プレイバック・平成アニメの31年  vol. 6

Column

TOKYO MXとの衝撃的な出会いと伝説のライブの感動…平成27年(2015年)のアニメを超個人的に振り返る

TOKYO MXとの衝撃的な出会いと伝説のライブの感動…平成27年(2015年)のアニメを超個人的に振り返る

【シリーズ:平成アニメ“忘れられないあの年”】
終わりを迎える平成、そのアニメの31年間の中でも、本誌執筆陣にとって特に思い出深い1年を取り上げるコラム。今回はラグビーW杯、北陸新幹線(高崎駅-金沢駅間)開通で日本が沸き立った、平成27年(2015年)の作品とアニメ事情を振り返ります。

文 / 長田雄太

地方民が深夜アニメを観る難しさ

2015年のアニメを振り返る前に、誠に勝手ながら、まず筆者の学生時代について述べたいと思う。筆者が初めて深夜アニメを観たのは2009年。夜更かしをしていたとき偶然『化物語』の第1話が放送されたのが始まりだ。高校生の頃、民放が4つしかなかった地方民の筆者にとって、その偶然の出会いはまさに奇跡。TVアニメでありながら、TV画面に文字をこれでもかと観せてくる『化物語』の衝撃は、今でも忘れられない。

小学生に入る前から、父親(昭和41年生まれ)に『マジンガーZ』『ゲッターロボ』といったアニメを観せられ、知らぬ間に英才教育を受けていた筆者が、深夜アニメにドハマりするのに時間はかからなかったが、ここでひとつ問題が。それは高校時代の2009~11年、地元・長崎では多くの深夜アニメが放送すらなかったということだ。今でこそNetflixやAmazonプライム・ビデオなど、見放題配信サイトで当たり前のように今期のアニメを視聴することができるが、高校生の頃は深夜アニメをリアルタイムで観られることだけでも、限りない贅沢であった。

そして2015年。筆者にとって、この年は衝撃の連続だった。まず1月、大学がある松江(島根県)から地元・長崎へと帰省していたのだが、当時、我が家では毎クール数多くのアニメを放送しているBSチャンネル「BS11」が視聴可能に。そうとも知らず番組表を観た筆者は、『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース エジプト編』と『アイドルマスター シンデレラガールズ』が並んでいるのを発見し、我が目を疑った。高校時代になかなか思うようにアニメを観ることができなかった筆者にとって、長崎で注目作品を2作品続けざまに、しかもリアルタイムで観られるということが信じられなかったのだ。加えて、『アイドルマスター シンデレラガールズ』は深夜0時から始まるという粋な計らい。これには興奮せざるを得なかった。

しかも、「BS11」は大学時代に住んでいた松江のアパートでも観ることができたので、地方民としては感動の連続。放送日になると毎週のように友人と集まり、ダニエル・J・ダービーとのギャンブル勝負で「グッド!」を連呼し、担当アイドルの多田李衣菜が登場するたびに「やっぱ俺の担当は最高!」と子供のようにはしゃいでいたのは、いい思い出だ。

しかし、筆者はその後すぐに、BS11をはるかに凌駕する深夜アニメの放送局と出会うことになる……。

名作ぞろいの15年4月クールと「TOKYO MX」との出会い

4月、大学を卒業して上京した筆者に再び衝撃が走る。それは引っ越し作業を終え、TVを観ていたときだ。番組表にやたらと今期の新作アニメを放送している局があるではないか! しかも、それはケーブル局などではなく、地上波で観ることができる放送局。そう、「TOKYO MX」だ。

東京近辺にお住まいの方にとって、「TOKYO MX」でアニメがたくさん放送されているのは周知の事実だろう。筆者も、東京に行けば地方より容易にアニメを視聴できるだろうとは思っていた。しかし、恥ずかしながらその存在を知らなかった筆者は、「TOKYO MX」が放送するアニメの数に冗談抜きで度肝を抜かれた。東京にはこんな素晴らしい放送局があるのか。これが地方でも見ることができたら、いったいどれだけの人が救われるか……と。

また、2015年4月は『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』『アルスラーン戦記』など、放送開始直後から話題となり、今でも根強い人気を持つ作品が数多く放送された時期。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続』『ニセコイ:』『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』2ndシーズンなど、期待の人気作の続編がはじまったこともあり、「TOKYO MX」との出会いはまさに青天の霹靂であった。

現在、筆者はライターとして日々記事執筆に勤しんでいるが、今ではすっかり“帰宅するとTOKYO MXを確認する”というのが生活の一部になってしまっている。おそらく、このルーティンは今後も欠かすことなく行われるだろう。

『アイドルマスター シンデレラガールズ』で味わった人生初の“鳥肌モノ”

2015年の半年のうちに人生初の衝撃を2度味わった筆者だが、衝撃はまだまだ終わらない。3度目に味わったのは、7月より放送が始まった『アイドルマスター シンデレラガールズ』2ndシーズン最終話の直前、多くのプロデューサー(「アイドルマスター」シリーズのファン)が感動したであろう島村卯月のライブ(第24話)だ。

2ndシーズンでは今までの雰囲気とは打って変わり、アイドル部門を統括する常務のひと声であらゆるプロジェクトが白紙に。「シンデレラプロジェクト」に所属していた卯月たちも、そのあおりを受けることになる。しかし、そんななかでもアイドルたちは現実と向き合いながら、自身が輝ける道を模索。少しずつ前に進んでいくが、卯月だけは理想と現実のギャップに苦しんでしまう。

自分らしさを見つけることができず、一度は現実に押し潰され涙を流した卯月。そんな彼女が、迷いながらもまた輝きたいとステージに立ち、自身の最大の武器である“笑顔”を取り戻したライブは、感動のひと言に尽きる。

そして筆者はライブの終盤、感極まって鳥肌が立ったのだが、感動で鳥肌が立つという経験をしたのは、実はこのときがはじめて。「鳥肌が立つのは本当だったのか!」と驚いてしまったほどだ。もともと、プロデューサーとして本作は放送前から注目していたのだが、それでも衝撃を受けてしまうほど感動的なライブだった。本作は間違いなく、これからも自身のアニメ史のなかで燦然と輝き続けるだろう。

以上、今回は個人的主観で2015年のアニメを振り返ったが、これまで述べてきたように、とにかくこの年は衝撃の連続だった。願わくは、今後もこのときと同じくらい、またはそれ以上の衝撃と感動にアニメでまた味わえたらと切に願う。

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