Interview

声優・東山奈央 “デビュー前にキャラソン300曲”を歌いこなした表現力の塊。「バラエティ豊かって尊い」傑作2ndアルバムを語る

声優・東山奈央 “デビュー前にキャラソン300曲”を歌いこなした表現力の塊。「バラエティ豊かって尊い」傑作2ndアルバムを語る

2010年、TVアニメ『神のみぞ知るセカイ』に登場するアイドル・中川かのん役で声優デビューし、中川かのんとして単独ライブも開催し注目を集めていた東山奈央(とうやまなお)。以後は数々のヒット作品でメインキャストを演じるほか、TVアニメ『きんいろモザイク』のRhodanthe*、TVアニメ『マクロスΔ』のワルキューレのメンバーとしても活躍している。

ソロアーティストとしても2017年にデビューを果たし、初ライブとなった日本武道館公演も大成功。そんな彼女の、待望の2ndアルバム『群青インフィニティ』が完成! アルバムとそのあとに控えている初めてのライブツアーなどについて、話を聞いた。

取材・文 / 塚越淳一


1stアルバムの「虹」よりも大きく、いろんな表情を見せてくれる「空」がテーマに

ワルキューレ(「フライングドッグ10周年記念LIVE ―犬フェス!―」より)

2月に開催された『フライングドッグ10周年記念LIVE-犬フェスー』にワルキューレとして出演されましたが、すごく盛り上がっていましたね。ライブはいかがでした?

東山奈央 出番としては、ラストを飾られた坂本真綾さんの前なのでプレッシャーはあったんですけど、ワルキューレのメンバーといるとあまり緊張しないんですよ。もうみんな頼もしすぎて! これは『犬フェス』に限らずなんですけど、ライブ前なのにもりもりご飯を食べてるんです。緊張する~って言いながら(笑)。それを見て、頼もしいなーって思ってました。

メンバーの西田望見さんは、結構緊張してましたよね? MCでソロデビューの発表をしたので。

東山 あれは多分、私が「アニサマ」で日本武道館での初ライブの発表をしたときの気持ちに近いと思うんですよ。「このあと言うんだ……」「どんな反応があるのかな?楽しみだけど怖い!」みたいな。だから、そわそわ感は共感できましたね。

そんなこともありましたね。でもこれでワルキューレのメンバー、5人全員がソロ活動をすることになりました。

東山 そうなんですよ! のぞみる(西田)はどんな曲をやるのかなぁ。

そういう話は、メンバー間でしないんですか?

東山 聞こうと思えば聞けるんですけど、お互いあまり(自分の活動のことは)言わないんですよ(笑)。だからキヨさん(安野希世乃)のときも、「デビューするんだ!」ってネットで知るという(笑)。

そして秋に開催される『フライングドッグ10周年記念LIVE-犬フェス!2ー』には、ソロとして出演しますよね。レーベル主催のイベントに出られるのもうれしいですよね。

東山 あの、私フライングドッグさんへの忠誠心が強いんですよ! もう忠犬なんです(笑)。ソロをやる前から、「このキャラソン好きだな」と思ったらだいたいフライングドッグさんだったりするので、大好きなんですね。だからそのレーベルの一員として『犬フェス2』に出させていただくというのはすごくうれしいです。もしかしたら今回のアルバムからの曲を歌うかもしれないですし!

2ndアルバム『群青インフィニティ』ですね。1stアルバムが『Rainbow』でしたけど、虹から空になりましたね。

東山 2ndアルバムを作ろうとなったとき、虹よりも大きいテーマとなると空なんじゃないかなと。虹は皆さんと私をつなぐ絆の象徴であり、虹みたく色鮮やかな1枚になればいいなと思って作ったんです。私も声優としてキャラソンをたくさん歌わせていただいていて、「バラエティ豊か」って尊いな! と思っていたんですね。なので2ndアルバムも、ぜひそういう個性が突き抜けている曲を歌いたいなと思ったんです。

「あのロボっぽい曲さぁ…」とか「英語ばかりの曲さぁ…」とか「ジャズっぽい曲さぁ…」って言ったときに、みんなが「あー、あの曲ね!」ってわかるみたいな、そのくらい粒立った個性がある曲たちにしたいなと。それで、空というのも、晴れだったり雨だったり嵐だったり雪だったり、いろいろな表情を見せてくれるので、そういう意味でも空はテーマとしていいんじゃないかなとなりました。

それはもう、このアルバムの6~8曲目あたりのことを言ってる感じですね(笑)。

東山 そうやってわかってもらえるじゃないですか(笑)。それがいいし、そういうラインナップにしたかったんです。

“エモさの虜になった”楽曲─「さよならモラトリアム」

先ほどバラエティ豊かとおっしゃっていましたけど、まさにその通りで、声優じゃないと歌えない曲もありましたよね。

東山 「さよならモラトリアム」(M06)ですかね(笑)。コンペで募集した曲なんですけど、この曲攻めすぎているな! と思って、一度スルーしたんですよ。でも何回も聴いていくうちに、この曲のエモさの虜になっていって、やっぱり歌いたいなと思っちゃったんですよね。好きになっちゃったみたいで(照)。

歌詞も哲学っぽさもあるというか。

東山 何気にいいこと言ってるんですよね。曲調に騙されるんですけど、深いこと言ってて解釈の余地があるんですよ。あとキャラソンっぽいな、電波っぽいなと思うかもしれないんですけど、キャラソンでは絶対にできない曲でもあるんですよ。そもそもキャラクターが変わり過ぎだろうってなるので。

コロコロ声が変わりますもんね。あの声色の使い分けは、声優じゃないとできないことですよね。

東山 実はこの曲は最後に選んで最後に録ったんです。だからお祭り感があったというか、やり切るぞ! みたいな感じで、ちょっとふざけてやったテイクが、面白いからこれで行こう! みたいになっちゃって……(笑)。

ちなみにどこなんですか?

東山 “マイアイデンティティ!”のところですね。これは絶対やり過ぎてるからやめよう!って言ったんですけど、面白いよと言われて、それならと。

どこで、どういうキャラクターを出すとかは考えていたんですか?

東山 意外と組み立ててなくて、結構アドリブだったんです。最初に女神的な人がいて、大人になるってどういうことなのかという問いを投げかけて、“こりゃ難題 ちょっと待って時間止めてーっ!”となる子供がいる。その子が歌っていくんですけど、途中でカッコいい大人が出てきたり、ざます眼鏡の先生が“マイアイデンティティ!”と言ったり、日曜日の朝のヒーローみたいな人が“人の数だけ生き方がある”と言ってきたりするんですけど、最後にその子が“スイーツは許されますか?”と言ったことで、女神様が“(だーめだこりゃ。。。)”と言って終わるんです。

そうやってレコーディングで、こうしたら面白いかな? ってその場で歌ったところが採用になっていくから、あまり組み立てていくと対応できなくなるというのもあり、アドリブ的な組み立て方をしていった感じですね。でも曲を作ってくださった山田裕介さんは、「ネバギバ音頭」という面白い曲を前シングルで作ってくれていて、山田さんの曲を入れたいんだけど、アルバムの新曲にないなぁ! って思っていたところだったので、一番最後にすごい曲が投下されてきた感じで良かったです。

でも、絶対にライブで盛り上がるでしょうね。

東山 今回はツアーなので、近くに来るから見に行こうっていうお客さんもいると思うんです。そんな人でもわかりやすくノれるというか。“アイ!デン!アイ!デン!”とかは、曲を聴いてなくても楽しめるセクションだと思うので、ライブで皆さんと一緒に盛り上がりたいなと思ってます。

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