冒険Bリーグ  vol. 20

Column

「自力」残留へ。北海道の命運はNBAを知る経験豊富なビッグマン、バイロン・ミュレンズに託された

「自力」残留へ。北海道の命運はNBAを知る経験豊富なビッグマン、バイロン・ミュレンズに託された

『冒険Bリーグ』第20回は、レバンガ北海道(以下、北海道)のバイロン・ミュレンズを取り上げる。60試合で10勝しかできず、B1残留のピンチに陥ったチームの中で、ニュレンズの復調は明るい材料だ。NBA経験を持つ212センチのビッグマンは、残留に向けたチームの「切り札」となるだろう。

4月21日、Bリーグのレギュラーシーズンは全試合が終了した。勝者がいれば敗者もいる――。それはスポーツの定めだ。北海道は10勝50敗で今シーズンを終えた。リーグ18チームの中でも最低の勝率で、連敗を「22」と続けたまま戦いを締めざるを得なかった。

ただし苦しい状況の中で、リーグ最終節(第31節)、アルバルク東京(以下、A東京)との連戦には残留に向けた「切り札」が戻ってきた。ミュレンズは昨年12月末に加入したビッグマン。2009年のNBAドラフトでは1巡目の指名を受け、オクラホマシティ・サンダーでスタートしたNBAのキャリアを通算189試合まで伸ばしている。

30歳の彼は212センチ・120キロのサイズに加えて、ハンドリングやドライブなどのスキルも兼ね備えている。ポストプレーも強力で、長い腕としなやかなハンドリングを生かしたフックシュートのレンジも長い。加えてリバウンドの強さはBリーグのトップクラスと言えるだろう。今季は18試合の出場に留まっているが、1試合平均20.8得点、10.1リバウンドと結果も残している。

一方で彼が本来の実力を発揮したとまでは言い難い。今季はコンディション不良による欠場期間があり、Bリーグのジャッジやスタイルへの適応にも苦しんだ。4月20日のA東京戦は、24日ぶりの実戦だった。そこでミュレンズは39得点・14リバウンドを挙げ、昨季のB1王者に対して一歩も引かないプレーを見せた。翌21日は相手の警戒も強まっている中で、19得点・10リバウンドを記録している。

【B1ハイライト】04/21 A東京 vs 北海道(18-19 B1第36節)

内海知秀ヘッドコーチは84-96の敗戦で終わった20日の試合後に、こう述べていた。
「(ミュレンズは)コンディション的にここ数試合あまり良くなかったけれど、ようやく戻ってきた。久しぶりのゲームだったので、どこまでできるか少し不安はあった。でもふたを開けてみたら39点。それがいいゲームのできた一つの要因です」

北海道には在籍2季目を迎えるマーク・トラソリーニもいて、彼もまた高いスキルを持つプレイヤーだ。しかしミュレンズ、トラソリーニはともに「4番(パワーフォワード)タイプ」で重なる部分もある。20日のA東京戦は純センタータイプのデイビッド・ドブラスが出場停止の中で、同タイプの二人が共存していたことは明るい材料だった。

ミュレンズは自身の現状をこう説明する。
「3ポイントや、ローポストでボールをもらうプレーだけでなく、自分の得意なドライブから相手を抜いて点を狙うプレーもできるようになってきた。日本のスタイル、日本のスピードには慣れてきたと思う」

リーグ戦は悔しい終わり方になったが、北海道には残留プレーオフという「大一番」が待っている。今季はライジングゼファー福岡のB1ライセンス喪失や、B2上位クラブのB1ライセンス不交付があり、残留の「枠」が広がった。それはチームにとって不幸中の幸いといえるだろう。

北海道は4月26日(金)と27日(土)に横浜ビー・コルセアーズとトッケイセキュリティ平塚総合体育館でB1残留プレーオフを戦い、これを制すれば残留が確定する。そこで敗れてもB2プレーオフの結果次第では自動残留、もしくは入替戦の可能性があるのだが、やはり「自力」で運命を拓きたい。

ミュレンズは悲観的な様子を見せず、こう口にしていた。
「連敗に関しては、カギとなる選手のケガも影響していた。連敗という過去は変えられないけれど、残留プレーオフでチームができることをしっかりやるという気持ちでいます。残留プレーオフは横浜も北海道も0勝0敗からのスタート。今シーズンの成績は関係ない。そこでどっちが勝てるかです」

強敵がそろう東地区の中で北海道は連敗を続けたが、極端な「大崩れ」を起こしていたわけではない。そしてまだチャンスは残っている。ミュレンズの自信、経験はきっとチームの助けとなるだろう。

取材・文 / 大島和人 写真提供 / B.LEAGUE

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著者プロフィール:大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。大学在学中にテレビ局の海外スポーツのリサーチャーとして報道の現場に足を踏み入れ、アメリカの四大スポーツに接していた。損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年から「球技ライター」として取材活動を開始。バスケの取材は2014年からと新参だが、試合はもちろんリーグの運営、クラブ経営といったディープな取材から、ファン目線のライトなネタまで、幅広い取材活動を行っている。

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