Interview

MINT mate box 初めてのワンマン・ツアーを目前に控えてリリースする第4作に彼女たちはどんな思いを込めたのか?

MINT mate box 初めてのワンマン・ツアーを目前に控えてリリースする第4作に彼女たちはどんな思いを込めたのか?

本格的な活動開始からわずか4ヶ月で1st E.P.「present」をリリースしたのが、2017年4月のこと。それから2年の間に、彼女たちは2枚のEPをリリースし、また数多くのライブも経験するなど、濃密な時間を過ごしてきた。初めてのワンマン・ツアーを前にリリースされる4th E.P.「Highlight」は、そうした2年間の蓄積とツアーへの強い意欲を感じさせる仕上がりだ。
ここでは、この2年の間にバンドがどういうふうに変化し、その変化を今回の制作にどう繋げていったのかということをメンバー3人に語ってもらった。

取材・文 / 兼田達矢 撮影 / 高木博史

バンドとして、そして1ミュージシャンとしての自覚が芽生えて、そして固まった2年間だなと思います。

まずは、1st E.P.リリース直前に行った前回のインタビューからの2年間がどういうような時間だったかという話を順番に聞かせてください。

やすだ 変化の2年、という言葉がまさにぴったりだなと思うくらい、この2年で変わったところがたくさんありました。2年と言葉にしてしまうと、わりと短い期間のように思われるかもしれないですけど、私たちにとっては、すごく濃い2年で。この2年でミュージシャンとして、またバンドとして“何を伝えていきたいのか?”“どういうプレイヤーを目指していきたいのか?”といったことがすごく明確になってきたんですよね。

maho 私も、ひと言では言い表せないくらい濃い2年間でしたね。1st E.P.の時は、3人とも右も左もわからなくて、いろんな方にお力添えいただいて何とか完成したっていう感覚が強かったんですけど、この2年でできることも増えて、今では発信したいことが溢れ出てきている状況です(笑)。

mahocato(Vo,Gt)

KJ とても2年とは思えないような経験を僕たちはしているな、と思うんですけど、特にバンドとして、そして1ミュージシャンとしての自覚が芽生えて、そして固まった2年間だなと思います。そこがいちばん大きな変化だと思います。「レコーディングもライブも初めて」というところから始めて、それでもやってみないことにはわからないから、それぞれがわからないなりに努力して、「ああでもない、こうでもない」ということを何度も繰り返していくなかで、「自分たちはライブで何を武器にしていくのか?」とか楽曲のテーマ、メッセージ性みたいなことがようやく4枚目の今回でひとつの形になったなという印象があります。その新作を持って、4月に初めてのワンマン・ツアーをまわるんですが、ここがまたバンドとしてひとつの新しいスタートになるんじゃないかなという気がしています。

今回で自分たちのテーマがようやく形になったという話がありましたが、今回の新作と2年前の1stE.P.を聴き比べた時に、核の部分にあるMINT mate boxらしさというのは1stE.P.の時点ですでに表現されていたようにも感じます。2年前には「爽やかでポジティブ」という言葉で自分たちらしさを説明してくれましたが、今は自分たちらしさということについてどんなふうに感じていますか。

maho 今も「爽やかでポジティブ」というのは変わらないと思うんですけど、そのイメージが自分たちのなかでもより立体的になったなと思いますよね。「爽やか」「ポジティブ」という言葉や“青春サウンド”というイメージが私たちの活動全てに共通するものとして、奥行きまでもちゃんと感じてもらえるようになったんじゃないかなと。

やすだちひろ(Ba)

やすだ 元々、この3人が出会ってバンドを始めることになって、自分たちで何が表現できるかを考えた時に、爽やかさやポジティブさというのが軸になるというのは見えてはいたんですけど、その見えていたことがよりちゃんと表現できるようになったということかもしれないですね。

今回は“MINT mate boxを象徴するような楽曲を作ろう”というテーマがまずあって、そういう意識で制作が進んでいきました。

さて、今回ニュー・リリースとなる4枚目のE.P.の話になりますが、今回の制作はどんなふうに始まったんですか。

KJ まず去年10月にツーマン・ツアーをまわっている最中にGOING UNDER GROUNDさんの「トワイライト」のカバーのお話をいただいて、それが制作作業としては今回のスタートということになると思います。実際に本格的に作業に入ったのはツアーを終えてからですね。今まではライブをやっていくなかで同時に曲が生まれいくことが多かったんですが、今回はツアーを終えてから“次の楽曲はどういうメッセージ性を持って作ろうか?”ということを考え始めて、そこから制作に入っていきました。

その作り方の変化には、何か理由があったんですか。

KJ 今までは、ライブをやっていくなかで出来上がっていった曲がある程度集まったところでE.P.という形でリリースするという流れが主流で、でも今回は“MINT mate boxを象徴するような楽曲を作ろう”というテーマがまずあって、そういう意識で制作が進んでいきました。

「MINT mate boxを象徴するような楽曲を作ろう」というテーマが出てくるのは、自分たちらしい音楽のイメージがはっきりしてきたからこそ、ですよね?

maho まさに、そうですね。

やすだ 今までは、例えば1枚目を作って「2枚目はどうしようか?」という話になった時に、「今までできなかったことに挑戦しよう」とか「ライブで、こういう曲が欲しいから作ろう」とか、足りないところを埋めていくような発想が多かったんですよね。でも今回は、ワンマンライブを成立させられる曲数やバラエティ感が満たされたなかで考えていったんです。そしたら「単純に、いい曲を作りたいね」という話になったんですよ。自分たちが表現したいことが定まってきて、やりたい音楽性も徐々にはっきりしてきたなかで、単純に自分たちがいいと思う曲を作りたいというところから始まって、そういうテーマを持って作っていたのが今回の「Highlight」だし、特にそれが表現されているのが1曲目の「hanabi」だと思います。

その「hanabi」という曲について、プロデューサーのヤマモトショウさんとはどんなやり取りをしたんですか。

maho この曲は、実は去年の夏くらいにはもうデモが上がっていたんです。

やすだ メロディーだけだったんですけど。

KJ 自分たちを象徴するような曲を作ろうという話になった時に、候補曲は他にもいくつかあったんですけど、この曲のメロディーをメンバー全員がいちばん気に入っていて、そこからアレンジを詰めていくことになったんです。サウンド面に関しては、鈴木Daichi秀行さんにアレンジをお願いしました。今作では、今まで以上にもっといろいろな方に自分たちの音楽を聴いてほしいという思いがあって、もう少し生活の身近なシーンでも流れているような楽曲を作っていこうとなった時に、ポップス・シーンの第一線で活躍されている鈴木Daichi秀行さんにお願いしたいと思いました。

歌詞については?

やすだ 私たち自身が、今まさに第二の青春を過ごしていると思っているので、「hanabi」は“青春”や“爽やか”という私たちが目指している方向性がしっかり表現された世界になっていると思います。

mahoさんはこの曲を歌うに当たって何か意識したことはありますか。

maho 去年見た「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」という映画がすごく印象に残っていて、それは登場人物が過去にタイムスリップするんですね。ただ、それが例えば結婚式とか大事なライブの日とか、わかりやすいメモリアルな日ではなくて、今はもういないかもしれない大切な人との本当に何気ない1日だったという話で、その映画を観て以来、やっぱり本当に大切にしないといけないのは今この瞬間で、今この時に感謝して大事に生きていかないといけないと思っていたところで。「hanabi」もまさに同じようなメッセージ性が込められた歌詞だったので、今この瞬間を大切にしたいという思いをしっかり込めて歌いました。

その「今この時が大切」というテーマは、やすださんが作詞を手がけた2曲目「present」にも通じるものですよね。

やすだ 自分たちが日々生活するなかで大切にしていること、表現したいと思っていることが、「今を大切にする」ということだったので、自然とそうなっていました。そのなかで一番伝えたかったのは、実は自分の中の変化、心変わりを肯定してあげたいなということで。それは、そういう気持ちの変化をポジティブなものだと私が思っているからなんですけど、この曲ではそういう変化を肯定しつつ、“ずっと変わらないものや積み重ねてきたこと、それに思い出したいことが誰にもあるよね”という思いを詞にしました。

この曲は、“これはあり?”と思っていたリップが似合うようになったら興味なかった人が気になったりすることもあるのかなという歌詞から始まりますが、やすださん自身はこの2年間に音楽以外の部分でそういう変化はありましたか。

やすだ たくさんありました。そのリップの歌詞もできるだけ具体的な表現に落とし込もうと思って書いた部分なんですけど、リップの色に関しては“自分にはこの色がいちばん似合う!”と思う色がよく変わるんですよね。今はこの色が似合うと思ってますが、ちょっと前は“もっと濃い色でないと似合わない”と思っていたし、違う髪型の時は“もっと薄いほうがナチュラルで可愛い”と思ってたし。だから、そういう心変わりは私の中ではすごく自然なことなので、そういう人の気持ちを肯定する歌詞を書きたかったんです。

3曲目の「oversized」はmahoさんが歌詞を書いていますね。

maho じつは、この歌詞は初め英語で書いたんですよね。日本語で書こうとすると、“この言葉を使うとちょっと恥ずかしいな”とか“この言葉は自分らしくないかも”とか、いろんなことを考えてしまって書けなくなることがあって。英語だとストレートで自由な表現になるから、そのほうが自分らしく書けるなと思って。今回はその英詞をプロデューサーのヤマモトさんに、メロディーにうまくハマるように日本語詞にしてもらいました。私は元々、英語が得意で、だからずっと英語を勉強してきたんですけど、でもそれは学校のテストでいい点を取るための勉強で、その結果として英語の先生になれたと思っていて。ただ、こうして音楽をやるようになったら英語を使う場面が全然なくて、それで去年の夏から改めて英語を勉強し始めました。その「勉強」はテストのためじゃなくて、自分が楽しむためのもので、自分がやりたいからやるんだと思ってやってみたら、学生の頃よりもずっと多くのことを学べるんですよ。例えば、日本だと普通でいることを求められるけどアメリカは「もっと自由にやりたいことをやろう」っていう文化なんですよね。そういうことに気づいたり、あるいは自分の弱さ、強さを意識するようになったり。そういうことをみんなにも伝えたいなと思っていたところだったので、うまく歌詞に落とし込めたかなと思います。本当に考えていたことはいっぱいあったから、何の迷いもなく一気に。

KJさんは、今回のレコーディングを振り返って印象に残っている曲や場面は何かありますか。

KJ 印象に残っている曲ということで言えば、全部ですね。今回も曲ごとに新しいことに挑戦できたし、ギタリストとしてもこれまで以上に踏み込めたかなと思っています。特に「hanabi」はアレンジャーの鈴木Daichi秀行さんにアドバイスいただき、ポップスならではのアプローチや今までの自分には絶対に出てこない発想のフレーズを弾くことができたかなと。そういうことも含め、ギタリストとしてプレイの引き出しが今まででいちばん増えた1枚になったなという感じがしています。

KJ(Gt)

4曲目「恋の殻」のちょっとテンポを落とした感じの曲調は、MINT mate boxのレパートリーとしては新しく感じたんですが、この曲はどんなふうに生まれた曲ですか。

KJ これは完全にワンマン・ツアーを意識して作った曲で、ワンマンのセット・リストを作る上でこういう曲があると流れもできてグッと締まった感じのセット・リストになるだろうなと思ったんです。

ということは、今回の制作はリリース後のワンマン・ツアーを視野に入れて進んだんですね。

KJ そうです。

「MINT mate boxって、こういうバンドだよ」と言ってもらえるようなライブはできるようになったんじゃないかなと思います。

新作リリース後にそのワンマン・ツアーが始まるわけですが、今のMINT mate boxのライブ・パフォーマンスについてはどんなふうに感じていますか。

やすだ ライブの良し悪しも何もわからなかったところから始めて、2作目、3作目を作りながら「どういうライブをしていきたいね」という話を詰めていくなかで見えてきたことに対して、表現できることがすごく増えたなということは実感しています。今ライブに遊びにきてくれた人には「MINT mate boxって、こういうバンドだよ」と言ってもらえるようなライブはできるようになったんじゃないかなと思います。

ワンマン・ツアーの最終公演を終えて会場を出る時、自分がどんな気持ちだったらいいなと思いますか。最後に、それぞれの思いを聞かせてください。

KJ すごくシンプルなんですけど、僕は“楽しかったな”と思って終わりたいですね。じつはライブを楽しめなくなっていた時期もあって、でもいちばん大事なことは自分たちが楽しむことだなというのは、ちょうどこの間3人でも話したことなんです。それは、見ているお客さんにも伝わると思うし。僕らが楽しんでいなかったら、お客さんも“今日は違うな”と思っちゃうだろうから、そういうことは絶対無いようにしたいなと思っていて、だからまずは自分たちがいちばん楽しめるツアーにできればいいなと思っています。

maho 私は“出しきったな”と思いたいですね。自分が今思っていること、考えていること、最近人生で学んだこと、そういったことを、ライブを通じて伝えられたらなと思っています。

やすだ やっぱり一番は“楽しかったな”ということだと思うんですけど、成長できたなということも感じられたらいいなと思います。私たちは、右も左も何もわからないところからバンドを始めて、何をすればいいのかわかり始めた時に、実はとても苦しんだんですよね。やりたいことは見えたけど、それをやれるだけの力がなくて、悔しかったり、ライブするのが怖くなったり、そういう時期があったんですけど、でも2年かけてやりたいことにやれることが追いついてきたというか、今は3人が向く方向や目指すべきものが明確に見えてきたタイミングだと思うので、そこで初めてのワンマン・ツアーをまわって、楽しかったと同時に“自分たちは成長したな”という実感あればいいなと思います。

楽しみにしています。ありがとうございました。

その他のMINT mate boxの作品はこちらへ。

ライブ情報

ワンマン・ツアー“J.E.T.”

4月7日(日)大阪・梅田Shangri-La
4月9日(火)愛知・名古屋ell.FITS ALL
4月20日(土)広島・広島Cave-BE
4月21日(日)福岡・福岡INSA
4月27日(土)北海道・札幌COLONY
4月29日(月・祝)東京・渋谷WWW X

MINT mate box

mahocato(Vo,Gt)、やすだちひろ(Ba)、KJ(Gt)。
バンド・シーンの中でも一瞬ポップでカラフルなサウンドとSNSを駆使した独自のスタイルが注目を集める。やすだちひろは楽器を持つのも初めて、他のメンバー二人は本格的な音楽活動はこれが初めて、という異色の経歴で2017年1月に本格始動。わずか4ヶ月で、タワーレコード”Here,play pop”から1st E.P『present』をリリース。CM、複数の音楽番組のタイアップを獲得。2018年2月には2nd E.P『beside』をリリースし、タワレコスタッフが選ぶ“タワレコメン”に選出。オリコンインディーズチャート週間4位を記録した。同年4月に初の自主企画ツアー“DOMINO ROUND TOUR”を東名阪、7月に渋谷WWWにて自主企画ライブ“COOL MINT LIVE”を開催し、全会場ソールドアウトを記録。同じく7月には初ステージから1年3ヶ月で大型フェス“JOIN ALIVE”への出演を果たし、ライブ・バンドとして着実な成長を遂げている。10月には3rd E.P「ideal」をリリースし、MOSHIMOをゲストに迎え全国7都市で2マンライブ“GOOD CREW TOUR”を開催。また、MOOSIC LAB2018作品「いつか輝いていた彼女は」にmahocatoが初主演を果たし、吉田凛音・久間田琳加主演映画「ヌヌ子の聖☆戦」にも出演、挿入歌として「君のことで悩みたい」の提供を行った。

オフィシャルサイト
http://mintmatebox.com

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