プレイバック・平成映画  vol. 1

Column

平成を彩った映画たち。世界の北野 武監督、是枝裕和監督を生んだ【平成元年~10年】を振り返る

平成を彩った映画たち。世界の北野 武監督、是枝裕和監督を生んだ【平成元年~10年】を振り返る

気がつけば、平成も残りわずか。1989年1月8日に始まった平成は30年続き、その間に世界も日本も大きな変化を遂げた。そして様々な映画が登場し、振り返れば、私たちが映画を楽しむ環境も大きく様変わりした。そこで今日から3回に渡って平成の映画を振り返り、平成を彩った映画の数々を紹介する。

平成元年から平成10年までの興行収入No.1作品(洋画・邦画)

【洋画】
公開年 タイトル
平成元年
(1989)
『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』
平成2年
(1990)
『バック・トゥ・ザ・フューチャー Part2』
平成3年
(1991)
『ターミネーター2』
平成4年
(1992)
『フック』
平成5年
(1993)
『ジュラシック・パーク』
平成6年
(1994)
『クリフハンガー』
平成7年
(1995)
『ダイ・ハード3』
平成8年
(1996)
『ミッション:インポッシブル』
平成9年
(1997)
『インデペンデンス・デイ』
平成10年
(1998)
『タイタニック』
【邦画】
公開年 タイトル
平成元年
(1989)
『魔女の宅急便』
平成2年
(1990)
『天と地と』
平成3年
(1991)
『おもひでぽろぽろ』
平成4年
(1992)
『紅の豚』
平成5年
(1993)
『ゴジラ VS モスラ』
平成6年
(1994)
『平成狸合戦ぽんぽこ』
平成7年
(1995)
『耳をすませば』
平成8年
(1996)
『ゴジラ VS デストロイヤ』
平成9年
(1997)
『もののけ姫』
平成10年
(1998)
『踊る大捜査線 THE MOVIE』

※データはいずれも日本映画製作者連盟が発表したもの

上記のリストからまずわかるのはスタジオジブリ作品の圧倒的な強さだ。ジブリが生まれたのは1985年で『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『火垂るの墓』は高い評価を得たが爆発的なヒットには至らなかった。しかし、偶然にも平成最初のジブリ作品『魔女の宅急便』から作品は大ヒット。平成9年の『もののけ姫』は当時の興行記録を塗り替え、その4年後に公開された『千と千尋の神隠し』はさらに上をいく興行収入308億円を記録。この記録は現在も破られていない。結果としてこれらの作品は海外でも人気を集めており、平成の映画史を語る上でもジブリ作品は欠かすことができない。

© 1989 角野栄子・Studio Ghibli・N

一方の外国映画は定番のハリウッドアクション大作シリーズが並ぶ結果に。これらはいずれも昭和後期にスタートして人気を集めた作品で、1980年代的なテイストの作品が人気を保ち続けてきたことがわかる。その流れを大きく変えたのは『ジュラシック・パーク』の登場。この映画以降、ハリウッド大作はCGの力を手に入れ、表現方法やストーリー、語り口までもが大きく変化していく。

©1992 Universal City Studios Inc. & Amblin Entertainment Inc. All Rights Reserved.

当時の映画事情:映画は並んで観るもの。行列は人気のバロメーターに

改めて振り返るまでもなく、平成が始まった時、日常生活にはインターネットも携帯電話もなかった。当時の映画館の多くは、ひとつの建物にひとつかふたつのスクリーンで窓口でチケットを買って、列に並んで早いもの勝ちで座席を確保しなければならなかった。そのため、映画館前の大行列は人気のバロメーターになり、大ヒット作ともなれば2、3時間待ちなんてことも。また当時は昭和後期から広がった小規模な映画館”ミニシアター”が乱立し、そこからヒット作が生まれることも。

しかし、この流れは平成初期に登場したシネコンの拡大によって大きく変わることになる。

今だからわかる! 平成映画の”チェックポイント” 是枝裕和、北野 武が監督デビュー

歴史とは不思議なもので、その時には何てことのなかった小さな変化や出来事が時間を経て、大きな変化や時代を象徴する出来事の”はじまり”だったことがわかる。映画も同じで、公開時にはあまり評価されなかったりヒットしなかった作品が時を経て”超人気作”として名前があがるのはよくある話。だからこそ、平成の最後を生きる我々は過去の人に言ってあげたい!この映画は映画館で観ておけ!と。

・平成元年、北野 武が『その男、凶暴につき』(1989)で監督デビュー
ビートたけしの主演作『その男、凶暴につき』はメガホンをとる予定だった深作欣二が降板し、急きょ、ビートたけしが”北野 武”として監督も務めることに。公開時、批評家の評価は高かったが興行はイマイチ。しかし、北野監督はその後、世界で評価される映画作家になり『座頭市』『アウトレイジ』とヒット作も。

©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会

・エヴァンゲリオンは平成が終わっても終わらない!
阪神大震災や地下鉄サリン事件があった1995年は平成の中でも転換点のひとつとして語られることが多いが、その年にテレビ放送を開始した『新世紀エヴァンゲリオン』は1997年に映画化。テレビでは描ききれなかった結末をスクリーンで描く『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』は大きな話題を呼んだが、その10年後にまさかの再映画化。当時のファンに「平成が終わってもエヴァは完結していない」と言っても誰も信じないだろう。なお、完結作は来年公開の予定だ。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2020)特報

・『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』公開
ちなみに士郎正宗のコミックを押井守監督がアニメーション映画化した『GHOST IN THE SHELL…』も95年11月に公開。日本でも特大のヒットを記録した作品ではなかったが、アメリカではビデオ売り上げが好調で、のちに『マトリックス』など本作に影響を受けたハリウッド大作が続々と登場。ついにはスカーレット・ヨハンソン主演の実写映画までつくられることになるとは……平成の終わりを生きる我々だけが知っている話。

・是枝裕和が監督デビュー
やはり平成7年=1995年は変化の年だったのかもしれない。同じ年にTVディレクターだった是枝裕和が『幻の光』で映画監督デビュー。いきなりヴェネツィア国際映画祭で金オゼッラ賞を受賞するなど海外で高評価。その後もコンスタントに作品を発表し、最新作『万引き家族』はカンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールに輝いた。

『万引き家族』©2018フジテレビジョン ギャガ AOI Pro.

・平成8年、『セブン』が公開
その瞬間にどれだけヒットしたか?も重要だが、その映画の登場によって類似する映画が乱発されたり、ひとつのジャンルが誕生することも重要なチェックポイント。その点で1996年に公開された『セブン』はその後の映画界を見渡す上で外すことのできない1作。ブラッド・ピット主演の本作はその後、大量の亜流作品を生み出し、”サイコ・サスペンス”と呼ばれるジャンルが盛り上がることに。

出典 / amazon.cp.jp

・平成9年にコナンが、平成10年にポケモンがスクリーンに登場
現在も続く超ヒットシリーズ『名探偵コナン』と『ポケットモンスター』の劇場版が最初に公開されたのが平成9年(『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』)と10年(『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』)だ。両者はその後も作品によって成績の上下はありながら根強い人気を獲得。コナンは最高興収を次々に塗り替え、ポケモンは海を越えてハリウッドで映画化。両者がスクリーンから消えることはしばらくはなさそうだ。

トップ画像出典 / amazon.cp.jp

vol.1
vol.2