作舞台版の出演者も映画に負けず劣らずで、愛原実花、蒼木 陣、磯貝龍虎、入江甚儀、鐘ヶ江洸、小坂涼太郎、小松準弥など錚々たるメンバーが揃う。
そんな舞台で主役の佐平次を演じる崎山つばさにインタビュー。舞台初主演ということも含め、崎山に今作がどんな挑戦になるのかじっくりと聞いた。

取材・文 / 竹下力 撮影 / 増田慶


映画の舞台化に挑戦するのは初めて

映画『幕末太陽傳』といえば、フランキー堺、石原裕次郎といった往年のスターが出演され、日活の映画史に燦然と輝く傑作ですが、原作をご覧になっていかがですか。

アニメやゲーム、小説が原作の舞台に出演する経験はありましたが、映画の舞台化に挑戦するのは初めてです。映像だからこそ、時代背景や、幕末の雰囲気がリアルに伝わってきました。それを純粋に視聴者として楽しんだ僕と、これを舞台で表現するには「どうしたらいいのかな」と観ている僕がいて。おっしゃるように、伝説の映画だと思いますし、撮り方も斬新で見応えのある作品でした。

すでに脚本をご覧になったそうですね。

舞台では表現できないこともあるし、舞台でしかできない表現もあるので、その部分が上手にストレスなく表現されています。

脚本・演出を担当される、なるせゆうせいさんの印象はいかがですか。

僕が出演した『錆色のアーマ』(17)のときは脚本を担当されていましたが、“笑い”に関して確固たるイメージを持っていらっしゃいましたね。今作では演出もしていただくので、僕の中の“喜劇的”な部分を見出してもらえたら嬉しいです。

少し視点はずれますが、役者には、原作から役のインスピレーションを受けたり、脚本から役をつくるタイプに分かれたりしますね。

あまり決めていないですね。原作ものであれば、ある箇所しか舞台として使わないとしても、その前後を見つめることも大切で。主軸から派生した背景や、違うストーリー展開を見つけることが舞台には活きていくので。

これまでの佐平次を僕の中に活かしながら、僕らしい佐平次を

崎山さんが演じられる、フランキー堺の当たり役のどこか飄々とした佐平次について聞かせてください。

フランキー堺さんが演じた佐平次をスパイスとして残したい思いがあるし、映画以外にも、古典落語の名作『居残り佐平次』も存在しているから、これまでの佐平次を僕の中に活かしながら、僕らしい佐平次を表現したいと思います。

具体的にどのように役づくりをしていこうと思っていますか。

映画を初めて観たときは、「なんだこの人は」という驚きがありました。でも、気づいたらいつの間にか、支払い滞納していただけのただの客が、遊郭で仕事をする一員として打ち解けているし、周りのキャラクターが佐平次を頼っていく。「この人がいなければダメだ」という人物で、それを突き詰めたい思いがあって。原作や落語に触れて、枠組みとしての佐平次らしさの引き出しを増やして、中身の部分は、これからの稽古でつくり上げていこうと思います。

今作は喜劇の要素が多いと思いますが、気をつけようと思っているところはありますか。

日常生活にいる僕たちと佐平次が重なる部分はたくさんあると思います。お調子者で、悪いことがあっても笑い飛ばして、それすらも感じさせない生き様は映像を観て感動しました。

なるほど。佐平次は市井の人なんですね。

そうです。僕も普通の人である佐平次だからこそ出せる雰囲気を表現したいと思っています。それから、僕はどちらかというと楽観的で、そこは佐平次に繋がるから、全面に出していきたいですね。

作品も伝統がありますが、劇場も1927年に三越ホールとして開業した三越劇場ですね。

僕は初めて立たせていただきます。映画界を代表する監督の川島雄三さんの『幕末太陽傳』は、長年語り継がれている。それと同時に、三越劇場も昔から多くの人が通って、上演されたいろいろな演劇作品が歴史に名を残しています。僕が演じる今作も、この先100年ぐらい続くような、残る舞台になってくれたら嬉しいですし、そういう劇場に見合った作品をつくりたいです。

技術的なことになりますが、初めて立つ劇場で気をつけていらっしゃることはありますか。

舞台横にあるスペース、いわゆる“袖”の広さですね。劇場によって幅が違うので、走り抜けてはけたりすると、気をつけないと怪我に繋がりますから。ですので、小屋入りをして最初にチェックするのは“袖”になりますね。

登場人物のひとりとして、板の上で生きたい

個人的にびっくりしたのですが、今作が初主演だということですね。

それ以外にも、ほかのキャスト全員と初共演になりますね(笑)。僕は「俺についてこい」というタイプではないので、主演ではあるけれど、登場人物のひとりとして、板の上で生きたいです。映画のように、笑いの絶えない座組みになれば嬉しいので、稽古から緊張せずにお芝居をしていきたいです。

これまで座組みの中で意識していたことはありますか。

今までの作品では、座組みは自分からつくっていくことはせずに、成り行きに任せるところがあって。ただ、真ん中にいる人が力を抜いてマイナスに作用することをしてしまうと、作品が崩れてしまうと思うので、今作でも柱というより、それを支える支柱になりたい気持ちが強いです。責任感を持って「幕末太陽傳 外伝」という作品の登場人物のひとりとして、本番を見据えていきたいです。

たとえば、ご自身が出演した舞台の座長から影響を受けたりすることはありますか。

あまりないかもしれませんね。僕は僕のままで走りたいタイプかな(笑)。かといって、“役者・崎山つばさとは何か”と言われたら、まだ明確ではないですが……今回の初座長を通して、新しい自分を見つけていきたいです。

ちなみに、作品から感じたテーマやモチーフはありますか。

映画を観ると、普通に生きているだけでも幸せだと思うんです。佐平次は、訳あって持病を抱えていますが、「地獄も極楽もあるもんけぇ、俺はまだまだ生きるんでぇ!」といった啖呵を切る台詞があるんです。そういった何気ない言葉でも、生に対する思いや、笑って生きられる幸せを、重たくならないように、明るく大事に表現したいです。

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