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岡山愛がほとばしる。鳥越裕貴&高橋健介、杉江大志ら出演の舞台『桃源郷ラビリンス』開幕。

岡山愛がほとばしる。鳥越裕貴&高橋健介、杉江大志ら出演の舞台『桃源郷ラビリンス』開幕。

舞台『桃源郷ラビリンス』が4月4日(木)より開幕した。原作は、岡山ヒロミ(著)、あづみ冬留(イラスト)による同名小説。とは言うものの、2018年8月に発表された第1弾では、岡山市にある古民家カフェ「桃源郷」を営む吉備桃太郎のもとに、元アイドルの犬養津与志、老舗呉服屋の長男で医大生の楽々森 類、そして正体不明の美男子・珠臣樹里が導かれるようにして集まるまでが描かれたのみ。物語の全容はまだまだ未知の霧に隠されている。
果たして舞台では何が描かれるのか。多くの謎に包まれた本作の幕がいよいよ上がった。

取材・文・撮影 / 横川良明

平和な岡山に漂う不穏な影。愛する街を守るために桃太郎らが立ち上がる!

すでに発表済みの第1弾でハッキリしているのは、主人公の吉備桃太郎があの童話の桃太郎の転生者であること。そして、津与志、類、樹里の3人はそれぞれ桃太郎に仕えた犬、猿、雉の転生者らしい、ということだ。桃太郎の祖父・吉備真備は桃太郎が25歳になるのを待っていたと言うが、果たしてその真の目的は何なのか。桃太郎の行く手に待ち受けているものは何なのか。それらの答えは、4月5日に発売されるシリーズ第2弾に託されるかたちとなった。

そんな中での今回の舞台化だ。どこから物語が始まるかと期待と不安で胸が騒ぐなか、舞台では、すでに津与志(杉江大志)、類(遊馬晃祐)、樹里(山本一慶)らが桃太郎(鳥越裕貴)の営む「桃源郷」に入り浸っているところから幕が開く。桃太郎の祖父でありながら、なぜか30歳前後の青年の風貌をしている真備(中村優一)を囲み、くだらないことでワイワイと騒ぐ桃太郎たち。そんな賑やかな日常の風景は、桃太郎のもとに寄せられたある依頼をきっかけに、少しずつ崩れていく。

平和な岡山の街に漂う不穏な影。住民たちの間に起こる謎の異変。かつて童話の世界で桃太郎が鬼退治の旅に出たように、桃太郎もまた愛する岡山の街を守るべく、鬼の魔の手に立ち向かう。そんな日本列島を揺るがす正義と悪のバトルを描いたのが、舞台『桃源郷ラビリンス』だ。

まだ原作で描かれているのがプロローグ部分のみであるため、ストーリーの全貌が気になっている観客も多いはず。劇場でのお楽しみにして欲しいから、ここではあえて詳細は明かさない。そこで今回は各キャラクターの推しポイントをお伝えしたい。

“鳥ちゃん”らしい、愛され気質な熱血新ヒーローが誕生!

まず筆頭は、主人公・吉備桃太郎。日本人なら誰もが知る英雄の転生者であり、本人も正義感溢れるヒーロー気質。自分より強い相手にも果敢に立ち向かい、ボロボロになりながらも這い上がる姿は、まさに英雄そのもの。また、並々ならぬ岡山愛も、岡山公演を訪れる地元の観客の方々にとっては嬉しいところだろう。

その反面、普段は津与志らクセのあるメンツに振り回されて何かと損をしがち。そんな巻き込まれ型の苦労人体質が、演じる鳥越裕貴の持ち味と相まって愛すべきキャラクターに。次々と変な人たちになつかれてしまうのも、普段の“鳥ちゃん”が持つ人好きな雰囲気のおかげで自然に納得。鳥越らしいツッコミがしばしば繰り出されるものの、「桃源郷」に集まるメンバーはツッコミどころが多すぎて手が足りないレベル。ヒーローらしいカッコいい姿と、普段のワチャワチャ感のギャップが、鳥越演じる桃太郎のポイントだ。

忠犬・杉江、眼鏡男子・遊馬、絶世美人・山本の“犬・猿・雉”トリオも魅力爆発!

桃太郎を取り囲む家来たちも実にユニークだ。桃太郎を「師匠」と慕い、文字どおり犬のようになつく津与志のわんこ感が、ちょっとイタズラっぽい雰囲気の杉江大志にピッタリ。破壊的な料理下手にもかかわらず、事あるごとに手料理を振る舞おうと息巻くところも(そしてみんなに止められるところも)愛おしい。杉江らしいアドリブっぽい小ネタもちょいちょい挟まれていて、つい頬が綻んでしまう。
そしてこちらもいざ戦いとなれば、まるで別人。あどけない杉江大志の横顔は、キッと敵を睨みつけると一気に凜々しくなって、つい胸を射抜かれてしまう。何より桃太郎を守るために誰より一生懸命なところがいい。行動原理は一にも二にも桃太郎。そんな桃太郎命の忠犬気質が、津与志の魅力だ。

続いて、猿の転生者である類は医大生らしく頭脳明晰。ちょっと体温の低そうな遊馬晃祐のビジュアルは、特に眼鏡をかけると、ザ・理系男子という感じで、まず見た目からして眼鏡男子好きにはたまらない仕上がり。口調からもオタク気質の類っぽさがよく感じられるし、一見クールそうに見えて、超絶方向音痴というギャップ感もこれまた女子の心をくすぐるところ。方向音痴ネタでいじられるたびにまごつく類に母性本能が刺激される。
戦いの場面では、猿らしく軽快なアクションと、爪を敵に向けキリリと構える姿が、衣裳のキュートなもふもふ感といい意味でアンバランスで、思わず目が吸い寄せられた。

さらに、雉の転生者である珠臣樹里は、まず原作で用いられた「宵闇を切り取ったような美人」という一文を完璧に体現したような山本一慶の美貌に「ナイスキャスティング!」と声を上げたくなる。騒がしい面々の中で、ひとり悠然とした笑みを浮かべるところも、女性と見まがうような優雅で気品のある物腰も、山本だから出せる説得力。話しぶりもたおやかで人柄がにじみ出ている。さり気なく仲間をフォローしたり、チームの母親的役割を担うキャラクターだ。
戦いでは、扇子を片手に登場。桃太郎や津与志のように前線で敵を攻撃するというより、後衛からサポート、もしくはその真の能力を隠しているような印象だ。他のキャラクターに比べ、まだまだ謎の多そうなところも興味を引かれる。

高橋健介&長江崚行ら人気キャストが人間VS鬼のバトルに華を添える

この桃太郎&犬、猿、雉の一行以外に注目したキャラクターは、大和 尊(高橋健介)と坂田銀牙(長江崚行)のふたり。まず尊は桃太郎の幼馴染みで親友。庶民的で親しみやすい雰囲気の桃太郎とは対照的に、現在はニューヨークで働く国際派のエリートビジネスマン。高橋のすっきりした知的な顔立ちが、貴公子キャラの尊によく似合っている。
尊の魅力は、何と言っても桃太郎との関係性。日本とニューヨーク、離ればなれの場所で暮らすふたりは、年に一度、7日7日の七夕の日に再会する。という男同士なのに少女漫画的な設定についニヤニヤさせられてしまう。前半はほとんどが桃太郎との電話シーンになるのだが、高橋のソフトでちょっと高めの声が耳心地良く、いかにも包容力ある大人な雰囲気。そんな尊の正体が物語のコアとなるわけだが、悲劇の似合う儚さもまた尊の魅力と言えるだろう。

もうひとり警察官である坂田銀牙も、桃太郎らと共に鬼と戦う仲間のひとりだ。本作では桃太郎だけでなく、渡辺 綱、卜部季武、碓井貞光(橘 貞光)、坂田金時と酒呑童子で有名な大江山鬼退治伝説にまつわる登場人物も登場するのだが、坂田銀牙もそのひとり。その名のとおり、坂田金時(金太郎)の転生者だ。
普段の警察官姿も小柄な長江とギャップ感があって可愛いのだが、戦いのシーンでは金太郎らしく大きな斧を振りかざし、敢然と敵に挑みかかる。その勇壮な姿もさることながら、敵に痛めつけられ苦しみ喘ぐところが、また何だか妙に心の奥の方をムズムズとさせられる。敵に思い切りやられるキャラクターに弱い、という性癖をお持ちの方はぜひ坂田銀牙にご注目を。傷を負いながらも負けん気を忘れない銀牙は、長江のベビーフェイスなんだけど、ちょっとヤンチャっぽさもある顔立ちもあって、実に推しがいのあるキャラクターになっている。

ほかにも軽いノリだが締めるところは締める真備、理知的な雰囲気の浦島雨海(健人)、まさに鬼がハマり役の酒呑童子(川上将大)、ヒールキャラの王道を行くマーティン・ベアード(仲田博喜)、大ボスっぽいのになぜかネタキャラ化しているエイブラハム・D・ストーカー(金子 昇)など、個性豊かなキャラクターが勢揃い。ぜひ隅々にまで目を配って見るべしだ。

物語は、今年秋公開の映画『桃源郷ラビリンス』への繋がりを期待させるラストで幕切れ。すでに3月15日からアプリゲームもリリースされており、この一連のムーブメントを逃さず楽しむためにも、まずはこの舞台版でさらに広がる“桃源郷ラビリンス”の世界を体験して欲しい。

舞台『桃源郷ラビリンス』

東京公演:2019年4月4日(木)〜4月7日(日)なかのZERO 大ホール
岡山公演:2019年4月13日(土)〜4月14日(日)おかやま未来ホール

原作:岡山ヒロミ『桃源郷ラビリンス』(小学館文庫キャラスン!刊)
脚本・演出:菅野臣太朗

出演:
吉備桃太郎 役:鳥越裕貴
大和 尊 役:高橋健介
犬養津与志 役:杉江大志
楽々森類 役:遊馬晃祐
珠臣樹里 役:山本一慶
坂田銀牙 役:長江崚行
浦島雨海 役:健人
酒呑童子 役:川上将大
茨木童子 役:今出 舞
渡辺綱 役:汐月しゅう
源文殊丸 役:氏家 蓮
卜部季武 役:宮元英光
橘 貞光 役:栗原大河
吉備真備 役:中村優一
マーティン・ベアード 役:仲田博喜
エイブラハム・D・ストーカー 役:金子 昇

小笠原竜哉 北村 海 坂本和基 菅野慶太 福田圭祐 剣士郎

企画・主催:舞台『桃源郷ラビリンス』製作委員会
(ダブルアップエンタテインメント、HIROPRO、東映ビデオ、サンライズプロモーション東京、ビザビジョン)

オフィシャルサイト

©岡山ヒロミ/桃源郷ラビリンス
©2019舞台「桃源郷ラビリンス」製作委員会