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鈴木拡樹、和田琢磨、多和田任益らが「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」でハードボイルドな姿を華麗に見せる!

鈴木拡樹、和田琢磨、多和田任益らが「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」でハードボイルドな姿を華麗に見せる!

「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」が4月18日(木)日本青年館ホールにて初日を迎えた。
人々の精神が数値化される近未来で、正義を問われる刑事のドラマを描くアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズの初舞台化作品。アニメでも脚本を担当した深見 真が舞台用に書き下ろした完全オリジナルストーリーのスピンオフ作品となり、TV1期、劇場版にて総監督を務めた本広克行が演出する。
主演は『映画 刀剣乱舞』の三日月宗近 役や舞台「どろろ」百鬼丸 役、WOWOWオリジナルドラマ『虫籠の錠前』のカゴロク 役など活躍目覚ましい鈴木拡樹。
本広克行、鈴木拡樹、和田琢磨の3人が登壇した囲み取材の模様と、ゲネプロの熱演をレポートする。

取材・文・撮影 / 片桐ユウ


「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界観をテーマパークに来たような感覚で、360度で体験できる

ゲネプロと囲み取材は初日の前日に開催。囲み取材には、演出の本広克行と、主演の鈴木拡樹、和田琢磨が登壇した。

「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズ初登場となる「公安局刑事課三係」の監視官・九泉晴人(くせんはると)を演じる鈴木拡樹は「稽古場でも早く舞台上に上がりたいなという気持ちがすごく強かったです。今回とてもたくさんの照明と映像を駆使していまして、稽古中には想像するしかなかった部分も劇場に来てからたくさん発見しました。「PSYCHO-PASS サイコパス」の世界観をテーマパークに来たような感覚で、360度で体験できるのではないかと思います」と、初日を控えた心境と見どころを語る。

九泉と同じ刑事課三係の嘉納火炉(かのうひろ)役を演じるのは和田琢磨。和田は「エネルギーを持ったこの作品に、ひとりひとりの俳優が魂を吹き込んでキャラクターをつくり上げています。原作の力を借りながら、そこに役者の力を加えた新しい作品の誕生になったのではないかと思います」と胸を張り、オリジナルキャラクターの役づくりについて「脚本の深見さん、演出の本広さんのもと、キャラクターをつくったというよりは、共存している三係のメンバーみんなでひとつのチームをつくり上げたという感覚が強いです。お客様に“こういうチームが「PSYCHO-PASS サイコパス」の中にいたらいいな、ありそうだな”と期待していただけるような公安局になったんじゃないかなと思っています!」とチームワークの良さを明かした。

本広克行は「演劇なのですが、映画を観ているような感じや、それでいて映画と思って観ていると飛び出てくるような感覚になったりすると思います。今まで培ってきた演出のすべてをこの作品で応用しています。まったく新しいものをつくろうと思いまして、お力をお借りしたおふたりにはかなり無理難題をお出ししました(笑)。アクションも尋常じゃないくらいやっていただいています。ぜひ皆さんに観ていただきたいです」と期待感を高めた。

登壇したふたりのキャストについて聞かれた本広は「すごく人気の俳優さんたちと聞いていたので、嫌なヤツなのかなとぶっちゃけ思っていたんですよ(笑)」と激白。
和田が「人気者は嫌なヤツなんですか!?」と冗談交じりにツッコみを入れると、本広は「自分を持っている方が多いというか……」と慌てて訂正しつつ、「でも、ふたりは“真っ白”で来てくれました。言うこと全部やってくれるんですよ! 鈴木拡樹くんは最初、合流前に出演していた舞台「どろろ」の百鬼丸が残っていたけど(笑)、どんどん九泉の顔になっていって。やっぱり演劇は面白いな~と思いました」とコメント。

それに対して鈴木は「本広さんがどういう方なのかとても気になっていたので、真っ白な気持ちでいこうというのはテーマでした」とはにかみ。和田も「ものづくりをしている、という感じで稽古場がとても楽しかったです。本広さんは役者の意見にしっかり耳を傾けてくださり、僕らに挑戦をする環境を与えてくれる方でした。なおかつご自分の世界もしっかりお持ちなので、それをすり合わせていく作業はすごく楽しいことでした」と稽古期間を振り返った。

ちなみに和田は「実は稽古初日を間違えて早く稽古場に行ってしまい……。ミーティングをされていたスタッフさんたちに“あれ? コイツなんで来た?”って顔をされるというスタートでした(笑)」というエピソードも披露。
本広は「あのときに来てくれて“嘉納ってこういうキャラなんだ!”って思えた。ちょっと(脚本に)影響しましたよ」とフォローしつつ、「真っ白なキャンパスに絵を描くような作業でした。すごく楽しかった。おふたりの力だと思います。本当に楽しくて……これは、続編あるんじゃないかな?」と役者たちへの信頼を語り、さらなる展望を見せた。

観客に向け、鈴木は「「PSYCHO-PASS サイコパス」という世界観の大きさを、出演する僕たちもあらためて感じております。舞台版に登場するキャラクターは、どの原作にも出ていません。2.5次元と言いますと、もともと原作があって、なんとなくストーリーを知っている方も多いと思うのですが、この作品に関しては、まっさらな状態で観ていただけると思います。新たな可能性を秘めた「PSYCHO-PASS サイコパス」を、たくさんの方に楽しんでいただけたらなと思います」とメッセージ。

そして作品の設定が、ストレスがかからないように生活することが大事な近未来の社会であることを踏まえて「皆さんに最後まで観てもらえることが、僕らの“メンタルケア”になると思います(笑)」と、プレッシャーを明かしつつもユーモアを交え、会場から笑いを起こしていた。

アクションシーン、人物像、テーマ。すべてに見応えがある舞台

この後は詳細なあらすじを含むゲネプロレポートをお届けする。

物語の舞台は近未来。人間のあらゆる心理状態や性格傾向を数値化し計測する包括的障害福祉支援システム「シビュラシステム」が導入された日本。人々はこの数値を通称「サイコパス(PSYCHO-PASS)」と呼び、理想的な人生を送るため、その値を指標として生きていた。

サイコパスの表層的なバロメーターは「色相(しきそう)」と呼ばれ、心理状態が悪化すれば濁ってしまう。そして犯罪に関しての数値は「犯罪係数」として計測。その規定値を超えれば罪を犯していなくとも「潜在犯」とされ、社会から隔離されて治療、あるいは排除の対象とされる……。

舞台の導入部には、ヴォイスキャストとしてアニメ作品「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズの常守朱(花澤香菜)、禾生壌宗(榊原良子)が登場。初めて「PSYCHO-PASS サイコパス」を知る人には世界観の説明を、同シリーズファンの人には同世界にやってきたのだという気持ちを与えてくれる。

また、アニメシリーズ、劇場版に続き、凛として時雨が舞台主題歌楽曲「laser beamer」を書き下ろしているほか、「ドミーネーター」と呼ばれる公安局刑事課の者たちのみに使用が許されている大型拳銃状装置の音声もアニメと同じく日高のり子が務めている。舞台に登場するキャラクターたちも「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズの世界線に存在しているということが、より一層感じられる仕組みだ。

公安局局長・禾生(かせい)からの命により、公安局刑事課三係に未解決の連続殺人事件が引き継がれる。被害者の遺体は18ものパーツに細かく切断、そのひとつひとつにナンバリングが施され、繁華街の路地裏など4箇所に派手に飾り付けられるという、いずれも同じ手口で犯行が繰り返されていた。

犯罪を目の当たりにすることは、市民の心理状態にとって命取り。三係に所属する監視官の九泉晴人(くせんはると)は、同じ三係に所属する監視官・嘉納火炉(かのうひろ)や、犯罪係数が高い「潜在犯」ゆえ、捜査に役立つとされて職務に付いた執行官たちと、早急に捜査を進める。

だが事件を探る最中に、街中にバラバラ死体がばら撒かれるという、市民の色相悪化を狙った「サイコハザード」が発生。 「ヒューマニスト」と名乗る武力闘争組織がテロの犯行声明を上げ、シビュラシステムには重大な欠陥があると批判、さらに大きな事件を予告する。事態が急を告げる一方、公安局内部に裏切り者の存在が浮かび上がる──。

舞台装置は3階建て。後ろが透過するように組まれたセットのスペースは、時に分析官が仕事をする分析室となり、武力闘争組織「ヒューマニスト」のアジトにもなる。
舞台の中央はライブハウスや「廃棄地区」としてアクションの見せ場となる場合もあるが、可動式装置が中央にせり出してくると、その中は公安局刑事課三係のオフィスに一変する。
空間が様々な場所に変化していくのは、舞台ではごく当たり前のことではあるが、ステージのあちらこちらに設置されたカメラから、映像をリアルタイムでスクリーンに投影する演出が入る。通常の舞台では見られないような角度から登場人物たちの表情を覗ける場面が挿入されることによって、舞台の範囲と世界観が一気に広がったように感じられた。

3階建ての装置という高さ・可動式装置という横と奥行き、そして映像のカメラアングルによって死角ナシのシーンが展開されていく。アクションシーンも様々な場所で繰り広げられ、生々しい迫力を感じるすさまじいものに仕上がっている。

レイドジャケットにあしらわれているロゴや、ドミネーターが青く光り変形していく様子などもアニメのビジュアルそのままといった感触があり、シリーズファンを「コレコレ!」といった気分にさせてくれそうだ。
それと同時に、シリーズ未見の人にとっても細身のスーツ姿でアクションを繰り広げる男たちのカッコよさ、気だるげにタバコを吹かす様には、高まるものがあるのではないだろうか。

スーツ、喫煙、銃、アクション。ハードボイルドな男たちの姿は、生身の人間が肉付けして息づかせることによって、観る側に親近感と愛着を芽生えさせてくれるキャラクターとして立ち上っていく。

監視官の九泉晴人と嘉納火炉は、冒頭の捜査活動から性格が出ている。それでいて単に「○○なヤツ」とひと括りにできない“人間性”がにじみ出るあたりに、演じている鈴木拡樹と和田琢磨のフラットな構え方が活きている。
クライマックスに向かうシーンでは秘めていた心情をこぼし、観ているこちらが苦しくなるような表情を浮かべる様に、舞台の醍醐味があった。

監視官と共に事件に立ち向かう執行官もクセモノ揃い。それぞれにキャラクターが立っており、最初の言動ですぐに各人物を把握できるためストレスがない。

カッコつけたがりの井口匡一郎(いぐちきょういちろう / 演者:中村靖日)に白い目を向けるのは、周囲からオタク呼びされることを否定しつつも、端々からその傾向が見られる蘭具雪也(らんぐゆきや / 演者:多和田任益)。
外に出たがる相田康生(あいだこうせい / 演者:小澤雄太)と、筋トレに余念のない大城奏人(おおしろかなと / 演者:池田純矢)は、はしゃぎ過ぎて嘉納に首根っこを捕まえられる。
三係をサポートする分析官・目白一歩(めじろはじめ)役を演じる山崎銀之丞は、流石の貫禄と存在感だ。

特に前半で三係が集まって、何気ない会話を繰り広げているシーンは、彼らの日常と長い付き合いが至っていることが自然に伝わってくる。それも、ただ“わちゃわちゃ”としているように見えて、後半につれて明かされていく過去や関係に触れたときに「ああ!」と思い起こさせるような緻密な動きや納得のやりとりをしているあたり、布陣の安定感をあらためて感じた。

さらに“チーム感”としてのまとまりだけでなく、共に行動する組み合わせによって三係メンバーの内面や性格が別角度から浮かび上がることにも注目したい。最初にキャラクターを掴めるからこそ、その後のシーンで奥行きを感じられる。
人間、大人数でいるときと、誰かと1対1で向き合っているときに見せる顔は違うことも多いだろう。性格を薄っぺらく表面上で均さずに、生身であれば“当然”である性格の“ブレ”を活かしていることが、各人物の“人間性”を深めている。

そしてそれは、公安局刑事課と対立するテロ組織「ヒューマニスト」のリーダー、高橋光臣演じる三島慎吾(みしましんご)と、町井祥真が演じる後藤田希世(ごどうだきよ)とは対極のように見えるが、「ヒューマニスト」の主張は実に人間くさくもあり、“人間性”を突き詰めていくと、この物語の主題に行き着く。

そのあたりは、三係も捜査の中で遭遇する「中国語の部屋」がキーワード。哲学的、思想的な要素も「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズの魅力のひとつ。難解な部分は舞台で彼らも悩み、解説をしてくれるため、一緒に進んでいけるだろう。

ストーリー展開はネタバレとなるため明かさないが、アクションシーン、人物像、テーマ。すべてに見応えがある舞台。同じ空間で他者と刺激を共有しながらも、それぞれに何かを思うことができる、演劇の良さが詰まっている。
魅力的なキャラクターが、重厚な世界観の中で足掻き、何かを見出す瞬間を食い入るように見つめられる。そんな貴重な時間が待っている。

東京公演は4月30日(火・祝)まで日本青年館ホールにて上演。大阪公演は5月3日(金・祝)から5月6日(月・祝)まで森ノ宮ピロティホールにて上演される。
大千秋楽となる5月6日(月・祝)の夜公演は、全国62ヶ所の映画館でライブビューイングが行われることが決定。本広監督がライブビューイングに向けてもこだわったという演出は、映画館での鑑賞ならではの見どころも見つかりそうだ。

「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」

東京公演:2019年4月18日(木)〜4月30日(火・休)日本青年館ホール
大阪公演:2019年5月3日(金・祝)〜5月6日(月・休)森ノ宮ピロティホール

STORY
公安局刑事課三係に所属する監視官の九泉晴人(くせんはると)は、公安局局長・禾生(かせい)からの命で連続殺人事件を捜査することになる。遺体は18ものパーツに細かく切断、そのひとつひとつにナンバリングがされていた。そして、繁華街の路地裏、四箇所に派手に飾り付けるという、いずれも同じ手口で犯行が繰り返されていた。
「どうしてバラバラにしたのか、どうして四箇所に死体をばら撒いたのか、ナンバーを付けた理由は何か」九泉は同じ三係に所属する監視官・嘉納火炉(かのうひろ)や執行官たちと、捜査を進める。被害者の身元を調べていくうち、「中国語の部屋」と名付けられた、とある装置が事件に関わりがあることに辿り着く。
その矢先、街中にバラバラ死体がばら撒かれるという、市民の色相悪化を狙ったサイコハザードが発生。「ヒューマニスト」と名乗る武力闘争組織がテロの犯行声明を上げ、シビュラシステムには重大な欠陥があると批判、さらに大きな事件を予告する。そして、捜査を進める中、公安局内部に裏切り者の存在が浮かび上がる。事件の鍵を握る「中国語の部屋」とは、ヒューマニストの狙いとは、そして、“裏切り者”は誰なのか──。

演出:本広克行
脚本:深見 真
ストーリー監修:Production I.G
制作:ソニー・ミュージックエンタテインメント、ポリゴンマジック
主催:舞台「サイコパス」製作委員会

出演:
九泉晴人 役:鈴木拡樹

嘉納火炉 役:和田琢磨
井口匡一郎 役:中村靖日
蘭具雪也 役:多和田任益
相田康生 役:小澤雄太
後藤田希世:町井祥真

大城奏人:池田純矢
三島慎吾:高橋光臣
目白一歩 役:山崎銀之丞

アンサンブル
瀬尾タクヤ、藤代太一、大曽根敬大、松井友作、春山 翔、岩崎 真、田中 慶、町田尚規、尾尻征大、田中 亮、松岡拓弥、轟 大輝

オフィシャルサイト
Twitter(@psychopassstage)

©サイコパス製作委員会
©舞台「サイコパス」製作委員会


「舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice」全国62ヶ所の映画館にてライブビューイング決定!

大千秋楽にあたる、5月6日(月・休)の大阪・森ノ宮ピロティホール公演のライブビューイングが決定した。上映館やチケット料金などの詳細はこちらのサイトにて。