冒険Bリーグ  vol. 19

Column

そのパワフルプレーは実に爽快! 三河のリバウンド王、アイザック・バッツの魅力に迫る

そのパワフルプレーは実に爽快! 三河のリバウンド王、アイザック・バッツの魅力に迫る

『冒険Bリーグ』第19回は、シーホース三河(以下、三河)のアイザック・バッツに焦点を当てる。体格に恵まれたアスリートが逞しい動きを見せるのは、バスケットボールの醍醐味だろう。そう、彼はまさにパワフルなビッグマン。その頼もしさをじっくり解き明かしたい。

「リバウンドを制するものはゲームを制す」。これは漫画『SLAM DUNK』にも出てくるおなじみの名言だ。

100本のシュートがあれば、そのうち大体50~60本は落ちる。それがバスケットボールというスポーツだ。だからこそリバウンド争いは、ゲームを決めるほどの意味を持つ。

バッツはBリーグの中でも屈指のリバウンド獲得数を誇り、インサイドで存在感を見せている名手。来日してから5シーズン目で、毎年必ず1試合平均2ケタのリバウンドを記録している。

▼【B1ハイライト】04/10 横浜 vs 三河(18-19 B1第34節)

三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは彼をこう評する。
「派手ではないんですけど、常にハードワークしてくれる選手。それからリバウンドへの執着心がすごい。点数は取らなくても、勝負どころのディフェンスリバウンドを取ってくれる」

今季の三河は比江島慎、橋本竜馬といったアウトサイドの主力が他クラブへ移籍した。若手選手の相次ぐ台頭など明るい材料はあるが、中地区では現在3位に留まっている。各選手の出来にどうしても「波」があるなかで、在籍4季目のバッツが見せるコンスタントな貢献はチームを支えている。

彼は208センチ・133キロの重量級で、しかも筋骨隆々。大胸筋の盛り上がりは、ユニフォームの上からもはっきり見て取れる。華麗な技術はないかもしれないが、そのパワフルなプレーはとにかく見ていて爽快だ。一方で速攻になればしっかり走るし、守備でしっかり手と足を動かす献身性も兼備していて、力任せというタイプではない。

ただしこの男のダンクシュートは要注意だ。2年前の川崎ブレイブサンダース戦では試合前のウォーミングアップでゴールを二度も破壊し、試合開始が40分も遅れることになった。あの巨体で、勢いをつけてリングにぶら下がれば、そんな「悲劇」も起こる。

リバウンドも身体のサイズだけでは取れない。バッツはタイミング、ポジショニングといった駆け引きにも長けている。彼はこう説明する。

「『リバウンドはタイミングで決まる』『早めにポジションを取れ』と高校のコーチから言い聞かされていて、それを今も続けている。リバウンドをずっと任されてきて、経験もある。タイミングを見極めて向かって行くだけです」

ポジションさえ取れば、そこから先はフィジカルで相手を圧倒できる。本人に聞くと高校時代のバッツは今よりさらに巨体で、体重も150キロくらいあったのだという。当時の彼はバスケとアメリカンフットボールを両立させていた。アメフトの中でも特に屈強な選手が任される「オフェンスライン」が当時のポジション。レフトタックル(LT)という、司令塔のクォーターバックを守る上では最も重要な役割を担っていた。

彼は大学からバスケに専念した理由をこう説明する。
「バスケットボールのほうが楽しかった。シュートをしたり、逆サイドまで走ったり、自分がリバウンドを取ってチームメイトを走らせたり……。そういうプレーが自分を奮い立たせるんだ」

一方でアメフト経験をリバウンドに活かしている。バッツはこう述べる。
「ラインマンはフットワークが大事になってくるので、それはバスケに活きていると思う。スピン(反転)などの動きがリバウンドのプレーで活きている」

Bリーグには現在得点ランク首位のダバンテ・ガードナー(新潟アルビレックス)、ジョシュア・スミス(富山グラウジーズ)といったバッツと同レベルのサイズを持つ巨漢選手もいる。彼に「今までこいつはタフだったという対戦相手はいたか?」と聞いてみた。

静かな口調ではあったが、自信に満ちた頼もしい答えが返ってきた。
「特にいなかった。そういう選手がこれから現れることを楽しみにしている」

取材・文 / 大島和人 写真提供 / B.LEAGUE

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著者プロフィール:大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。大学在学中にテレビ局の海外スポーツのリサーチャーとして報道の現場に足を踏み入れ、アメリカの四大スポーツに接していた。損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年から「球技ライター」として取材活動を開始。バスケの取材は2014年からと新参だが、試合はもちろんリーグの運営、クラブ経営といったディープな取材から、ファン目線のライトなネタまで、幅広い取材活動を行っている。

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