Interview

本田翼と山本美月が17歳の女子高校生の心の闇を体現した映画『少女』

本田翼と山本美月が17歳の女子高校生の心の闇を体現した映画『少女』

映画化もされた『告白』『白ゆき姫殺人事件』などで知られる人気作家・湊かなえの同名小説を実写映画化。『繕い裁つ人』の三島有紀子監督がメガホンを取り、「死とは何なのか」「死を知りたい」という願望を持つ二人の女子高生が過ごす夏休みを、それぞれの視点で描く。親友同士のヒロインを、共にモデルであり、女優としても目覚ましい活躍を続ける本田翼と山本美月が熱演。“17歳”という多感な時期の心の闇を体現した二人に話を伺った。

取材・文 / 大谷弦 撮影 / 三橋優美子


客観的に自分が17歳だった頃を思い出せて、役に投影できるのは、今の自分だからかなって思います。

お互いの第一印象は覚えてますか?

山本 初めて翼ちゃんに会ったときは……すごく忙しそうだなっていう印象ですね(笑)。私がお芝居を始めた頃に、翼ちゃんが主演したドラマに出させていただいたことがあって、大変そうだなって思って見ていました。

本田 美月ちゃんは、真面目な子だなっていう印象です。今回で4回目の共演になるんですけど、お互いに初めましての空気感がなかったので、やりやすかったですね。

山本 翼ちゃんは本当に正直で、素直で、何でも言ってくれるので、壁みたいなものはまったくなかったです。不安に思ってることとか、何でも話しながら一緒に頑張れました。

shoujo_in_0378

本田さんが演じる桜井由紀は、孤独を抱えながら、小説を書いたり、死に対して興味を抱いたりします。険しい表情で思い詰めていくところなど、いままでの本田翼さんのイメージとは違う役柄でした。

本田 でも、演じてみて、由紀と自分は近いかなって感じてました。私も高校時代は一匹狼で、どちらかというと孤立していたかもしれないです。「死ぬ瞬間を見てみたい」とまでは思わなかったですけど、すぐ行動に移してしまうところとか、大切な親友を想う気持ちとかは、すごく理解できるなって思いながら演じました。

shoujo_in_0349

山本さんが演じた草野敦子は、剣道で挫折してしまい、同級生たちからイジメにあってしまうという役です。

山本 モデルをやっているときのイメージが強いのか、いままで明るい役だったり、人から一目置かれるような女性を演じさせていただくことが多かったんですけど、私自身はもっと思い詰めてしまうタイプなので、敦子のほうが自分に近いなって感じることが多かったですね。実際に、高校時代には女友達に執着してた部分もあるし、周りの目を気にしてた部分もあるし……。

shoujo_in_main

本作で特に印象に残っているシーンは?

山本 全部、印象に残ってますけど、剣道とか、水に沈んでいったりとか、体を動かすシーンは大変でした。二人で走るシーンも映画で使われてる部分よりも、もっともっと走ってるので、体力的に消耗することが多かったですね。精神面でいうと、敦子は起伏が激しい性格なので、感情を出すシーンは監督に寄り添ってもらいながら作り上げていきました。小説を読むシーンも、共演した(老人ホームのスタッフ・高雄孝夫役の)稲垣吾郎さんにじっくり付き合っていただきました。

本田 私はモデルハウスで、足を洗うシーンですね。あの怒涛の流れは今後一生経験することないなって思うぐらい強烈で、本当に鳥肌を立てながら頑張りました。

山本 翼ちゃんは今回、大変なシーンが多かったよね。

本田 ラブホテルとか、病院とか、いろいろな場所で撮影したので、どれも印象に残ってるし、苦しい思い出しかないですね(笑)。

山本 現場で会ったときは「そっちはどう?」って、お互いのことを話して励まし合ってました。今回は役のうえでもお互いが助け合うような関係性だったので、そのまま現場でも同じような気持ちで演じることができました。

本田 私のほうが助けられることが多かったかもしれないです。涙を流すシーンで、美月ちゃんが泣いているのを見て、こちらも自然に涙が溢れたりとか。

shoujo_in_sub1

三島監督の印象はどうでしたか?

山本 私はどの現場でも監督が求めていることに関しては精一杯こたえたいというか、負けたくないっていう気持ちがあるんです。原作も脚本も素晴らしいので、敦子をやりきらなきゃいけないって思ってたんですけど、三島監督は結構、無理難題を突きつけてくるんですよ(笑)。でも、そこは絶対にこたえたかった。

本田 私も悩んだことが多かったですね。これはどういうことなのかなって、自分の中で理解しないとやりたくないというか、お芝居できないほうなんですけど、時間がないなかで、体当たりしながら挑んでいかなきゃいけない部分もありました。

shoujo_in_sub3

作品には女性監督ならではのテイストが色濃く感じられました。

本田 たしかに、この映画は女性の監督が作ったという部分が大きいと思います。

山本 三島監督は本当に隣りに寄り添ってくれて、現場でもカラダが触れ合う距離で催眠術をかけるように演出してくださって。この距離感というのは女性ならではですよね。衣装とかでも、女性らしさを感じましたね。男性の監督は、自分の想像する女の子像を作る部分があったりするじゃないですか。

本田 今回は衣装も現実的だったと思います。

山本 イジメのやり方とかも、実際に監督が調査したものを再現しているんです。女の子特有の喋り方とか、リアルでしたね。

shoujo_in_sub4

お二人が17歳の頃はどうでしたか?

本田 17歳って、心は大人になってるんですけど、でもまだ未成年なので、できないこともたくさんあるんですよね。制服を着てるだけで人の目が気になってしまったりとか……。いろいろ大変な時期ですよね。

山本 私はわりと規律の厳しい女子校に通ってたんですけど、自意識との闘いみたいなところはありましたね。毎日同じ時間に起きて、テレビで占いを見て、学校に行って……。

本田 私も占い見てた。今日は12位だったとか(笑)。

山本 それで授業に出て、部活して帰ってきて。毎日同じことの繰り返しで退屈だなって思ってました。

本田 ちょっと独特な精神状態ですよね。なんかよくわからないけどイライラしたり、不満を感じたり。

shoujo_in_sub2

女子同士の友情や距離感で悩んだりとかは?

山本 まさしく、私は由紀と敦子みたいな関係性の親友がいて、高校2年生の頃は、もうほんとにその子のことが大好きで……。ある意味、疑似恋愛になってたのかな? 女子校という空間で執着していたのかもしれない。

本田 私はベタベタするのが好きじゃなかったので、女子のグループで悩むっていうのはあんまりなかったですね。

shoujo_in_sub5

映画では、閉鎖的な地方都市での人間関係というのもテーマのひとつになっています。

本田 私は引っ越しが多くて、あまり同じ土地にいることもなかったので、そこまで実感できないんですけど……。逆にずっと一緒に育った幼馴染みとかには憧れがありますね。でも、狭い社会で生きていかなくちゃいけないのは、苦しさもあると思います。美月ちゃんはどうだった?

山本 私も転勤族で、長崎から福岡に引っ越して、それから東京になるんですけど……。でも、幼馴染みはいます(笑)。

本田 すごい! ずっと続いてるんだね。

shoujo_in_0308

そんな心身共に複雑な17歳の女子高生を、今の年齢で演じることについては?

山本 今回に限ってかもしれないですが、この年齢でこの役に挑戦できたことは良かったと思います。本当に17歳だったら、この世界を表現できなかった。特に最後のセリフも、あんなふうには言えなかったと思います。

本田 やっぱり客観的に自分が17歳だった頃を思い出せて、役に投影できるのは、今の自分だからかなって思いますね。実際に17歳だったら、理解できないと思う。

shoujo_in_0305

女優としての成長が必要だった作品なんですね。

山本 お芝居を始めた最初の頃は、自分のことでいっぱいいっぱいだったんですけど、だんだん周りが見えてきて、逆に緊張するようになってきましたね。スタッフさんや、いろいろな方が支えてくれていて、自分がやらなきゃいけない役割も理解できるようになってきて。少しずつ成長できてるのかなって思っています。

本田 美月ちゃんと私は女優を始めた時期は近いんですよ。私も最初は怖かったし、ちゃんとできてるのかもわからなかったけど、今は少し落ち着いて周りが見えるようになりました。見えるようになったぶんだけ、今度は何を頑張ればいいのかがわかるようになったし、どんどん課題は増えていってますね。

映画『少女』

shoujo_in_poster

読書好きで授業中は小説を書いている桜井由紀と、剣道での挫折を機に同級生からイジメを受ける草野敦子。実は親友同士の二人だが、その関係性はぎくしゃくしていた。高校2年の夏休み前に二人は転入生の滝沢紫織から親友の自殺について話を聞く。それ以来、「自分も人の死を目の当たりにしたい」と思うようになる。由紀は小児科病棟へボランティアに行き、重病の少年の死を、敦子は老人ホームで手伝いをして入居者の死を目撃しようとする。それぞれが抱える闇が“死”というキーワードによって解放されるのか──?

2016年10月8日公開
【原作】湊かなえ(双葉文庫刊)
【監督】三島有紀子
【出演】本田翼 山本美月 真剣佑/稲垣吾郎
【主題歌】「闇に目を凝らせば」GLIM SPANKY
【配給・宣伝】東映
公式サイト http://www.shoujo.jp/
(c)2016「少女」製作委員会

本田翼

1992年生まれ、東京都出身。中学時代にモデルとしてデビュー。テレビドラマ『GTO』(12/CX)、『とんび』(13/TBS)などで注目を集め、2015年には『恋仲』(CX)で初の“月9ヒロイン”に抜擢された。そのほかの主な主演・出演作は【映画】『江ノ島プリズム』(13/吉田康弘 監督)、『すべては君に逢えたから』(13/本木克英 監督)、映画『アオハライド』(14/三木孝浩 監督)、『起終点駅 ターミナル』(15/篠原哲雄 監督)【テレビドラマ】『ショムニ2013』(13/CX)、『安堂ロイド?A.I. knows LOVE??』(13/CX)などがあるほか、待機作に12月23日公開映画『土竜の唄 香港狂騒曲』(16/三池崇史 監督)、2017年冬公開予定映画『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』(17/曽利文彦 監督)がある。ドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(NTV)に出演中。

山本美月

1991年生まれ、福岡県出身。2009年から雑誌『CanCam』専属モデルとして活動。2011年にテレビドラマ『幸せになろうよ』(CX)で女優としての活動をスタートさせ、翌2012年には映画『桐島、部活やめるってよ』(吉田大八 監督)でスクリーン・デビューし、注目を集める。主な主演・出演作品は【映画】 『女子ーズ』(14/福田雄一 監督)、初主演作『東京PRウーマン』(15/鈴木浩介 監督)、主演作『貞子vs伽椰子』(16/白石晃士 監督)【テレビドラマ】『HOPE?期待ゼロの新入社員?』(16/CX)、『バスケも恋も、していたい』(16/CX)などがあるほか、待機作に2017年公開主演映画『ピーチガール』(神徳幸治 監督)が控えている。


少女 新装版

湊かなえ (原作), 岩下慶子 (漫画)
講談社