Interview

「ファンへの想い」=「僕たちの生き様」というベリーグッドマンの掟

「ファンへの想い」=「僕たちの生き様」というベリーグッドマンの掟

2013年11月に結成し、本年2016年の3月にメジャーデビューしたベリーグッドマン。「君に恋をしています」は、TBS系 恋愛ドキュメントバラエティ『恋んトス season4』の主題歌、そして「Eye to Eye」はWEBムービー『先生に恋した夏』の主題歌と、ストレートで等身大の歌詞と洗練されたメロディから、中高生を中心にして人気が広がってきている。3人組である彼らから、RoverとMOCAの2人に10月5日発売となる最新アルバム『SING SING SING 4』について話を聞いた。3人それぞれに、自分で歌うところは歌詞もメロディも考えるという彼らは、まず他の2人を納得されられなければ、発表されないと言っていた。3人の想いを突き詰めて、3人の絆で作られたアルバムにはファンのことを第一に考える彼らの姿勢が沢山詰まった作品だった。

取材・文 / 岡本 明 撮影 / 荻原大志


結成して、そろそろ3年ですね。結成当初、どんな音楽をやろう、何を歌っていこうというテーマを掲げていました?

Rover 3人とも違う音楽ルーツを持っているので、あまり固めすぎないようにしていて。最初はそれで制作も大変だったんですけど、3人の重なるポイントがあって、それをクリアしていたら、いい曲であれば何でも作ろうと。プラス、ライブで盛り上がる曲を作っていこうというふうになりました。テーマとしてあるのはこの2つですね。

ちなみに、音楽ルーツは何ですか?

Rover 僕はビートルズに始まって、歌謡曲やJ-POPを聴いて。小学校3年で宇多田ヒカルさんに出会って、洋楽を聴くようになって。中学生からトランペットを吹くようになってジャズを聴いたり、幅広いですね。演歌とハウス以外は聴いていると思います。

MOCA 僕は、小学校ぐらいから歌謡曲、中学でジャパレゲエといわれる、湘南乃風、ケツメイシを聴いて。そこから姉の影響でジャマイカのレゲエを聴きだして、ルーツロックレゲエ、ダンスホールレゲエまで好きで聴いてました。音楽を始めようと思ったのは、Def Techがきっかけです。僕はレゲエしか聴いてなかった人間です。

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今回はメジャーデビューですが、特に意識されたことはありました?

Rover リアルな話、テレビによく出るんだろなと思ったんです。テレビに出るということは、見たことない人のために話したり歌ったりすることなので、一癖持っていたほうがいいのかなと思っていたんですけど、意識せずとも3人とも癖が強いので、それはいいかなと。だた、ベリーグッドマンってどういうチームだろうということが自分でもはっきりと分かっていない中でのメジャーデビューだったので、なかなか整理がつかなかったというか。リリース日も決まって、自分たちの持ち場の仕事はクリアしていこうという想いはありましたけれど、プレッシャーのほうが大きかったですね。あれをやろうこれをやろうというのは、デビュー1年後ぐらいの仕事だと思っているので、今は1年生として持ち場をしっかりやるというのと、常に120%を出せるように音源制作を頑張る、それが来年の動きにつながると思いますね。

アルバムの収録曲を選ぶ時も、より広く聴かれるために自分たちのカラーが伝わりやすい曲を選ぼうと?

Rover 僕らには3パターンあって、超バラードソング、超アッパーソング、超メッセージソング。もう一つ、応援ソングもあるんですけど、それもメッセージソングで。メッセージソングは自由に作りたいと思っているんです。それはレーベルの人も事務所の人も介入させないで自分たちだけの哲学で作ろうと。それがあるからこそ、いろんな先輩方やスタッフさんの意見も聞きながら、バラードソングを作っていけるんです。たとえば「Eye to Eye」は歌詞だけで半年ぐらいかかっているんですね。今の時代の男の子が女の子を呼ぶ時に、君じゃなくお前のほうが刺さるとか、そういう統計学から始まっています。そういう意味では、これまで同世代や上下3つずつぐらいの世代で考えていた年齢の幅が、中学生?高校生の10代が聴いてもキュンとする曲って考えた時、作り方が圧倒的に変わりました。そういう曲を多く含んでいるアルバムのほうが、みんなの票が取れるかなと。これは計算ではなく、思いやりとして、お金を出して買ってくれる以上は捨て曲がないと思わせることが僕たちの仕事だと思うので、そこは意識しました。

確かに捨て曲はないですね、今の段階でのベストアルバムと言えるぐらいのクオリティです。

Rover ありがとうございます。ただ今回は制作期間があまりなくて、根を詰めてやったんです。それまでためていたアイデアを、1か月半の制作期間に詰め込みました。

1か月半でアルバム1枚は短いですね?

Rover めちゃくちゃ短いです。その前に配信が決まっていたので、3曲ぐらいは先にレコーディングしていたんですけど。でも、プロモーションの仕事が増えて、移動も多くて、いつ曲作るねん!って思っていたんですけど、それでも作らないといけない。ただ、忙しければ忙しいほど、集中してできたのかな。10曲中6曲は1か月半で仕上げていますね。

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短い期間に出せるものを全部吐き出そうと?

Rover 自分で歌うところは歌詞もメロディも自分で考えるんですよ。でも、僕はMOCAに負けたくないし、HiDEXよりかっこいいバースを書きたい。三者三様、そういう気持ちを持っているんです。一番最初に生み出した僕のフレーズを聴くのは僕ですけど、次に聴くのは2人じゃないですか。その関門を突破しない限りリスナーには届かないっていう、独特なフィールドがすでにあるので。

MOCA オーディションみたいな。一番嫌な瞬間(笑)。

Rover そう、中途半端なバースや作品をひけらかしても2人に刺さらなかったら、すぐ作り直します。それが一番しんどいところですね。それを乗り越えるので、きれいに角が取れた曲になるというか。砂利に揉まれて痛いけれど、耐えたらきれいになる。だって、HiDEXは僕のバースのここを変えたほうがいいとか言ってきますから。昔は僕もバトルして言えたんです。“そう言うけれど、トータルではお前よりいいバース書いてるぞ”って。でも、今は素直に聞きますね。不思議とそれが好きになってくるというか。

グループ内のハードルを超えないといけないんですね?

MOCA 僕はそれでベリーグッドマンをやめようと思いました、3回ぐらい(笑)。この瞬間が一番嫌いやなって。でも目的が、聴いてくれる人のためにというところがはっきりしているので。聴いてくれる人のためにはこの言い回しのほうがいい、これは詰め過ぎ、ここで間をあけたほうがいいとか。昔はカチッと決めて書いた作品をいじられると歌えなかったんですよ。でも最近は、“こんな感じの曲だけど、どう思う?”って聞けるようになったんです。そのほうが速いんですね。

そんなやりとりもあってか、「Eye to Eye」はメロディが洗練されていて、歌詞もストレートに伝わる楽曲に仕上がっていますね?

Rover それは嬉しいですね。僕はメロディを気にするタイプで、HiDEXはサウンドとか声の感じを気にするタイプ、MOCAは熱量やそこに込めているソウルを気にするんです。それがこの曲ではピタッと合ったのかな。これまでもエッセンスのある曲を出してきたつもりですけど、今回は高得点を叩き出しているんじゃないでしょうか。

MOCA かなり限定した、高校3年生の時に出会った女の子とちょっと年上の男、というストーリーになっているんですけど、熟年夫婦が聴いても、あの時の感情を思い出してくれるニュアンスは入っていると思いますね。自分と照らし合わせて聴いてもらえるストーリーになっていると思います。

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「ライオン」は全国高校野球選手権のタイアップ楽曲ですけれど、こちらは応援ソングですね?

MOCA これはもともと、Roverのソロ曲だったんです。

Rover ラグビーのチームに向けて、監督さんにお願いされて書いたんです。それをMOCAに聴いてもらったら、“めっちゃいいやん”って。実は、元広島カープの前田健太選手がテーマソングとして僕らの曲を使ってくださっていたんですけど、西武ライオンズの増田達至選手も3年連続で僕らの「コンパス」という曲を使ってくださっているんです。僕が作ったそのラグビーの曲を「ライオン」という曲にして、高校球児にも聴いてもらって、しかもライオンズの増田選手に送ろうという想いで作ったんです。今、フェスに出演する時、ライオンズのユニフォームで歌っているんですよ。増田選手ってスーパーヒーローじゃないかもしれないけれど、いい成績でライオンズの軸になってる。そういう人たちに向けて、歌で励ましたいんです。それで、あえて「ライオン」という曲名にしました。これはあまり言ってないんですけど。しかも、まだ増田選手に会ったこともないんです(笑)

そういう個人的な曲だったんですね?

Rover 個人的な曲だから高校球児に刺さったんでしょうね。新聞に載る子もいれば、スポットライトが当たらない子もいる。そういう子のほうが応援してあげたくなるんです。それが音楽をやっている人間の役目かな。

「Color」はEDMっぽいサウンドですね?

MOCA これはColor Me Rad 2016のテーマソングで、去年も書かせていただいたんです。ただ、去年はBPM180ぐらいでノリにくそうだったので、今回はいい感じのBPMでHiDEXがトラックを作ってきて。

Rover カラーランを楽しんでもらうために、会場でどんな曲が流れていたらテンションが上がるか考えて作りました。ただ、ちょうど熊本の震災がありまして、リリースのタイミングでアゲアゲチューンはどうなんだろうと。そこで、一人一人の個性を大切にする思いやりとか、何億通りもあるカラーの中で自分の色を見出していこうという曲にしました。そういう裏テーマもありますね。

「Supernova」は古くからある曲だそうですけど?

Rover はい。僕は22歳ぐらいの時、HiDEXとグループを組んでいて、2人でアルバムを出そうとして12曲ぐらいためていたんです。その中でもずば抜けて光っていた曲なんですけれど、このトラックにリリックとメロディを乗せるスキルと人格が伴ってなくて、当時は作れなくて。これは絶対入れたいと思ってアルバムに入れました。この曲、一番好きですね。

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歌からラップに切り替わる部分が鮮やかですね。

Rover それはMOCAがいてくれないとできないことだし。あとでカレーをご馳走したいですね(笑)。

MOCA ありがとう(笑)。この曲は僕も好きですね。僕らは、ライブではめっちゃ煽るんですけど、それとは正反対のアッパーチューンですね。ホールとか広い会場で照明もバッチリ決まると、ヤバくなる曲だと思います。

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