Interview

teto 表題曲を含まない4曲入りシングルに、彼らはなぜ「正義ごっこ」というタイトルをつけたのか?

teto 表題曲を含まない4曲入りシングルに、彼らはなぜ「正義ごっこ」というタイトルをつけたのか?

昨年9月のフルアルバム発表以降、充実したツアーをやり遂げ、さらには大型フェスや注目オムニバス・ツアーへの参加と、その活動の熱量がいよいよ高まっている印象の彼らだが、届けられたニュー・シングルではむしろ醒めた心情こそが主題化し、それをより音楽的に奥行きのある演奏で聴かせている。
ここでは、その制作をメンバー全員で振り返ってもらいながら、そのベースにあるバンドの精神的な現在地について語ってもらった。

取材・文 / 兼田達矢 撮影 / 鈴木圭

一応シングルということになっていますが、僕のなかでは4曲をまとめて一つの作品を作ろうと思ったんです。

昨年9月にアルバムをリリースした後は、そのツアーが12月まであって、年が明けると2月後半から“スペースシャワー列伝JAPAN TOUR”もありました。さらに、いろんなイベントにも出演しながら、よく新しい音源を作り上げたなと思うんですが、実は働き者のバンドなんでしょうか。

小池 (笑)。ホントに働き者ですよね。すごい働き者だと思います。

(笑)。この音源を出すことはいつ頃決まったんですか。

福田 『手』を作ってる時じゃないですか。

小池 そうだね。作ってる最中に「次は春」みたいな話をしてた気がします。

では、小池さんはアルバム・リリース後も時間を見つけて曲作りを進めていた、と?

小池 そうですね。基本的に、曲はずっとシコシコ作ってますね。

そもそも、曲はどんどんできるタイプなんですか。

小池 どうなんでしょう? 他の人のペースがどんな感じなのかわからないですけど、一応期限までには今のところはできてますね。

小池貞利(Vo,Gt)

このシングルについては、どういうふうに曲ができていったんですか。

小池 当初は1曲目が違う曲だったんです。もっと明るい、軽快な感じの4つ打ちソングだったんですよね。先に録り終わってて、それが表題曲でもいいかなと思ってたんですけど、でも今は「夜想曲」のほうが自分の気持ちには合っていたので、メンバーに無理言って「夜想曲」を急いで仕上げて、こういう4曲になりました。

その4曲に「正義ごっこ」というタイトルの曲はないわけで、つまりこの4曲のまとまりとして「正義ごっこ」という名前がつくような一つのイメージがあったということでしょうか。

小池 そうですね。一応シングルということになっていますが、僕のなかでは4曲をまとめて一つの作品を作ろうと思ったので、だから表題曲というものもないんですけど。

「夜想曲」以外の3曲は、このシングルを目がけて作ったんですか。

福田 「時代」だけはすごく昔からあったのを今回仕上げることになって、それから「こたえあわせ」を作って、それから「ラムレーズンの恋人」という順番で作っていきました。

小池 確か12月の中旬頃に、「こたえあわせ」と「ラムレーズン〜」、それに「夜想曲」ができる前に入れる予定だった曲はまとめて作ったと思います。

「ラムレーズンの恋人」を初めて聴いた時は、いままであまりやっていなかったというか…、すごく意外な感じがしました。

まず「ラムレーズンの恋人」から聞いていきたいんですが、この曲は小池さんから聞かされた時にはどれくらいの形になっていたんですか。

山崎 今回のシングルについては、どれも8割くらいはもうデモ通りですね。デモからめちゃめちゃ変わったという曲はないです。

曲の骨格を成しているギターのフレーズもデモ段階からあったものですか。

山崎 全く同じではないですが、ほぼほぼデモの通りですね。

とすると、あのフレーズは小池さんのテイストなんでしょうか。

小池 僕の手グセがあるんですけど、それをもう少しきれいに聴かせたり磨き上げることを山崎がやってくれた感じです。

ちなみに、80年代前半のUKギター・ポップはけっこう聴いたりしますか。

小池 イギリスのインディー・ポップとかノイズ・ポップとかの要素はフレーズの中に入ってるかもしれないですね。

山崎 僕ももちろん、そういうものは好きではありますけど、今回そういうものを特に意識したわけではないですね。

小池 今回はなかったですけど、他の曲でギターの何かフレーズが欲しいなと思った時に「山崎が思う、この曲のイメージでやっちゃって」ということで考えてもらって、そのままOKになることが多いので、感性的には同じ方向を向いて作ってるなと感じています。

曲の印象ということで言えば、この曲についてはどんなことを思いましたか。

山崎 難しいなあ…。単純に“いい曲だなあ”と思いましたけど…。

ベースの動きも印象的ですね。

佐藤 それもほぼほぼ小池さんのアイデアなんですけど、僕は曲を初めて聴いた時にはちょっと意外な印象でした。いままであまりやっていなかったというか…、すごく意外な感じがしました。

佐藤健一郎(Ba)

その意外な感じをもうちょっと掘り下げると、どういう印象でしょうか。

佐藤 いい意味で隙間があるというか…。そういう感じがある曲は他にもありますけど、それがこの曲のフレーズや歌詞と合わさった時に、このシングルの4曲のなかでも特別な色を持っている感じがして、すごく聴き心地がいいんですよね。

僕も意外と言うか、こういう感じの曲もやるんだと思いました。それは、すごく大まかに言うと「爽やか」という言葉を充てたくなるんですが、この曲、歌詞の内容はともかく、曲の印象としては爽やかですよね。

小池 そうですね。

小池さんの気持ちが爽やかだったんでしょうか。

小池 爽やかになりましたね(笑)。でも、爽やかな曲を作ろうと思ったわけではなくて、結果としてそうなったという感じですが、もちろん元々作りたい曲のイメージがあって、それをどう音にするかというところで、単純にいままでやってない感じでやりたいなと思ったんですよね。

福田さんは、この曲はどういう印象ですか。

福田 ふわふわしてる感じがしました。そのデモの感じのままにやりたいなと思ったんですよね。ビシッとしないほうがいいだろうなと思ったし、デモのふわふわ感を残したままで叩けるといいなと思ってました。

ロック・ミュージックでは多くの場合、曲を前に進めていくエンジンの役割はドラムが担っていますが、この曲ではギターがその役割でドラムはそこに乗っかっているような印象を受けました。

福田 まさにその通りだと思います。だから、ギターにふわふわ乗っかって行きました(笑)。

(笑)。それでまたギターのフレーズに話は戻るんですが、小池さんの手グセも入っていると言われたデモのフレーズをブラッシュアップする時に何か意識したことはありますか。

山崎 そもそも、貞ちゃんの手クセがものすごく独特なんですよね。あまりギタリストっぽくない運指というか。それをやる時には、ライブのことも考えないといけないじゃないですか。だから、そこで毎回悩みますよね。

「時代」は、個人的には普遍的なことを歌っている気がしていて、それは昔もそう思っていたけど口にしなかっただけで、今になって口に出せたということだと思います。

「時代」は前からあったということですが、その曲をこのタイミングでピックアップしたのはどういう気持ちだったんですか。

小池 やっぱり人と会って助けられることが多いし、その人たちがいるから曲ができたりすることもあるんですけど、その出会ったことをようやく20代の後半になった今喜べるようになったので、なんとか歌えるんじゃないかなあと思って。ライブではもうやってたりするんですけど。

ここで歌われていることは学生時代の思い出がベースになっていると思いますが、そういう思い出が人との出会いをようやく喜べるようになったと言われた今の時点で作った当時とは何か違う意味を感じられたりしたんでしょうか。

小池 学生時代の思い出みたいなことはどうでもいい部分であって、個人的には普遍的なことを歌っている気がしていて、それは昔も今も変わってないというか、昔もそう思っていたけど口にしなかっただけで、それを今になって口に出せたということだと思います。

いろんな出会いに助けられることを実感したりすることが、そのきっかけになっているわけですか。

小池 そうですね。それに、そろそろ言ったほうがいいんじゃないかという気持ちもあります。自分が思ってることだから歌詞になるんですけど、こうして歌詞にすることであらためて自分も意識するということがあると思うので。

佐藤さんは、この曲についてはどういう印象ですか。

佐藤 小池さんが普遍的なことを歌ってると言ってましたけど、確かにそういうことが根底にあると思います。一見壮大な感じの曲だなと思ったんですけど、録り終わったものを聴いてみると意外と身近な曲だなと思いました。

アレンジの部分で今回のレコーディングに向けて何か手を加えたところはありますか。

小池 昔のデモを憶えてないよね(笑)。

福田 (笑)。でも、そんなにいじってないんじゃない。

細かい話ですけど、ギター・ソロに入る前のところに鉄琴みたいな音が鳴ってますよね。

小池 ああ、あれは鉄琴ですね。無くても良かったんですけど(笑)、その時期ちょうどハマってたんです。

でも、使い方がさりげないですね。

小池 他の曲でもいろいろ使ってますから。

鉄琴ブームはまだ続いているんですか。

小池 もう終わっちゃいました。今は、シンセのブームですね。

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