Interview

FLOW 3年ぶりのオリジナル・アルバムに込めた思いとは? 16年目に入った彼らのバラエティ豊かな音楽の旅について訊く。

FLOW 3年ぶりのオリジナル・アルバムに込めた思いとは? 16年目に入った彼らのバラエティ豊かな音楽の旅について訊く。

デビュー16年目に入ったバンドが、過去のどの時期よりもアグレッシブにロックしてるんだから嬉しいじゃないか。FLOWの11作目、3年振りのオリジナル・フル・アルバム『TRIBALYTHM』(トライバリズム)。日本を代表するアニメソングを引っ提げてワールド・ツアーを成功させ、ジャンルと国境を越える音楽を鳴らし続けるバンドが到達したネクスト・ステージ。「断ったら負け」の超前向き思考が生んだバラエティ豊かな音楽の旅へ、これは5人からの招待状だ。

取材・文 / 宮本英夫

どの入り口から入ってもFLOWのライブで一つになって楽しんでもらってる人がそこにいると。これはもう新しいトライバル(部族)だというところからスタートして(TAKE)

待ってました。フル・アルバムは3年振りですか。

TAKE やっと出来ました。すいませんでした。『#10』が終わったあと、次のアルバムのイメージが全くなかったんですね。でもおのずと活動の中でテーマ自体があぶり出されてきて、バンドが進む指標も明確になってきたから、それがそのままアルバムのコンセプトになってます。

それがつまりTRIBALYTHM=トライバリズム。

TAKE そうです。世の中自体がグルーバル化に向かっているし、インターネットの恩恵もあって可能性がどんどん広がってきたと思うんですね。我々もその中で活動出来ていたからこそ、海外でライブをやる機会も得られただろうし、一番大きかったのは全国ツアー“アニメ縛り”(2018年4~7月)の時に感じ得たもので、ロックとアニメの垣根やジャンルの壁を越えていく、どの入り口から入ってもFLOWのライブで一つになって楽しんでもらってる人がそこにいると。これはもう新しいトライバル(部族)だというところからスタートして、それをFLOWの活動として一つ形にしていきたいという意思がイズムで、2回のワールド・ツアーで国境を越えた経験を踏まえて、いろんなリズムを楽しんで行こうということがリズム。合わせて『TRIBALYTHM』という形になってます。

なるほど。ボーカル二人にはどんな手応えが?

KEIGO 僕も“アニメ縛り”ツアーが一番大きかったと思うんですけど、ワールド・ツアーをやらせてもらってる中で見えたものが、ジャンルの壁をぶっ壊せるバンドになりたいということだったので。その思いを形に出来た11枚目のアルバムなのかなと思います。

KOHSHI 『#10』はいろんな人とのコラボレーションで作り上げて、やりきった感があったので。さあ次はどうしよう?という時に出会えたのがアニメ『テイルズ・オブ』シリーズで、そこで「BURN」と「風ノ唄」ができて「まだ違う世界が見れる!」と思った、その出会いがこのアルバムの入り口だった気がする。そこから派生して“トライバリズム”というワードにたどり着けたと思うし、また新しいFLOWの世界が表現できて、「10枚目も良かったけど11枚目はもっといいですよ」というものができたと思います。

海外にもたくさん行ったし、“アニメ縛り”も武道館もあったし、それが全てなのかなと思います(GOT’S)

リズム隊二人は?

IWASAKI すごく楽しくレコーディング出来ましたね。“アニメ縛り”ツアーで日本と南米を回ってきた体験をうまくプレーに落とし込めてると思うし、一周回って新しい自分たちの名刺が出来た気がします。自分たちなりのミクスチャーというか、いろんなものをやるんだということを発信し続けて、11枚目でこれだけバラエティに富んでいて、なおかつ自分たちを表せているアルバムを出せることは、すごく自信に繋がりましたね。

GOT’S シングルが3年間の要所要所に入って来て、ツアーも年イチでやってたし、一つ一つライブで曲を育て上げて来て、見たもの感じたものがアルバム曲にも落とし込めてるんじゃないかと思います。制作期間だけの3年間じゃなくて、海外にもたくさん行ったし、“アニメ縛り”ツアーも10年ぶりの武道館ライブもあったし、それが全てなのかなと思います。

リズム隊の二人に聞きたかったのは、新しい要素がまた入って来たじゃないですか。ラテンのリズムもかなり増えたし、アイリッシュっぽい雰囲気の曲も2曲あって。たぶんこの人(TAKE)がやらせてるんでしょうけど。

TAKE うははは。

やらせてるとか言っちゃいけないか(笑)。でもバンドの歴史を見ると、この二人は一番鍛えられてると思うんですよ。メロコアやミクスチャーをやってたバンドだったのが、ある日急に四つ打ちのダンス・ミュージックをやりましょうとか。

IWASAKI 入り口はそこでしたね(笑)。

どうなんですか。今回のラテンやりましょう、アイリッシュやりましょうというチャレンジは。

IWASAKI だから、もうビビんないですよね(笑)。バタバタしない。それまでなら、やったことないからどうしようというのはあったんですけど、今回はなかったです。マイナスな感情は一つもないし、新しい要素を自分のものに出来れば、次に繋がるだろうから。

新曲の「火花」ってそういう感じですよね。ラテンっぽいリズムのロック・チューン。

IWASAKI サビがソカのリズムですね。楽しく出来ました。

GOT’S まあ大変なものもありましたけど、でも最近よく言ってるんですけど、音を上げたら負けだなと思うんで。時間はけっこうあったんで、じっくりやれたんですよ。そこは非常に良かったです。

TAKE 「風ノ唄」を作ったことが大きかったですね。『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』という作品の、ファンタジーであり、北欧の景色でありというイメージから、バグパイプとか、アイリッシュ音楽に挑戦出来たことがすごく大きかった。個人的には昔からそういうものをやりたかったので、それが作品として出来たと。それで今回、THE CHERRY COKE$というバンドから、MASAYAさんにマンドリン、ギター、ブズーキというアイリッシュ音楽で使う楽器で加わっていただいたり、MUTSUMIさんにはアコーディオンを弾いてもらって、よりアイリッシュなサウンド感を引き出してもらった。それで「サンダーボルト」が出来ましたし、「BELIEVER」はバンジョーを入れて、カントリー調の、北米の音楽meets EDMみたいな感じで形にできたりとか、そういうものがサウンドの肝としてはありました。で、「Smells Like 40 Spirit」は完全に2000年前後のヘヴィ・ミクスチャー・ロックで、コーンやリンプ・ビズキットみたいな、自分たちが夢中になって楽しんでいた音楽を、今表現したら面白いんじゃないか?と。そこから20年ぐらい経っている我々だからこそ当時を再現出来ると思うし、新しい人には新しいものとして届くことも出来るんじゃないか?というのは、リズムというテーマとして一つありましたね。

「Smells Like 40 Spirit」は、タイトル見て、これは笑わせに来たなと思ったら、サウンドがマジでびっくりした。

TAKE うははは。

KOHSHI 上がってきたデモが懐かしいミクスチャー・サウンドだったので。過去に「Smells Like 30 Spirit」という曲を書いてるし、やっと全員40代になったから、これはタイミングが来たなと思って書きました。サビがかっこいいし、ラップのところは自由度が高かったんで、だからこそああいう歌詞が書けたんだと思います。

これは同世代必聴ですよ。レイジ、サブライム、インキュバスとか、ウーパールーパー、ゴールドライタン、ミニ四駆とか(笑)。その年代を直撃するキーワードがばんばん出て来る。

KOHSHI これで年代がわかりますね。10代の子はたぶん一個もわかんない(笑)。

40代に向けて、どうあるべきか、どうありたいかを伝えたかったので(KOHSHI

こういうのが書けるのが、大人の余裕じゃないですか。その上で“全開で限界まで行こう”って、メッセージ性もちゃんとある。

KOHSHI そうですね。40代に向けて、どうあるべきか、どうありたいかを伝えたかったので。

世界、未来、そういうワードが今回多いんですよ。今までもあったけれど、それがものすごくポジティブに響いて来る。

KOHSHI 3年振りにアルバムを出せるし、ツアーも決まって、進むべき道がまた一つ見えて、世界というものが明るい感じにとらえられるようになったんじゃないですかね。

いろんな時期ありましたからね。哲学的な時期とか。

KOHSHI 『MICROCOSM』(2010年)を書いてる時とか、ヤバかったですね。今思うと(笑)。勝手に小宇宙を作ってましたからね。

今は精神的にいい時期でしょう。

KOHSHI いいんじゃないですかね。全員がスキル・アップしてるし、余裕もあるし、40代になって視点が変わったこともあるし。人生、あと半分なんで。

いやいや。まだまだでしょ。

KOHSHI そういう視点で、より明るい未来を願いたいですね。

人が人を傷つけるニュースは多いけれど、ライブには人と人が繋がれる強さがある、そんなことを思って書いた詞が「BELIEVER」です(KEIGO)

KEIGOさんが詞を書いてる「BELIEVER」については?

KEIGO これを書いたのは3年前で、“風ノ陣”“炎ノ陣”のツアーでやってた曲を今回音源化しました。「BELIEVER」と「アイオライト」がその時の曲です。その時すでにキャリアは10年以上になってて、昔はライブは楽しいからやってるんだという感じがあったけど、来てくれた人に何か一つ持って帰ってほしいと思ったし、数ある音楽の中でFLOWを選んで、会場に足を運んで、一緒にライブを作ってるということは、その時間は幸せになってほしい、みたいなMCをライブでも言ってたんですよね。人が人を傷つけるニュースは多いけれど、ライブには人と人が繋がれる強さがある、そんなことを思って書いた詞が「BELIEVER」です。この詞を今読み返すと、そのあとの“アニメ縛り”ツアーでちゃんと思えた、いろんなものを取っ払って一つにできるバンドになりたいという思いの始まりがここにあるなと、あらためて思いましたね。

二人が共作した「ONENESS」も、一緒にライブを作るファンへ向けた歌詞。

KEIGO これは10年ぶりの武道館ライブで響かせるために作った曲です。おのずと自分たちの歩んできた道をたどる詞にもなってるし、それがあったから今自分たちはちゃんと前を向けてる。そういうものになりました。

KOHSHI FLOWの15年を歌詞で表してみました。武道館を思い描きながら言葉をチョイスしていったので、あの場で歌うことができて良かったです。みんな歌ってくれたし、お客さんがいないとここには立てないということですね。

このアルバムを聴いてると、日本のロックって面白いなあと思うわけです。

TAKE 日本のロックまで思っちゃいますか。

だって、メロコアやミクスチャーが好きだった子供たちが、気づいたらここまで来ちゃってる。独自のミクスチャーを作っているから。

TAKE 島国ならではの、進化かもしれないですけどね。でも見渡したら、世界では今ロックが鳴ってないという、ビルボードのチャートで生ドラムが一個もないみたいな(苦笑)。EDM、ヒップホップ、R&Bがメインになっていて、それが今、日本のアニメソングと言われているものが一番激しい音楽になっていて、それが世界で受けている、逆輸入的なとらえ方も一つできますよね。だからこそ我々も現場に行って、アメリカ人に「おまえたちはアメリカが忘れたロック魂を持ってるぜ。なぜなら16小節もギター・ソロがあるじゃねえか」と言われるみたいな(笑)。面白いですよね。我々はあなたたちの先人のバンドを聴いて来ただけなんですけどって。

配信サブスクが主流になって、1曲ずつ聴かせる時代だからこそ、アルバムに対するテーマを明確にしたくて(TAKE)

面白いですよ。

TAKE 「アイオライト」なんてまさにそうで、まんまグリーンデイですからね(笑)。これだけ装飾して、ストリングスを入れたり、民族楽器を入れたり、壮大な「ONENESS」まで行って、最後の曲がスリーピースというのが面白くないですか(笑)。曲順も含めてこれをアルバムとして表現できるのがいいと思うし、3年前の曲ですけど、「BELIEVER」も「アイオライト」もこのアルバムに入るために作ったんじゃないか?というぐらい、ピースがハマったんですよね。しんみり終わらなくて、みんなで肩組んで前に進もうじゃないかという、To Be Continuedな感じを作れたのが良かったなと思います。自分らはアルバムは曲の寄せ集めじゃないという世代だし、1枚のアルバムとして意味のあるものを作りたかったんですよね。配信サブスクが主流になって、1曲ずつ聴かせる時代だからこそ、アルバムに対するテーマを明確にしたくて、それまでに3年間かかったということですね。それは今までの活動がおのずと導いてくれたので、そこからは迷わなかったです。

楽しんでるというのがすごく正解なんですね。FLOWの活動自体が(IWASAKI)

よろしくお願いしますよ。今後とも。

TAKE 飽き性なんで、常に挑戦し続けると思うんですけど、世の中に正解というものがない以上、自分たちの大好きなもの、通ってきたものを素直に表現することをバンドとしてやっていきたいですね。「Smells Like 40 Spirit」と「アイオライト」はまさにそういう感じですね。「ONENESS」「音色」をやってるバンドと同じバンドとは思えないですね(笑)。

KEIGO いろんなことをやるバンドですからね。その歴史がここにある。

TAKE 特典ブルーレイで、“ビストロFLOWブラジル料理対決”“世界のききビール対決”って、わけわかんないですからね。

KEIGO 武道館のライブ映像のあとにそれ必要か?って。必要なんですね(笑)。でも別に嫌々やってるわけじゃない。楽しいんですよ。だからそういうバンドなんでしょうね、根が。パッと見、周りから見たら不自然ことをやってるのかもしれないけど、自分たちにとって自然というか、誰かが面白いアイディア出したら“それやろう!”ってなるから。

TAKE 一人ぐらい嫌がりそうだけどね。だからこそ、バンドが続けられたんでしょうね。

GOT’S 断ったら負けなんです。

出ましたね。今日の名言。

GOT’S やりたいことだけやってたら、幅がどんどん狭くなっていくと思う。そういう人は、俺はやりたいことをやってきたからって自分で納得するんでしょうけど、俺らは断ったら負けなんで。そうやって可能性を広げていく道を進んできたから。

IWASAKI そういう意味で、楽しんでるというのがすごく正解なんですね。FLOWの活動自体が。楽しむための努力はしますけど、それは個人個人がみんなやってることで、一つの集合体として、楽しんでできるのがいいことですね。

その他のFLOWの作品はこちらへ。

ライブ情報

FLOW LIVE TOUR 2019「TRIBALYTHM」

5月26日(日) 横浜Bay Hall
6月9日(日) 福岡DRUM LOGOS
6月15日(土) 札幌ペニーレーン24
6月22日(土) なんばHatch
6月29日(土) 名古屋ダイアモンドホール
7月6日(土) 仙台Rensa

<追加公演>
7月12日(金) 新木場Studio Coast

FLOW

KOHSHI(Vo)、KEIGO(Vo)、TAKE(Gt)、GOT’S(Ba)、IWASAKI(Dr)の5人組ミクスチャーロックバンド。
兄弟であるKOHSHI(兄、Vo)、TAKE(弟、G)が1993年から音楽活動を始め、1998年にFLOWを結成。99年にKEIGO(Vo)、GOT’S(Ba)、2000年にIWASAKI(Dr)が加わり現在の形となる。
2003 年にシングル「ブラスター」でメジャーデビュー以来、シングル33枚、オリジナルアルバム10枚をリリース。15年走り続けてきたFLOWはこれまでに50以上のタイアップを受け、ロックバンドとしては類を見ないほど幅広い層に支持されている。
特にこの1年は、これまでにコラボレーションを重ねてきたアニメ「NARUTO –ナルト-」「コードギアス 反逆のルルーシュ」「交響詩篇エウレカセブン」「ドラゴンボールZ」などの歴代アニメ主題歌・関連曲にフォーカスを当て、15th Anniversary TOUR 2018「アニメ縛り」と題した全国と中南米でのツアーを行い、アニメ・ロックといった音楽のジャンルを超えた熱いライブを全世界で繰り広げた。
海外での活動にも精力的に取り組み、アジア、北米、南米、ヨーロッパなど、18ヶ国以上でライブを行い、日本のアニメ文化に通ずるファンからも絶大な人気を誇り、”ライブバンド”として国境を越えて音楽を届けている。また、メンバー個々も他のミュージシャンとのセッションや楽曲提供、舞台音楽制作を行い、TVやバラエティ番組で見せる親しみやすいキャラクターも老若男女のファンを惹きつけている。
2019年1月には、10年ぶり2度目の日本武道館公演を成功させ、公演の最後には2019年4月10日(水)に、3年ぶりのオリジナルアルバム「TRIBALYTHM」の発売決定がアナウンスされた。このアルバムを引っさげた全国7公演を回るFLOW LIVE TOUR 2019「TRIBALYTHM」も開催決定。活動も16年目に突入し、まだまだ勢いの止まらないFLOWから目が離せない。

オフィシャルサイト
http://www.flow-official.jp/