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みんな死んでるのに…なぜこんなにも心を揺さぶられるのか? 『ゾンビランドサガ』フランシュシュ初ライブで感じた“エモさ”の意味

みんな死んでるのに…なぜこんなにも心を揺さぶられるのか? 『ゾンビランドサガ』フランシュシュ初ライブで感じた“エモさ”の意味

2018年10月~12月に放送され話題となったTVアニメ『ゾンビランドサガ』。本作で活躍したゾンビアイドルグループ、フランシュシュ初の単独ライブ「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~」が、2019年3月17日に品川インターシティホールにて開催された。フランシュシュが歌って踊る、単独では初のイベント。ちなみにタイトルの「おらぼう」とは叫ぼうという意味だそうだ。

イベントには、フランシュシュのメンバー、源さくら役の本渡楓、二階堂サキ役の田野アサミ、水野愛役の種田梨沙、紺野純子役の河瀬茉希、ゆうぎり役の衣川里佳、星川リリィ役の田中美海の6人に加え、水野愛が生前活動していたアイドルグループ、アイアンフリルもサプライズで登場! 旧アイアンフリル(水野愛[種田梨沙]、ノノ[望月麻衣]、薫[佐藤優希]、みゆ[松井栞里]仁奈[大出千夏])と新アイアンフリル(詩織[徳井青空]、ユイ[金子千紗]、真琴[日野向葵]、ひかり[真央]、じゅりあ[遠野まゆ])が一堂に会し、『ゾンビランドサガ』の楽曲を歌い尽くすイベントとなった。ここでは夜の部のレポートをお届けする。

取材・文 / 塚越淳一


ファン待望! ゾンビアイドル、フランシュシュ初のワンマンライブ

『ゾンビランドサガ』という作品を簡潔に説明すると、“ゾンビがアイドルになって佐賀を救う”という話だ。作品を観ると、手数の多いギャグの勢いに圧倒されるかもしれないが、実は「生きる」というテーマが根底にあると思っている。ゾンビなのでみんな一度は死んでいるのだが、だからこそ訴えかけてくる生きる意味というのがあって、死んでも何かに打ち込んでいるフランシュシュの姿を見ると、生きている自分は、日々一生懸命に生きているのだろうか? と、ふと考えてしまうのだ。

で、それをこのフランシュシュを演じたキャストに置き換えると、例えば純子役の河瀬や、ゆうぎり役の衣川などはイベントやライブの経験が豊富なわけではない。一方で、すごく短期間にライブが重なってしまったキャストもいたり、少し想像しただけでも、限られた準備期間でみんなに楽しんでもらえるライブができるようになるには、結構高いハードルが存在しているのがわかる。だが、それを必死にやってきたというのが伝わってきたからこそ、この日のライブはとても感動的なものになった。

『ゾンビランドサガ』は音楽にも本気だった作品だ。アイドルソングだけではなく、幅広いジャンルの楽曲があったのだが、今回のライブでは、それらの楽曲をほぼすべてやるというものだった。メタルサウンドに乗せてメンバー紹介をするオープニングムービーのあとにメンバーが登場、アニメのOPテーマ「徒花ネクロマンシー」からライブがスタートする。

アニメであった最初の口上部分。ここは音源を流してもいいようなところだが、本渡がカッコよく〈死んでも夢を叶えたい いいえ、死んでも夢は叶えられる〉と言ったところに、このライブにかける熱意を感じた。そのエモさは確実に会場全体に伝わり、6人の歌唱にも熱が入る。ソロで歌うところが多い歌割りなので、声の個性もしっかりとわかる。フランシュシュは本当にそれぞれのキャラクターが立っているのだ。それでいてサビで6人の声が合わさると、ものすごい力強さとなる。

1曲目にふさわしい盛り上がりを見せると、自己紹介へ。「私たちフランシュシュです」と全員で挨拶し、メンバーもそれぞれ、「ぶっ殺すぞ」(田野)、「もう死んでますけどね……」(河瀬)など、持ちゼリフがある人は、それを交えて挨拶をしていく。

すると突然、田中が「たえちゃん来たー!」と叫び、フランシュシュのもうひとりのメンバー山田たえの首だけ(描かれた風船)が登場。会場をポンポンと巡りステージに戻ってきたところで、本渡が突然その風船を蹴飛ばし「全然ゾンビ隠す気ないやん!」とキレたところで、アニメを観ていた人には、それが2話の再現だと気づく。そこから本渡と田野アサミのラップバトルが勃発。ヒューマンビートボックスに乗せての「DEAD or RAP!!!」に。途中で田中や衣川も参加してきたことで、今回のライブが、アニメ本編を徹底的に再現することを目指した、いわゆる2.5次元的ライブであることを理解した。

アニメの前半の山場となった、フランシュシュがサガロックに出演した6~7話。ここでは昭和のアイドル・紺野純子と平成のアイドル・水野愛の「アイドル観」の違いを描き、サガロックのステージでその2人の絆が強くなる話だったが、そのサガロックの映像をバックに「アツクナレ」と「目覚めRETURNER」を歌う。

「アツクナレ」はアニメ本編では雷に怯え歌えなくなる水野愛を紺野純子がカバーするという流れだったが、ライブではアニメで実現しなかった、2人のエースが並び立っての歌唱だったことに感動する。会場もものすごい声とクラップをステージに送っていた。続く「目覚めRETURNER」は会場が雷で崩れてしまい、声がケロってしまうところを2番で再現。その瞬間会場がより湧くというのも、作品ファンが集まったイベントならではだ。ちなみに声がケロっても、田中はあまり声が変わらなかったのだとか……。

後半戦は、徳井青空(詩織役)を中心とする現アイアンフリルのメンバーがサプライズで登場し、「ゼリーフィッシュ」を歌うところからスタート。この曲は7話で少しだけ流れたが、そのときの詩織コールなど、掛け声も再現していて、観客の『ゾンビランドサガ』愛の深さがものすごく伝わってきた。

5人で会場を熱狂させたあと、「みんな佐賀に行きたいか! ゾンビになりたいかー!」と徳井が挨拶をすると、メンバーひとりひとりが「まだ声を出せるのか~??」とコール&レスポンスをし、会場を盛り上げるだけ盛り上げて、水野愛がセンターを務めていた2008年の旧アイアンフリルのステージに繋げる。「FANTASTIC LOVERS」は1話の冒頭で一瞬流れた曲で、「徒花ネクロマンシー」のカップリングに収録されているのだが、同じ平成でも、アイドル曲の変遷があって、この2曲は、そのあたりをよく捉えた楽曲だと思う。

ここでは種田が不動のセンターとして、フランシュシュとはまた違った活躍を見せていた。だが種田は、曲後のMCで自己紹介したところで、フランシュシュのメンバーに呼ばれ「私、もう2018年に戻らないといけない! 今はフランシュシュのメンバーなの!」と言い残して去っていく。残された4人は自己紹介を続け、しっかり場を温め、再びのフランシュシュにバトンタッチ。

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