Interview

本郷奏多「とことん威張り散らした」。映画『キングダム』の憎まれ役・成蟜への佐藤信介監督のこだわりを明かす

本郷奏多「とことん威張り散らした」。映画『キングダム』の憎まれ役・成蟜への佐藤信介監督のこだわりを明かす

めざすは中華の統一! 舞台は紀元前の中国、春秋戦国時代。まだ誰も全土統一を成し遂げていなかった群雄割拠の乱世を、空前のスケールで描いた原 泰久の大人気コミック『キングダム』が、待望の映画化を果たした。実写化は不可能と言われていた大河ドラマを、中国ロケを敢行して圧巻の映像に仕立てたのは、「GANTZ」シリーズ(11)や「図書館戦争」シリーズ(13)、「いぬやしき」(18)などで知られる佐藤信介監督。その信頼厚き若手実力派・本郷奏多が、王である兄・嬴政に謀反を起こし、王宮を混乱に陥れる王弟・成蟜を演じ、映画にケレン味をもたらしている。

取材・文 / 平田真人 撮影 / 増永彩子

「コイツ、ムカつくなぁ…!」と思われるキャラにしたかった。

『キングダム』では大々的な中国ロケを行ったそうですが、本郷さんはどのくらいの割合で参加なさったんでしょうか?

僕の場合、出番の半分以上が中国での撮影でした。空が見えているシーンはすべて中国の撮影所のオープンセットで撮ったので、スタジオでの撮影というのは成蟜が王室の中にいる時だけでしたね。

えっ、本郷さんが演じられた嬴政が万単位の兵を前に演説するシーンは、本当にオープンセットで撮っているんですか? あれ、ハンパない広さですよね!

そうなんですよ、なので、僕にも全容がわかっていないんです(笑)。そういった意味でも、日本じゃ撮れない画というのがたくさんあったと思いますし、僕が関わったシーンじゃないんですけど、馬を走らせる場面では100頭くらい用意されたと聞いて、すごいなと驚きました。実際、僕も作品を観終わった時に「スケール感がすごいな」という印象が強かったので、かなりいい規模感と迫力の映画になっているんじゃないでしょうか。

山﨑賢人さん演じる主人公の信や嬴政(読み・エイセイ/吉沢 亮)たちのアクションがメインになってくる中での、本郷さんの演じた成蟜は、映画のケレン味を引き受けているところがあるような印象を受けました。

そうですね…なるべく憎たらしく映った方がいいのかなと思ったので、とことんそっちの方向に振り切った感じです。その方が面白いし、話が盛り上がると思って。なので、自分が持ち上げられている時は威張り散らして(笑)。成蟜はそういうキャラクターだと思うので、漫画のイメージに沿って、僕自身も楽しみながら演じました。

成蟜がいるからこそ、『キングダム』という作品のカタルシスが得られるとも思うので、そういう意味では欠かせないキャラクターですよね。

そのようにおっしゃっていただけると、うれしいですね。「コイツ、ムカつくなぁ…!」と思われるキャラにしたかったので。そうすることが『キングダム』の世界観を深く掘り下げることにもなると思って、人を小バカにしたような感じで、ずっと芝居をしていました。

佐藤信介監督とは役柄について、何かディスカッションをするといったことは?

佐藤さんとはもう「GANTZ」の前・後編を2本分にカウントすると、もう4作目になるのかな? 何度もご一緒させてもらっているので、僕を信頼して芝居を任せてくれているところもありますし、「こうしてほしい」というこだわりをおっしゃってもくださるんですよ。そういったところもからも、佐藤さんの組では安定してお芝居に臨めると言いますか…やりやすいです。

佐藤監督は絵コンテをシーンごとに用意していると聞いたことがあるんですが、それは今回も?

はい、持ってきていらっしゃいました。佐藤さんは絵も描けるし、頭がキレる方だと思うので、説明もわかりやすいんです。でも、たま~に珍しいこだわりとかも見せたりする一面もあって。何にしても、ひと口では語ることができない、素敵な監督さんです。

今回の『キングダム』で、本郷さんが目にした佐藤監督の珍しいこだわりは、どこで発揮されたんでしょう?

僕に対するディレクションで言うと、自分の部下が敵と戦っていて強烈な一撃を与えた時に、「それを見て喜んでいる成蟜で終わっちゃうんじゃなくて、何かひと言がほしいんですよね。何ていいましょうか?」といった話をされてきて、5~10分くらい相談した記憶があります。で、僕からも提案して、何パターンか撮ったんですけど、できあがった本編では使われてなかったんですよね…(笑)。※悔しそうに膝を叩く!

そこまでいろいろ言わせておいて(笑)。確かに、本編を思い出しながら、「成蟜、何か言ってたかなぁ」と考えていたんですよね。

成蟜だったら何と言うかなと探っていった結果、ふだんなら穏やかじゃない言葉なんですけど、「ブッ殺せ!」って言ったんですよ。でも、本編では使われてなかったです(笑)。

編集で見事にカットされてしまったと(笑)。

そのかわり、「ヒャッハー!」って喜んでいるところが使われていました(笑)。佐藤さんと一緒にいろいろセリフを考えたんですけど、(編集で)つなげてみたら、ちょっと違っていたんでしょうね。でも、そういうふうにトライする精神をいまだに持っていらっしゃるクリエイターである佐藤さんならではの感覚を僕は信じていますし、映らない芝居が多々あって、削ぎ落とした上で作品に仕上げているんだなと思いました。

スクリーンには映らなかったけど、現場では必要な芝居だったということですよね。

そう…だと思っています(笑)。たぶん…ですけど、監督も中国のロケ地のスケール感の中に身を置いたこともあって、テンションが高くなっていらっしゃったんでしょうね。でも、冷静に編集作業をしていってつなげてみたら、「ブッ殺せ!」と言うのは違っていたんだろうな、と。

成蟜だったら言いそうかな、と思ったりもしますが…(笑)。

僕も、たぶん「こんなことを言うんじゃないかな」と思って叫んでみたんですけど、冷静に見てみた場合、そういう言葉が世界観に沿うかどうかは…僕には何とも言えないところもあります。ただ、時代を超えた物語ですし、言語とか気質は現代っぽくアレンジされているので、言ってもおかしくはないんでしょうけど、ニュアンスが違っていたのかも知れないですね。

佐藤さんからチャンスをいただけたら、次はぜひアクションに挑戦してみたい

アクションもスケールも見応えがある活劇に仕上がっていますが、本郷さんご自身が客観的に『キングダム』を見たとき、どこに魅せられたのでしょうか?

原作の魅力としては、男の子がワクワクするようなものがいっぱい詰まっている物語だと思うんです。それは映画でもしっかり描かれていると感じました。ただ、今回の映画の魅力をひと言で語ろうとするのは、すごく難しいですね。だけど、日本映画では最高レベルのエンターテインメント作品ができたんじゃないかな、と観終わって率直に思いました。

どこまでCGなんだろうと思ってしまいがちですけど、実はそんなに使っていないですよね。

たぶん、そんなに使っていないですね。佐藤さんの作品の場合、ゼロからCGでつくった方が速い場合もあったりするでしょうけれど、今回は衣装と美術にこれまで以上にこだわっていらっしゃったと思います。

CG全開の前作『いぬやしき』と比べると、見せ方としては真逆に位置するファンタジーなのかなと思いました。

そうですね、佐藤さんはどんな見せ方もできる監督さんでいらっしゃるのだなと、あらためて感じました。

それから先ほど、男の子がワクワクするようなものが詰まっていると、おっしゃっていましたが、本郷さん自身も信と漂、嬴政の友情に胸が熱くなりますか?

はい、そこはやっぱりポイントじゃないかと思います。あと、バトルシーンもカッコイイですよね。(山﨑)賢人くんも、カメラがまわっていない間も真剣にアクションコーディネーターの方に自分から「ここって、こういう感じですか?」みたいな感じで相談しに行っていて。そういう姿を現場で見ていて、すごく気合いが入っているなと感じました。

本郷さんは役の立場上もあって、アクションの見せ場がなかったわけですが、ちょっと物足りなかったりもしました?

う〜ん、どうかなぁ…。アクションって見るのと実際にやるのとでは全然違っているでしょうし、結構大変なものだと思うんですよ。僕は、今までもほとんどアクションらしいアクションをしたことがないので、「GANTZ」の時と同じように小生意気に笑って、憎まれ口を叩くというキャラをまっとうしていました。実際のところはわからないですけど、佐藤さんは僕にそういったアクティブな動きをいっさい求めていないんじゃないかな、と勝手に思い込んでいます(笑)。

いやいや、そんなことはなと思います! では、佐藤監督の次回作ではアクションシーンにも挑戦してみたい、と(笑)。

僕、意外とできるんじゃないかなと思うんですよ(笑)。なので、佐藤さんからチャンスをいただけたら、次はぜひアクションに挑戦してみたいです(笑)。


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本郷奏多

1990年、宮城県生まれ。2002年に映画『リターナー』で俳優デビュー。その後、映画「GANTZ」シリーズ(11)「進撃の巨人」シリーズ(15)『鋼の錬金術師』(17)『いぬやしき』(18)などの話題作に次々出演。2019年は本作のほか、出演作『Diner ダイナー』(7月5日公開)を控える。

オフィシャルサイト
http://official.stardust.co.jp/kanata/

フォトギャラリー

映画『キングダム』

4月19日(金)全国公開

【STORY】
紀元前 245年、春秋戦国時代、中華・西方の国「秦」。
戦災孤児の少年の信(山﨑賢人)と漂(吉沢亮)は、いつか天下の大将軍になることを夢見て日々剣術の鍛練を積んでいた。
ある日、漂は王都の大臣である昌文君(髙嶋政宏)によって召し上げられ王宮へ。
信と漂の二人は別の道を歩むことになる……。
王宮では王弟・成蟜(本郷奏多)によるクーデターが勃発。
戦いの最中、漂は致命傷を負いながらも、信のいる納屋にたどり着く。
「今すぐそこに行け…」血まみれの手で握りしめていた地図を信に託し、漂は息絶える。
信は漂が携えていた剣とその地図とともに走り出した。
地図が示す小屋にたどり着いた信の目に飛び込んできたのは、静かにたたずむ漂の姿だった!?
死んだはずの漂がなぜ――

監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉 佐藤信介 原泰久
出演:山﨑賢人 吉沢 亮 長澤まさみ 橋本環奈 本郷奏多 満島真之介 阿部進之介 深水元基 六平直政 髙嶋政宏 要 潤 橋本じゅん 坂口 拓 宇梶剛士 加藤雅也 石橋蓮司 大沢たかお
製作:映画「キングダム」製作委員会
配給:東宝&ソニーピクチャーズ(共同配給)
©原泰久/集英社 ©2019 映画「キングダム」製作委員会

オフィシャルサイト
kingdom-the-movie.jp

原作コミック