Interview

映画『SCOOP!』リリー・フランキー×大根仁監督が濃密対談!

映画『SCOOP!』リリー・フランキー×大根仁監督が濃密対談!
エッジの効いた作風でヒットを飛ばし続ける大根 仁監督の作品には、必ずと言っていいほどリリー・フランキーが出演している。プライベートでも付き合いの深いお二人の呑み仲間には、福山雅治もいる……。そんな3人の濃密な関係性から生まれた、日本映画を革新する傑作『SCOOP!』。その舞台裏を、福山雅治が演じる主人公・都城 静の親友であり、情報屋のチャラ源を演じたリリー・フランキーと、大根 仁監督の濃密でギリギリな対談で大公開する!

取材・文 / 大谷弦 撮影 / 三橋優美子


大根くんと福山くんの二人が仕事していると、俺の飲み相手がいなくなっちゃう

大根監督の映画には必ずリリーさんが出演されるということですが、今回はどのようにオファーされたんですか?

大根 リリーさんとはいつも飲んでいるんですけど、そのときに「次、何やるの?」みたいな話になるんで、「次、福山くんでやるんで、先輩、お願いしますね」「わかった」っていう感じですかね(笑)。

リリー いつも内容も聞かずに「わかった」って言っています。でも、今回の映画の話を聞いて「また編集部か!」っていうのは思いましたね。

大根 べつに俺も狙っているわけじゃないんですけど。

リリー 次も、だもんね?

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大根監督の次回作『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』も、雑誌の編集部が舞台ですよね。

リリー これはもうギネスに載るよ。4本続けて編集部の映画を撮った監督っていう。

大根 申請してみようかな(笑)。ホントにたまたまなんですけどね。でも、自分にとっての社会というか、会社の有り様というのが、雑誌編集部だと表現しやすいっていうのがあって。

リリー 編集部のシーンを撮っているときの監督は生き生きしていますよ、毎回。好きなんだと思うんですよね。ああいう密室群像劇みたいなのが。『SCOOP!』の編集会議のシーンも特殊に見えるけど、どこの会社でもやっていることですよね。吉田羊さんが「芸能スキャンダルだ!」、滝藤賢一さんが「グラビアだ!」って言い合っている中で編集長の中村育二さんが仲裁する感じとか、どこでもあんな構図だと思うんですよ。

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今作でリリーさんが演じた“チャラ源”は、どの社会にも属さないようなキャラクターでしたが、何か参考にされたりしましたか? 

リリー 大根監督の脚本はいつもなんですけど、セリフの書き口というか語尾に「この人はこういうキャラクターだよ」っていうのが出ているんですよ。チャラ源も、ちょっとオカマっぽい喋り口で、ボクサー崩れという設定なので、渡辺二郎さんより、輪島(功一)さんに寄せようかなって。

大根 ははは(笑)。チャラ源は、自分の中では20年前くらいに活躍したジャッカル丸山っていうボクサーをイメージしていたんですよね。毎回壮絶な打ち合いをするタイプで。

リリー (指差しながら)この人は、そういう方が元ネタだっていうことを事前に俺に言わないんですよ。今、初めて聞いたよ。

大根 あんまり言わないほうがいいかなと思っていて。チャラ源がボクサーだったときに、(福山雅治演じる)静はもう東京で働いていて、試合を観に行ってファンになったっていう設定なんですよ。そのあと、チャラ源はボクサーを引退して黒い交際が始まって、情報屋みたいなのをやるようになったときに、カメラマンが静だったっていう流れで。

リリー 輪島さんじゃなかったね。輪島さんは団子屋さんを始めるような真面目タイプだから。

大根 静が情報屋としてチャラ源と知り合って、「昔すごく好きだった」みたいな感じで意気投合して、腐れ縁が始まったっていう設定なんですよ。チャラ源は面倒な男なんですけど、キャラクターとして憎みきれない感じを出したかったので、それはリリーさんしかできないと思うし、リリーさんと福山くんの関係性も含めてすごく良いキャスティングだったと思います。

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劇中で静とチャラ源が飲み歩くシーンはいろんな意味でリアルでした。

大根 あれはもうドキュメンタリーですから(笑)。最初は飲み歩いているっていうだけの設定だったんですけど、福山くんから「これはもうおっパブに行くくらいの深い関係性を見せたい」って。「いや、おっパブいるかな?」と思ったんですけど、「おっパブいるでしょ!」って押し切られる形であのシーンを撮ることになって。それで急遽キャスティングをして、お店を探して、やっていただいたんですけど……まぁ楽しそうでしたね。

リリー 楽しかったですねぇ。でもあのシーンで初めて、監督じゃなくてプロデューサーから「お尻を握らないでください!」ってダメ出しが出たの。触るのはOKだけど、握るとR指定が付くって(笑)。

大根 「おっぱいもあんまり揉みしだかないでください!」って(笑)。

リリー AV女優さんがおっパブ嬢を演じてくれたんですけど、乳首が見えちゃダメだからカメラに対しては背中向けているんですよ。だから前側は僕らにしか見えないのにニップレスを貼っているんですよ! 女優さんも完全に吸われるくらいの勢いで来ていたから、全員のテンションが下がっていましたね。最終的に俺と福山くんがキスしていたりして、「何なんだ、このシーンは!」と思って。

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監督とリリーさんも普段飲み歩いたりしているんですか?

大根 そうですね。

リリー 今回、僕のシーンがなくてもよく撮影現場に見学に行っていたんですけど、大根くんと福山くんの二人が仕事していると、俺の飲み相手がいなくなっちゃうから、することないんですよ。

その撮影終わりに3人で夜の街に繰り出すわけですか。

大根 そんな派手じゃないですよ。もっとグダグダしています。ほんとにくだらない話しかしないし。

リリー 地味ですよ、俺らは。だいたい居酒屋とかバーとかで飲んでいるよね。あとは俺の家とか。

大根 仕事の話もしないですよね。

リリー 若いときみたいに、「いつかこういうのやりたいよね」っていうのじゃなくて、「次こういうのやろうよ」って話してると、最終的に仕事になってしまうことはありますけどね。

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福山さんを含めた関係性の中で生まれた今回の作品は、お二人にとってどのようなものになりましたか?

リリー この映画って、繰り返し観られるんですよ。俺たぶん日本で一番観ていますね。

大根 リリーさんって、自分が出ている映画ってそんな観ないですもんね。自分の芝居に対して、もうちょっとこうすれば良かったなとかあります?

リリー ない。何もない。自分のところはほぼ飛ばしていますよ(笑)。自分がどうっていうより、映画として好きなんですよね。

大根 リリーさんは自分とか福山くんの関係性を切り離したところで、単純に映画好きとして観られていると思うんで、それは素直に嬉しいですよね。俺も客観的に観て、この映画よく出来ているなって(笑)。「この監督で一番いいんじゃない?」っていう感じがするんですよね。

リリー 『モテキ』とか『バクマン。』を好きな人からしたらちょっと意外な感じを受けるかもしれないけど、大根監督が好きな映画の雰囲気がいっぱい入っているんですよね。

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大根 今回は福山くんが主演なので、スター映画にしなきゃいけないっていう課題はありながらも、都城 静っていう自分と同世代のキャラクターを借りて、自分が普段考えていることとか、仕事に対する思いを言わせてみたっていう部分はあるかもしれないですね。今までやってきたドラマや映画でもそんなことはいっさいなかったですけど。

リリー この映画って、スタンダードに見えて、すごく特殊なことをいっぱいやっていますからね。少なくとも電気グルーヴの映画よりはお客さんが入るんじゃないかな。

大根 (笑)。『DENKI〜』とこの作品の製作はスケジュール的に直結していたんで、我ながらその振り幅に気が狂いそうになりましたけど。

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『DENKI GROOVE THE MOVIE ~ ~石野卓球とピエール瀧 ~』は大変な労作ですよね。今作にも通じるような、男の仕事と友情というか、ブロマンス的なテーマも入っていて。

大根 そうなんですよね。『バクマン。』、『DENKI〜』、『SCOOP!』ってまったく違う話のように見えるけれども、実は俺の中では意外と繋がっていて。

リリー どれも男の友情だよね。『SCOOP!』はさらにいろんな要素が入っているから、見るたびに好きなシーンが変わっていくんですよ。今年の東宝は『シン・ゴジラ』と『君の名は。』がヒットしていますから、もう何も言わないと思いますけど(笑)、『SCOOP!』も何度も観てもらえるといいですね。

映画『SCOOP!』

2016年10月1日公開

かつては数々のスクープをモノにしてきた凄腕カメラマンだったが、今は芸能スキャンダル専門のパパラッチに“落ちぶれ”、自堕落な日々を送っている都城 静は、写真週刊誌『SCOOP!』の副編集長・横川定子からの命で、配属されたばかりの新人記者・行川野火とコンビを組まされることになる。もとはファッション誌志望だった野火は、人の秘密を暴露するようなこの仕事を、最初は「サイテーっすね」と蔑むも、やがてコンビで独占スクープを連発するように。売り上げも伸び、充実感や達成感を得るようになった野火は仕事の面白さに気づいていく。しかし、あるとき、日本中が注目するある事件が発生する……。

【原作映画】『盗写1/250秒』(監督・脚本 / 原田眞人)
【監督・脚本】大根 仁
【出演】福山雅治 二階堂ふみ 吉田 羊 滝藤賢一 リリー・フランキー
【音楽】川辺ヒロシ(TOKYO No.1 SOUL SET)
【主題歌】「無情の海に」TOKYO No.1 SOUL SET feat.福山雅治 on guitar
【配給】東宝

公式サイト
http://scoop-movie.jp/

(c)2016映画「SCOOP!」製作委員会

プロフィール

大根 仁


1968年生まれ、東京都出身。ADとしてキャリアをスタートさせ、『演技者。』(02/CX/演出)や『アキハバラ@DEEP』(06/TBS/チーフディレクター)、『週刊真木よう子』(08/TX/監督・脚本)、『モテキ』(10/TX/監督・脚本)、『まほろ駅前番外地』(13/TX/監督・脚本)、『リバースエッジ 大川端探偵社』(14/TX/監督・脚本)など、演出家、映像ディレクターとして数々の作品を生み出し、『電車男』(05/演出)、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(12/演出)などの舞台や、ミュージック・ビデオも手がける。映画でも『モテキ』(11)、『恋の渦』(13)、『バクマン。』(15)とヒット作を連発。2017年には『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』が公開予定。

リリー・フランキー


1963年生まれ、福岡県出身。俳優、イラストレーター、アートディレクター、小説家、エッセイスト、絵本作家などマルチに活躍。2008年公開映画『ぐるりのこと。』(橋口亮輔 監督)で第51回ブルーリボン賞新人賞受賞したほか、2013年公開映画『凶悪』(白石和彌 監督)、『そして父になる』(是枝裕和 監督)にて数々の賞を受賞。主な出演映画に『海街diary』(15/是枝裕和 監督)『バクマン。』(15/大根仁 監督)、『シェルコレクター』(16/坪田義史 監督)、『海よりもまだ深く』(16/是枝裕和 監督)、『秘密 THE TOP SECRET』(16/大友啓史 監督)などがある。2017年には出演作『美しい星』(吉田大八 監督)、『奥田民生になりたいボーイと出会う男をすべて狂わせるガール』(大根仁 監督)が公開予定。