TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』1年6か月の記憶  vol. 4

Interview

新章突入でこれからどうなる!? TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』新監督が語った新体制─“新”づくしロングインタビュー!

新章突入でこれからどうなる!? TVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』新監督が語った新体制─“新”づくしロングインタビュー!

2018年1月より放送をスタートしたTVアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン』。低年齢向けロボットアニメのスタイルでありながら、大人もどんどん巻き込み人気を集める作品として当サイトでもたびたび紹介しているが、その人気ゆえにTV放送も異例の長期化。多くの視聴者の予想を覆し2年目に突入、現在は6クール目が放送中だ。

ストーリーが新展開を迎えた2019年4月(第65話~)からは、これまで監督をつとめてきた池添隆博が“総監督”に昇格するなど、制作体制の刷新も注目されている。同時に、新たに“監督”としてクレジットされたのは板井寛樹。劇場作品『モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ』、TVアニメとしては『牙狼』(GARO)シリーズ、『約束のネバーランド』のメインスタッフとしても活躍する人物で、『シンカリオン』は事実上のアニメ監督デビュー作となる。

今回はそんな板井新監督に、未知の部分が多い4月からの作品展開や、制作陣の新体制で変わるところ・変わらないところについてインタビュー。「取材を受けるのは今回が初めて」と初々しい様子を見せつつも、制作現場のスタッフに、そして『シンカリオン』ファンに愛で応えたいという決意を語ってくれた。

取材・文 / 柳 雄大


なぜここまで支持されるのか。新監督が分析する『シンカリオン』の魅力

監督としては今回の『シンカリオン』が初めての作品になるそうですね。

タイミング的には初、という形になりますね。アニメーターとして業界に入り、ここ2~3年あたりで演出っていう仕事もやり始めて、ちょうど去年~今年ぐらいから「監督やりませんか」っていうお話をいただけるようになって。結果的に『シンカリオン』がその最初の作品になりました。

アニメーターからのキャリアでいうと、どのぐらいやってらっしゃるんですか?

業界に入って今年で10年ぐらいになると思います。最初は制作の下請け会社からスタートして、いろんな会社の仕事を雑多にとって、食いつないでいくような仕事のスタンスだったんですけど。5~6年前ぐらいからはA-1 Pictures(アニメーション制作会社)のほうにメインの席を置かせてもらいつつ、時期ごとに作品のローテ(ローテーション)にしっかり入るっていうスタイルになりました。

これまでに板井さんと池添監督の間で関わりはあったんでしょうか。

実は、池添監督とはいっさい面識がなかったんです。スタッフを集めているのは制作会社のプロデューサーということが多くて、今回もSynergySP(第53話以降のアニメーション制作協力会社)のプロデューサーさんが以前A-1 Picturesにいらしたときの知り合いという縁で呼んでいただきました。だから池添監督もそうですが、会社としてはSynergySPさんとも実は今回初めて一緒にお仕事をさせていただいています。

板井さんが助監督として『シンカリオン』のスタッフクレジットに初めて登場したのは、今年の頭の「Suicaのペンギン」初登場回でしたね。

はい、第53話(2019年1月12日放送)からでした。

53話からというと、参加は本当に最近からですね。今回のお仕事でお声がかかる以前、ご自身の関わりがない段階での『シンカリオン』が長期間あったと思うのですが。 それはどうご覧になっていましたか?

そうですね。客観的に『シンカリオン』を観たときに、すごくよくできた型、フォーマットをとられていると感じていました。

まずはドラマがちゃんとしつつ、メインのストーリーがおもしろい。さらにキャラクターの個性が豊かで、キャラを楽しむアニメとしても成立していて。さらに鉄道的な雑学もおもしろいですし、特にストーリー前半では小学生の習う科学や地理をヒントに敵を倒すっていう……日常パートの謎かけが、戦闘パートでの答えになっていたり。新幹線で移動するから、やっぱり色んな場所が出てくるし、旅番組的な要素もある。「あ、人気の出る作品ってこうやって何段構えにも魅力を詰め込んでいるんだな」と思いました。

いろいろ詰め込むと、結果的にワケがわからなくなりやすいと思うんですけど、『シンカリオン』ではそれがすごくバランスよく成立していて。

よくできていますよね。

商業作品として、他のタイトルよりもシナリオの段階でかなりレベルが高いと思うんですよ。自分の参加が決まって、初めてシナリオ打ち(合わせ)に参加させていただいたときはけっこう衝撃でした。このクオリティの高いものができるまでに、池添監督や下山さん(下山健人。『シンカリオン』シリーズ構成を手がける脚本家)、那須田さん(那須田淳。TBS所属のプロデューサー)や各会社のプロデューサーさんとみんなで作り上げていく過程があったんだ! って。TBSさんで打ち合わせしていると「あ、頭のいい大人がめっちゃいる(笑)!」と思いますし。

同席者一同 (笑)

普段の現場ではアニメーターとか……絵が好きで、ひたすら絵を描いてきた人が集まった場所で仕事しているので。「絵が上手い」っていう尊敬の仕方はいっぱいできていたんですけど。シナリオ会議に行かせてもらったときに、本当にすごい世界があるなと思ってしまって。

すごくフレッシュな感覚ですね(笑)。そういうシナリオ会議の現場にいらっしゃること自体は過去にありましたか?

アニメーター出身で現場をやっていくと、監督とか助監督にならないと、シナリオの現場に行く機会ってなかなかないので。自分も、シナリオ打ちにしっかり同席させていただくというのは初めてだったんです。それもあって、かなりの衝撃でしたね。

確かに、一発目がこの作品だと、ギャップは大きかったんじゃないかと想像します。

はい。びっくりしましたよ。関わる人の数も多いですし。

僕もシナリオ会議を拝見したことはないですが、どんな場なんでしょう? 下山さんのシナリオ原稿がみなさんの手元にあって、あれこれ意見を言うというような感じですか。その場には何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか。

10人以上はいます。まあ、シナリオを見ながらの「案出し」の場ですよね。そこでシナリオを読んだとき、自分なんかだと「あっ!メッチャおもしろい」「すごい……!」で終わってしまうんですが(笑)。そこに池添監督とか、那須田さんとか、山野井さん(山野井創。『シンカリオン』のアニメーションプロデューサー)だったりが、「ココってどうなってんスか?」「これって成立してます?」とか、ハイレベルな突っ込みを入れてくる。

そこにグイグイ入っていくっていうのは大変ですね。

大変ですね。ただ逆に自分も成長できる現場だと思ったので、いろいろトンチンカンなことも言っているんだろうなーと思いつつ(笑)、なるべくがんばって発言するようにはしていますね。

『エヴァ』を観て育って『シンカリオン』に出会う、意外なめぐり合わせ

板井さんのプロフィールにあたることも少しお伺いさせてください。ご自身の世代だと、アニメなどはどんなものを通ってきましたか?

これはよく脚本家の下山さんや池添監督にも突っ込まれるんですが、意外と王道を通ってきてなくて。ロボットアニメでも「ガンダム」をそんなに知らなかったり。幼い頃は『ドラゴンボール』とかを観ていましたが……そのあと、思春期は『エヴァ』(『新世紀エヴァンゲリオン』)がありましたね。アニメでいうと『エヴァ』にはやっぱり影響受けている世代だと思います。

おぉ! ちなみに、何年生まれですか?

1985年なので。昭和60年ですね。

あ、そうすると僕と同世代ですね。『エヴァ』はわりと直撃だと思うんですが、リアルタイムで観ていましたか?

深夜にやっていた再放送ですね。小学校のときに、周りのちょっとマセた友だちが、『エヴァ』って知ってる? とか話すようになったところから知って。大人なアニメだなぁ……と思いながら観てましたね。でも、『エヴァ』が終わったあとはあんまりアニメに興味がなくなってしまって。

なるほど。そこから将来のアニメーターのお仕事につながる過程が気になりますね。

自分は美術の先生になりたくて、美術の大学に行ったんですよ。そうして教員免許も取って、教育実習とかをやっているときに……「最近の子どもの気持ちを理解するのって難しいな」と思ってしまいまして(笑)。ちょっと教員は向いてないかもと思うようになり、あとは絵が描けて食べていける仕事ってなんだろう? と、自分の実力を考えたときに、アニメーターならギリギリ職業として成立するかも、と思い立って、キャリアを積んできた感じです。それで結果的に今キッズアニメのお仕事をやっているから、何があるかわからないものだなと思いますけど(笑)。

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