Interview

ミステリアスな存在感で注目を集める宮沢氷魚。『映画 賭ケグルイ』で大器の片りんを見せる!

ミステリアスな存在感で注目を集める宮沢氷魚。『映画 賭ケグルイ』で大器の片りんを見せる!

ギャンブルの強さのみによって生徒の階級が決まる──。政財界の子女が通う名門・私立百花王学園では、生徒たちが日々さまざまなギャンブルに興じ、スリリングな勝負に人生を賭けていた。そこへ現れる謎の転校生にして、最強のJKギャンブラー・蛇喰夢子。リスクを負うほど快感を覚えるヒロインが、「さぁ、賭け狂いましょう!」の決めゼリフとともに大逆転を仕掛けていくギャンブル・エンターテインメント『賭ケグルイ』が、ドラマのシーズン2を経て、いよいよスクリーンへ。

その劇場版オリジナルキャラクター・村雨天音役にキャスティングされたのが、ドラマ『コウノドリ(第2シリーズ)』や舞台『豊饒の海』などで脚光を浴びた宮沢氷魚。初の映画出演を果たした注目の若手俳優に、撮影時のエピソードや自身のことを語ってもらった。

取材・文 / 平田真人 撮影 / 荻原大志


村雨はカリスマではあるけど、カルトのリーダーじゃない。演じる上でそのボーダーを見極める必要があった。

『賭ケグルイ』の独特の世界観について、宮沢さんはどのような印象を抱いているのでしょうか?

ドラマのシーズン1を見た時、原作の再現度がかなり高いことに驚きました。原作を読みながら、「これを実写化で再現するとなると、結構振り切らないとできないんじゃないか」と思ったりもしたんですけど、役者のみなさんがすごく突き抜けたお芝居をされていて、それぞれの役が原作のキャラとも重なって見えてくるんですよね。それがスゴいなと思いました。ただ、僕が演じた村雨天音は原作に登場しない、劇場版のオリジナルキャラクターなので、そういう意味では新鮮でもあって。今まで原作がある作品で演じてきた役は、原作に登場するキャラクターで、その人物の空気感やヒントになり得る要素は、原作を読み込めば掬いとることができたんですけど、村雨天音に関してはゼロからつくりあげていく必要があったので、英(勉)監督にも聞いてみたんです。すると、「とにかく、カッコよくてリーダー的存在の村雨を演じてくれれば、あとは何をやってもいいよ」と、おっしゃって。僕も「まかせてください!」って即答しちゃったんですけど(笑)、『賭ケグルイ』はキャストの方々の熱量とか温度がめちゃくちゃ高いじゃないですか。そこに引っ張られることなく、村雨は孤高というか…ちょっと温度の違うところにいるんじゃないかなと解釈して、現場でもそういうスタンスで演じてみたら、監督も太鼓判を押してくださったので、その方向性でキャラクターを掘り下げていきました。

村雨のバックグラウンドや役設定は、どのように深掘りしていったのでしょう?

僕自身はプライベートでリーダー的存在という感じではないんですけど、小学校の時に野球部のキャプテンをやったことがあって。その責任感や人の上に立つことで感じる重圧を思い出しながら演じました。ただ、村雨に関してはちょっとミステリアスな方が面白いのかなと思っていたんです。もちろん、必要なバックボーンは考えつつも、あまり固めすぎると面白味が損なわれちゃうかもしれないな、人物像がはっきりしない部分があることで成立するカッコよさもあるんじゃないかなと考えて、余白も残しました。

その点、村雨天音はカリスマ的存在なので、宮沢さんのミステリアスなルックスを最大限活かすことができた役だったのではないでしょうか?

はい、自分としては長所を活かせたのかなと思います。ただ、振り切りすぎるとカルトのリーダーっぽくなってしまう恐れもあるので、そこは気をつけました。カリスマではありますけど、カルトではないので、そのボーダーを見極める必要があったと言いますか…。ただ、そこは謎の武装集団を率いる犬八十夢役の伊藤万理華さんと、お互いに違うタイプのリーダーの色を出すことでコントラストをつけられたんじゃないかなと、自分なりに感じています。

ちなみに、村雨が率いる反生徒会組織「ヴィレッジ」の本部が、『カメラを止めるな!』のロケ地と一緒でしたが、あのただならぬ雰囲気が漂うロケーションで撮影できたことも、お芝居に影響したのでは?

実は『カメラを止めるな!』を観る前に『映画 賭ケグルイ』の撮影をしていたんですけど、矢本(悠馬=木渡潤役)くんが「ここ、『カメラを止めるな!』のロケ地だよなぁ?」って話していたんです。ちょうど映画が話題になり始めていたころで、キャストも未見の人の方が多くて、その時は「そうみたいだね」ぐらいの反応だったんですけど、何となく…何かが潜んでいるような雰囲気は確かにあったんですよね(笑)。その後、撮影が終わって東京に戻ってから“カメ止め”を観たら、ゾンビが出てくる話じゃないですか。なので、観る前に撮影をしていて良かった、と思いました。順番が逆だったら、まともにお芝居できなかったかもしれなかったです(笑)。実際、村雨にとってカギとなる、ある人物との回想シーンも夜遅い時間の撮影で、ただでさえ怖かったので(笑)。でも、ヴィレッジの面々がつくりだす空気というのは、あの建物の中に漂う雰囲気によって生み出された部分もありますし、衣装も個性的だったので、現場と扮装によって組織の一体感をつくりだせたんじゃないかな、と感じています。あの独特の空気が、(浜辺美波演じる主人公・蛇喰)夢子たちが過ごしている校舎の明るさとのコントラストになっていて、ミステリアスで何をしでかすかわからない怪しさを表現できたんじゃないかな、と思ったりもしました。

その夢子を演じている浜辺美波さんと共演されてみて、どのような感想を抱きましたか?

まだ18歳ですけど、現場の誰よりも大人に見えました。佇まいそのものもそうですし、矢本くんがワチャワチャ遊んでいたり、(鈴井涼太役の高杉)真宙くんがキャストのみなさんからいじられているのを、1人座って笑みを浮かべながら、うなづきながら見ているんです(笑)。その振る舞いがすごく大人びていて、素敵だなと思いました。美波ちゃんは自分から積極的に話しかけてくるタイプじゃないんですけど、僕から話しかけると、すごく真摯に答えてくれて。本当に18歳なのかな、精神年齢的には25歳くらいじゃないか、と思わずにはいられなかったですね。

名前が挙がった矢本さんは現場ではムードメーカーだった感じですか?

はい、まさしく! 確かキャストの中では矢本くんが最年長だったのかな? 何にしても場を盛り上げてくれて、ずっと現場で喋っているんですよ。人によっては「鬱陶しい」と思われたりもしがちなんですけど、矢本くんの場合はいっさいそう感じさせないのがスゴいんですよね。話の中身が特にあるわけでもないんですけど(笑)、それが逆に心地いい。たまに(早少女芽亜里役の森川)葵ちゃんが「何言ってんの、うるさ〜い」ってツッコんだりして、ちゃんと関係性が成立しているのも面白かったです。

そういったキャスト間の関係性ができあがっているのは、シリーズものの利点だと思いますけど、今回の宮沢さんのように途中から合流する立場になると、ある種の難しさもあるのではないか、と…?

そうですね、キャストだけじゃなくてスタッフさんもシーズン1から一緒なので、現場全体のチームワークができあがっていたので、最初は不安もありました。ただ、今回は僕だけじゃなくて、(生徒会長・桃喰綺羅莉役の池田)エライザもそうですし、福原(遥=歩火樹絵里役)さんも伊藤万理華(=犬八十夢役)さんもいらっしゃったので、現場が僕たち“後発組”の受け入れ態勢を整えてくださっていたみたいなんです。撮影初日から、「ようこそ!」ぐらいに歓迎する空気で迎え入れてもらえたので、すごくやりやすかったですし、何より英監督が本当に面白い方で、段取りからテストといった流れで、役者陣のお芝居を見て、大声で笑ってくれるんですよ。シーンによっては本番でも笑っていて、「監督の笑い声が入っちゃうんじゃないのかな…」と心配になったりもして(笑)。それくらい明るい現場だったので、すごく入りやすかったですし、撮影期間を楽しく過ごすことができました。

ただ、さっきも触れていたように、村雨は冷静にテンション高めの『賭ケグルイ』のレギュラー陣の芝居を受ける役どころだけに、大変な部分もあったのではないでしょうか?

良く悪くもツラかったと言いますか…僕個人としては“熱量高め側”に行きたかったという思いもあります(笑)。でも、村雨というキャラクターを考えたらあり得ないので、そこはしっかり線引きをしました。それでも、みなさんの高いテンションに引っ張られそうになる瞬間が多々あって、なのにクールな表情を通し続けなければいけなくて、それがツラかったですね。みんなの顔芸やアドリブを見ていると、ついニヤニヤしそうになっちゃって。お芝居をしながら笑いをこらえていて、“ガキ使”の「笑ってはいけない」に参加しているような気分になったりもしました。

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