冒険Bリーグ  vol. 17

Column

琉球一筋、岸本隆一が振り返る「ジェットコースターのようなシーズン」

琉球一筋、岸本隆一が振り返る「ジェットコースターのようなシーズン」

『冒険Bリーグ』第17回は、琉球ゴールデンキングス(以下、琉球)の岸本隆一選手が主人公。チームのキャプテンを務める彼は沖縄県出身で、2013年から琉球一筋でプレーしている。

昨季の琉球は西地区を制し、チャンピオンシップでは4強に入った。今季も西地区の首位を保っているが、後半戦に入って厳しい戦いを強いられている。そのような状況で迎えた3月24日の滋賀レイクスターズ(以下、滋賀)戦は、彼らの転機となり得る試合だった。

今季の琉球は開幕から好調で、2018年11月2日と3日のアウェイ戦は王者・アルバルク東京に連勝。12試合で10勝に到達し、「50勝ペース」のスタートダッシュに成功していた。

しかしそこから主力の負傷が相次いだ。センターのジョシュ・スコットが12月26日の大阪エヴェッサ戦で右ヒザの重傷を負い、今季中の復帰は絶望的。帰化選手としてアドバンテージになっていたアイラ・ブラウンも左ヒザの負傷で12月から20試合以上に渡って欠場を続けた。それが後半戦のつまずきに直結している。

岸本は今季の戦いをこう振り返る。
「ジェットコースターみたいなシーズンだなと思っています。いい状態も味わったし、どん底も味わった。しかも上がり下がりのスピード感がすごくある」

ただし彼はポジティブだ。
「試練が好きといったら変ですけど、僕はこういうシチュエーションで燃えるタイプなので。ケガ人が多く出て、準備していたのと違うシチュエーションになることは多いですけど、だからこそチーム力が試される。コート外のことに一喜一憂せず、コートで起こっていることに集中して、プレーしているつもりです」

3月23日、24日の滋賀戦はジェットコースター状態を象徴する連戦になった。23日の初戦は琉球が78-81で惜敗。続く2戦目も15点ビハインドで前半を終える苦しい展開だった。

だがチームはそこから蘇った。第3クォーターの琉球は岸本の2連続3ポイントシュートなどで波に乗り、点差を縮める。そして第4クォーターに逆転し、78-73で勝利した。彼もチーム最多の24得点を挙げる貢献を見せた。

【B1ハイライト】03/24 滋賀 vs 琉球(18-19 B1第29節)

相手の流れを引き戻した展開を、キャプテンはこう喜んでいた。
「今日はターニングポイントになれる試合だったと思っている。折れそうになったときに、忍耐強くプレーできた」

琉球はブラウンこそ復帰して好プレーを見せているが、滋賀戦は元NBAプレーヤーのジェフ・エアーズが負傷の状態を考慮して欠場。スコット・モリソン、ケビン・ジョーンズがインサイドでプレーしたものの、得点力が決して高いタイプでない。

つまり日本人選手が脇役でなく主役として得点に絡まなければ、勝利を期待できない状況だった。一方で日本人選手が主役になるバスケは、佐々宜央ヘッドコーチが目指すものでもある。

佐々HCは滋賀戦後にこう述べていた。
「Bリーグのヘッドコーチをやらせてもらって、野望というか、自分の中にあるのが、日本人選手を起点にしながらプレーを作っていきたいという思いです」

そのような中で岸本はどうプレーしたか。彼はこう説明する。
「こういうときってアウトサイド中心になりがちですけど、今日はペイント(ゴールすぐ下のエリア)へ行くことを意識した。外のシュートはみんなが作ってくれた状況で、自分が決めただけ。とにかくペイントアタックを意識して、それが個人的には上手く行った」

岸本はシュート力の高いアウトサイドプレイヤーで、24日の試合は3ポイントシュートを5本も決めている。しかし攻撃が「外だけ」に偏ってしまうと、相手の守備もそこに絞った対応をしてくる。彼と並里成がドリブルで積極的に切れ込んでいたことが、琉球のリズムを作り、外からのシュートが決まりやすい状況にもつながった。

佐々HCは岸本の復調にも言及していたが、自身はこう口にしていた。
「余計なことを考えず、純粋に試合の状況を見てプレーできている。調子がいいというよりも、感覚を取り戻してきた」

B1のレギュラーシーズンは残り10試合。4月末からはチャンピオンシップがスタートする。岸本はいい状態でシーズンの山場を迎えようとしている。

琉球は西地区首位を保っているが、2位・京都ハンナリーズとの直接対決を残しており、油断は禁物。西地区1位で勝ち上がり、チャンピオンシップの1回戦をホームで開催することはチームにとって大切な目標となるだろう。ただキャプテンに力みはない。

「全く先は見ず、目の前のことだけに集中して、それが先につながっていくと思う。どこもこの時期になると目の前の1勝が欲しくて必死になってくる。その状況を僕らは乗り越えていかないといけない。それを乗り越えてこそ、チャンピオンシップで戦う資格のあるチームになれる」

取材・文 / 大島和人 写真提供 / B.LEAGUE

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著者プロフィール:大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。大学在学中にテレビ局の海外スポーツのリサーチャーとして報道の現場に足を踏み入れ、アメリカの四大スポーツに接していた。損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年から「球技ライター」として取材活動を開始。バスケの取材は2014年からと新参だが、試合はもちろんリーグの運営、クラブ経営といったディープな取材から、ファン目線のライトなネタまで、幅広い取材活動を行っている。

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