esゲーム記事執筆陣が令和にも伝えたい【平成ベストゲーム3選】  vol. 7

Review

社会現象と新ジャンルと名作で振り返るアーケードゲーム3選

社会現象と新ジャンルと名作で振り返るアーケードゲーム3選

30年続いた平成が令和に切り替わる。平成を振り返れば、メガドライブやスーパーファミコンといった16ビット機が誕生し、3Dポリゴンの採用によって表現力が一段と増したPlayStation®やセガサターンを経て、ゲームのグラフィックはきめ細やかなドットからリアルな質感に迫ったポリゴン・CGの過渡期と突入していった。
家庭用ハードが進化するなか、最新技術が惜しげもなく詰め込まれたアーケードゲームも次々と登場した。自宅では決して味わえないゲームを体験できるゲームセンターという空間は興奮の場であり、そして憧れの空間だった。しかし、日進月歩で発達するテクノロジーによって、アーケードゲームとは雲泥の差だった家庭用ハードのスペック差は徐々に埋まり、ドリームキャストやPlayStation®2が発売される頃には、ゲームセンターでの興奮もあまり覚えなくなっていた。それどころか、現在に至っては家庭用ハードやゲーミングPCのほうがアーケードゲームよりも高性能になってしまったという逆転に、どこか寂しさすらも感じている。
とはいえ、1990年代のゲームセンターという空間のなかで見てきたもの、そして遊んできたアーケードゲームの数々には、いまでも記憶に根深く残っているものも多い。故・小渕恵三氏が官房長官時代に公表した“平成”の元年に産声をあげ、物心ついたときからゲームを遊び、ゲームの進化とともに育ってきた筆者の30年のなかで強く衝撃を受けたもの、未だに心をつかんで離さないものなど、3つのアーケードゲームを本記事でピックアップしてご紹介しよう。

文 / クドータクヤ

[取材・執筆記事]

『ダライアス コズミックコレクション』で振り返るシリーズの功績

『ダライアス コズミックコレクション』で振り返るシリーズの功績

2019.03.19


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1.“上手い=カッコいい”というヒロイックな構図に昇華『バーチャファイター2』

セガ・インタラクティブ / アーケード / 対戦格闘 /1994年(平成6年)

『バーチャファイター2』製品情報

1993年にセガからリリースされた世界初の3D対戦格闘ゲーム『バーチャファイター』から約1年後、最新の3DCGボード・MODEL2で登場した『バーチャファイター2』は、まさしく正統進化を遂げた続編と呼ぶにふさわしい出来栄えだった。レバー+パンチ、キック、ガードというシンプルな操作方法は引き継ぎつつ、カクカクとしたポリゴンで描画されたキャラクターはテクスチャーマッピングによって見違えるほどに美麗になり、秒間30フレームから57.5フレームに増加したフレームレートはクイックな入力感覚とスピーディなキャラクターモーションを実現。 各ゲーム専門誌ではキャラクターごとの立ち回りといった攻略法や全国のゲームセンターにおけるレポートなどの特集が毎週・毎月のように組まれるだけではなく、“鉄人”と称されたスタープレイヤーたちが週刊誌やテレビのバラエティ番組に呼ばれるなど、社会現象を巻き起こすほどの大ブームとなった。

▲八極拳、酔拳、ジークンドー、プロレスなど、実在する武術や格闘技をモチーフとしており、飛び道具が一切ないという点でリアリティのある試合を展開

▲投げ技もキャラクターごとに違うのが特徴的で、プロレスラーのウルフはジャイアントスイングを使用。相手キャラクターの足を掴んだ瞬間、ギャラリーがワッと沸き立つのは、さながらプロレスの試合を見ているような光景だった

eスポーツという文化がゲームメディア以外にも広く取り上げられたことで、プロゲーマーという職種や人物にスポットライトが当てられることが多くなった昨今。対戦格闘ゲームやFPSというジャンルで活躍する彼らに憧れの眼差しを向けている人も少なくないと思うが、ファミリーコンピュータ全盛期には高橋名人というヒーローがいたように、筆者にとっての憧れは、新宿ジャッキー、池袋サラ、キャサ夫、ブンブン丸といった鉄人たちだった。
ゲーム好きである伯父に手を引かれて通ったゲームセンターでの盛り上がりは、当時4、5歳の目から見ても異様であったことをよく覚えている。学生服の中高生、スーツを着崩したサラリーマン、スカジャン・革ジャン姿のヤンキー――ベルトアクションゲームや縦・横スクロール型シューティングゲームが上手な“お兄さん”たちだけではなく、年齢も職業もライフスタイルさえも違う彼らが群をなして『バーチャファイター2』の筐体をぐるりと囲み、29インチのブラウン管に映るキャラクターの攻防に「ハイ、ハイ!」、「ウォイ!」と声をあげる光景におっかなびっくりしつつ、それまではゲーム専門誌でしか目にしていなかったシーンに触れたことで、「いつかあのなかに混ざってみたい」という思いがパッと芽生えたのは必然だったのかもしれない。ただ、その群衆のなかに入れるわけもなく、『バーチャファイター2』をこの手でプレイするにはセガサターンへの移植版が発売されるまで待たなければならなかったことに加え、未就学児が操作するジャッキーはサマーソルトキック(左斜め上+キック)を決めることなく後方へと高くジャンプするばかりだった……。

▲投げ技と同様、いわゆる決め技もキャラクターごとに用意されており、 “シュッ、スパーン!”と軽快に動くジャッキーのサマーソルトキックが決まったときの気持ちよさはひとしお

『バーチャファイター』シリーズは、3Dシューティングゲーム『スペースハリアー』やドライブゲーム『アウトラン』といった体感ゲームを手がけた鈴木裕氏によるもので、“操作に応じて筐体が左右に動くことでの仮想体験とアトラクション性による高い注目度”というアプローチから、“キャラクターを意のままに操り、強ければ誰もが脚光を浴びられる”という演出にしたことで、固定概念のゲーマー像を取っ払ったからこそ、さまざまな人たちがこのゲームにのめり込めたのではないだろうか。
2010年にリリースされた『バーチャファイター5 ファイナルショーダウン』が現時点までの最新作であり、毎年夏にラスベガスで開催される世界最大規模の対戦格闘ゲーム大会である”EVO(Evolution Championship Series)“のメインカードとして選ばれている『ストリートファイター』シリーズや『鉄拳』シリーズとは大きく距離を離されてしまった印象は否めない。だが、いつの日か『バーチャファイター6』が登場することへの期待を未だに拭うことができないのは、『バーチャ』シーンの特異な熱量を浴びた筆者にとって、憧れを抱いていた”カッコいいお兄さんたち”が再来してくれるのではないかという思いの現れなのかもしれない。

©SEGA


2.ダンスミュージックとゲームの融合で新ジャンルを築いた『beatmania』

KONAMI / アーケード / 音楽ゲーム / 1997年(平成9年)

『beatmania』オフィシャルサイト

“遊んでいるプレイヤーを主役にするゲーム”といえば『beatmania』の紹介を欠かすことはできない。筐体に組み込まれている大型スピーカーから鳴り響くダンスミュージックに合わせ、画面内を下降してくるノーツに応じた白・黒の鍵盤とターンテーブルを操作して曲を演奏するというルールと、クラブのフロアを沸かすDJを疑似体験できるというシステムは、それまでのアクションゲームやシューティングゲームとまったく異なる遊びかたをプレイヤーに提供した。

▲筐体の側面にデザインされているスプレーアートも、都会のストリートっぽさを際立たせるかっこよさがあった

それゆえ、「これはヒットする」と確信を持つオペレーター(ゲームセンター)もいれば、あるゲーム専門誌の編集者が評した「叩く順番が決まったモグラたたき」という酷評と同じく否定的な意見を持つオペレーターもおり、業界は真っ二つに分かれていた。しかし、いざ蓋を開けてみれば既存のゲーマーだけではなく、ライトユーザーも取り入れることに成功し、音楽ゲームという新たな風穴となるジャンルを確立。現在でも『beatmania』の後継作である『beatmania IIDX』や『DanceDanceRevolution』を筆頭に、ゲームセンターの主軸ジャンルとなっている。当時小学生だった筆者にとって、『beatmania』の筐体から大音量で流れてくる音楽は“なんかオシャレでかっこいい”ものばかりで、鍵盤やスクラッチをミスなく操作するプレイヤーたちを尊敬しつつ、いざプレイ待ちの列に並んだときはいつも「ミスばっかりしたらどうしよう……」と緊張していたことを思い出す。だが、その緊張感を凌駕するほど、自分のアクションがリアルタイムで音楽に反映されるのが気持ちよく、叩く順番が決まっているといえども「次はもっと正確に鍵盤を押してみよう」というモチベーションの向上に繋がった。

▲CLUB SAGAWAの飛び入りDJとして、曲を上手に流してフロアの客を沸かせるというのが1作目のコンセプト。ターンテーブルでスクラッチを決めるDJ BATTLEを先輩DJから叩きつけられるという演出も懐かしい

▲モニターの中央に映し出されるビジュアルデザインも秀逸で、DJをしているかのような没入感をさらに高めてくれた

いつからか音楽ゲームは、演奏の疑似体験から“音楽に合わせてボタンを叩くリズムゲーム”になってしまったが、音楽とアクションがもたらす一体感はやはり気持ちがよく、現在でも『beatmania』を稼働させているゲームセンターで遊ぶとあのときと同じ高揚感がリフレインし、懐かしさよりも先に原点へ立ち返ることができる嬉しさが勝ってしまう。

©Konami Amusement


3.縦スクロールシューティングゲームの絶対的王者『雷電』シリーズ

セイブ開発 / アーケード / シューティング / 1990年(平成2年)

『雷電』製品情報

シューティングゲームの王者として君臨し続けるタイトルが筆者のなかにひとつある。それこそが、1990年、2000年、2010年という平成の各時代で途絶えずにリリースされているセイブ開発の『雷電』シリーズである。これだけ息の長いタイトルだけに、幼少期から現在に至るまで、 ゲームセンターで“見ない日はない”といっても過言ではないぐらいにロングランで愛されており、そして王者としての雰囲気を放っている。
1990年にリリースされた『雷電』は、バリバリとショットを撃って敵機を撃破する爽快感と巨大なボスと対峙する緊張感という、シューティングゲームのキモをしっかりと押さえているが、ステージの道中における敵配置が非常に丁寧であることを評価点として挙げたい。たとえば、撃ち倒してくれと言わんばかりに小型機が飛来したかと思えば、画面外から不意に登場する戦車の餌食になり、そして次プレイでは「ここでやられたから気をつけよう」という対応策にすぐに気がつく。これにより序盤面でゲームオーバーになってしまう初心者でも、「あっという間に終わった」ではなく「1クレジットでこれだけ楽しめた」という満足感を得ることができた。また、プレイを重ねれば重ねるほど、自分の上達が目に見えてわかりやすいというのもポイント。

▲飛来してくる小型機の数やそこそこの連射でも撃破できる中型機が登場するタイミングなど、ひとつひとつのファクターがしっかりと考えられており、パターンの応用ではなくアドリブプレイでも十分に楽しめるとっつきやすさだ

3年後には『雷電II』がリリースされ、前作以上の芸術的なドットグラフィックと、撃破した敵機が地形に墜落する際は爆発とともに焼け跡を残すといった演出を導入。また、戦場に飛び立つ勇ましさと、戦わなくてはならないという物悲しさを音楽で表現した作曲者・佐藤豪氏によるBGMも評価が高く、3DCGという装いでアーケードに復活した『雷電III』に続く『雷電IV』では、佐藤氏自らがアレンジした楽曲が収録されるというファン泣かせな要素も取り入れられた。

▲こちらは『雷電II』。倒した敵機はただ墜落するだけではなく、破片を撒き散らしながら降下していくという作りの細かさ。爆発のグラフィックひとつとっても、ボカーンという連鎖も爽快感の後押しとなっている

シンプルでありながらもプレイするほど奥が深く、飽きずに遊んでいられるのが『雷電』シリーズの醍醐味であるが、Xbox OneとPlayStation®4で発売された『雷電V』は、家庭用機ならではの要素としてストーリーモードを導入し、一本道だったステージに分岐を取り入れるなど、『雷電IV』までの実直な“雷電らしさ”にあえて手を入れるという意欲的なタイトルとなった。変わらずにあり続ける大事さと、時代に合わせて変化する柔軟性を紙一重で実現したが、淘汰してしまっては元も子もない。はたして令和ではどんな『雷電』に触れることができるのだろうか? ファンとしてはやはりアーケードにカムバックしてほしいところではあるが、どのような形であれ新たな『雷電』が出撃することを心待ちにしたい。

©1990 SEIBU KAIHATSU INC. ALL RIGHTS RESERVED.


ゲームが目まぐるしく進化を遂げるなかで、成長してきた筆者の30年。これまでに遊んできたアーケードゲームとゲームセンターで目にしてきた光景は、血肉となって今の自分を支えている。幼少期に憧れた“カッコいいお兄さん”になれたかどうかはわからないが、ジャッキーのサマーソルトキックはしっかりと決められるようにはなっている。1990年代に比べ、年間でリリースされる新作タイトルの数はめっきりと減少し、冒頭でも記したようにアーケードゲームと家庭用ハードのスペック差はほぼ埋まってしまったが、それでもやはりゲームセンターでしか遊べないものや、あの場でしか感じとれない空気感はあると信じている。学校や職場で嫌なことがあったときの駆け込み寺であり、自分が自分らしくいられる場所を守るために、明日もあさってもゲームセンターで遊んでこよう。


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